吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

vocal

【Disc Review】“Avenida Atlântica” (2017) Guinga + Quarteto Carlos Gomes

“Avenida Atlântica” (2017) Guinga + Quarteto Carlos Gomes
Guinga (guitar, voice)
Quarteto Carlos Gomes:
Claudio Cruz, Adonhiran Reis (violin) Gabriel Marin (Viola) Alceu Reis (cello)




 ブラジルのベテランギタリスト&ボーカリストGuingaのストリングスカルテットとの共演作品。
 直近のピアノとのDuo作品“Intimidade” (2017) Guinga, Stefania Talliniのような静謐でムーディーなバラード集を期待してしまうのですが、少々面持ちは異なります。
 基本的には本作もバラード集、漂うような音ではありながら、少しハイテンションなストリングスカルテットが前面に出るイメージ。
 折り重なるストリングスの音の合間からのぞくような、漂うギターとあの激渋スキャットボイス。
 楽曲はいつもの沈痛で悲し気なメロディのオリジナル曲。
 とても優美ながら、悲し気でセンチメンタル。
 ストリングスの色合い、静かなギターと囁くような哀し気なボイスも含めて、21世紀とは思えないようなノスタルジックな雰囲気。
 まるで1940年代のストリングス入りジャズボーカル、あるいは、フランスあたりのモノクロームな映画のサントラのよう。
 さらにとても素敵なジャケットのアートワーク。
 やはりこのチョイ悪風オヤジのアルバムはオシャレです。




posted by H.A.


【Disc Review】“All the Dreams” (2016) Sara Serpa / André Matos

“All the Dreams” (2016) Sara Serpa / André Matos
Sara Serpa (voice, piano, Fender Rhodes) André Matos (guitar, electric bass, percussion)
Pete Rende (synthesizer) Billy Mintz (drums, percussion)

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 ポルトガルの女性ボーカリストSara Serpaと、おそらく彼女のパートナーであろうギタリストAndré Matosのジャジー、あるいはフォーキー、南米の現代フォルクローレ的な色合いのポップス。

 ジャズな編成でのコンテンポラリージャズな“Praia” (2008)でも共演していたお二人ですが、本作ではDuo+αの演奏を中心にもっと穏やかで静かな音作り。
 4ビート的でも先端ジャズ的でもなく、あくまでフォーキー。
 但し、電子音、Bill Frisell的不思議系ギターなど含めて、少々先端的、現代的な新しい感じ。
 Sara Serpaの楽曲はやはりメカニカルな感じですが、本作で中心となるAndré Matosのメロディはどこか懐かし気でフォーキーです。
 っても十分に複雑で不思議系で先端的なのですが・・・
 たっぷりなエコーが効いた儚げなボイスに漂うようなギター。
 ブラジル感もたっぷり漂いつつの、無国籍、ノンジャンルな質感。
 爽やかなようで少々スモーキーで湿り気のある空気感は、まるで朝靄のよう。
 とても心地よいフワフワした時間。





posted by H.A.


【Disc Review】“Praia” (2008) Sara Serpa

“Praia” (2008) Sara Serpa
Sara Serpa (voice)
André Matos (guitar) Vardan Ovsepian (piano) John Lockwood (bass) Nick Falk (drums) Greg Osby (alto sax)

Sara Serpa
Inner Circle Music
2008-01-01


 ポルトガルのボーカリストSara Serpaのコンテンポラリージャズ。
 どうもあのごっつい変拍子ファンクM-Base、Greg Osby閥の人だったようで、彼も参加しています。
 が、ごっつい感じでもCassandra Wilson的なディープな感じでもなく、フワフワとした柔らかい空気感。
 裏声を中心とした儚げなボイスのスキャットと、明らかに凄まじい演奏力の現代の手練れの演奏が交錯する柔らかなコンテンポラリーなジャズサウンド。
 ピアノトリオ+サックスはアメリカ系、リーダーのパートナーなのであろうギターはBill Frisel的、あるいはロック的。
 ポルトガル語が前面に出るわけではないのですが、ボーカル、全体のムードはブラジル的。 
 が、リーダーが書くオリジナル曲は極めてテクニカルでメカニカルで先端的。
 後のブラジリアンTatiana Parra諸作に通じる感じかもしれません。
 と思っていたら、ピアニストは“Lighthouse” (2014) Tatiana Parra & Vardan Ovsepianのアルメニアン。
 なるほど・・・
 複雑怪奇にアップダウンするボイスとギターのユニゾン。
 これでもかこれでもかと動くメロディと、合間々に挟まれる先端的、現代的ジャズなインプロビゼーション。
 これは確かに新しい。(っても十年以上前ですが・・・)
 現代アメリカ、ヨーロッパ、南米が交錯する新しい質感のジャズ。





posted by H.A.


