吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

soprano_sax

【Disc Review】“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen

“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone) Bobo Stenson (piano , Electric Piano) Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)
 
Sart
Universal Music International Ltda.
1989-09-04

 北欧のスーパーアーティスト、若き日の彼らが結集したバンド。
‎ ”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan GarbarekのメンバーにピアニストBobo Stensonが加わる形。
 同時期このアルバムのリズム隊で名作“Underwear” (1971) Bobo Stensonが制作されています。
 流れからすれば”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) Jan Garbarek, Bobo Stenson Quartetの予告編的な感じではありますが、ジャズ的な色合いが強いそれよりも過激。
 サイケで陰鬱で沈痛な音。
 ワウをかけたギターのサイケなリフからスタート。
 ゆったりしたヘビーなリフは“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisのタイトル曲を想起しますが、それに透明度の高い美しいピアノが絡みつき、地の底から這い出てくるようなテナーがクダを巻く・・・ってな感じの不思議なムード。
 激しくロック的になりそうなバンドを、背景で美しく鳴るピアノがノーブルな世界に引き留めようとしている・・・ってな感じの妙なバランス。
 ヘビーな印象の楽曲を含めて、全体を牽引するのはJan Garbarekなのでしょう。
 もちろん後まで続く彼のハイテンションな音ですが、フリージャズ的な音の流れが多く、後期John Coltrane、あるいはArchie Sheppの影響が多大だったんだなあ、と改めて思ったり。
 その他、エレピとフルートが後の“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaっぽい場面があったり、Ornette Colemanっぽい曲があったり、ズルズルグチョグチョなギターが前面に出る場面はJimi Hendrixっぽかったり。
 一曲のみのアコ―スティック4ビート曲“Irr”でのArild Andersenの凄まじいベースは45年後の今日まで続く彼の音。
 もし彼がJan Garbarek, Bobo Stenson Quartet、あるいは“Belonging” (Apl.1974) Keith Jarrettに参加していたら、もっと凄いことになったんだろうなあ、と思ったり。
 Bobo Stenson美しく切れ味鋭いピアノもこの時点から。
 Terje Rypdalの適当な居場所がなさそうで、フィーチャーされるのはわずかのみ。
 アコースティックなバンドでズルズルグチョグチョなギターがどこまで映えるのか、あるいは、もしJimi Hendrixがウッドベース入りのジャズバンドを従えて演奏したら・・・ってな妄想が出来たりも・・・
 ってな感じで、なんだかわけのわからないフリージャズ的音楽、といったことではなくて、1970年前後のクリエイティブ系な要素をいろいろ集めて消化中、あるいはそれらの結節点的な作品、といった感じでしょうか。
 この後、Terje Rypdalはドラマチックロックな我が道を行き、Arild Andersenは“Clouds In My Head” (1975)などのジャズフュージョン路線、Jan Garbarek, Bobo Stenson, Jon Cristensen はいかにもECMなハイテンションジャズ”Witchi-Tai-To” (Nov.1973)、さらにはKeith Jarrettとつながり、“Belonging” (Apl.1974)へと歩を進めます。
 やはり結節点、あるいは分岐点的な作品ですかね、たぶん。




 posted by H.A.


‎【Disc Review】”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet

‎”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone)
Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)

