吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

drum

【Disc Review】“Emergency!” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime

“Emergency!” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime
Tony Williams (drums, voice?) John McLaughlin (guitar) Larry Young (organ)

エマージェンシー!
トニー・ウィリアムス・ライフタイム
ユニバーサル ミュージック クラシック
2003-05-21


 Tony Williams Lifetimeのデビュー作、超ハイテンションハードロックジャズ。
 “Saudades" (2004) Trio Byondを聞いて久々に引っ張り出してきたアルバム。
 “In a Silent Way”(Feb.1969)の三か月後、Tony Williams は参加していませんが、他の二名が参加したあの“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)の三カ月前の録音。
 ジャズとロックが融合していく結節的な時期、Milesの諸作と同様、結節点的な作品。
 冒頭のタイトル曲からガンガンのロックなハードな音。
 が、怒涛のような激しい音でテーマを決めると、いきなり4ビート。
 これがオルガントリオならではの、スムースでカッコいいグルーヴ。
 もちろん歪んだギターがうなる超ハイテンションでハードな演奏ですが、4ビートから脱却しようとしていた上記のMiles Davis作品とはちょっとイメージが異なります。
 激しくロックな演奏の合間にそんな場面がしばしば登場し、そこは“1969Miles”(Jul.25,1969)などに近い感じのエネルギー放出型ジャズ。
 また、“Saudades" (2004)のJack DeJohnetteのゴツゴツしたドラムに対して、あるいはグニョグニョしたJohn Scofieldに対して、本作のお二人はスムース。
 8ビートにしろ、4ビートにしろ、激しく叩きまくっているようでヘビーでは無くて、軽快・・・ってなのも変ですが、不思議にサラリと聞けてしまいます。
 音量が落ちた4ビートの場面などは、シンシンとしたシンバルが静かに響く、紛うことなきあのジャズのTony Williams。
 John McLaughlinも同様。
 ディストーション掛けてチョーキングしまくりのようで、実際にそうなのですが、綺麗に音符が並んでいるように思います。
 っても、激しいことには変わりはなく、要所で入る妖し気なボイスを含めて、端正なジャズでも、アーティスティックなフリージャズでもなく、4ビートも混ざるロック、あるいはハードなプログレッシブロックジャズ。
 それも超弩級に激しい系。
 とてもトリオの演奏には聞こえません。
 途中の混沌な場面はフリージャズな“Super Nova” (Aug.Sep.1969) Wayne Shorter、ファンクな場面では“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davisを想い起こすのですが、それも同時代。
 以下の様に近作を並べてみると、ロックロックしているのは本作と“Jack Johnson" ぐらいで、ジャズへのロックの伝道者の張本人は、Miles Davisというよりも、Tony Williams, John McLaughlinだったのでしょうかね?

 “In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis
 “Is”, “Sundance” (May.11-13.1969) Chick Corea
 “Emergency” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime
 “1969Miles” (Jul.25,1969) Miles Davis
 “Bitches Brew” (Aug.19-21,1969) Miles Davis
 “Super Nova” (Aug.Sep.1969) Wayne Shorter
 “Infinite Search” (Nov.1969) Miroslav Vitous
 “Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davis
 “The Song of Singing” (Apl.17,18.1970) Chick Corea
 “Zawinul” (Aug.6-12.1970) Joe Zawinul 
 ‎”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet
 “Mwandishi” (Dec.1970) Herbie Hancock
 “Weather Report” (Feb-Mar.1971) 

 ジャズ、フリージャズ、ロックがグチャグチャに入り混じりながら、次のモノが生まれる途上の激しい音。
 ここまで激しければ、スカッと爽快・・・に聞くためには体調を整え、心して・・・


 

 posted by H.A.


【Disc Review】“Saudades" (2004) Trio Beyond

“Saudades" (2004) Trio Beyond
Jack DeJohnette (drums) Larry Goldings (organ) John Scofield (guitar)

