吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

tenor_sax

【Disc Review】“The Dreamer Is The Dream” (2016) Chris Potter

“The Dreamer Is The Dream” (2016) Chris Potter
Chris Potter (tenor, soprano saxophones, bass clarinet, clarinet, ilimba, flute, samples)
David Virelles (piano, celeste) Joe Martin (double-bass) Marcus Gilmore (drums)

DREAMER IS THE DREAM
POTTER/VIRELLES/MART
ECM
2017-04-21


 すっかりECMの看板アーティストになったChris Potterのジャズカルテット作品。
 現在のジャズのサックス奏者では、Mark Turnerとこの人が第一人者なのでしょうか?
 どちらも今はECM所属なのも不思議な感じ。
 ECMのサックスといえば、Jan Garbarekを想い起こしますが、艶やかで張り詰めたような音は近いのかもしれませんが、初期のJan Garbarekの発していいた狂気のようなモノや、ドロドロとした空気感はなく、もっとスムースで、あっけらかんと明るい感じ。
 もちろん氷のような冷たさや吹きすさぶ寒風もなく、むしろ暖か。
 前々作“Sirens”(2012)、ストリングス入りの前作“Imaginary Cities” (2014)、と少しずつメンバーを変えてきていますが、ニューヨークコンテンポラリージャズのファーストコールの面々であることは変わりません。
 キューバ出身のピアニストは今やECMアーティストの人。
 ギターのAdam Rogersがいなくなったのが残念ですが、そんなメンツで本作も前々作“Sirens”(2012)と同様、ECMらしからぬニューヨークコンテンポラリージャズな音。
 バラード集といった感じではないのですが、各曲ともに静かに始まり、徐々にテンションを上げていく構成。
 冒頭もバラードから。
 ってもECM的な妖し気なバラードではなく、剛球一直線なアメリカンなバラード。
 途中でリズムを落として、ソロピアノでの静かな場面もあり、やっとECMか・・・?と思うのはわずかな時間、音圧の高いテナーが戻ってくるとその色合いはなくなります。
 カリンバっぽいエスニックなムードで始まる二曲目は、これはECM的エスニックにもっていこうとしているのかも・・・と思うのはわずかな時間、ビートが入るとエスニック系ではあるものの、ラテンなビートとメカニカル系のメロディが交錯する明るいコンテンポラリージャズ。
 さらに、三曲目の”The Dreamer Is the Dream”はECMの真骨頂、ルバートでのスローバラード。
 さすがにEicherさんのご指導が入ったのか・・・どうかはわかりませんが、伸び縮みするビート、フリーなドラムと漂うピアノ、ベースがいかにもそれっぽい感じ。
 Chris Potterもスタートはバスクラリネットを使って妖しいムードを醸し出しています。
 が、音楽が進み、テンションが上がると、高音圧でスムースな剛球テナーサックスが登場し、とてもドラマチックではあるものの、妖しさ、ECM色は薄らいでいきます。
 フワフワではなく、ドロドロ、ベトベトでもなく、キリッとした、あるいはカラッとした色合い。
 フリーっぽくなる場面もいくらかあるのですが、音楽が進んでいくと、またまた、アメリカンコンテポラリージャズ、カラッとした系。
 その他、電子音を使った妖し気な展開から始まってみたり、牧歌的な雰囲気をソプラノサックスが綴ってみたり。
 いろいろECMっぽいこと?にチャレンジしているのかな・・・?と思えること多々。
 が、なんだかんだで、最後はいかにもこの人、メカニカルな現代的ファンクジャズ。
 全編吹きまくり、各曲とも10分近い長尺な演奏、全6曲。
 これでもかこれでもかと押し込んでくるサックス。
 ま、それがこの人の色合い、ECMながら、これまたいかにもChris Potterな一作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen

“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone) Bobo Stenson (piano , Electric Piano) Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)
 
