吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

piano

【Disc Review】“Looking Ahead!” (1959) Cecil Taylor

“Looking Ahead!” (1959) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano)
Buell Neidlinger (bass) Denis Charles (drums)
Earl Griffith (vibes)

Looking Ahead
Cecil Taylor
Ojc
1991-07-01


 Cecil Taylor、1959年作。
 この期はフリージャズではなく、ぶっ飛び気味のモダンジャズ。
 さらに本作ではヴィブラフォンがたっぷりフィーチャーされ、涼し気で爽やかな感じさえします。
 っても平和なスタンダード演奏、ってな感じはなく、普通じゃない感たっぷり。
 不協和音な響きがあちこちにちりばめられ、予想外の方向に流れていく音。
 バンドのメンバーはいたって普通に4ビートジャズを演奏しているように聞こえますが、ピアノだけはさにあらず。
 ゴンゴン叩いていたと思ったら、ピキパキしたり、キンコンカンしたり、流麗に疾走してみたり。
 縦横無尽に飛び跳ねる様は、Monkさんに加速装置を付けてよりシャープにした感じというか、何と申しましょうか・・・
 いずれにしてもすさまじい演奏力。
 オリジナル曲のメロディはぶっ飛び気味の辛口風味。
  “Outward Bound” (Apl.1960) Eric Dolphyあたりに近いひねくれ方なのですが、また別テイスト。
 激しい場面はありますが激情感はなく、どこかスタイリッシュ。
 美しいピアノの音も含めてクールにも聞こえます。
 さて、同時期の鬼アルバム“Kind of Blue” (1959) Miles Davisと比べてどちらがモダンなのでしょう。
 さて・・・?




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【Disc Review】“Power of Three” (1986) Michel Petrucciani

“Power of Three” (1986) Michel Petrucciani

Michel Petrucciani (piano)
Jim Hall (guitar) Wayne Shorter (tenor, soprano sax)

パワー・オブ・スリー
ジム・ホール ミシェル・ペトルチアーニ feat.ウェイン・ショーター
ユニバーサル ミュージック
2019-07-24


 Michel Petrucciani、名人二人を迎えたモントルーでのライブ録音。
 キレ味抜群の疾走ピアノに、繊細で幽玄なギター、ブヒブヒグチョグチョサックス。
 三者三様、バラバラなイメージの人たち。
 ピアノとギターのDuoを中心として、何曲かでサックスが加わる構成。
 誰が寄せるわけでなく、各人そのイメージそのままの演奏ながら、不思議な一体感。
 一曲の中でもフロントに立つ人によってバンドの色合いが劇的に変化する、そんな感じ。
 ピアノがリードすれば疾走し、ギターであれば静かで繊細、サックスであればハードなジャズ。
 各人が持ち寄った楽曲も、作者ではなくフロントの人の色合いに変化していくバンドサウンド。
 それでいてぶつかることが無いのは、さり気ない名人芸なのでしょう。
 インタープレー中心で演奏すると凄い事にもなりそうで、それを聞きたくもなるのですが、みなさま空気を読んだかのような上品なサポート。
 一度にいろんなタイプのジャズが聞けるお得なステージ。
 さながら幕の内弁当。
 もちろんコンビニではなく、高級店。




posted by H.A.


【Disc Review】“Undercurrent” (1963) Bill Evans, Jim Hall

“Undercurrent” (1963) Bill Evans, Jim Hall

Bill Evans (piano) Jim Hall (guitar)

アンダーカレント
ビル・エヴァンス
ユニバーサル ミュージック
2016-10-26


 稀代のカリスマたちのDuo。
 インタープレー。
 フロントの音の動きに鋭く反応するもう一人。
 速度、音量、音の流れ、空気感・・・、それらの変化に合わせて、二人が絡み合いながら一体となって動き、音が描く景色は微妙に、大胆に変わっていきます。
 そしてフロントが入れ替わるタイミングの緊張感。
 フロントへ浮上することを待ちわびていたかのような急展開。
 高い緊張の糸が緩むことはありません。
 聞き飽きたはずの“My Funny Valentine”のメロディ、コードが全く別のモノのように聞こえてきます。
 そして、”Romain”の中盤、二人がフロントに立つわずかな瞬間、その緊張感はピークに。
 二人のインプロビゼーションが絡み合い、いつその緊張が緩むのか、崩壊するのか・・・
 もちろんこの二人なので、極端に熱くはなりません。
 少し沈んだ空気感。
 静かで穏やかな分だけかえって怖い。
 さながら青く静かに燃える冷たい炎、その煌めき。
 諸々含めて、このジャケットの意味が少しだけわかったような気がします。




posted by H.A.