【Disc Review】“Songs of an Other” (2007) Savina Yannatou, Primavera En Salonico

“Songs of an Other” (2007) Savina Yannatou, Primavera En Salonico
Savina Yannatou (Voice)
Kostas Theodorou, Michalis Siganidis (Double Bass) Kostas Vomvolos (Kanun, Accordion) Harris Lambrakis (Ney) Yannis Alexandris (Oud, Guitar) Kostas Theodorou (Percussion) Kyariakos Gouventas (Violin, Viola)

Songs of an Other (Ocrd)
Savina Yannatou
Ecm Records
2008-09-09


 ギリシャの女性ボーカリストSavina Yannatouの地中海エスニック~クラシックな音楽。
 正直、ギリシャ、地中海のエスニックな音がどんな音なのか、いつの時代の音楽をイメージしたのかはよくわかりません。
 また、Savina Yannatou自身がクラシックの人なのか、伝統音楽の人なのか、はたまたジャズ、ポップ畑の人なのか、あるいはこの音楽がギリシャ的なのかどうかもわかりません。
 “Siwan” (2007,2008),“Nahnou Houm” (2017) Jon Balke、"Arco Iris" (2010) Amina Alaouiなどの北アフリカ色、あるいはアラブ~中近東が混ざり合うような少々妖しげで悲しげな音の流れ。
 ギリシャといえばエーゲ海の陽光のイメージをしてしまうのですが、地理的にはトルコ~アラブ、あるいはアフリカ、そしてヨーロッパの結節点。
 実際はいろんな要素が入り混じる複雑な空気感の地域なのかもしれません。
 それらのエスニックな空気感にヨーロッパ的な優雅でクラシカルな空気感、宗教的な敬虔な空気感が加わった音。
 楽曲を見ると、ギリシャ、イタリアに加えて、セルビア、アルメニア、ブルガリア、カザフスタンなどの伝統曲。
 エスニックで耳慣れない弦と木管、アフリカンなパーカッションの響きと朗々としながらも悲しげな女性ボイスの絡み合い。
 静かながらハイテンションで非日常的なメロディと演奏。
 ときおりの演劇的なアヴァンギャルドなボイスパフォーマンスは、Maria Joao、Iva Bittováあたりを想い起こします。
 敬虔で少々深刻なムードは宗教的な意味合いもありそうですが、それらが祈祷、祝祭、儀式、その他、何の音楽なのかはわかりません。
 ちょっと怖いような、哀しいような、それでいて懐かしいような・・・
 いずれにしても現代日本の日常の中では感じることができない空気感。
 きっと古代~中世の地中海~北アフリカ~中近東のムードなのでしょう。
 強烈な非日常感を味わえるトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】"Arco Iris" (2010) Amina Alaoui

"Arco Iris" (2010) Amina Alaoui
Amina Alaoui (Vocals, Percussion)
José Luis Montón (Guitar) Eduardo Miranda (Mandolin) Sofiane Negra (Oud) Idriss Agnel (Percussion) Saïfallah Ben Abderrazak (Violin)

Arco Iris
Amina Alaoui
Ecm Records
2011-06-28


 モロッコの女性ボーカリストAmina Alaouiの北アフリカ~南スペイン~アラブなエスニックミュージック。
 ノルウェーの名ピアニストJon Balkeと“Siwan” (2009)を制作した人。
 少し低音に振れた、朗々としながらも、ミステリアスなボイス。
 おそらくは伝統曲なのであろう、聞き慣れないアラブな音階、物悲しいメロディ。
 北アフリカなのか、スペインなのか、ポルトガルなのか、あるいは中近東なのか、どこなのかはわかりません。
 冒頭のアカペラからどこか遠い場所、遠い時代にトリップするような非日常的な空気感。
 “Siwan” (2009)と同様に弦の中心の背景なのですが、大きな違いはスパニッシュJosé Luis Montónのギターが大きなスペースを占めること。
 ECM独特のリバーブと透明感。
 断言はできないけども、私が知る限り、ECMのアコースティックギター系では本作が一番美しい音かもしれません。
 さらにマンドリン、ウード、バイオリンが絡み合う天上のようなサウンド。
 少ない音数の弦が絡み合う空間の中に漂うミステリアスなボイス。
 ドキッとするような美しさと緊張感。
 ジャケットの素晴らしいポートレートは、モロッコの海? 
 対岸はスペインの地中海、あるいはポルトガル、はたまた遠くキューバ~アメリカ大陸を望む大西洋なのかもしれません。
 が、そのイメージの陽光はなく、少し曇った哀し気な海。
 そんな音。
 ECMのエスニック・トリップ・ミュージック、北アフリカ版。


 

posted by H.A.


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