Sart
Universal Music International Ltda.
1989-09-04

 北欧のスーパーアーティスト、若き日の彼らが結集したバンド。
‎ ”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan GarbarekのメンバーにピアニストBobo Stensonが加わる形。
 同時期このアルバムのリズム隊で名作“Underwear” (1971) Bobo Stensonが制作されています。
 流れからすれば”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) Jan Garbarek, Bobo Stenson Quartetの予告編的な感じではありますが、ジャズ的な色合いが強いそれよりも過激。
 サイケで陰鬱で沈痛な音。
 ワウをかけたギターのサイケなリフからスタート。
 ゆったりしたヘビーなリフは“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisのタイトル曲を想起しますが、それに透明度の高い美しいピアノが絡みつき、地の底から這い出てくるようなテナーがクダを巻く・・・ってな感じの不思議なムード。
 激しくロック的になりそうなバンドを、背景で美しく鳴るピアノがノーブルな世界に引き留めようとしている・・・ってな感じの妙なバランス。
 ヘビーな印象の楽曲を含めて、全体を牽引するのはJan Garbarekなのでしょう。
 もちろん後まで続く彼のハイテンションな音ですが、フリージャズ的な音の流れが多く、後期John Coltrane、あるいはArchie Sheppの影響が多大だったんだなあ、と改めて思ったり。
 その他、エレピとフルートが後の“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaっぽい場面があったり、Ornette Colemanっぽい曲があったり、ズルズルグチョグチョなギターが前面に出る場面はJimi Hendrixっぽかったり。
 一曲のみのアコ―スティック4ビート曲“Irr”でのArild Andersenの凄まじいベースは45年後の今日まで続く彼の音。
 もし彼がJan Garbarek, Bobo Stenson Quartet、あるいは“Belonging” (Apl.1974) Keith Jarrettに参加していたら、もっと凄いことになったんだろうなあ、と思ったり。
 Bobo Stenson美しく切れ味鋭いピアノもこの時点から。
 Terje Rypdalの適当な居場所がなさそうで、フィーチャーされるのはわずかのみ。
 アコースティックなバンドでズルズルグチョグチョなギターがどこまで映えるのか、あるいは、もしJimi Hendrixがウッドベース入りのジャズバンドを従えて演奏したら・・・ってな妄想が出来たりも・・・
 ってな感じで、なんだかわけのわからないフリージャズ的音楽、といったことではなくて、1970年前後のクリエイティブ系な要素をいろいろ集めて消化中、あるいはそれらの結節点的な作品、といった感じでしょうか。
 この後、Terje Rypdalはドラマチックロックな我が道を行き、Arild Andersenは“Clouds In My Head” (1975)などのジャズフュージョン路線、Jan Garbarek, Bobo Stenson, Jon Cristensen はいかにもECMなハイテンションジャズ”Witchi-Tai-To” (Nov.1973)、さらにはKeith Jarrettとつながり、“Belonging” (Apl.1974)へと歩を進めます。
 やはり結節点、あるいは分岐点的な作品ですかね、たぶん。




 posted by H.A.


‎【Disc Review】”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet

‎”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone)
Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)

Afric Pepperbird
Universal Music International Ltda.
1990-10-01

 
 ノルウェーのサックスJan Garbarekの初期作品。
 ECMとしても初期、発足して一桁台の作品でしょうか。
 北欧人脈でのアバンギャルドなファンクジャズ、あるいはフリー的ジャズ。
 ロック色ファンク色も強いのですが、“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisの色合いでもない、不思議なバランスの一作。
 フリージャズが半分ぐらいですが、一つのリフをひたすら繰り返すジャズファンクの流儀も目立ちます。
 ヒタヒタと迫ってくるようなJon Cristensenお得意のビートは“Bitches Brew”のJack Dejohnette的ではあります。
 モードからジャズファンクへの変化の途上、ロック色を強く取り入れる途上、John Coltrane的、Ornette Coleman的フリージャズ、さらにはエスニックテイストも取り入れつつ、新しいスタイルを模索中といったところでしょうか。
 リーダーのサックスはやりたい放題。
 後の作品では絶叫、フリーキーなフレージングは多用しても、音色自体は綺麗な人だと思っていたのですが、この期では妙な音も使いまくり。
 肉声っぽい音を混ぜたり、サックスなのか何なのかわからないDewey Redman的な妖し気な音、時には後期John Coltrane的な絶叫があったり・・・
 Archie Sheppのようなザラついた歪んだ音で吹き倒す場面も多く、この人にしては珍しい感じ。
 ビートの作り方含めて、意外にもArchie Sheppからの影響が強かったのかあ・・・と思ったりもします。
 Terje Rypdal はディストーションを使ったズルズルなハードロックギターではなく、クリーントーンでのサイケなフレージング。
 妖しさ120%。
 ギンギンなギターを主力にしたのは、この後なのでしょうかね?
 プログレッシブロックな曲もあるのですが、あくまでジャズっぽいのはベースとドラムのビート感ゆえでしょう。
 恐ろし気なメンバーでの激しい音楽ですが、後の作品”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) あたりの方が怖いというか、緊張感は上かもしれません。
 ECMとしてもレーベルカラー作り、新しい音を求めての試行錯誤の途上だったのでしょう。
 さまざまな要素の寄せ集めのようでアルバムとしてもまとまっているのは、さすがJan Garbarekというか、ECMというか。
 1970年代当初のドロドロとした空気感を想像するにはちょうどいい感じのアルバムなのでしょう。


 

 posted by H.A.

