吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

vocal

【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (voice, guitar, piano, percussion) 
Silvina López (guitar, voice) Jorge Martí (guitar) Fernando Silva (bass) Silvia Gomez (percussion) 
Sebastian Macchi (piano) Notalia Damadian, Jorgelina Barbiero, Silvia Salomone (voice) and others
 


 アルゼンチン、現代フォルクローレのカリスマなのでしょう、Carlos Aguirreの2004年作。
 いずれ劣らぬ名作“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の間の作品。
 もちろんこちらも「ホッとする」、そんな音楽、癒しの大名作。
 水彩画のような淡い世界。
 三作の空気感は同じですが、その中ではこのアルバムが一番シンプルでナチュラル、スッキリ系かもしれません。
 私的な好みとしては、ジャズ的なノリが弱い音をついつい避けてしまうのですが、この人は別。
 近年のアルゼンチンの人でもQuique SinesiAndrés Beeuwsaertあたりは、きっとジャズを演奏していた人なんだろうなあ、といったニュアンスがあるように思うのですが、この人はそれがあまり強くありません。
 もちろんブラジル系とは違うし、タンゴ色もないし、クラシック的といえばそうかもしれないけども、それもそれほど強くはありません。
 文字通りの現代フォルクローレなのでしょうが、それにしては極めて洗練されているし、ポップス的といえばそうなのかもしれませんが何か違うし、極めて現代的な音なのだと思うのだけど、ノスタルジックな感じもするし・・・
 ・・・ってな感じでそれらが全部融合された微妙で繊細な音。
 ビート感がどうとか、インプロビゼーションがどうとかを超越した何かがあるように思います。
 その要因がメロディなのか、コードなのか、個々の楽器の音、アンサンブルなのか、あるいは声なのかはよくわかりません。
 それらを全部合わせて出来上がる穏やかな寂寥感なのでしょうかね? 
 パーカッションは色付け程度で、基本的にはギターとピアノ、ベースが繰り出す優しいビート。
 メロディは折り紙付きの淡い色合いの穏やかな動き。
 全編を漂う哀感、センチメンタリズム。
 寂寥感ってほど寂しくはない、やはり南米系、郷愁感ってな言葉がピッタリきます。
 ちょっと寂し気なボーカルと要所で入る女声コーラスの完璧なアンサンブル。
 瑞々しいギターを中心に、ときおりのピキピキピキーンといった透明度の美しいピアノ。
 なんとなくヨーロピアンにも近い上品な感じですが、キツさは微塵もない優しい音。
 全曲名曲揃いですが、最後に納められた"vidala que ronda”なんて、アルバムの締めはこれしかないというか、とても前向きな感じて、人生の最後を締めくくってもいいような?、そんなムード。どこかで聞いたソウルバラードのようだったりもして。
 寂し気なようでとても爽やか。
 春、新緑の季節になるとこの手の一連の作品が聞きたくなります。
 春は暑苦しい系や深刻系ジャズよりこっちの方がいいなあ。
 そんな音です。
 もう十年以上前の録音ですが、いまだに全く古くないエバーグリーンな一作。
 でも例によって廃盤かあ・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“João Bosco 40 nos Depois” (1996) João Bosco

“João Bosco 40 nos Depois” (1996) João Bosco
Joao Bosco (voice, guitar)
Nelson Faria, Ricardo Silveira (guitar) Jorge Helder, Joao Baptista (bass) Kiko Freitas (drums) Armando Marsal (percussion)
Guest : Cristovao Bastos, Chico Buarque, Joao Donato, Milton Nascimento, Roberta Sa, Toninho Horta, Trio Medeira Brazil
 
