吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

violin

【Disc Review】“Libertango in Tokyo” (2011) Naoko Terai, Richard Galliano

“Libertango in Tokyo” (2011) Naoko Terai, Richard Galliano
Naoko Terai (violin) Richard Galliano (accordion, bandneon) 
Stephane Logerot (bass) Orchestra Camerata Ducale

リベルタンゴ・イン・トーキョー
寺井尚子
EMIミュージックジャパン
2011-12-21


 寺井尚子、Richard GallianoのPiazzollaトリビュート、Tokyo Jazzでのライブ録音。
 ベースを加えたトリオを中心としてストリングスがサポートする形。
 企画だけ見ると、あるいは“Libertango”なんてタイトルを見ると、ちょっと引いてしまう感もあるのですが、これがエキサイティングでカッコいい演奏。
 冒頭の“Libertango”から激しい演奏。
 この曲、私的には食傷気味で無意識に避けてしまうのですが、このバージョンはカッコいい。
 フロントのお二人のスムース&強烈な疾走感、ジェットコースターのような演奏。
 基本的には打楽器、ピアノがいないトリオの演奏に、ストリングスが彩りを加えるぐらいのバランスですが、強烈です。
 激情系のバイオリンがフロントに立ち、背後で強烈なグルーヴを作り、時に突っ走るRichard Galliano。
 激しい展開、ブチ切れ気味の流れにしばしばなりつつも、あくまでスムース。
 気がついていませんでしたが、お二人、似たタイプなのかもしれません。
 トゲや毒が少ないのも共通点でしょうか。 
 ビート感を含めて相性バッチリでしょう。
 トリオのみ強烈な疾走感、エキサイティングな場面もしばしば。
 トリオだけで全部やってしまってもよかったんじゃない、と思ったり、思わなかったり。
 Piazzolla三曲に他はRichard Gallianoのオリジナル中心。
 タンゴ風のRichard Gallianoのオリジナル曲になると、ストリングスも全開。
 哀感、緊張感、その他諸々Piazzolla風ではあるものの、いかにもフレンチっぽい、明るくてオシャレな感じもちらほら。
 またジャズ的なインプロビゼーションのスペースがたっぷり。
 二人ともキッチリとした起承転結に強烈な疾走感のソロ、さらに終盤はブチ切れ気味の激しさと興奮。
 もちろん重厚なイメージのPiazzollaバンドよりも軽快です。
 それら、ジャズでもタンゴでもない空気感あたりで好みがわかれるのかもしれませんが、バランスのとれた素晴らしい演奏だと思います。
 締めはタンゴの定番”La Cumparsita”に、ストリングスが映える名曲”Oblivion”。
 完成度の高い演奏に加えて、エンターテイメントとしてもキッチリまとまっています。
 お二人とも人気があり過ぎて、あるいはポップな演奏が出来てしまうだけに、マニアな人々からは距離を置かれる感じもあるのですが、素晴らしいアーティスト、演奏だと思います。
 ジャズからタンゴへ入っていくにはちょうどいい入口なのかもしれません。
 数えきれないぐらいにあるのであろうPiazzollaトリビュート作品、私が知っているのはごく一部だけですが、このアルバム、お気に入りの最右翼、かな?




posted by H.A.

【Disc Review】“Herz e Loureiro” (2014) Ricardo Herz, Antonio Loureiro

“Herz e Loureiro” (2014) Ricardo Herz, Antonio Loureiro
Ricardo Herz (violin) Antonio Loureiro (vibraphone)
 
Herz & Loureiro
Ricardo Herz
CD Baby
2014-05-26


 ブラジリアンコンビによるDuo作品。
 ギターもピアノもパーカションもフルートもなし、バイオリンとヴィブラフォンの珍しい編成でのインスツルメンタルミュージック。
 Antonio LoureiroはAndré Mehmariと "MehmariLoureiro duo" (2016)を制作、本作のプロデューサーにもAndré Mehmariがクレジットされています。
 諸々鑑みるとしっとり系、あるいはクラシック色が強いことを想像してしまいますが、そんな感じではなく、元気いっぱいの音。
 冒頭のアップテンポ曲から強いビート感。
 Antonio Loureiroはミナス出身、上掲のAndré Mehmari作ではそんな感じの浮遊感の強い音でしたが、ここでは力強さが勝ります。
 バイオリンは上下に激しく動くジェットコースター型。
 二人合わせてあっちに行ったりこっちに行ったり、忙しい音の流れ。
 スローバラードの前奏から始まる二曲目も、いきなりテンポを上げての複雑なユニゾンへ。
 ベースはミナスサウンドというよりも、Egberto Gismonti的な音なのでしょうかね。
 そんなハイテンションな演奏が続きます。
 それでも少人数ゆえ、なんだかんだでフワフワとしたヴィブラフォンの音、浮いたり沈んだり、突っ走ったりタメまくったり、表現力豊かなバイオリンゆえ、うるさかったりキツかったりはしません。
 楽曲は各人のオリジナルに、Egberto Gismontiナンバーなど。
 サンバ、ボッサ、ミナスっぽさはありません。
 南米系特有の郷愁感も強くなく、ちょっと元気がよすぎて陰影、哀愁に欠けるのかな?
 かといってアメリカっぽさはないし、所々に見え隠れするクラシックの香りを含めて新感覚の音であるのは確か。 
 期待していた音とは違うのですが、この雰囲気が新世代のブラジリアンミュージックなのかな?
 ジャケットのデザイン通りの空気感といえばそうかもしれないですね。




 posted by H.A.