Saudades
Trio Beyond
Ecm Records
2006-06-06


 Tony Williams Life Timeへのオマージュバンドのライブ録音、ECMから。
 Tony Williams、Larry Young、John McLaughlinの楽曲にジャズスタンダード、ブルースその他諸々。
 が、あまりLife Timeっぽくはありません。
 ま、ギターがJohn McLaughlinとは全く違うタイプなので当然ですか。
 ハードなジャズファンクが中心ですが、John Scofieldの色合いが強いブルージーな音。
 オルガンは今日的な感じだし、Tony Williamsと比べて聞いてみると、意外にもヘビーなJack DeJohnette
 ロックなジャズのLife Timeのイメージに対して、ブルージーなジャズの空気が全体を流れています。
 冒頭はJoe Hendersonのジャズブルース。
 叩きまくるJack DeJohnetteを背景にして、例のウネウネとしたブルージーなジャズギターの怒涛のソロ。
 続くフリービートなLarry Goldingsのバラードは、ECMっぽく幻想的な音を狙った・・・わけではないのでしょう?
 続くタイトル曲は三人の共作、あるいはインプロビゼーションでのファンキーなビート。
 ハイハットの鳴りが“On The Corner”(Jun.1972) Miles Davisっぽい気もするのですが、きっと気のせいでしょう・・・
 John Scofieldのギターが前面に出るとやはりブルージーさが前面に出ます。
 どちらが過激かはさておき、スムースに音が並ぶJohn McLaughlinに対して、引っかかりながらうねるようなJohn Scofield。
 中締めに置かれた激烈なLife Time ナンバー“Spectrum”での暴れ方も、オリジナルよりも過激です。
 その他、強烈に疾走する“Seven Steps to Heaven”, 漂うバラード“I Fall in Love Too Easily”も演奏されていて、所縁の深いMiles Davis、あるいはJohn Coltraneの”Big Nick”も含めて、広くジャズジャイアンツへのオマージュの意味合いもあるのでしょうかね。
 オリジナルの平和なジャズとは全く違う激しい演奏は、Life Time的といえばそうかもしれません。
 などなどを経ながら、締めはLife Timeのオープニングテーマの激烈曲”Emergency”。
 もちろんエネルギー全開のテーマ。
 その後、4ビートに遷移しますが、叩きまくるJack DeJohnette はもちろん、John ScofieldもLarry Goldingsもブチ切れたインプロビゼーションから、激烈なリフのリフレイン~ドラムソロで幕。
 オリジナルアルバムを引っ張り出してきて久々に聞いてみましたが、激烈さは同じですが、意外にもオリジナルの方がスムースかもしれません。
 そんなこんなで、最後は1970年代初頭に戻ったような激烈なエネルギー放出型ジャズ。
 あれ?、これ、21世紀に入ったECM制作だったよねえ・・・?


 

 posted by H.A.


【Disc Review】“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønen

“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønen
Thomas Strønen (drums, percussion)
Kit Downes (piano) Håkon Aase (violin) Ole Morten Vågan (double bass) Lucy Railton (cello) Siv Øyunn Kjenstad, Steinar Mossige (percussion)

Time Is a Blind Guide
Thomas Stronen
Imports
2015-10-30


 ノルウェーのドラマーThomas Strønen、ストリングス入りのコンテンポラリージャズ。
 先の“Parish” (2004)から、間にサックスとのDuoユニット”Food”の作品が何作かありますが、リーダー作としては十年以上間を空けた久々のアルバム。
 それらの作品からすれば、現代のヨーロピアンフリージャズ御用達のドラマーのイメージ、実際その通りなのかもしれませんが、本作は自作の楽曲を中心としたメロディアスな演奏も沢山収められています。
 妖し気なムードはここまでの諸作そのままに、メロディ、展開が明確な楽曲が目立つ分、わかりやすく、フリージャズ色は薄くなっています。
 むしろ穏やかで優しい音楽。
 変則な編成ですが、ピアノトリオにチェロとバイオリンがフロントのクインテット+パーカッションと見えなくもありません。 
 フリーな場面はほどほど、不協和音もほどほど、半数以上は明確なメロディのあるフリーではない演奏。
 冒頭は意外にも「定常」なビート、美しいピアノと強い緊張感のストリングスが交錯するハイテンションなジャズ。
 Jack Dejohnetteを想わせるヒタヒタと迫りくるグルーヴ、美しいピアノ、緊張感含めて1970年代のECM戻ってきたようなムードもあります。
 もちろん全体を眺めればリーダーのパーカッションは、基本的には繊細かつ変幻自在ないつもの色合い。
 冒頭曲などの一部を除けば、なかなか定常なビートは出しません。
 バンドのビートが定まってもパーカッションだけがフリー、なんて場面もちらほら。
 ま、リーダーだもんね。好きに表現してもらいましょう。
 ストリングスはオーソドックスなアンサンブルではなく、妖しく緊張感を醸し出す系。
 バイオリンが胡弓に聞こえてしまう不思議感。 
 フリーなパーカッションとあわせて、崩れそうで崩れない、危うくスリリングな場面もしばしば。
 そこから徐々にビートが定まっていき、中盤から疾走する”I Don't Wait For Anyone”など、最高にカッコいい。
 なぜかPat Metheny&Lyle Mays風の雰囲気だったり・・・
 ECMの定番ルバートでのスローバラードもあり、ストリングスを絡めて妖しさ倍増。
 初めて聞くイギリス人ピアニストKit Downesのパキパキした美しい音、フレージングもいい感じです。
 全曲オリジナル曲、キッチリしたメロディの曲は、ノルウェーの人らしく郷愁感を誘う懐かし気なメロディがいくつも。
 やはりノルウェーの人に染み込んでいるメロディはそんな感じなのでしょう。
 なぜか日本の民謡、童謡にも通じるメロディ。
 やはり、全体通じて、ここまでの作品とはかなり印象が異なります。
 フリーな演奏が散りばめられた、優しくメロディアスなジャズ。
 懐かしさ、安らぎと、想像力を搔き立てる抽象性、先が読めないスリルとのバランス。
 このバランスは希少、とても素敵だと思います。



  

posted by H.A.

