吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

percussion

【Disc Review】“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønen

“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønen
Thomas Strønen (drums, percussion)
Kit Downes (piano) Håkon Aase (violin) Ole Morten Vågan (double bass) Lucy Railton (cello) Siv Øyunn Kjenstad, Steinar Mossige (percussion)

Time Is a Blind Guide
Thomas Stronen
Imports
2015-10-30


 ノルウェーのドラマーThomas Strønen、ストリングス入りのコンテンポラリージャズ。
 先の“Parish” (2004)から、間にサックスとのDuoユニット”Food”の作品が何作かありますが、リーダー作としては十年以上間を空けた久々のアルバム。
 それらの作品からすれば、現代のヨーロピアンフリージャズ御用達のドラマーのイメージ、実際その通りなのかもしれませんが、本作は自作の楽曲を中心としたメロディアスな演奏も沢山収められています。
 妖し気なムードはここまでの諸作そのままに、メロディ、展開が明確な楽曲が目立つ分、わかりやすく、フリージャズ色は薄くなっています。
 むしろ穏やかで優しい音楽。
 変則な編成ですが、ピアノトリオにチェロとバイオリンがフロントのクインテット+パーカッションと見えなくもありません。 
 フリーな場面はほどほど、不協和音もほどほど、半数以上は明確なメロディのあるフリーではない演奏。
 冒頭は意外にも「定常」なビート、美しいピアノと強い緊張感のストリングスが交錯するハイテンションなジャズ。
 Jack Dejohnetteを想わせるヒタヒタと迫りくるグルーヴ、美しいピアノ、緊張感含めて1970年代のECM戻ってきたようなムードもあります。
 もちろん全体を眺めればリーダーのパーカッションは、基本的には繊細かつ変幻自在ないつもの色合い。
 冒頭曲などの一部を除けば、なかなか定常なビートは出しません。
 バンドのビートが定まってもパーカッションだけがフリー、なんて場面もちらほら。
 ま、リーダーだもんね。好きに表現してもらいましょう。
 ストリングスはオーソドックスなアンサンブルではなく、妖しく緊張感を醸し出す系。
 バイオリンが胡弓に聞こえてしまう不思議感。 
 フリーなパーカッションとあわせて、崩れそうで崩れない、危うくスリリングな場面もしばしば。
 そこから徐々にビートが定まっていき、中盤から疾走する”I Don't Wait For Anyone”など、最高にカッコいい。
 なぜかPat Metheny&Lyle Mays風の雰囲気だったり・・・
 ECMの定番ルバートでのスローバラードもあり、ストリングスを絡めて妖しさ倍増。
 初めて聞くイギリス人ピアニストKit Downesのパキパキした美しい音、フレージングもいい感じです。
 全曲オリジナル曲、キッチリしたメロディの曲は、ノルウェーの人らしく郷愁感を誘う懐かし気なメロディがいくつも。
 やはりノルウェーの人に染み込んでいるメロディはそんな感じなのでしょう。
 なぜか日本の民謡、童謡にも通じるメロディ。
 やはり、全体通じて、ここまでの作品とはかなり印象が異なります。
 フリーな演奏が散りばめられた、優しくメロディアスなジャズ。
 懐かしさ、安らぎと、想像力を搔き立てる抽象性、先が読めないスリルとのバランス。
 このバランスは希少、とても素敵だと思います。



  

posted by H.A.

【Disc Review】“Parish” (2004) Thomas Stronen

“Parish” (2004) Thomas Stronen
Thomas Stronen (Percussion) 
Bobo stenson (Piano) Fredrik ljungkvisk (sax, clarinette) Mats Eilertsen (bass)

