吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

trumpet

【Disc Review】“Divine Love” (1978) Leo Wadada Smith

“Divine Love” (1978) Leo Wadada Smith

Leo Wadada Smith (Trumpet, Flugelhorn, Percussion)
Bobby Naughton (Vibraphone, Marimba, Bells) Lester Bowie, Kenny Wheeler (Trumpet) Dwight Andrews (Alto Flute, Bass Clarinet, Tenor Sax, Percussion) Charlie Haden (Double Bass)

Divine Love
Leo Smith
ECM
2019-01-18


 フリージャズ系のトランペッターLeo Wadada Smithの1970年代型スピリチュアルジャズ、ECM制作。
 “Lebroba” (2017) Andrew Cyrilleで齢70歳を超えてもキリッとした音の人の若き日、約40年前のアルバム。
 ドラムレス、ビブラフォンとホーンを中心とした変則な編成。
 各曲長尺な全三曲。
 フリージャズ、スピリチュアルジャズ、その他が入り混じる、妖しく、静かな音。
 LPレコードでのA面は、ビブラフォン、パーカッションが背景を作り、漂うようなフルート、トランペットが穏やかに絡み合う瞑想サウンド。
 ときおりの不穏なフレージングから怖い方向に流れて行きそうでそうはならない、フワフワとした時間がひたすら続きます。
 LPレコードでのB面に入るとECM御用達の大物トランペッターが加わり、不思議なホーンアンサンブルが展開されますが、これまた静かです。
 激しく高速なフレーズの絡み合いも、たっぷりのエコーに包まれ、幻想的な音の流れ。
 もちろんフリー度たっぷりですが、激情にも凶悪にもならない、穏やかな非日常感。
 どこを切り取っても強烈な浮遊感、静かで妖しい瞑想~トリップミュージック。
 とても心地よいのですが、さて、行き着く先はどこでしょう?




posted by H.A.


【Disc Review】“Imaginary Friends” (2018) Ralph Alessi

“Imaginary Friends” (2018) Ralph Alessi

Ralph Alessi (Trumpet)
Andy Milne (Piano) Drew Gress (Bass) Mark Ferber (Drums)
Ravi Coltrane (Soprano, Tenor Sax)

IMAGINARY FRIENDS
V/A
ECM
2019-02-19


 アメリカントランペッターRalph Alessi、ECMでの第三作。
 “Badia” (2012)、”Quiver” (2014)とワンホーンカルテットが続きましたが、本作ではサックスを加えたジャズの王道、二管クインテット。
 ベース以外のメンバーは交代、サックスはいまやベテランRavi Coltrane。
 メンバーは変わりましたが、サウンドはここまでと同様、今風ジャズのバンドとキリッとした端正なトランペットに、ECMならではの強い浮遊感が混ざり合う音。
 ルバートのような、クールで軽快な今風なビートのような、やっぱりなんだかんだでジャズのような、摩訶不思議な質感。
 楽曲はクールなムードながらこれまた不思議系のメロディ。
 ほどほどの緊張感、ほどほどのシャープネスと、ほどほどの浮遊感、ほどほどの妖しさ。
 Ravi Coltraneも父上のような激情サックスではなく、今風、あるいはECMらしい、クールかつ漂うような音使い。
 ニューヨークなECMサウンドってな形容も変ですが、そんな感じ。
 クールでスタイリッシュでキリッとしているようで、淡くてどこか予想外の方向へ動いていく、浮遊感たっぷり、不思議感たっぷりのコンテンポラリージャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu

“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu 

Lars Danielsson (bass, cello) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn)

