吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

tenor_sax

【Disc Review】“Surrounded by Sea” (2015) Andy Sheppard

“Surrounded by Sea” (2015) Andy Sheppard

Andy Sheppard (soprano, tenor sax)
Eivind Aarset (Guitar) Michel Benita (Double Bass) Sebastian Rochford (Drums)

Surrounded By Sea
Universal Music LLC
2015-04-17


 イギリスのサックス奏者Andy Sheppardの変則カルテットの普通なようで不思議なジャズ。
 前作“Trio Libero” (2012)のトリオにギターのEivind Aarsetが加わる形。
 静かながら躍動感が前面に出た前作に対して、本作は漂うようなバラード中心。
 Eivind Aarset は前々作“Movements in Colour” (2008)以来の参加。
 Nils Petter Molværバンド的な深刻な感じではなく、あくまで静かでスペーシーな背景作りに徹しています。
 サックストリオがキッチリとジャズを演奏する後ろで、薄い膜を作るような、あるいは緩やかに時空をゆがめていくようなギター。
 幻想的な色合いはBill Frisell入りのPaul Motianのトリオのようでもあるのですが、もっともっとジャズ寄り。
 主導するのは、あくまでどことなく懐かし気なメロディと、心地よさ最高の音のジャズサックストリオ。
 でもなんだかトリオだけの音とは印象は異なります。
 毒気まで行かずとも、不思議感を増幅するギター。
 ルバートでのスローバラードを間に挟みつつ、穏やかでゆったりとしたジャズが続きます。
 締めも“Looking for Ornette”と題された穏やかなバラード。
 本作はあまりにも穏やかなのでそれは感じていなかったのですが、やっぱり根っこはOrnette Colemanだったのかあ・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Trio Libero” (2012) Andy Sheppard

“Trio Libero” (2012) Andy Sheppard

Andy Sheppard (soprano, tenor sax)
Michel Benita (Double-Bass) Sebastian Rochford (Drums)

Trio Libero
Universal Music LLC
2017-07-28


 Andy Sheppard、“Movements in Colour” (2008)に続くECMでの制作作品。
 とても妖しい前作のメンバーを刷新し、オーソドックスなジャズ色合いのフランス人ベーシストにイギリス人ドラマー。
 サウンドもまるっきり違う色合い。
 インド的な不思議なグルーヴの前作に対して、本作はジャスト、ジャズ。
 但し、Ornette Coleman的なジャズ。
 それを思いっきり静かにソフトにスムースにした感じでしょうか。
 Charlie Haden的だけども、もっともっと柔らかい感じ、低い重心でぐんぐん前に進むベースに、静かなドラム。
 サックスはいつも通りにスムース。
 たっぷり余裕のある空間の中を漂うたっぷりのエコーが効いたサックスの音と、ボコボコと音を置くベース、静かに背景を作るようなドラム。
 心地よさ最高。
 ECMのお約束、ルバートでのスローバラードも交えつつ、不思議感たっぷりに、但し、終始明るく前向きなムードで進む音。
 さらに、普通のジャズのようでどこか幻想的な雰囲気は、ECMだからこそなせる技か、百戦錬磨の名手のなせる技か。
 ま、両方なのでしょう。
 オーソドックスなようで不思議感たっぷり。
 わかりやすいのだけども、異色。
 日常と少しだけズレたような空気感と、音の響きがとても心地よい一作。

※こちらはギター入り。


posted by H.A.


【Disc Review】“Movements in Colour” (2008) Andy Sheppard

“Movements in Colour” (2008) Andy Sheppard

Andy Sheppard (soprano, tenor sax)
John Parricelli (acoustic, electric guitar) Eivind Aarset (guitar, electronics) Arild Andersen (double bass, electronics) Kuljit Bhamra (tabla, percussion)

Movements in Colour (Ocrd)
Andy Sheppard
Ecm Records
2009-06-30


 イギリスのサックス奏者Andy Sheppardの変則カルテットによるエスニック~近未来ジャズ、ECMでの制作。
 Carla Bleyバンドのイメージが強く、そこでは奇をてらわないオーソドックスでスムース、手練れたサックスのイメージ。
 本作でもサックス自体はそのままですが、バンドのサウンドは摩訶不思議。
 激烈ジャズベースArild Andersen、音響系未来系ギターEivind Aarsetのノルウェー勢に、イギリス人ギタリストJohn Parricelli、加えて打楽器の主役はタブラ。
 それら各人のイメージそのままがフュージョンしたような不思議なジャズ。
 ビートは淡々と進み次第に熱を帯びていくインド風、メロディはスパニッシュかインドっぽいエスニック風味、ベースは強烈なジャズ、フロントに立つサックスとギターはオーソドックスなジャズ、さらにときおり電子音が空間を支配して近未来的に・・・ってな感じ。
 何が何だかよくわからないフュージョン。
 そんな音が中心ですが、最後にさり気なく収められた“International Blue”なる妖しいギターとサックスの哀しく漂うような絡み合いが、これからの作品を予見しているような、そうでもないような・・・
 ECM流のエスニックジャズではあるのですが、あっちの世界には行かないオーソドックスさ。
 そんな不思議なバランスの一作。

※別のバンドでの作品から。


posted by H.A.