Parish (Slip)
Thomas Stronen
Ecm Records
2006-03-14





 ノルウェーのドラマーThomas Stronenのリーダー作。
 “Rica” (2001) Parishと同じメンバー、北欧コンテンポラリージャズカルテットですが、そちらのOrnette Coleman色、Bobo Stenson色、あるいはMats Eilertsen色に対して、本作はかなり印象が異なります。
 集団でのインプロビゼーションを中心とした静音フリージャズな作品。
 素直なカルテット、あるいはトリオでの演奏はなく、パーカッションを中心として、メンバーが入れ替わり立ち替わりしながら展開していくスタイル。
 “Rica” (2001)の淡い色合い、静かな音の流れはそのままに、定常なビート、聞き慣れたメロディ的な要素がなくなり、抽象度が高く、先の読めない展開が中心。
 ECM移籍第一作は往々にしてフリーインプロビゼーション中心になるケースが見受けられますが、変幻自在のパーカッショニストThomas Stronen のそれとして見るのであれば、いかにもな色合いなのでしょう。
 いきなり応用編からぶつけられる感じで、聞く側からすればなかなか取っつきにくいことも否めないのですが、そのアーティストの色合いを洗い出すにはいい方法なのかもしれません。
 結果としては、ECMならではの静かで硬質でひんやりとした音、先の展開予測不可能、変幻自在の北欧ジャズ。
 全体をリードするなかなか定常なビートを出さないパーカッションに美しいピアノ、静かながらクダを巻く系のサックスが絡み合いつつ流れていく時間。
 多くが不思議系、出口の見えない迷宮系。
 が、キツイ感じのフリージャズではありません。
 Bobo Stensonのピアノが相変わらず美しい。
 さらに、中盤以降に納められた何曲かのリーダーのオリジナル曲は、哀愁が漂うハードボイルドなメロディ。
 強烈な浮遊感が心地よいルバート的なスローバラードもあります。
 それらをCD前半にもってくるともっと人気作になるんじゃないかなあ・・・とか思ったりもしますが・・・
 そんなアクセントを含めて、淡い感じが心地よいととらえるか、あるいは先の読めないスリリングさがカッコいいととらえるか、はたまた抽象的にすぎてよくわからんととらえるか・・・
 ま、人それぞれかと。
 私的にはさすがにECMの音、静かで美しい音の流れが心地いいし、さらにその中から突然に現れる、ECMのお約束?の全編ルバートでのスローバラードなんてカッコいいなあ、と思います。
 静かな非日常感が心地よい一作、但し、応用編かな?
 この先、サックスとのDuoバンド"Food"の作品が何作か、リーダー作はしばらく先の“Time Is A Blind Guide” (2015) 。
 そちらはメンバーがガラッと変わって、音も変わって、わかりやすい感じです。
 やはりECMへの移籍後は、第二作ぐらいから落ち着いてくるのかな・・・?




 posted by H.A.


【Disc Review】“Samba de Flora” (1989) Airto Moreira

“Samba de Flora” (1989) Airto Moreira
Airto Moreira (Congas, Drums, Flute, Percussion, Vocals)
Jorge Dalto (Keyboards, Piano) Bruce Bigenho, Dominic Camardella (Keyboards) Kei Akagi (Synthesizer) Roland Bautista, Larry Nass (Guitar)
Alphonso Johnson, Keith Jones, Michael Shapiro, Randy Tico (Bass) Tony Moreno (Drums)
Giovanni Hidalgo (Bongos, Percussion) Angel "Cachete" Maldonado (Congas, Percussion) Frank Colon (Berimbau, Percussion) Don Alias, Laudir DeOliveira, Luis Muñoz (Percussion)
Flora Purim, Rafael Jose, Jill Avery (Vocals)
Jeff Elliott (Flugelhorn, Horn, Trumpet) Rolando Gingras (Trumpet) Raul de Souza (Trombone) David Tolegian (Flute, Saxophone) Joe Farrell (Piccolo)
 
Samba De Flora
Airto Moreira
Montuno Records
アイアート・モレイラ


 Airto Moreira、アルゼンチン出身、フュージョン系ピアニストJorge Daltoを迎えた作品。
 ボーカルを前面に出したブラジリアンフュージョン~MPB。
 Joe Farrell、Jorge Daltoが1986-1987に亡くなっているようですので、録音は1980年代前半なのでしょう。
 洗練されたラテンフュージョンのイメージのJorge Dalto諸作よりも少々ラフでざっくりした感じでしょうか?
 冒頭からビリンボウが響くのどかな感じのボーカル曲。
 二曲目の激しいサンバフュージョンの“Samba de Flora”。
 哀愁のメロディと怒涛のビート。
 いかにもAirtoっぽいなあ、と思っていたら、Jorge Daltoの曲。
 やはりお国は違っても、南米の人は共通点があるんだろうなあ。
 この曲、この演奏が白眉。
 本作はブラジルブラジルしてるなあ・・・と思っていたら、あれれ?のピアノのみをバックにしたAOR風ボーカルのバラード。
 さらにはFlora Purimが歌う洗練されたラテンフュージョンやら、カッチリとしたラテンフュージョンやら、ふわふわとしたスキャット入りラテンフュージョンやら。
 ちょっとキッチリ作り込まれている感じのフュージョンの部分はこの人の作品っぽく無いけども、やはり、いろんな色合いに振れて、いろんな色が入り混じるのがこの人の作品の特徴のようです。
 なんだかんだで全体を流れているのはブラジリアンな柔らかなビート感なんだけど・・・
 いずれにしても楽し気なラテンフュージョン、アメリカンでブラジリアンなポップスの一作。



【Disc Review】“Latino / Aqui Se Puede” (1984) Airto Moreira

“Latino / Aqui Se Puede” (1984) Airto Moreira

Airto Moreira (Vocals, Percussion, Drums, Other)
Jorge Dalto (Electric Piano) Kei Akagi (Synthesizer, Keyboards) Oscar Castro Neves (Electric Piano, Guitar) Larry Nass (Guitar) Alphonso Johnson, Keith Jones (Bass) Tony Moreno (Drums)
Cachete Maldonado, Donald Alias, Frank Colon, Giovanni, Laudir De Oliveira (Percussion)
Joe Farrell (Flute) Raul De Souza (Trombone) Jeff Elliot (Trumpet, Flugelhorn)
Geni Da Silva (Lead Vocals) Rafael José, Tite Curet Alonzo (Backing Vocals) Flora Purim (Vocals)
 
