“Abaton” (2002) Sylvie Courvoisier, Mark Feldman, Erik Friedlander
Sylvie Courvoisier (Piano)
Mark Feldman (Violin) Erik Friedlander (Cello)
スイスのピアニストSylvie Courvoisier、Mark Feldmanのバイオリンとチェロを迎えたトリオ作品。
クラシック~現代音楽な作品ですが、ECM New Seriesではなく、ECMレコードから。
楽曲を準備したのであろう長尺な演奏が揃ったCD一枚目、短い演奏が続くCD二枚目は即興演奏集なのでしょう。
静謐な空気感。
ゆったりとした音の流れ、定まらないビート。
不思議感、不安感たっぷりの旋律。
哀し気な表情、不穏なムードを醸し出す不協和音。
三者の誰が前に出るともなく、カウンターを当て合うようなアンサンブル。
たっぷりの余白。
ときおり強烈に加速したり、音量が上がったりしますが、次の瞬間は残響音のみ、あるいは無音・・・
全部合わせて強烈な緊張感、強烈な非日常感。
極めて耽美的、内省的。
が、甘いメロディは出てきません。
いわゆるわかりやすいグルーヴもありません。
あるいは、それらの断片が見え隠れするだけで、長くは続きません。
ジャズの耳からすれば、気難しく難解。
が、暗くはなく、あくまで透明、あるいは雑味のない“白”な空気感。
透明で美しい音。
静謐ながら、とても豊かな表情。
流れ始めてしばらくすると、部屋の空気感が変わってしまうような気がします。
非日常的な空気感ですが、とても心地よいので、何かよからぬものに絡めとられていってしまうような感、無きにしもあらず。
そんな音。