【Disc Review】“On the Edge of a Perfect Moment” (2005) Rita Marcotulli, Andy Sheppard

“On the Edge of a Perfect Moment” (2005) Rita Marcotulli, Andy Sheppard

Rita Marcotulli (Piano) Andy Sheppard (Saxophone)

 イタリア人女性ピアニストRita Marcotulliとイギリス人サックス奏者Andy Sheppard、両大御所のDuo作品。
 どちらもヨーロッパのコンテンポラリージャズの人。
 不思議感たっぷりの音楽の中でオーソドックにジャズ演奏しているイメージが共通しているような感じでしょうか。
 本作も不思議なようなオーソドックスなような、不思議な音。
 淡いメロディのオリジナル曲と静かな演奏。
 Rita Marcotulliはあの疾走を封印し穏やかな音、Andy Sheppardはいつものスムースな音。
 ときおりフリーな場面を挟みつつ、どことなく遊んでいるような、どことなくクラシカルで上品な感じもこの二人のイメージ通り。
 今にも止まりそうなスローバラード、“Les Mains d'Alice”、“On the Edge of a Perfect Moment”がとても悲しくて美しい。
 さらに、そんなオリジナル曲の中にさり気なく挟まれたPink Floyd ”The Dark Side of the Moon” (1973)の“Us And Them”。
 Ritaさんが他でも取り上げていたように思うので、よほど好きなのでしょう。
 確かにどことなく似た空気感のようにも思います。
 そんな不思議なジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Celebration” (2003) Sam Rivers

“Celebration” (2003) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute, Piano)
Doug Mathews (Bass, Violin, Bass Clarinet) Anthony Cole (Drums, Tenor Sax, Piano)

Celebration: Live at the Jazz Bakery in La
Sam Rivers
Rhombus Records
2004-03-23


 21世紀のSam Rivers、トリオでのライブ。
 ピアノレスでのサックストリオがベースですが、各人楽器を持ち替えながらの演奏。
 基本は1960年代からのフリー混じりのジャズ。
 マシンガンのように音を出し続けながら、あるいはファンキーに弾みながらビートをキープするベースに自由に動き回るドラム。
 もろもろ混ざって、疾走し、伸び縮みする変幻自在のリズム。
 そんなビートを背景に、ソプラノ、テナー、フルートを持ち替えながらこれでもかこれでもかと吹きまくり。
 強烈な疾走感、あるいは飛翔感。
 あのOrnette Colemanのスタイルですねえ・・・
 あるいは複数の管楽器でのコレクティブインプロビゼーション、ソロピアノも、ピアノトリオ(ものすごく上手い!)での演奏を交えながらのさまざまな表情。
 楽曲に愛想がないのはこの種の音楽のお約束ですが、ま、その方が自由度がより高くなるのでしょう。
 また、極めて自由なあの時代のフリージャズ的な音ながら、ドロドロとした感じではなく、どこかしらカラッとしているのもこの人の音楽の色合い。
 全編通じてすさまじい演奏力。
 衰えや枯れたムードなど、微塵もなし。
 よくも悪くもBlue Noteの“Dimensions & Extensions” (1967)の頃と変わりません。
 懐かしいやら、カッコいいやら・・・

※1970年代の映像から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Shakill's II” (1993) David Murray

“Shakill's II” (1993) David Murray

David Murray (tenor saxophone)
Don Pullen (organ) Bill White (guitar) J.T. Lewis (drums)

 David Murrayのオルガンファンクジャズ、“Shakill's Warrior” (1991)に続く第二弾。
 ってもDon Pullenだけ残って他のメンバーは交代。
 音の感じはさらにスッキリ、洗練された感じでしょうか。
 前作ほどポップではありませんが、むしろスムースな印象。
 グルーヴィーなビートに、テナーもオルガンも激しいインプロビゼーションながら、とても洗練されています。
 どブルースもなんだかスムース。
 昭和歌謡な哀愁曲(これがカッコいい!)も交えつつの少々のポップネス。
 っても当時の流行りの軟弱系スムースジャズ(私はそれも好物なのですが・・・)とは完全に一線を画した硬派なジャズ。
 さらに録音が素晴らしくキレイ。
 ビロードのように艶のあるオルガンの音が敷かれた上を、転げまわり跳びはねるこれまた艶々と黒光りするようなテナーと、いいタイミングでバシッとくるスネアドラム・・・
 いつものフリーキーな音使いも大人な余裕とハードボイルドなカッコよさ。
 こりゃ気持ちいいや。




posted by H.A.