Summerwind
Paolo Fresu
Act
2018-09-28


 スウェーデンのベーシストとイタリアのトランペッター、大御所二名のDuo作品。
 下の方でうごめくベースあるいはチェロと、ゆったりと漂うようなクールなトランペット。
 冒頭、あの”枯葉”が別のモノのように響きます。
 二人のオリジナル曲を中心に、いくつかのヨーロピアンメロディ。
 Lars Danielssonのあの激甘メロディは抑制され、淡い色合いの漂うような音の流れ。
 内省的で沈んだ空気感。
 躍動するベースと、ゆったりしたトランペットの感傷的な音。
 今にも静止しそうなほどに漂いながら、ときに強烈に加速しながら、静かな時間は進んでいきます。
 各曲短い演奏、三分に満たない楽曲も散りばめられ、次々と切り替わっていく淡い景色。
 遠い過去を眺めているようにも聞こえるし、何気ない日常のクールダウンのようにも聞こえます。
 クールな佇まい、静かでスタイリッシュ、淡い色合い、沈んだ空気感。
 やはりメロディアス。
 日常の喧騒から離れ、夢うつつな時間が流れていくような心地よさ。
 そんな名人芸。




posted by H.A.



【Disc Review】“Eros” (2016) Omar Sosa, Paolo Fresu

“Eros” (2016) Omar Sosa, Paolo Fresu 

Omar Sosa (piano, keyboards, percussion, vocals, programming) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn, multi-effects, percussion)
Natacha Atlas (voice) Jaques Morelenbaum (cello) 
Anton Berovski, Sonia Peana (violin) Nico Ciricugno (viola) Piero Salvatori (cello)

Eros
Omar Sosa
Ota Records
2016-10-14


 キューバのピアニストOmar Sosa、イタリアのトランペッターPaolo Fresuの双頭リーダー作。
 “Alma” (2012) Paolo Fresu, Omar Sosaに続く二作目。
 前作と同様にブラジルのJaques Morelenbaum、さらにベルギーのボーカリストがフィーチャーされ、ストリングスカルテットがサポートに入ります。
 かつてのキューバンジャズファンクの闘士、スタイリッシュジャズのイタリアンが奏でる、穏やかで優しい音。
 前作に比べて、強烈な浮遊感が全体を覆います。
 キューバ、アフリカ、南米、ヨーロッパの色合いが混ざったどこか懐かしいメロディ、時間の流れが遅くなったようなゆったりした音の動き。
 夢の中を漂うような電子音、ピアノを背景にした、訥々としたミュートトランペットの動きがまどろみを誘い、オープンホーンでの流麗な動きが現実に引き戻す、そんな時間が続きます。
 ビートが定まっても止まない浮遊感。
 さらにチェロ、ストリングスが揺らぎを加え、幻想的な女性ヴォイスが交錯する、白日夢のような時間。
 遠い所を眺めるような、遠い所から聞こえてくるような、どこか懐かしい音。
 静かで優しい、そしてセンチメンタルな時間。
 大人の子守歌。




posted by H.A.


【Disc Review】“Live In Bologna 1985” (Apl.1985), “Strollin'” (Jun.1985) Chet Baker

“Live In Bologna 1985” (Apl.1985), “Strollin'” (Jun.1985) Chet Baker

Chet Baker (trumpet, vocals)
Philip Catherine (electric guitar) Jean-Louis Rassinfosse (double bass)


ストローリン
チェット・ベイカー
SOLID/ENJA
2018-05-23


 Chet Baker、この期の定番の編成の一つ、ギターとベースのトリオでのライブ録音。
 ギターがジャストジャズなDoug Raneyからロックも混ざるPhilip Catherineに、ベーシストも交代。
 イタリア、ドイツでの近い時期のステージを収めた二作。
 少し躍動感が強い“Live In Bologna 1985” (Apl.1985)、ひたすら沈み込むような“Strollin'” (Jun.1985)。
 “Diane” (1985) Chet Baker & Paul Bley と同年、1980年代、静謐なChet Baker。
 どちらのステージも水を打ったように静かな空間。
 その中を静かに流れていくジャズ。
 徐々に熱を帯びていく攻撃的なギターとベースにクールなトランペット。
 ときおりのファンクなビートやエフェクティングされたギターも交えながら演奏は進みます。
 スピードが上がっても、ラテンになっても、バックのテンションが上がっても、トランペットはあくまでクール。
 トランペットが後ろに引くとフュージョンの香りも漂うギター、ベースの怒涛のようなDuo。
 が、トランペットが戻ると端正で流麗なジャズ。
 懐かしいものが脳裏をよぎる瞬間。
 American_man in EuropeのAmerican Saudadeな音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Day Break” (1979) Chet Baker