【Disc Review】”Rendezvous Suite” (2009) David Murray, Jamaaladeen Tacuma

”Rendezvous Suite” (2009) David Murray, Jamaaladeen Tacuma
David Murray (Tenor Saxophone, Bass Clarinet) Jamaaladeen Tacuma (Bass Guitar)
Ranzell Merrit (Drums) Mingus Murray (Guitar) Paul Urbanek (Keyboards)
 
Rendezvous Suite
Jamaaladeen Tacuma
C Major
2013-01-29
デヴィッド・マレイ
ジャマアラディーン・タクマ


 真っ黒けな音の過激なサックスDavid MurrayとヘビーなファンクのJamaaladeen Tacumaの共演作。
 名前だけで鬼も逃げ出しそうな恐ろしいコンビですが、その通りのいかつい音。
 似たタイプの共演で名作“Layin' in the Cut” (2000) James Carterがあり、近いムードですが、本作の方が少しだけジャズに寄っているかもしれません。
 楽曲はJamaaladeen Tacuma作のファンク。
 例によってヘビーなベース。
 ちょっと前の時代のような、ベンベンってな感じの音が強烈な存在感。
 決して音数が多いわけでもフレージングが派手なわけでもないのにさすがの凄み。
 黒光りしているようなベースですが、さらに黒光りするようなテナーサックス。
 “Layin' in the Cut” (2000) James Carterも十二分に怖いですが、さらに親分登場・・・ってな感じ。
 あちらが激走超大型タンクローリーのような音だとすれば、こちらは黒塗りの大型セダン。
 ゆったりと前に進むようなグルーヴに、決して激しく叫ぶわけではないドスの効いた真っ黒けのサックス。
 なんだか余裕があって「相対的には」上品に聞こえたりもします。
 不良な大人の音。
 一番やんちゃなのは何曲かで大きくフィーチャーされるギター。
 Jimi Hendrixを離散型にした感じのズルズルグチョグチョな音。
 全編?8ビート、ミディアムテンポのファンク。
 ベースはもちろん、シンセサイザー的な音も所々に入って、表面上は全くジャズっぽくありません。
 それでもどことなくジャズな香りがします。
 なんだかんだでDavid Murrayのサックスがジャズっぽいからでしょうかね?
 ファンク、ラテン、アフリカなんでもこいの人ですが、やっぱりジャズの人。
 そんな微妙なバランスがなんとも不思議なジャズファンク、あるいはファンクジャズ。
 真っ黒けの過激な音。

※こちらはJamaaladeen Tacuma在籍中のOrnette Colemanのバンドから。
 近いかな?違うなあ・・・?


posted by H.A.

【Disc Review】“Layin' in the Cut” (2000) James Carter

“Layin' in the Cut” (2000) James Carter
James Carter (saxophones)
Jef Lee Johnson, Marc Ribot (electric guitar) Jamaaladeen Tacuma (electric bass) G. Calvin Weston (drums)
 
Layin in the Cut
James Carter
Atlantic / Wea
2000-06-05
ジェームス カーター



 James Carter、この前作“Chasin' the Gypsy” (2000)から一転して真っ黒けなファンクの一作。
 Jamaaladeen Tacumaの繰り出すどヘビーなファンクビートをバックにしたドスの効いたファンクジャズ。
 このバンドのメンツがその世界でどのくらい凄い人なのかは情報を持っていないのですが、まあ、ただ事ではないド迫力の音。
 ドスの効いたJames Carterのサックスに輪をかけたようなドスの効いたファンク。
 ヘビーなビートを叩き出すベースとドラムに、ロックでもジャズでもないカッコいいカッティングに歪んだサウンドのズルズルグチョグチョインプロビゼーションのギター。
 さすがにこうなると、激しくてもどことなくノスタルジックでエレガントなJames Carterではありません。
 ちょっと怖いというか、地下から響いてきそうな音、あるいは激走超大型タンクローリー、ってな感じ。
 フリーキーな音、最初から最後まで超過激に吹き倒しまくるサックスは、とてもヤクザな感じのバンドサウンドにピッタリ。
 アコースティック4ビートでここまで吹くとちょっとやり過ぎ感もあるのだけども、このバンドサウンドにサックスを乗せるとすればこれしかないでしょう。
 多くのJames Carterのオリジナル曲に、一部がギタリストJef Lee Johnsonの曲。
 これまたド迫力のファンク曲が揃っています。いかにも不良な音。
 聞いている方の体温が上がってしまいそうな凄まじさ。
 素直なアコースティック4ビートジャズではないし、ファンクでもなし。
 この手の音楽ってジャズファンからもファンクファンからも敬遠されるのでしょうかね?
 私的には“JC on the Set” (1993)と並ぶお気に入りのJames Carter。
 ジャズとしても聞いても、おそらくファンクとして聞いても凄いアルバム。
 名作だと思うけどなあ。

 


posted by H.A.


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