Afric Pepperbird
Universal Music International Ltda.
1990-10-01

 
 ノルウェーのサックスJan Garbarekの初期作品。
 ECMとしても初期、発足して一桁台の作品でしょうか。
 北欧人脈でのアバンギャルドなファンクジャズ、あるいはフリー的ジャズ。
 ロック色ファンク色も強いのですが、“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisの色合いでもない、不思議なバランスの一作。
 フリージャズが半分ぐらいですが、一つのリフをひたすら繰り返すジャズファンクの流儀も目立ちます。
 ヒタヒタと迫ってくるようなJon Cristensenお得意のビートは“Bitches Brew”のJack Dejohnette的ではあります。
 モードからジャズファンクへの変化の途上、ロック色を強く取り入れる途上、John Coltrane的、Ornette Coleman的フリージャズ、さらにはエスニックテイストも取り入れつつ、新しいスタイルを模索中といったところでしょうか。
 リーダーのサックスはやりたい放題。
 後の作品では絶叫、フリーキーなフレージングは多用しても、音色自体は綺麗な人だと思っていたのですが、この期では妙な音も使いまくり。
 肉声っぽい音を混ぜたり、サックスなのか何なのかわからないDewey Redman的な妖し気な音、時には後期John Coltrane的な絶叫があったり・・・
 Archie Sheppのようなザラついた歪んだ音で吹き倒す場面も多く、この人にしては珍しい感じ。
 ビートの作り方含めて、意外にもArchie Sheppからの影響が強かったのかあ・・・と思ったりもします。
 Terje Rypdal はディストーションを使ったズルズルなハードロックギターではなく、クリーントーンでのサイケなフレージング。
 妖しさ120%。
 ギンギンなギターを主力にしたのは、この後なのでしょうかね?
 プログレッシブロックな曲もあるのですが、あくまでジャズっぽいのはベースとドラムのビート感ゆえでしょう。
 恐ろし気なメンバーでの激しい音楽ですが、後の作品”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) あたりの方が怖いというか、緊張感は上かもしれません。
 ECMとしてもレーベルカラー作り、新しい音を求めての試行錯誤の途上だったのでしょう。
 さまざまな要素の寄せ集めのようでアルバムとしてもまとまっているのは、さすがJan Garbarekというか、ECMというか。
 1970年代当初のドロドロとした空気感を想像するにはちょうどいい感じのアルバムなのでしょう。


 

 posted by H.A.

【Disc Review】“Layin' in the Cut” (2000) James Carter

“Layin' in the Cut” (2000) James Carter
James Carter (saxophones)
Jef Lee Johnson, Marc Ribot (electric guitar) Jamaaladeen Tacuma (electric bass) G. Calvin Weston (drums)
 
Layin in the Cut
James Carter
Atlantic / Wea
2000-06-05
ジェームス カーター



 James Carter、この前作“Chasin' the Gypsy” (2000)から一転して真っ黒けなファンクの一作。
 Jamaaladeen Tacumaの繰り出すどヘビーなファンクビートをバックにしたドスの効いたファンクジャズ。
 このバンドのメンツがその世界でどのくらい凄い人なのかは情報を持っていないのですが、まあ、ただ事ではないド迫力の音。
 ドスの効いたJames Carterのサックスに輪をかけたようなドスの効いたファンク。
 ヘビーなビートを叩き出すベースとドラムに、ロックでもジャズでもないカッコいいカッティングに歪んだサウンドのズルズルグチョグチョインプロビゼーションのギター。
 さすがにこうなると、激しくてもどことなくノスタルジックでエレガントなJames Carterではありません。
 ちょっと怖いというか、地下から響いてきそうな音、あるいは激走超大型タンクローリー、ってな感じ。
 フリーキーな音、最初から最後まで超過激に吹き倒しまくるサックスは、とてもヤクザな感じのバンドサウンドにピッタリ。
 アコースティック4ビートでここまで吹くとちょっとやり過ぎ感もあるのだけども、このバンドサウンドにサックスを乗せるとすればこれしかないでしょう。
 多くのJames Carterのオリジナル曲に、一部がギタリストJef Lee Johnsonの曲。
 これまたド迫力のファンク曲が揃っています。いかにも不良な音。
 聞いている方の体温が上がってしまいそうな凄まじさ。
 素直なアコースティック4ビートジャズではないし、ファンクでもなし。
 この手の音楽ってジャズファンからもファンクファンからも敬遠されるのでしょうかね?
 私的には“JC on the Set” (1993)と並ぶお気に入りのJames Carter。
 ジャズとしても聞いても、おそらくファンクとして聞いても凄いアルバム。
 名作だと思うけどなあ。

 


posted by H.A.


【Disc Review】“The Real Quiet Storm” (1995) James Carter

“The Real Quiet Storm” (1995) James Carter
James Carter (tenor, alto, baritone, soprano saxophone, bass flute, bass clarinet)
Craig Taborn (piano) Dave Holland, Jaribu Shahid (bass) Leon Parker, Tani Tabbal (drums)
 