【Disc Review】“What Exit” (2005) Mark Feldman

“What Exit” (2005) Mark Feldman
Mark Feldman (violin)
John Taylor (piano) Anders Jormin (bass) Tom Rainey (drums)

What Exit
Mark Feldman
Ecm Records
マーク フェルドマン


 John Abercrombie / Mark Feldman Quartet番外編。
 Mark Feldman、ECMでの唯一のリーダー作。
 John Abercrombie共演諸作と同時期、いつもどこかに行ってしまいそうなクリエイティブな演奏でしたが、リーダー作ではさらに遠いところへ。
 いきなり20分を超える冒頭曲。
 ベースとドラムとの静かなインプロビゼーション。
 断片的に聞こえる美しいピアノ。
 緊張感を煽るバイオリンの音・・・
 二曲目以降、ジャズっぽいMark Feldmanを聞くこともできます。
 とても上品で穏やかな演奏もあります。
 が、全体としては名手Anders Jormin、John Taylorをもってしても、彼を完全にジャズの世界に引き込むのは難しかったかなあ・・・?
 ってな感じ?
 ただ、静謐で不思議な音空間に身をゆだねるのみ。
 抽象度が高く不安感もありますが、美しい世界のようにも感じます。
 まさに、迷宮に迷い込み、妖しいモノ、不思議なモノ、そして美しいモノが次々に現れてくるイメージですかね。
 What Exit???




posted by H.A.

【Disc Review】“Wait Till You See Her” (2008) John Abercrombie

“Wait Till You See Her” (2008) John Abercrombie
John Abercrombie (Guitar)
Mark Feldman (Violin) Thomas Morgan (Double Bass) Joey Baron (Drums)

Wait Till You See Her (Ocrd)
John Abercrombie
Ecm Records
ジョン アバクロンビー 
マーク フェルドマン 


 John Abercrombie / Mark Feldman Quartet最終作。
 前作“The Third Quartet” (2006)までから少しテンションが落ち、静謐で穏やかな印象のカルテット。
 Mark Feldmanの色合いが薄くなっているようにも感じます。
 そうではなくて音楽が穏やかになっただけなのかもしれません。
 John Abercrombieも終始抑制された演奏、強烈な弾き方はしていません。
 違和感、非日常感が小さい自然な音。
 スタンダード一曲にいつもの抽象度の高い印象のオリジナル曲を題材に、静かに流れていく弦の音。
 落ち着いた演奏が多い分、このバンドでは一番取っつきやすいアルバムかもしれません。
 この人たちらしくないのかもしれませんが、大人な雰囲気。
 穏やかなエピローグ。

 “Class Trip” (2003)から5年、“Open Land” (1998)から10年。
 このコラボレーションが何をやりたかったのか、何を残したのか・・・
 さまざまな要素はあるにせよ、稀代のバイオリン奏者Mark Feldmanがジャズをやるとどうなるのか、それをジャズの王道から離れたことができる、高テンションかつ幽玄な音を作れるJohn Abercrombieを土台にやってみる。
 絶好調の1990年代前半に比べて2000年前後からテンションが落ち気味だったJohn Abercrombieにも刺激になるだろう・・・
 ってな感じと勝手に推察しました。
 ECM総帥Manfred Eicherではなく、Abercrombieが考えたことなのかもしれません。
 さて真相は?
 また、その結果はいかに?・・・。




posted by H.A.

【Disc Review】“The Third Quartet” (Jun.2006) John Abercrombie

“The Third Quartet” (Jun.2006) John Abercrombie
John Abercrombie (Guitar)
Mark Feldman (Violin) Marc Johnson (Double Bass) Joey Baron (Drums)

Third Quartet (Slip)
John Abercrombie
Ecm Records
ジョン アバクロンビー 
マーク フェルドマン 


 少し間を空けたJohn Abercrombie / Mark Feldman Quartet第三作。
 激しさと穏やかさが交錯するQuartet。
 激烈な冒頭曲から一転、二曲目からは漂うようなバラードからオーソドックス寄りの演奏まで、バリエーションに富んだ内容。
 ロマンチックまでとはいかずともそんな曲もちらほら。
 Mark Feldmanもいつになくジャズっぽい演奏。
 テーマ提示では自身の分担をこなし、自身のソロをキチンとまとめて、他のメンバーに渡す・・・
 おまけにスイングする定常な4ビート、さらにはBill Evansのバラードまで。
 うーん、ジャズっぽいなあ。
 でも無理してるようなむず痒さ・・・
 冒頭のこのバンドで最も激烈な演奏はその照れ隠しかな?
 ・・・なんて邪推してしまう、ジャズにもっとも近づいたJohn Abercrombie / Mark Feldman Quartet。




posted by H.A.
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