【Disc Review】“Que Bom” (2017) Stefano Bollani

“Que Bom” (2017) Stefano Bollani

Stefano Bollani (Piano)
Jorge Helder (Double Bass) Jurim Moreira (Drums) Armando Marçal, Thiago da Serrinha (Percussion)
Caetano Veloso, João Bosco (Voice, Guitar) Hamilton de Holanda (Bandolim) Jaques Morelenbaum (Cello) 
Zé Nogueira (Soprano Saxophone) Everson Moraes (Trombone) Aquiles Moraes (Trumpet) Frida Magoni Bollani (Voice)



 イタリアのピアニストStefano Bollaniの2017年作。
 ブラジル録音のブラジリアンジャズ。
 “Carioca” (2008)から十数年ぶり、同じメンバーのピアノトリオを中心として、楽曲ごとにさまざまなビッグネームをゲストに迎えています。
 いつも通りにクラシックの色合いが混ざりつつの、明るい色合いのジャズピアノ。
 クィーカーなどの心地よい音が混じりつつの軽快なブラジリアンジャズ。
 自身のオリジナル曲を中心に、たっぷり16曲。
 ピアノトリオ+パーカッションを中心とした演奏に、Caetano Veloso、Jaques Morelenbaum が二曲、João Bosco, Hamilton de Holandaが各一曲。
 ホーンのアンサンブルが二曲に加わり、彩を加えていきます。
 Caetano Velosoは耽美でセンチメンタル、Jaques Morelenbaum は幻想的、Hamilton de HolandaJoão Boscoの各一曲はハイテンションで悠々堂々。 
 各人の色合いそのまま、それらが明るい色合いのヨーロピアンジャズピアノトリオに変化をつけ、多彩な表情。
 オリジナル曲も、哀愁のブラジル風あり、派手なサンバ風あり、ジャズあり、ヨーロッパの街角演芸風あり、その他諸々。
 いろんな色合いが混ざった作品が多い人だったと思いますが、ブラジル録音に絞ってもそんな感じになってますかね?
 共通するのはシャープで軽快なピアノ。
 明るくイタリアンなブラジリアンミュージックの一作。




posted by H.A.



【Disc Review】“Carioca” (2008) Stefano Bollani

“Carioca” (2008) Stefano Bollani

Stefano Bollani (Piano, Voice)
Jorge Helder (Bass) Jurim Moreira (Drums) Armando Marçal "Marçalzinho" (Percussion)
Marco Pereira (Guitar) Nico Gori (Clarinet) Mirko Guerrini, Zé Nogueira (Saxophone)
Mônica Salmaso, Zé Renato (Vocals)



 イタリアのピアニストStefano Bollani、2008年のブラジリアンジャズ。
 ブラジル系の楽曲を取り上げることが多い人ですが、本作はブラジルで現地のメンバーと録音した本格派。
 選択されたブラジル曲たちは、陽気系あり、哀愁系あり、浮遊系あり、クラシック系あり、さまざまな時代ありのさまざまな表情。
 さらに楽曲ごとに編成を変えた多彩な音。
 ピアノトリオ+ギター+パーカッションのオーソックスな編成あり、ピアノソロあり、管楽器、あるいはギターを前面に出した構成あり、木管、あるいはヴォーカルとピアノのDuoあり、弾き語りあり。
 そんなさまざまな演奏の中を突っ走り転げまわり、ときに漂う、クラシックテイストが混ざる明るく軽快なジャズピアノ。
 漂ったり零れ落ちたりしそうな繊細さと、疾走が交錯する音。
 上品なようでどこかぶっ飛んだような、落ち着きそうで落ち着かない、不思議な色合い。
 この人の音楽はいつもそんな感じでしょうかね。
 ブラジリアンミュージックをやってもまた然り。
 あのMônica Salmasoも一曲に参加、スモーキーでミステリアスな声と、漂うようなミステリアスなピアノとのDuo。
 などなど含めて、お洒落なような不思議なような、なんだかんだで洗練されたサウンド。
 なるほど、確かにイタリアンなブラジリアンミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Aguasilabas” (2019) Sebastian Macchi Trio

“Aguasilabas” (2019) Sebastian Macchi Trio

Sebastián Macchi (voice, piano, rodhes, guitar)
Carlos Aguirre (fretless bass, voice) Gonzalo Díaz (drums, percusion, glockenspiel, voice)

