吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

vocal

【Disc Review】“Nightfall” (2015) Quercus

“Nightfall” (2015) Quercus
June Tabor (voice) Iain Ballamy (tenor, soprano saxophones) Huw Warren (piano)

NIGHTFALL
QUERCUS
ECM
2017-04-28


 イギリスのボーカリストJune Tabor率いるQuercusのECM作品。
 前作は“Quercus” (2006)。
 その作品名をバンド名とし、他のレーベルはチェックしていませんが、ECMでは10年ぶりの制作。
 メンバーも音の雰囲気も変わりません。
 静謐に、透明に、ジャジーに、ECMコーティングされたブリティッシュフォーク。
 美しいピアノと、“Ballads”(Dec.1961,Sep.1962,Nov.1962)なColtrane、あるいはCharles Lloydなサックス。
 淡々と語るクールで乾いたボイス。
 全編スローなテンポ、おそらくブリティッシュ周辺の曲であろうトラディショナル曲が半数。
 遠い所を眺めるような、どこか懐かし気な音・・・・
 ってな感じで、”Quercus” (2006)と同じ形容になってしまう、一貫性のある音。
 さり気なく収められたジャズスタンダード”You Don't Know What Love Is”, “Somewhere”、あるいはBob Dylanナンバーも、すっかりその空気感の中に取り込まれ、全編通じて遠い所を眺めるような音。
 前作と比べると、少々勇まし気な音の流れのトラディショナル曲が目立つかもしれません。
 ブリティッシュエスニックなんてのがあるとすれば、そんな感じなのかもしれません。
 そんな曲は映画” Braveheart”な雰囲気。
 ま、不勉強な私は、スコットランド、イングランド、ブリティッシュの関係がきちんと整理ができていないのですが・・・
 ともかくにも、全編淡々としている分、気持ち穏か、じわじわときます。
 タイトル通りに”夕暮れ時”な空気感。
 これを聞きながら、静かに歴史のお勉強でもしてみましょうかね・・・


※別アルバム収録のBob Dylanナンバー。
 本アルバム収録バージョンはサックスが載ってくる分、もう少しジャジー。
 それもECMマジックですかね?


posted by H.A.



【Disc Review】“Quercus” (2006) June Tabor, Iain Ballamy, Huw Warren

“Quercus” (2006) June Tabor, Iain Ballamy, Huw Warren
June Tabor (voice) Iain Ballamy (tenor, soprano saxophones) Huw Warren (piano) 

Quercus
Tabor
Ecm Records
2013-06-04
ジューン・テイバー

 イギリスのボーカリストJune TaborのECM初作品。
 詳細についての情報は持っていませんが、1960年代から活動している大ベテランのフォーク?の人でしょうか?
 ピアノ、管とのトリオの編成、ECMでのそれ系の人といえば、同じくイギリスのNorma Winstonの諸作、あるいは近年ではSusanne Abbuehl諸作を想起します。
 それらに近いテイスト、妖しさを少々薄めて、ストレートにフォーク寄りの音の作り、といったところでしょうか。
 ピアノ、サックスの人もイギリスの人。
 派手な演奏はありませんが、ECMならではの美しい音。
 ピアノはクラシックの香り、ヨーロッパっぽさは濃厚ですが、明るい質感は少々アメリカ的でもあり、カッチリと律儀に弾く感じ。
 サックスはコンテンポラリー系に多いクール系、こちらも素直にサラリと吹くタイプ。
 Thomas Strønenとのバンド”Food”でECM制作しており、フリー系の志向もある人なのかもしれませんが、オーソドックスな質感。
 “Ballads” (Dec.1961,Sep.1962,Nov.1962)なColtrane、あるいはECMのCharles Lloydをもう少しバイタルにした感じでしょうか。
 そんなECM的ではあるものの、カッチリとした音を背景にして、ボイスは低く沈んだハスキー系、確かに英米のフォークシンガーにいそうな感じの声と節回し。
 ヨーロッパとアメリカの中間の雰囲気、それがイギリスっぽいといえばその通り。
 同じフォーク系でも北欧系だとエキゾチシズムを感じますが、さすがにポップミュージック、フォークミュージックの総本山のイギリス系、耳慣れた音流れは自然に耳に馴染みます。
 そこに緩やかなECMマジック、静謐さ透明感が加わると、やはり特別な質感です。
 ECMの真骨頂、ルバートっぽいスローバラード“Near But Far Away”なんて最高です。
 わかりやすいのだけども、どこか遠くを眺めているような、遠い所から聞こえてくるような、懐かしいような、切ないような・・・
 最初から最後まで、寂寥感と郷愁感が漂う美しい音。
 本作、発表は2013年ですが、録音は2006年。
 なぜ止まっていたのかはわかりませんが、十分にECMサウンド、仕上がりも上々です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Três no Samba” (2016) Eliane Faria, André Mehmari, Gordinho do Surdo

