吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

tenor_sax

【Disc Review】“Temporary Kings” (2018) Mark Turner, Ethan Iverson

“Temporary Kings” (2018) Mark Turner, Ethan Iverson

Mark Turner (tenor sax) Ethan Iverson (piano)

Temporary Kings
Ethan Iverson/Mark Turner
Ecm
2018-09-07


 Mark Turner、“Lathe Of Heaven” (2014)以来のリーダー作品。
 “All Our Reasons” (2011), “One Is the Other” (2013) Billy Hartでも共演を続けるピアニストEthan IversonとのDuo。
 半数以上をEthan Iversonの楽曲が占め、イニシアティブを執ったのは彼かもしれません。
 静かで妖しいジャズ。
 ダークな空気感、抽象的で不思議なメロディとコード。
 Duoゆえの自由さ、伸び縮みするビート感はありますが、フリーになる時間は長くありません。
 ジャズ、ポップス、あるいはクラシックの整った表情になりそうでならない、どこか意図的に外しているのであろう音の動き。
 ソプラノサックスのような高音の連続から一気に下に急降下し、とぐろを巻くように徘徊するテナー。
 あくまで淡々と不思議な音を紡ぎ続けるピアノ。
 一曲取り上げられたジャズナンバーもどこかひねくれた不穏な表情。
 Thelonious MonkとJohn ColtraneのDuoを、クラシックの香りと現代のクールな質感で包み込んだような音・・・ってな感じ・・・も違うか?
 いずれにしても時空が歪んだような静かな時間。
 そんな不思議感たっぷりの現代ジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Helsinki Songs” (2018) Trygve Seim

“Helsinki Songs” (2018) Trygve Seim

Trygve Seim (tenor, soprano sax)
Kristjan Randalu (piano) Mats Eilertsen (bass) Markku Ounaskari (drums)

Helsinki Songs
Trygve Seim
Ecm
2018-08-31


 ノルウェーのサックス奏者Trygve Seim、カルテットでのコンテンポラリージャズ。
 サポートはリーダー作”Absence” (2017)でタダモノではない感を漂わせていたエストニアのピアニストKristjan Randaluを中心とするトリオ。
 ここまでの作品からすれば意外にもポップで穏やかなジャズ、静かなバラードが中心。
 静かながらとんがりまくっていた”The Source and Different Cikadas” (2000)あたりから、作品が進むにつれて徐々にわかりやすくなってきていたように思うので、落ち着くところに落ち着いたのかもしれません。
 静かにビートを刻むベースとドラムに、明度の高い上品なピアノ、強い浮遊感のピアノトリオ。
 “My Song” (1977) Keith Jarrett までとは言わずとも、そんな空気感も漂う、懐かし気で前向きな明るいメロディ。
 そんな音を背景にした優しいサックス。
 沈痛、敬虔な感じではなくてあくまで懐かし気な穏やかさ。
 ECMのお約束、ルバートでのスローバラードは中盤の”Birthday Song”。
 他にもそんな雰囲気の演奏がちらほら、というよりも全編そんなイメージのゆったりと浮遊するような音。
 近年のノルウェーのアーティストのECM作品、穏やかな表情の作品がたくさん。
 近年の北欧の若手~中堅の本音は、こんな感じのわかりやすい音なのかもしれません。




posted by H.A.


【Disc Review】“Mette Henriette” (2015) Mette Henriette

“Mette Henriette” (2015) Mette Henriette

Mette Henriette (sax)
Johan Lindvall (piano) Katrine Schiott (cello)
Per Zanussi (bass) Per Oddvar Johansen (drums, saw) Eivind Lonning (trumpet) Henrik Norstebo (trombone) Andreas Rokseth (bandoneon) Sara Ovinge, Karin Hellqvist, Odd Hannisdal (violin) Bendik Bjornstad Foss (viola) Ingvild Nesdal Sandnes (cello)