“Day Break” (1979) Chet Baker

Chet Baker (trumpet, vocals)
Doug Raney (guitar) Niels-Henning Ørsted Pedersen (bass)

デイブレイク Daybreak
チェット・ベイカー・トリオ Chet Baker Trio
THINK! REOCRDS
2017-09-20


 Chet Baker、ドラムレスのトリオでのライブ録音。
 1970年代の終わり、デンマーク。
 静かに淡々と進む音。
 音の張りがどうとか、音程がなんとか、などなど、いろんなご意見はあるのでしょう。
 が、テーマソングのごとき端正なハードパップ"For Minors Only"、CTI時代の代表的な哀愁曲"You Can't Go Home Again"の長尺な演奏が聞ければそれで充分。
 私的Chet Bakerの二曲。
 ヨーロッパに場を移しての再演も、これまたクールで、ハードボイルドで、センチメンタル。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“You Can't Go Home Again”, “The Best Thing For You” (1977) Chet Baker

“You Can't Go Home Again”, “The Best Thing For You” (1977) Chet Baker

Chet Baker (trumpet)
Don Sebesky, Kenny Barron (electric piano) Richie Beirach (electric piano, clavinet) John Scofield (guitar) Gene Bertoncini (acoustic guitar) Ron Carter (bass) Alphonso Johnson (electric bass) Tony Williams (drums) Ralph MacDonald, Arto Tuncboyaciyan (percussion)
Hubert Laws (flute, bass flute, piccolo) Paul Desmond (alto sax) Michael Brecker (tenor sax) John Campo (bassoon) and String

ユー・キャント・ゴー・ホーム・アゲイン(紙ジャケット仕様)
チェット・ベイカー
ユニバーサル ミュージック クラシック
2005-12-14

The Best Thing for You
Chet Baker
I.M.S Records


 Chet Baker、フュージョン寄りのセッションから二作。
 人気作“She Was Too Good to Me” (1974)の続編的作品。
 現在は未発表音源を加えて二作を混ぜてしまったCDも流通しているようです。
 ジャズとファンクが交錯する強いビートとフワフワしたエレピが全体のイメージを作り、ビッグネームなメンバーがソロを奏で、ストリングスが彩りを加える豪華な編成。
 スタンダードを含めてキャッチーな楽曲が揃っていますが、出色はセッションを仕切ったのであろうDon Sebesky のベタベタにセンチメンタルな“You Can't Go Home Again”、似合っているかどうかはさておき怒涛のラテン”El Morro”、Richie Beirachの激しいファンクフュージョン"Out Of Our Hands"でしょうか?
 激しくハイテンションなバンドと、周りに合わせつつもクールなトランペット。
 1970年代フュージョン、ファンク色が強くなってきて、熱とクールネスが交錯する特別な音。
 過激さとちょっと甘酸っぱい感じの懐かしさのアンバランス、それが何ともいい感じ。
 このあたりのおいしそうな所だけを聞きたい時には“Together” (1974-1977) Chet Baker & Paul Desmondなんてとても素晴らしいオムニバスがあります。




posted by H.A.