“Três no Samba” (2016) Eliane Faria, André Mehmari, Gordinho do Surdo
André Mehmari (Piano) Eliane Faria (Voice) Gordinho do Surdo (Surdo)

Tres No Samba
Andre Mehmari
Imports
2017-03-03


 ブラジルのスーパーピアニストAndré Mehmariのとても穏やかなサンバアルバム。
 ボーカルとパーカッションのトリオ。
 少々クラシックに寄せ気味のピアノに、低い音で静かにビートを刻むスルド。
 その上を踊るボイス。
 ウイスパー系、可憐系ではなく、ちょっと貫禄ある系の落ち着いたしっとり系の声、決して大きな声は出さないブラジル系特有の優しく穏やかな歌。
 サンバ系の伝統曲、スタンダード曲が並んでいるのだと思います。
 どこかで聞いたことがある、誰かが歌っていたメロディばかりなのだけども、思い出せない・・・
 もちろんサンバ特有の明るいようで切ないような、いわゆるサウダージ、郷愁感・・・
 そんな感じで普通の現代サンバ作品と思いきや、普通でないのは、ピアノの動きゆえ。
 この編成であれば、本来は器楽を背景にしてボーカルが踊るはずなのですが、踊り、跳ねまわり、突っ走るのはピアノ。
 スタートはクラシカルな上品なムード、ビートが乗ってくるとジャズなグルーヴが加わり、突っ走り、転げまわるような凄まじい動き。
 バラードでは一転、たっぷりとタメが効いた伸び縮みするビート。
 歌の後ろのオブリガードだけでも普通ではない感たっぷりなのですが、さらにインプロビゼーションのスペースもたっぷり。
 遠いところに飛んで行ってしまいそうになるピアノを大地に引き留めようとしているようなスルド。
 ボーカルさえもそんな役回りを演じているように聞こえます。
 初期~“Veredas” (2005-2008オムニバス)あたりまでのピアノには丸みを感じましたが、この頃は鋭さが際立ちます。
 そんなアグレッシブなピアノを暖かく見守るようなスルドとボイス。
 これしかないようなバランスなのかもしれません
 全体を眺めれば静かで穏やかで優しい音。
 優しく、かつプログレッシブな、とても素敵な現代サンバ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Encore” (2007) Arthur Verocai

“Encore” (2007) Arthur Verocai
Arthur Verocai (guitar)
Jose Roberto Bertrami, Itamar Assiere(Rhodes)Alex Pilkington (guitar) Alex Malheiros, Luiz Alves(bass)Ivan Conti(drums)Robertinho Silva(percussion)
Altair Martins (trumpet) Ze Carlos(baritone, tenor sax, flute)Ricardo Pontes (alto sax) Johnson de Almeida (trombone) Aulo Guimaraes (piccolo) Dirceu Leite (clarinet) Gabriel Gross (harmonica)
Marcio Lott, Tavito & Clarice Grova, Ronaldo Barcelos, Ivan Lins (vocal)
and strings