Mette Henriette
Mette Henriette
Ecm Records
2015-11-20

 ノルウェーの女性サックス奏者Mette HenrietteのECM制作、デビュー作。
 ピアノとチェロとの変則トリオと、オーソドックスなピアノトリオにホーンとストリングスの大編成の二バンド、二枚組。
 リーダーのキャリア等々の情報はもっていませんが、フワフワと漂うような、ときに凶悪な、普通のジャズとは異なる音使い。
 クラシック畑の人なのかもしれませんし、音響系といった括りがあるとすれば、そんな感じのイメージが合うのかもしれません。
 トリオが15曲にコンボが20曲。
 いずれのバンドも一分前後の短いインタールド的な演奏を交えながら進む不思議な音の流れ。
 トリオでの演奏は風と木々が揺れ擦り合うようなサウンド。
 ときおりアルバム全体のモチーフなのであろう優し気なメロディ、コードが穏やかなうねりとともに現れますが、気がつけば消え入っているような音の流れ。
 電子音で演奏するといわゆるアンビエントミュージックになりそうですが、生楽器の自然な揺れが、なんとも不思議な感じ。
 特にピークを作るわけでもなく、終始とても静かで穏やか、淡々とした音の流れが続きます。
 誰もいない静かな草原とかに似合うサウンド。
 コンボでは躍動感と音量が上がり明確な音楽になりますが、短く目まぐるしく景色が変わっていきます。
 優雅なストリングスあり、断片的な音のコラージュあり、さらには意外にもJohn Coltrane的な陰鬱・絶叫サウンド、などなど、さまざまな表情。
 全編通じて不思議感たっぷり、聞く側の感性が要求される作品でもあるのでしょう。
 ジャズなオヤジもビックリ、とてもアーティスティックな一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Romaria” (2017) Andy Sheppard

“Romaria” (2017) Andy Sheppard

Andy Sheppard (soprano, tenor sax)
Eivind Aarset (Guitar) Michel Benita (Double Bass) Sebastian Rochford (Drums)

Romaria
Universal Music LLC
2018-02-16


 イギリスのサックス奏者Andy Sheppardのカルテットの最新作。
 前作“Surrounded by Sea” (2015)と同じメンバー。
 “Trio Libero” (2012)から変わらないヨーロピアン勢のベースとドラムにEivind Aarset。
 トリオでのオーソドックスなジャズに先端的ギターが妖しい響きで不思議な背景を付けていく形。
 トリオだけだと、いいジャズだねえ・・・で終わってしまいそうなところに、何だこれは・・・?の色合いを付けるギター。
 冒頭は物悲し気なスローバラード。
 漂うリズムに薄く妖し気な背景を作るギター、美しい音、適度な起伏を伴ったスムースなフレーズを奏でるテナーサックス。
 最高の心地よさ。
 二曲目、テンポが上がると強烈な疾走。
 そんな演奏が交錯します。
 サックスとギターもさることながら、全編通じて強い躍動感ベースに、静かにヒタヒタとしたビートを刻むクールなドラムがカッコいい。
 この二人がジャズ度が高いアルバム作る際の新しい世代のECMハウスリズム隊になるのかな?
 どこか懐かし気なメロディのオリジナル曲群。
 リーダーの作る音は20世紀型ジャズなのかもしれないけども、若手リズム隊の現代的なジャズ感覚と、先端的な、でもとても静かなギターのいい感じのバランス。
 妖しいギターが、前作よりも居場所を見つけた感じで、上手く自然にバンドに溶け込んでいます。
 ハイテンションに過ぎず緩すぎず、抽象的に過ぎず具体的に過ぎず、これまたいい感じのバランス。
 そんな古いようで新しい、新しいようで懐かしいジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Surrounded by Sea” (2015) Andy Sheppard

“Surrounded by Sea” (2015) Andy Sheppard

Andy Sheppard (soprano, tenor sax)
Eivind Aarset (Guitar) Michel Benita (Double Bass) Sebastian Rochford (Drums)

Surrounded By Sea
Universal Music LLC
2015-04-17


 イギリスのサックス奏者Andy Sheppardの変則カルテットの普通なようで不思議なジャズ。
 前作“Trio Libero” (2012)のトリオにギターのEivind Aarsetが加わる形。
 静かながら躍動感が前面に出た前作に対して、本作は漂うようなバラード中心。
 Eivind Aarset は前々作“Movements in Colour” (2008)以来の参加。
 Nils Petter Molværバンド的な深刻な感じではなく、あくまで静かでスペーシーな背景作りに徹しています。
 サックストリオがキッチリとジャズを演奏する後ろで、薄い膜を作るような、あるいは緩やかに時空をゆがめていくようなギター。
 幻想的な色合いはBill Frisell入りのPaul Motianのトリオのようでもあるのですが、もっともっとジャズ寄り。
 主導するのは、あくまでどことなく懐かし気なメロディと、心地よさ最高の音のジャズサックストリオ。
 でもなんだかトリオだけの音とは印象は異なります。
 毒気まで行かずとも、不思議感を増幅するギター。
 ルバートでのスローバラードを間に挟みつつ、穏やかでゆったりとしたジャズが続きます。
 締めも“Looking for Ornette”と題された穏やかなバラード。
 本作はあまりにも穏やかなのでそれは感じていなかったのですが、やっぱり根っこはOrnette Colemanだったのかあ・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Trio Libero” (2012) Andy Sheppard