AGUASILABAS
SEBASTIAN MACCHI TRIO
bar buenos aires
2019-09-27


 アルゼンチンのシンガーソングライター、あるいはピアニストSebastián Macchiの現代フォルクローレ。
 Carlos Aguirre のレーベルShagradamedraから。
 オーソドックスなピアノトリオ編成を中心にボーカルを載せた歌物中心、Carlos Aguirreがベースを担当。
 ゆったりとしたテンポ、フワフワとしたフォルクローレベースのビートに、優しく哀し気なメロディ、繊細な音使い。
 CD一枚、全13曲、全編それ。
 とても繊細なCarlos Aguirreの音楽を、さらに繊細にしたような音。
 零れ落ちるような美しいピアノと儚げな声。
 疾走する場面はなく、強い浮遊感を纏いつつ、淡々と音楽は進みます。
 河沿いミュージックなんて言葉があるようですが、確かに水が流れていくような、ときおり川面がきらめいているような、木漏れ日のような音。
 景色は緩やかに移ろっていきます。
 少しビートが上がっても、その強いビートを包み込むようなこれまた繊細な歌声。
 全曲少し哀し気な表情のキャッチーなメロディ。
 いろんな構成、いろんなメロディが揃っていて、楽曲ごとに表情は異なるのですが、どこを切り取ってもセンチメンタルにならざるを得ない音の動き。
 それでいて沈痛さや深い哀しみとは距離のある、淡いセンチメンタリズム、どこか懐かしい空気感。
 あくまで前向きな音。
 本家本元、南米のSaudade、その現代の音。
 名作“Luz de agua” (2005)に並ぶ名作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Ra” (2018) André Mehmari, Bernardo Maranhão, Alexandre Andrés

“Ra” (2018) André Mehmari, Bernardo Maranhão, Alexandre Andrés

André Mehmari (piano, voice, etc.) Alexandre Andrés (flute, guitar, voice, percussion, etc.) Bernardo Maranhão (voice)
Neymar Dias (viola caipira) Artur Andres (marimba, vidro) Guastavo Amaral (bass) Adriano Goyata (drums) Daniel Guedes (percussion) Maria Joao (voice)



 ブラジルのピアニストAndré Mehmariと盟友のマルチ楽器奏者Alexandre Andrés、さらに詩人?Bernardo Maranhãoを冠した、ブラジリアンポップス、ジャズ~クラシック寄りなアルバム。
 André Mehmari、Alexandre Andrésの二人でベースのサウンドを作り、楽曲ごとにゲストが彩りを加える構成。
 ジャズでもクラシックでもない不思議感たっぷりのポップス。
 ヴォーカルを中心とした構成、コミカルにも聞こえる質感、凝りまくったポップなサウンドは、“Macaxeira Fields” (2012) Alexandre Andresの続編なイメージが強いかもしれません。
 フワフワした質感はそのままに、よりハイテンションにしたようなサウンド。
 あの凄まじいまでの疾走感、ぶっ飛んだピアノがたっぷりフィーチャーされ、ギターとヴォイスに管が加わり、シンセサイザーが飛び交う・・・ってな感じの摩訶不思議サウンド。
 二人で分け合った楽曲は、明るいけどもどこかひねくっているというか、なんだか変わっています。
 アレンジも強烈なピアノが動いている割には妙にポップで、シンプルなようで分厚く複雑。
 ともあれ主役はお二人の柔らかな歌声。
 ハードさと浮遊感が入り混じるサウンドに優し気な歌。
 あのMaria Joaoの魔女なヴォイスなどなど混ざりつつ、不思議な感じというか、珍味というか、何と申しましょうか・・・
 それら含めて、とてもポップな演奏が並びます。
 攻めた感じの新感覚MPB。




posted by H.A.