40 Anos Depois
Joao Bosco
Imports
2013-04-30
ジョアン ボスコ

 ブラジルの大御所シンガーソングライターJoao Bosco、豪華ゲストを迎えての活動40周年記念作品。
 素朴でアコースティックなボサノバ~サンバ~MPBではなく、AOR(死語?)的、フュージョン的な洗練された音。
 冒頭からMilton Nascimentoが歌声とToninho Hortaのエレキギター。
 これは名前だけでも楽園ミュージックですが、想像されるまんまの音。
 過剰に作りこまれた感じではなく、あくまでナチュラルで上品な洗練。
 そこそこジャジーな感じですが、アメリカンな感じはなくて、柔らかくて浮遊感の強い現代的ブラジリアンな音。
 要所でエレキギターを奏でるToninho Horta, Nelson Faria, Ricardo Silveiraがとてもいい感じ。
三人ともクリーントーンで、洗練された系の現代的ブラジリアンフュージョンのカッコよさ全開。
 さらにはTrio Medeira Brazilとのトラディショナルサンバやら、その界隈の姫Roberta Saとのデュエット、ギター弾き語りのボサノバ、ブラジリアンバラードなどなど・・・
切れ目なく素晴らしい演奏が続きます。
 オリジナル曲を中心として、ジャズなアレンジのJobimナンバー”Fotografia”など、どれも素晴らしい楽曲、完璧なアレンジ、素晴らしい演奏揃い。
 ゲストは豪華なのですが、音の作りは全体的に薄めで、シンプルなようで複雑な個々の楽器の動きがよく見通せ、さらに中心となるボイスとの絡み方が絶妙。
 さり気ない歌い方がカッコいいボーカリストJoao Boscoも最高です。
 締めは大御所Chico Buarque自らによるクールなボッサ・・・
 大御所メンバー寄せ集めた過去楽曲集と侮ること勿れ、全曲、名曲、名演の大名作。
 ベストテイクはToninho Horta入り、強烈な浮遊感、郷愁感の二曲かな?これは単に私の好みでしょう・・・
  “Ao Vivo 100ª Apresentação” (1983) が代表作なのでしょうが、そちらは凄みが全面に出た作品。
 こちらは聞きやすさと洗練が前面に出ているともに、古今東西?のさまざまなブラジリアンミュージックのカッコよさがギュッと詰まった作品。
 ボッサに限ることのない、ブラジリアンミュージック入門編になる、かな?




posted by H.A.

【Disc Review】“Ao Vivo 100ª Apresentação” (1983) João Bosco

“Ao Vivo 100ª Apresentação” (1983) João Bosco
Joao Bosco (voice, guitar)
 
Ao Vivo: 100 Apresentacao
JOAO BOSCO
Universal Brazil
1983-01-01
ジョアン ボスコ

 ブラジルの大御所シンガーソングライターJoao Bosco、ギター弾き語りでのソロライブアルバム。
 ギターの弾き語りといえば神様Joao Gilbertのしっとり、まったりとしたイメージが強いのかもしれませんが、この人は元気いっぱい。
 ギターをジャカジャカかき鳴らし、ボイスもウイスパーではなく、ソウルフル。
 優雅で上品というよりも、エネルギッシュ。
 Elis Reginaへ楽曲提供して人気に、なんてことですが、確かにそんなムード。
 ボサノバは静かでエレガントなJoao Gilbertのスタイルがスタンダードなのでしょうが、広くブラジル音楽、サンバあるいはMPBでとらえれば、こちらのスタイルの方がオーソドックスなのでしょう。
 根底に高速なビートが流れていながらも変幻自在のギター。
 ジャズ系とは違うブラジリアングルーヴ、突っ走っているようでピタッと尺の中に収まる心地よさ。
 ボーカルもまた然り。
 あっちこっちに跳んで行っているようで収まるところに納まります。
 天才のみがなせる技、ってな感じ。
 冒頭すぐの「ブラジルの水彩画」を除けばすべてオリジナル曲。
 ボッサ、サンバその他含めて、名曲、代表曲のオンパレードなのでしょうが、いい意味で曲が何とか・・・が気にならない圧倒的な演奏力。
 ギター一本の弾き語りながら退屈さゼロ、CD一枚スルッと聞けてしまいます。
 最後はElis Reginaの人気曲「酔っ払いと綱渡り芸人」。
 あざとい締めといえばそうなんだけど、カッコいいので仕方ありませんね。




posted by H.A.

【Disc Review】“Traces” (2015) Camila Meza

“Traces” (2015) Camila Meza

Camila Meza (voice, electric & acoustic guitar)

Shai Maestro (piano, rhodes, wurlitzer, mellotron, pump organ, ampli-celeste) Matt Penman (bass) Kendrick Scott (drums) 

Bashiri Johnson (percussion) Jody Redhage (cello) Sachal Vasandani (voice)
 