“Trio Libero” (2012) Andy Sheppard

Andy Sheppard (soprano, tenor sax)
Michel Benita (Double-Bass) Sebastian Rochford (Drums)

Trio Libero
Universal Music LLC
2017-07-28


 Andy Sheppard、“Movements in Colour” (2008)に続くECMでの制作作品。
 とても妖しい前作のメンバーを刷新し、オーソドックスなジャズ色合いのフランス人ベーシストにイギリス人ドラマー。
 サウンドもまるっきり違う色合い。
 インド的な不思議なグルーヴの前作に対して、本作はジャスト、ジャズ。
 但し、Ornette Coleman的なジャズ。
 それを思いっきり静かにソフトにスムースにした感じでしょうか。
 Charlie Haden的だけども、もっともっと柔らかい感じ、低い重心でぐんぐん前に進むベースに、静かなドラム。
 サックスはいつも通りにスムース。
 たっぷり余裕のある空間の中を漂うたっぷりのエコーが効いたサックスの音と、ボコボコと音を置くベース、静かに背景を作るようなドラム。
 心地よさ最高。
 ECMのお約束、ルバートでのスローバラードも交えつつ、不思議感たっぷりに、但し、終始明るく前向きなムードで進む音。
 さらに、普通のジャズのようでどこか幻想的な雰囲気は、ECMだからこそなせる技か、百戦錬磨の名手のなせる技か。
 ま、両方なのでしょう。
 オーソドックスなようで不思議感たっぷり。
 わかりやすいのだけども、異色。
 日常と少しだけズレたような空気感と、音の響きがとても心地よい一作。

※こちらはギター入り。


posted by H.A.


【Disc Review】“Movements in Colour” (2008) Andy Sheppard

“Movements in Colour” (2008) Andy Sheppard

Andy Sheppard (soprano, tenor sax)
John Parricelli (acoustic, electric guitar) Eivind Aarset (guitar, electronics) Arild Andersen (double bass, electronics) Kuljit Bhamra (tabla, percussion)

Movements in Colour (Ocrd)
Andy Sheppard
Ecm Records
2009-06-30


 イギリスのサックス奏者Andy Sheppardの変則カルテットによるエスニック~近未来ジャズ、ECMでの制作。
 Carla Bleyバンドのイメージが強く、そこでは奇をてらわないオーソドックスでスムース、手練れたサックスのイメージ。
 本作でもサックス自体はそのままですが、バンドのサウンドは摩訶不思議。
 激烈ジャズベースArild Andersen、音響系未来系ギターEivind Aarsetのノルウェー勢に、イギリス人ギタリストJohn Parricelli、加えて打楽器の主役はタブラ。
 それら各人のイメージそのままがフュージョンしたような不思議なジャズ。
 ビートは淡々と進み次第に熱を帯びていくインド風、メロディはスパニッシュかインドっぽいエスニック風味、ベースは強烈なジャズ、フロントに立つサックスとギターはオーソドックスなジャズ、さらにときおり電子音が空間を支配して近未来的に・・・ってな感じ。
 何が何だかよくわからないフュージョン。
 そんな音が中心ですが、最後にさり気なく収められた“International Blue”なる妖しいギターとサックスの哀しく漂うような絡み合いが、これからの作品を予見しているような、そうでもないような・・・
 ECM流のエスニックジャズではあるのですが、あっちの世界には行かないオーソドックスさ。
 そんな不思議なバランスの一作。

※別のバンドでの作品から。


posted by H.A.