Real Quietstorm
James Carter
Atlantic / Wea
1995-03-08
ジェームス カーター

 James Carterのアメリカでのデビュー作(?)。
 “JC on the Set” (1993)があまりにもカッコよかったので、否が応でも大期待して聞いたアルバム。
 タイトル、から“Lovers” (1988) David Murrayを超えるバラード集か・・・?
 が、ちょっと想像とは違っていました。
 意外にもオーソドックス。
 タイトルなどから想像されるバラード集ではなくて、アップテンポ、ミディアムテンポが半数ぐらいなのはこちらの勘違いですが、“JC on the Set”、 “Jurassic Classics” (1994)のようなぶっ飛んだ演奏はありません。
 各曲ともにコンパクトにスッキリとまとめられたジャズ。
 上記二作では少々ながらあった激しいフリーの時間もありません。
 このくらい普通の方が一般受けするんでしょうね。
 冒頭の"'Round Midnight"のバリトンサックスとピアノとのDuo、最後のバリトンとベースとのDuoなんて、身震いするような迫力。
 張り詰めて破裂しそうな音とビブラートのドスの効いた音と何の迷いも感じられない堂々としたフレージングなど、他の人には出せない音。
 ちょっと音を出すだけで周囲を威圧できる人はなかなかいません。
 ぶっ飛ぶJames Carterを知ってしまうと寂しい感じもしますが、David Murrayとは違って、バラード系ではそれはしない主義なのかもしれません。
 いずれにしてもスッキリしたオーソドックスなバンドサウンドのジャズ、サックスはちょっとすごい現代的なモダンジャズの一作。
 
 


posted by H.A.


【Disc Review】“JC on the Set” (1993)、“Jurassic Classics” (1994) James Carter

“JC on the Set” (1993)、“Jurassic Classics” (1994) James Carter
James Carter (tenor, alto, baritone saxophone)
Craig Taborn (piano) Jaribu Shahid (bass) Tani Tabbal (drums)
 
Jc on the Set
James Carter
Sony
1994-08-23
ジェームス カーター




Jurassic Classics
James Carter
Sony
1995-03-28


 ゴリゴリサックスJames Carterのデビュー作。たぶん。
 ぶっ飛んだ現代的モダンジャズ。
 確かJoshua Redmanと同じ時期に出てきたのだと思うのですが、当時からArchie Shepp、David Murray大好きな当方としては、James Carterの方が好み。
 というか、彼らに続く人がやっといたか・・・と思った記憶。
 ゴリゴリベース、ビシバシゴラム、ガンガンゴンゴンピアノ。
 そんな音を背景にして突っ走るサックス。
 Archie Sheppに似た感じの少し歪んだような、それでいてなぜかとてもキレイな音。
 艶やかさではDavid Murrayの方が勝るかもしれないけども、Ben Websterのサブトーンを大幅に減らして軽くしたような、これこそジャズのサックスな素晴らしい音。
 フリーキーな音も使いながらも、ビートやコード、ジャズの枠組みからは大きくは逸脱しない安心感。
 音がいいし、リズムへのノリは抜群だし、表現力は変幻自在。
 ヤクザな感じで上品さには欠けるのかもしれないけども、その方がジャズっぽくてカッコいい、というか、ジャズのサックスはこうでなくっちゃね。
 バンドが一体となってどこまでも突っ走っていくような心地よさ。
 アグレッシブで激しいけども、どこを切ってもジャズが好きで仕方ないことが伝わってくる音。
 ファンキーでブルージーなオリジナル曲に加えて、Don ByasにElligton、さらにSun Raなんて選曲はちょっとなかなか・・・
 これ以上やり過ぎるとモダンジャズの枠組みからは外れてしまいそうなギリギリのサジ加減。
 本作、最高の現代的モダンジャズだと思います。
 本作から二十余年、他にもっといいのあったかなあ・・・?

 同じメンバーでの一年後のセッション、続編“Jurassic Classics”はジャズ曲のカバー中心。
 耳に馴染んだ楽曲からすればモダンジャズ度はさらに高いのですが、演奏はぶっ飛んでいます。
 “Take the "A" Train”なんてもうグチャグチャ・・・というか、暴走列車。
 これでもかこれでもかの最高の疾走ジャズ。
 これがECM静音ジャズのCraig Taborn・・・?
 ビートやコードを崩すわけではないので、基本的には整った演奏なのですが、その制約の中でどこまで暴れることが出来るか限界に挑戦するようなインプロビゼーション。
 スタジオ録音ってな感じよりもライブそのままな感じ。
 疾走感、ハチャメチャ感は“JC on the Set”よりもこちらの方が上でしょう。
 もうこのくらいで勘弁してください・・・ってな感じ。
 これはちょっとやり過ぎでしょう・・・と眉を顰めるか、もっとイケーっとワクワクするかは人それぞれでしょう。
 私はもちろん後者のクチです。
 あの時代の音として片づけてしまうにはあまりにも素晴らしい、ハイテンションなぶっ飛び現代的モダンジャズ。
 こりゃ気持ちいいや。
 
 


posted by H.A.

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