【Disc Review】“She Was Too Good to Me” (1974) Chet Baker

“She Was Too Good to Me” (1974) Chet Baker

Chet Baker (Trumpet, Vocals)
Bob James (Piano, Keyboard) Milt Jackson, David Friedman (Vibes) Ron Carter (Bass) Steve Gadd, Jack DeJohnette (Drums)
Paul Desmond (Alto Saxophone) Romeo Penque (clarinet) Hubert Laws, George Marge (Flutes) and orchestra

She Was Too Good to Me
Chet Baker
Masterworks
2010-10-05


 Chet Baker、言わずと知れた名作、人気作。
 1970年代CTI、フュージョン~ポップスも混ざり合う音。
 エレピのクールでフワフワした響き、攻撃的でパタパタ、シャカシャカしたドラム、間延びしたようなエレキっぽいウッドベース。
 全部合わせて1970年代のジャズ。
 そんな音を背景にした、クールなトランペット、フルート、激甘アルトサックスの絡み合い。
 さらにときおりの甘いボイスにロマンチックなオーケストラ・・・
 とても優雅。
 心地よさ最高。




posted by H.A.


【Disc Review】“Playboys” (1956) Chet Baker & Art Pepper

“Playboys” (1956) Chet Baker & Art Pepper

Chet Baker (trumpet) Art Pepper (alto saxophone)
Carl Perkins (piano) Curtis Counce (bass) Larance Marable (drums)
Phil Urso (tenor saxophone)

Playboys
Chet Baker & Art Pepper
Ais
2012-05-22


 1950年代ウエストコーストジャズの名作。
 東海岸とは違う軽快さ。
 さらさらと淡々と流れていく音。
 Blue Noteな名曲“For Minors Only”他、紛うことなきハードバップな演奏が何か違うモノのように聞こえてきます。
 ひたすら端正で流麗なトランペットと揺らぐアルトサックス。
 飛び散る汗や熱狂とは違うクールネス。
 あの時代の”粋”の塊のような音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Ravensburg” (2017) Mathias Eick

“Ravensburg” (2017) Mathias Eick

Mathias Eick (trumpet, voice) 
Andreas Ulvo (piano) Audun Erlien (bass) Torstein Lofthus (drums) Helge Andreas Norbakken (drums, percussion) Håkon Aase (violin)

RAVENSBURG
MATHIAS EICK
ECM
2018-03-02


 ノルウェーのトランペッターMathias Eickのコンテンポラリージャズ。
 すっかり現代ECMの代表トランペッターになったようで、コンスタントに制作しています。
 前作”Midwest” (2014)と同様、オーソドックスなトランペットカルテットにバイオリンが加わる編成ですが、メンバーは大幅に変わっています。
 本作もこの人の色合い、寂寥感の強いジャズですが、少々明るいイメージだった前作に対して、本作はダークで哀感強め。
 しっとりしたジャズだけど、アコースティック4ビートな場面は少なく、現代的な複雑で乾いたビートを刻むドラムと、控え目に淡々と音を置くエレキベース。
 ピアノは前作に参加した大御所Jon Blakeではありませんが、“Skala” (2010)などに参加していたいかにも北欧系、繊細で美しい音の人。
 さらに狂気を秘めたようなバイオリンと、時にスキャット、そして主役のサブトーンたっぷり、寂寥感の塊のような音のトランペット。
 バイオリンはThomas Stronenの“Time Is A Blind Guide” (2015)、“Lucus” (2017)に参加していた人。
 派手に前面に出てくる場面は多くないのですが、トランペットとの揺らぐような絡み合いがとてもカッコいい。
 楽曲はもちろんこの人の描く、哀感、寂寥感の強いメロディ。
 ノルウェーのトラディショナルな空気感と、ロックやフォーク、その他諸々の要素が混ざり合う現代の音。
 静かに淡々と進みつつも、漂い揺らぎながらじわじわと迫ってくるような音の流れは、穏やかながらとてもドラマチック。
 近年のECMの定番、淡くて穏やかでエスニック、そして揺らぎのあるコンテンポラリージャズ。
 どことなく寂しげで懐かしげな空気感は、Nordic Saudade。
 ダークで沈んだ質感だけども、なぜか和みます。




posted by H.A.


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