“The Song is You” (2021) Enrico Rava, Fred Hersch
Enrico Rava (Flugelhorn) Fred Hersch (Piano)
イタリアの大御所Enrico Rava、ピアノとのDuo作品、ジャズスタンダード集。
ピアニストはオーソドックスで穏やかなイメージのベテランFred Hersch。
名前通りの端正で穏やか、静かなジャズ。
もちろんECMレコードなので、普通にジャズではなくて、いかにもな音。
恐ろしいほどに透明度の高いピアノ。
くぐもっているようで何とも言えない艶のあるフリューゲルホーン。
ひたすら美しい。
かつてのような激情やらサイケやらぶっ飛んでいくインプロビゼーションやらはありません。
少々のフリーな場面も含めて、流れるように漂うように、ゆったりと穏やかに動いていく美しいモノ。
Jobimで始まりMonkさんの連発で結ぶ神々しいメロディたち。
クラシカルなムードを纏いつつ、残響を含めて美しい音を敷き詰めていくピアノ。
スウイングしているようでオーソドックスなようでそうでもない、心地よく揺らぐ背景。
その中を泳ぐ流麗なホーン。
美しく懐かしい何かが流れていく時間。
最後に収められたピアノのみのソロ演奏、美しく妖しいイントロダクションに導かれつつ、どスタンダード”Round Midnight"のメロディが流れてきて、これ、スタンダード集だったなあ・・・って思い出す感じの新しさ・・・、いや、新しくはないのか・・・
隠れ名作"Diane" (1985) Chet Baker & Paul Bleyってなのを想い出して聴いてみましたが、同じく静かで穏やかで美しいながら、全く違うテイスト。
本作の方が躍動感が強く、かつ、まろやか、ってな感じでしょうか。
さておき、とにもかくにもひたすら美しい。
とても素敵な静かな“ジャズ”。