【Disc Review】“On the Edge of a Perfect Moment” (2005) Rita Marcotulli, Andy Sheppard

“On the Edge of a Perfect Moment” (2005) Rita Marcotulli, Andy Sheppard

Rita Marcotulli (Piano) Andy Sheppard (Saxophone)

 イタリア人女性ピアニストRita Marcotulliとイギリス人サックス奏者Andy Sheppard、両大御所のDuo作品。
 どちらもヨーロッパのコンテンポラリージャズの人。
 不思議感たっぷりの音楽の中でオーソドックにジャズ演奏しているイメージが共通しているような感じでしょうか。
 本作も不思議なようなオーソドックスなような、不思議な音。
 淡いメロディのオリジナル曲と静かな演奏。
 Rita Marcotulliはあの疾走を封印し穏やかな音、Andy Sheppardはいつものスムースな音。
 ときおりフリーな場面を挟みつつ、どことなく遊んでいるような、どことなくクラシカルで上品な感じもこの二人のイメージ通り。
 今にも止まりそうなスローバラード、“Les Mains d'Alice”、“On the Edge of a Perfect Moment”がとても悲しくて美しい。
 さらに、そんなオリジナル曲の中にさり気なく挟まれたPink Floyd ”The Dark Side of the Moon” (1973)の“Us And Them”。
 Ritaさんが他でも取り上げていたように思うので、よほど好きなのでしょう。
 確かにどことなく似た空気感のようにも思います。
 そんな不思議なジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Celebration” (2003) Sam Rivers

“Celebration” (2003) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute, Piano)
Doug Mathews (Bass, Violin, Bass Clarinet) Anthony Cole (Drums, Tenor Sax, Piano)

Celebration: Live at the Jazz Bakery in La
Sam Rivers
Rhombus Records
2004-03-23


 21世紀のSam Rivers、トリオでのライブ。
 ピアノレスでのサックストリオがベースですが、各人楽器を持ち替えながらの演奏。
 基本は1960年代からのフリー混じりのジャズ。
 マシンガンのように音を出し続けながら、あるいはファンキーに弾みながらビートをキープするベースに自由に動き回るドラム。
 もろもろ混ざって、疾走し、伸び縮みする変幻自在のリズム。
 そんなビートを背景に、ソプラノ、テナー、フルートを持ち替えながらこれでもかこれでもかと吹きまくり。
 強烈な疾走感、あるいは飛翔感。
 あのOrnette Colemanのスタイルですねえ・・・
 あるいは複数の管楽器でのコレクティブインプロビゼーション、ソロピアノも、ピアノトリオ(ものすごく上手い!)での演奏を交えながらのさまざまな表情。
 楽曲に愛想がないのはこの種の音楽のお約束ですが、ま、その方が自由度がより高くなるのでしょう。
 また、極めて自由なあの時代のフリージャズ的な音ながら、ドロドロとした感じではなく、どこかしらカラッとしているのもこの人の音楽の色合い。
 全編通じてすさまじい演奏力。
 衰えや枯れたムードなど、微塵もなし。
 よくも悪くもBlue Noteの“Dimensions & Extensions” (1967)の頃と変わりません。
 懐かしいやら、カッコいいやら・・・

※1970年代の映像から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Shakill's II” (1993) David Murray

“Shakill's II” (1993) David Murray

David Murray (tenor saxophone)
Don Pullen (organ) Bill White (guitar) J.T. Lewis (drums)

 David Murrayのオルガンファンクジャズ、“Shakill's Warrior” (1991)に続く第二弾。
 ってもDon Pullenだけ残って他のメンバーは交代。
 音の感じはさらにスッキリ、洗練された感じでしょうか。
 前作ほどポップではありませんが、むしろスムースな印象。
 グルーヴィーなビートに、テナーもオルガンも激しいインプロビゼーションながら、とても洗練されています。
 どブルースもなんだかスムース。
 昭和歌謡な哀愁曲(これがカッコいい!)も交えつつの少々のポップネス。
 っても当時の流行りの軟弱系スムースジャズ(私はそれも好物なのですが・・・)とは完全に一線を画した硬派なジャズ。
 さらに録音が素晴らしくキレイ。
 ビロードのように艶のあるオルガンの音が敷かれた上を、転げまわり跳びはねるこれまた艶々と黒光りするようなテナーと、いいタイミングでバシッとくるスネアドラム・・・
 いつものフリーキーな音使いも大人な余裕とハードボイルドなカッコよさ。
 こりゃ気持ちいいや。




posted by H.A.


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