【Disc Review】“Na Esquina do Clube com o Sol na Cabeça” (2018) André Mehmari Trio

“Na Esquina do Clube com o Sol na Cabeça” (2018) André Mehmari Trio

André Mehmari (piano, synths, órgãn, accordion, sopros)
Neymar Dias (bass) Sérgio Reze (drums, gongos, melódicos)

Na Esquina Do Clube Com O Sol Na Cabeca
Andre Mehmari アンドレメーマリ
Estudio Monteverdi
2019-06-26


 ブラジルのピアニストAndré Mehmariのトリオ作品、“Clube Da Esquina” (1972), “Clube Da Esquina 2” (1978)Milton Nascimento & Lô Borgesへのトリビュート作品、2018年版。
 ソロピアノでの“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmariから10年、静かでクラシカルな2008年版に対して、本作はジャズ、あるいはジャズフュージョン。
 ジャズ~ファンクのグルーヴたっぷりのベース、ドラムに、あの突っ走り飛び跳ねまくり、明後日の方向に飛んで行くぶっ飛んだピアノ。
 シンセサイザー、オルガン、その他がオーバーダビングされ、分厚いフュージョンサウンドの場面、ときおりのアバンギャルドに、電子音を混ぜつつのスペーシーな音、激しい場面もそこかしこ。
 さらに近年のクラシカルでノーブルな色合いも混ざりつつ、ハイテンションでドラマチックな演奏が並びます。
 本編と同じく“Tudo Que Você Podia Ser”、ファンクなビートのピアノトリオと電子音の絡み合いで幕を開け、続くはドラマチックな“Clube da Esquina No. 1”、 激しくアバンギャルドな場面を含めて目まぐるしい展開の“Clube da Esquina No. 2~Cravo É Canela”。
 そこまでだけでもごちそうさまな凄い演奏。
 少々クールダウン、と思いきや、気がつけばまた新手のぶっ飛んだ演奏・・・などなど、怒涛の演奏。
 あれよあれよと景色は変わり、最後はクラシカルなソロピアノの演奏で締め。
 あのフォークロックな名曲の数々が全く様変わりして、あるいは別のイメージのドラマに作り変えられ、次々と流れていきます。
 さながら”Clube Da Esquina組曲”現代フュージョン版、ってな面持ち。
 とても激しく、とてもドラマチック。




posted by H.A.


【Disc Review】“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmari

“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmari

André Mehmari (piano)

Mpbaby-Clube Da Esquina
Andre Mehmari
Mcd World Music
2008-09-02


 ブラジルのピアニストAndré Mehmari、ソロピアノでの“Clube Da Esquina” (1972), “Clube Da Esquina 2” (1978)Milton Nascimento & Lô Borgesへのトリビュート作品、2008年版。
 子ども向けのDVD?テレビ番組?の企画と思しきアルバム。
 フォーク・ロックな元作に対して、本作はクラシカル。
 元作のメロディはそのままに、ザラつきが徹底的に磨かれ、この上なくスムースに仕上がった音。
 突っ走り、飛び跳ねる方の彼の音はありません。
 あくまで優しく穏やかに丁寧に置かれていく、美しいピアノの音。
 ほどほどのタメとほどほどのリバーブ。
 とてもさり気ない演奏のようで、端々に見え隠れする名人芸。
 とても上品です。
 子守歌としては少しラウドなのかもしれません。
 が、全編、気持ちのささくれを収めてくれるような穏やかな音の流れ。
 何も予定がない休日の午前にこれほど合う音は少ないかも。




posted by H.A.


【Disc Review】“La musica del agua” (2019) Carlos Aguirre

“La musica del agua” (2019) Carlos Aguirre

Carlos Aguirre (piano, vocal)



 現代フォルクローレのリーダーの一人Carlos Aguirreの2019年最新作。
 全編歌物、ピアノの弾き語り。
 リーダー作は“Calma” (2017) Carlos Aguirre Trío以来でしょうか。
 コンテンポラリージャズなそちらに対して、本作は濃厚な現代フォルクローレ色。
 テーマは『水の音楽』。
 楽曲は自身のオリジナルではなく、おそらくは南米の先人たち、Shakrada Medraで名前を見受ける仲間たちの作品。
 ここまでのリーダー諸作と少し印象が異なるのは、それが大きいのかもしれません。
 バラード中心、少しずつ各曲の表情は異なります。
 もちろん、いずれもフォルクローレの香りたっぷり、優しく少し悲し気なメロディ。
 それらが丁寧に綴られていきます。
 “Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)の華やかなアレンジ、強烈なセンチメンタリズム、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の激しさ、ドラマチックさはありません。
 全編に漂うほのかなセンチメンタリズム、やるせなさ、遠いところを眺めているようなムード。
 が、悲痛さはありません。
 Saudade。
 そんな空気感の中、優しいメロディが穏やかに奏でられ、歌われ、流れていきます。
 脚色や演出を取り除いた生のアルゼンチンSaudadeは、こんな感じの音なのでしょうね。


※少し前の演奏から


posted by H.A.



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