Encore [12 inch Analog]
Arthur Verocai
Far Out Recordings
2017-06-02


 ブラジルのベテランプロデューサー&シンガー・ソング・ライターArthur Verocaiの2007年作。
 1960年代から活躍している人、 Elis Regina、Ivan Linsなどのプロデューサーだったようですが、リーダー作品ではこれが三作目の超寡作家。
 とても素敵なAOR風ブラジリアンポップス、その他諸々。
 これぞレアグルーヴってな感じの楽曲が中心。
 ブラジリアンなフュージョンサウンドに、お洒落なホーン陣、ストリングスなども加わって豪華な音。
 柔らかなビートに、これでもかこれでもかと続くキャッチーで哀愁の漂うメロディ、洗練されたアレンジに洒落たコーラスとくると、もう一人のSergio Mendesってな感じの音。
 そんなオシャレな音、ボーカル入りのポップス仕立ての楽曲が目立ちますが、何曲かのインスツルメンタル曲はAntonio Carlos Jobim的な優雅な感じであったり、ジャズ的なインプロビゼーションの場面がたっぷりあったり。
 あるいは、ちょっと時代を感じるサイケな音作りがあったり、“Big Band Bossa Nova” (1962) Quincy Jones風のコミカルなジャズサンバなどもありますが、それもご愛敬。
 Azymuth が三曲、Ivan Linsや一曲に参加している楽曲も、いかにも彼らのサウンドで、いい感じの彩りになっています。
 ジャケットは1960年代のブルーノートかリバーサイドのジャズレコードのような顔立ちですが、中身は1970-80年代のブラジリアンフュージョン、ボーカル入り、あるいは、ブラジリアンAORってな感じ。
 レアグルーヴってのには、近年の作品にすぎるのかもしれないけども、そんな感じのちょっとだけノスタルジック、とても柔らかで心地よい音。
 ブラジル音楽に詳しい人にとっては当たり前な名作なのかもしれませんが、思い出したように南米音楽をチェックしてみる立場としては、こういう知らなかった名作がたくさんあるから、やめられまへん。


 

 posted by H.A.


【Disc Review】“Garra” (2015) Dani & Debora Gurgel Quarteto

“Garra” (2015) Dani & Debora Gurgel Quarteto
Dani Gurgel (vocal) Debora Gurgel (piano) Sidiel Vieira (bass) Thiago Rabello (drums)
Romero Lubambo (guitar)

GARRA
Dani & Debora Gurgel Quarteto
Rambling RECORD
2015-08-26


 ジャジーMPBのDani & Debora Gurgelバンドの第三作。
 “UM” (2013)はフルアコースティック、前作“LUZ” (2014)は一部でエレピ、エレキベースを導入しペースを変えていましたが、本作はギターがゲスト参加。
 もちろん全体の質感は変わらない、明るくファンキーなブラジアリアンコンテンポラリージャズ的ボーカルアルバムなのですが、少しずつ変化をつけようしているのかもしれません。
 いきなり怒涛のスキャットがフィーチャーされる曲の連発。
 作品が新しくなるにつれ、段々と跳びはね方に拍車がかかってきたと感じるのは気のせいでしょうか?
 これでもかこれでもかのスキャットと、それに寄り添い、一緒に突っ走るバンド。
 本作ではエレキベースが使われていないのが残念ですが、バンド全体が洗練されてきた感もあり、ブラジリアン・アコースティック・ファンク・ジャズに徹するのもいいのかもしれません。
 ドラムの音も、善し悪しはさておき、普通っぽくなったもんね。
 ギターが二曲にゲスト参加しているのもチェンジオブペース。
 いかにもショーロ~ボッサなブラジル音楽、その洗練されたモード。
 ブレークと切り返しがキッチリ作り込まれたアレンジに、グルーヴィーなビート、完璧な演奏、さらに洗練。
 そのうえで自在に踊るスキャット・・・
 ここまではあまり目立たなかった、しっとり系の楽曲もいくつか交えつつ、バンドサウンドとして完成しましたかね。
 演奏力、独特のバンドサウンドを備えた完璧なバンド。
 最後にさり気なく納められたEgberto_Gismontiナンバー”Loro”は、ドラムとスキャットの激しいインタープレーから、いかにもこのバンドな明るく元気なコンテンポラリージャズ。
 縦横無尽なスキャットを含めて強烈にテクニカルな演奏なのですが、Gismontiさんのある種の気難しさがなくなり、あっけらかんと明るい音。
 それがこの人、このバンドの最大の魅力なのでしょうね。たぶん。

 


posted by H.A.
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