Traces
Camila Meza
Sunnyside
2016-02-26


 チリのボーカル&ギタリストのジャジーポップス?、コンテンポラリージャズボーカル?。

 おそらくジャズ畑の人だと思うのですが、このアルバムはSSW(シンガー・ソング・ライター)なんて呼び方が今風でピッタリとくるのかもしれません。

 ガットギターで弾き語る女性はたくさんいるのでしょうが、この人の主力はエレキギター。

 それもクリーントーンのジャジーなギター。

 さらに柔らかいビート感と浮遊感のあるサウンドは、典型的なカッコいいブラジリアンフュージョンな音。

 ま、南米フュージョンの方が適当な形容なのでしょう。

 基本的にはピアノトリオとギターのカルテットに自身のボーカルが乗ってくる形なのですが、このピアノトリオが凄い。

 今をときめくニューヨークコンテンポラリージャズのファーストコールの面々。

 さりげなく軽やかなビートのようで、縦横無尽にスネアがパシパシ入るKendrick Scottのドラム、ちょっとした音がタダモノではない感十分のShai Maestroのピアノ。

 穏やかで上品、柔らかなグルーヴ。

 そんな音を背景にしたボーカルは透明度が高い可憐系。

 ジャズボーカルというよりもポップス然としてはいますが、ナチュラルな感じは多くの人に受けるタイプでしょう。

 ボーカルvsギターの配分は7:3ってところでしょうか。

 そんなバランスで忘れたころに登場する?エレキギターがカッコいい。

 艶のあるクリーントーンですが、Pat MethenyでもToninho Hortaでもなく、もっとジャズ寄り。

 が、ブルージー成分は少なくて、考え抜かれたと思われるメロディアスなフレージング。

 巧拙が気にならない個性的なギター。

 さらに、あのGeorge Benson風スキャットが並走します。

 これはカッコいい。

 楽曲はオリジナルに加えて、チリのスタンダード?にDjavanなどなど。

 これもポップス然としていますが、コンテンポラリージャズな感じがするのはバンドの演奏力ゆえでしょう。

 柔らかくて爽やかでノリがよくてポップなうえに、ハイレベルにジャジー。

 とにもかくにも気持ちいい音。

 今の季節にピッタリ。





 posted by H.A.

【Disc Review】“Saudações Egberto” (2011) Delia Fischer

“Saudações Egberto” (2011) Delia Fischer
Delia Fischer (piano, vocals, Fender Rhodes)
Pedro Mibielli (guitar, violin, cello, mandolin) Pedro Guedes (bass, acoustic & electric guitars) Naife Simões (drums, percussion, flugelhorn)
Sacha Amback (piano) Egberto Gismonti (guitar) Paulinho Moska (vocals)
 
 ブラジルのピアニスト&ボーカリストDelia FischerのEgberto Gismonti曲集。
 Egberto Gismontiの弟子にあたるのでしょう、まさに女Gismonti ってな音。
 実娘のBianca Gismontiにも近い感じですが、もっとポップな感じでしょうか。
 現代的、女性的で柔らかいGismontiサウンド。
 “Em Família” (1981) Egberto Gismontiなどの優しくてわかりやすい系を、さらに緩やかに穏やかにした感じ。
 ピアノトリオに弦楽器を加えた編成にさらにゲストが加わる形、Egberto Gismontiも一曲に参加。
 バイオリンやチェロを交えつつ、ポップスと室内楽・クラシックとジャズが入り混じった、いわゆるオーガニックなサウンドが特徴的な人、バンドでしょうか。
 ビートは硬軟を織り交ぜて、穏やかだったり激しかったり、変幻自在。
 乾いた音のドラムとエレキベースが作る、いかにも現代の若者っぽいビート。
 ハイテンションなはずの”Lolo”が肩の力が抜けた穏やかさ、元々優し気な”Palhaço”は弦が入ってさらに優雅、かつ、のどかな感じ。
 が、激しい”Fravo”はもっと激しくドラマチックな構成。
 などなど、諸々の色合いを織り交ぜながらも、ポップスを経過した現代の若者らしくわかりやすい系。
 ギターだけでは無くて、バイオリン、マンドリンが使われる場面が多いことが、ちょっと変わった感を出しています。
 ボイスは浮いたり沈んだり、これまた変幻自在ですが、基本的には可憐系。
 ピアノはいかにもEgberto Gismontiのお弟子さんぽくあちこちに飛び回り、エキサイティングに突っ走る場面もしばしば。
 が、なんだかんだで女性的な柔らかなタッチ、優しさが前面出ます。
 おまけにポップ。
 オーガニックな Gismontiサウンド。 
 ECMのGismontiの毒気が苦手な人は、こんな感じの方がいいのかな?




 posted by H.A.
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