“Puerta” (2020) Jorge Rossy
Jorge Rossy (vibes, marimba)
Robert Landfermann (double bass) Jeff Ballard (drums, percussion)
スペインのパーカッション奏者Jorge Rossyのトリオ作品、ECMレコードから。
Brad Mehldau, Kurt Rosenwinkel, Jakob Bro, Steve Swallowといったつわものたちの作品にドラマーとして参加していた人。
本リーダー作ではドラムは他の人に任せて、自身はヴィブラフォンとマリンバに徹したオーソドックスなトリオ編成。
このレーベルでこの編成なら、静かで幻想的でフリー交じりで・・・、あるいはクラシカルで敬虔な空気感で・・・とかになりそうですが、そうではありません。
静かなのはその通りなのですが、ジャズな感じ、たっぷり。
ステディなジャズワルツに4ビート、テーマ~インプロビゼーションといったオーソドックスな展開が中心。
それも朴訥系。
このレーベルにしては異色でしょう。
ちょっとひねったジャズスタンダードのようなメロディたち。
左右に広がりながら浮遊する硬質でクールなヴィブラフォン。
しばしば鳴るマリンバの木質で素朴な音。
フリーっぽかったり妖しかったりする場面もあります。
それら含めて幻想的ではあるのですが、日常を逸脱しない安定のある音の流れ。
シンバルのレガートやら、ウォーキングするベースとか懐かしいなあ。
かといってモダンジャズな感じはありません。
どこか変。
Bobby Hutcherson諸作や“Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyあたりを想い起こさないこともないのですが、全く違う今の時代の優しく淡い音。
そのバランスがとても心地いい。
十分にクールで十分に妖しい。
でも平和です。