【Disc Review】“Shakill's Warrior” (1991) David Murray

“Shakill's Warrior” (1991) David Murray

David Murray (tenor saxophone)
Don Pullen (organ) Stanley Franks (guitar) Andrew Cyrille (drums)

 David Murrayのオルガンファンクジャズ。
 Don Pullenは名作エスニックジャズ“Kele Mou Bana” (1991)、Kip Hanrahanの“Tenderness” (1988-1990)、”Exotica” (1993)への参加と近い時期。
 David MurrayもKip Hanrahan諸作に参加していた人。
 ってもKip Hanrahanっぽくもエスニックっぽくもない、コテコテのジャズファンク。
 ジャケットやタイトルはとても怖いのですが、同じくDon Pullenとギターが参加した“Children” (1985)よりもロックっぽくはなく、スッキリした?コテコテ・・・というよりも、むしろ現代的なポップなジャズ。
 冒頭のブルースは1960年代Blue Noteの香りも濃厚な感じですが、ポップでキャッチ―なメロディの楽曲がたくさん。
 Don Pullen の"Song From The Old Country"、"At The Cafe Central"、"Milano Strut"は、他のバージョンでも有名な哀愁曲。 
 David Murrayの勇ましいタイトルの"Shakill's Warrior"も明るくて爽やかなフュージョン系。
 ってな感じで、メンバーやタイトルからすれば少し拍子抜けするかもしれないポップなジャズ。
 ま、サックスやオルガンは十分に激しいのですが・・・
 1990年代、モダンジャズはもとより、キメキメフュージョンの時代も終わり、激烈系がすっかり影を潜めてしまったのであろう時代のジャズ。
 洗練されていそうでトゲやザラツキを隠せない、かつての闘士のジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Children” (1985) David Murray

“Children” (1985) David Murray

David Murray (tenor saxophone, bass clarinet)
James Blood Ulmer (guitar) Don Pullen (piano) Lonnie Plaxico (bass) Marvin "Smitty" Smith (drums, percussion)

 現代の歪む時空の人、David Murrayの激熱ファンクジャズ。
 ガシャガシャギターにゴンゴンピアノ。
 ブンブンベースに叩きまくりドラム。
 James Blood UlmerにDon Pullen。
 よくもまあこんな暑苦しいメンツが集まったものです。
 そんな音を背景にした、とってもヤクザで艶々真っ黒けなブヒョブヒョテナー。
 こりゃ気持ちいいや。




posted by H.A.


【Disc Review】“Capricorn Rising” (1975) Don Pullen, Sam Rivers

“Capricorn Rising” (1975) Don Pullen, Sam Rivers

Don Pullen (Piano) Sam Rivers (Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Flute)
Alex Blake (Bass) Bobby Battle (Drums, Tambourine)

Capricorn Rising
Don Pullen
Black Saint
2017-01-20


 Sam Rivers、Don Pullenとの共同リーダー作品。
 ど激しい系のフリージャズ。
 時代感はわからないのだけども、“Agharta”、“Pangaea”(Feb.1.1975) Miles Davisに近い時期。
 激しい系のフリージャズの時代は終っていた時期のようにも想像するのだけども、これでもかこれでもかの激しい系。
 これは熱い。
 あるいは暑苦しい。
 Sam Rivers、Don Pullenともに、あっけらかんと演奏するようなイメージもあるのだけども、この音は重くて熱い。
 血と汗が噴き出るような凄まじい音の洪水。
 全4曲、B面の二曲は明るいラテンな感じですが、それも激しい。
 全編疾走し続け。
 疲労度も120%。
 それでも、聞き終わるとなぜかスカッと爽やか・・・かな・・・?
 とにもかくにも体育会系な音。
 とても激しくて、男臭くてカッコいい音楽。
 夏には聞きたくないけどね・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Dimensions & Extensions” (1967) Sam Rivers

“Dimensions & Extensions” (1967) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute)
Cecil McBee (Bass) Steve Ellington (Drums)
James Spaulding (Alto Saxophone, Flute) Julian Priester (Trombone) Donald Byrd (Trumpet)



 Sam Riversの激しい系モダンジャズ。
 ホーンのアンサンブルや勇ましい系のアコースティック4ビートは“Free for All” (Feb.1964) Art Blakey & The Jazz Messengersなどな感じではあるのですが、ピアノレスがクールな質感、リーダーのサックスはブチ切れ系。
 “Free for All”のWayne Shorterのような激しい音。
 序盤はそんな感じでまだまだ平和ですが、中盤、LPレコードではA面の最後から、激しさを増してきます。
 激しいビートの中、ブチ切れ系のホーン陣の暴力的なブロー。
 “Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyから三年、“Ascension” (Jun.28.1965) John Coltraneから二年、あるいは“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisに先んじること二年の激しい系エネルギー放出型ジャズ、フリー寄り。
 LPレコードB面に移ってもその熱は冷めず、激しい演奏が続きます。
 激烈ながら、妙に深刻だったり陰鬱だったりしないのが、この人の音楽。
 どこかあっけらかんとしていて、なんだかんだでジャズしています。
 モダンジャズなようなフリージャズなような微妙なバランスの音楽。
 壊れそうで壊れない、危ういバランスの激しさ、美しさ。
 そんな時代の狭間の音。




posted by H.A.


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