Aqui Se Puede-Latino
Airto Moreira
Montuno
アイアート・モレイラ


 Airto Moreira、サイケなMPB全盛期、フュージョン全盛期を経て、落ち着いたラテンミュージックな一作。
 エレピ、歪んだギターの音はありますが、1970年代の熱は落ち、強烈なファンクも、サイケも、デジタルっぽさもなくなり、落ち着いた大人のムード。
 ブラジリアンビートにアメリカンテイスト混じり、洗練された色合いですが、AORってな感じでもなく、アコースティックな質感、ナチュラルなMPB~フュージョン。
 終始、肩に力が入らないゆったりとした音。
 ブラジルネイティブな音、ポップな音、穏やかなフュージョン、例によって幅のあるテイスト、いろんな音楽が交錯する構成。
 などなど、それぞれいい演奏が揃っているのですが、やはりブラジルナショナルサッカーチームの応援歌“Tombo”の再演に耳が行ってしまいます。
 “Fingers” (Apl.1973)でサイケなギター、エレピ、ワイルドな歌、少々ロックなバージョン、“I'm Fine. How Are You?” (1977)では洗練されたフュージョンなバージョンもありましたが、本作ではあくまでナチュラルなブラジリアンテイスト。
 パーカッション、アコースティック楽器中心に素直なサンバテイスト。
 クィーカーの音とともにゆったりとしたテンポ、いきなりサビのメロディからスタート。
 そのメロディもそこそこに、いきなりこれこそサンバな怒涛のパーカッションと奇声の饗宴開始。
 続くこと数分間。
 クラクラしてきたところで、最後に例の陶酔感を誘うサビのリフレイン。
 やはりブラジル音楽はこんな感じでないとね。
 ・・・などなど含めて、洗練とナチュラルさ、熱狂とクールネス、諸々の要素が混ざり合い、いい感じのバランス。
 これ、素晴らしいアルバムです。
 
 


posted by H.A.  

【Disc Review】“I'm Fine. How Are You?” (1977) Airto

“I'm Fine. How Are You?” (1977) Airto

Airto (Percussion, Vocals)
Hugo Fattoruso (Keyboards) Charles Johnson, Oscar Castro-Neves (Guitar)
Abraham Laboriel, Byron Miller, Jaco Pastorius (Bass)
Airto Moreira, Laudir de Oliveira, Manolo Badrena (Percussion)
Tom Scott (Flute, Sax) Raul de Souza (Trombone)
Flora Purim, Ruben Rada, Hugo Fattoruso (Vocals)
 
アイム・ファイン、ハウ・アー・ユー?
アイアート・モレイラ
ダブリューイーエー・ジャパン



 Airto Moreira、アメリカン&ブラジリアンなMPB作品。
 Flora Purimの“Nothing Will Be as It Was... Tomorrow” (1977)、“Everyday Everynight” (1978)に近い時期、それらにも近い音。
 この人のいつものいろんな色合いが混在するアルバム。
 もちろんパーカションが強め、サンバな曲もいくつか。
 ブラジリアン色も強いのですが、Tom Scottの印象も強く、ファンク混ざりの健全なフュージョンに、Alphonso Johnson 時代のWeather Report色も混ざったようなボーカル入り中心のアルバム、ってな感じ。
 チョッパーベースが唸り、楽し気な歌声とメローなサックスが絡み合う、元気いっぱいな曲からスタートし、ビリンボウとエレピが主導するAOR風の曲、都会的なサンバ、Flora Purimのサイケなスキャットが炸裂するメローな曲?などなど。
 ここでもブラジルナショナルサッカーチームの応援歌“Tombo”が“Celebration Suite”としてカバーされていて、パーカッションと嬌声の饗宴ですが、素直で都会的なスッキリしたサンバの“Tombo”。
 オリジナル?“Fingers” (Apl.1973)バージョンのざらざらしたような質感が無くなり、磨き上げられたような音作り。
 洗練されています。
 最後に収められたJaco Pastorius参加曲はフリーインプロビゼーションでしょう。
 幻想的なスローテンポでスタートし、妖し気なバーカッション、嬌声との共演。
 徐々にビートを上げますが、リズムに乗るのはわずかな時間。
 スペーシーで幻想的なベースの音で締め。
 1970年代初頭のような粗削りな雰囲気、妖しげなムードは無くなりましたが、いつもながらブラジル音楽のいろんな要素てんこ盛り。
 なんだかんだでいかにもなこの人の洗練されたフュージョン系MPB作品。




posted by H.A.  


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