【Disc Review】“Parish” (2004) Thomas Stronen

“Parish” (2004) Thomas Stronen
Thomas Stronen (Percussion) 
Bobo stenson (Piano) Fredrik ljungkvisk (sax, clarinette) Mats Eilertsen (bass)

Parish (Slip)
Thomas Stronen
Ecm Records
2006-03-14





 ノルウェーのドラマーThomas Stronenのリーダー作。
 “Rica” (2001) Parishと同じメンバー、北欧コンテンポラリージャズカルテットですが、そちらのOrnette Coleman色、Bobo Stenson色、あるいはMats Eilertsen色に対して、本作はかなり印象が異なります。
 集団でのインプロビゼーションを中心とした静音フリージャズな作品。
 素直なカルテット、あるいはトリオでの演奏はなく、パーカッションを中心として、メンバーが入れ替わり立ち替わりしながら展開していくスタイル。
 “Rica” (2001)の淡い色合い、静かな音の流れはそのままに、定常なビート、聞き慣れたメロディ的な要素がなくなり、抽象度が高く、先の読めない展開が中心。
 ECM移籍第一作は往々にしてフリーインプロビゼーション中心になるケースが見受けられますが、変幻自在のパーカッショニストThomas Stronen のそれとして見るのであれば、いかにもな色合いなのでしょう。
 いきなり応用編からぶつけられる感じで、聞く側からすればなかなか取っつきにくいことも否めないのですが、そのアーティストの色合いを洗い出すにはいい方法なのかもしれません。
 結果としては、ECMならではの静かで硬質でひんやりとした音、先の展開予測不可能、変幻自在の北欧ジャズ。
 全体をリードするなかなか定常なビートを出さないパーカッションに美しいピアノ、静かながらクダを巻く系のサックスが絡み合いつつ流れていく時間。
 多くが不思議系、出口の見えない迷宮系。
 が、キツイ感じのフリージャズではありません。
 Bobo Stensonのピアノが相変わらず美しい。
 さらに、中盤以降に納められた何曲かのリーダーのオリジナル曲は、哀愁が漂うハードボイルドなメロディ。
 強烈な浮遊感が心地よいルバート的なスローバラードもあります。
 それらをCD前半にもってくるともっと人気作になるんじゃないかなあ・・・とか思ったりもしますが・・・
 そんなアクセントを含めて、淡い感じが心地よいととらえるか、あるいは先の読めないスリリングさがカッコいいととらえるか、はたまた抽象的にすぎてよくわからんととらえるか・・・
 ま、人それぞれかと。
 私的にはさすがにECMの音、静かで美しい音の流れが心地いいし、さらにその中から突然に現れる、ECMのお約束?の全編ルバートでのスローバラードなんてカッコいいなあ、と思います。
 静かな非日常感が心地よい一作、但し、応用編かな?
 この先、サックスとのDuoバンド"Food"の作品が何作か、リーダー作はしばらく先の“Time Is A Blind Guide” (2015) 。
 そちらはメンバーがガラッと変わって、音も変わって、わかりやすい感じです。
 やはりECMへの移籍後は、第二作ぐらいから落ち着いてくるのかな・・・?




 posted by H.A.


【Disc Review】“To Be Continued” (1981) Terje Rypdal / Miroslav Vitous / Jack DeJohnette

“To Be Continued” (1981) Terje Rypdal / Miroslav Vitous / Jack DeJohnette
Terje Rypdal (Electric Guitar, Flute) Miroslav Vitous (Acoustic Bass, Electric Bass, Piano) Jack DeJohnette (Drums, Voice)

To Be Continued
Terje Rypdal
Ecm Import
ミロスラフ・ビトウス
テリエ・リピダル  
ジャック・ディジョネット



 凄まじい“Terje Rypdal/MiroslavVitous/Jack DeJohnette” (1978)の続編。
 同じメンバー、普通の「ギタートリオ」なのですが、そう書くと違和感のある凄まじいバンド。
 前作と同様の質感ですが、穏やかな音と過激な音が交錯するメリハリの強い展開。
 スペーシーなシンセサイザーを背景として、ベースとギターが自由に暴れ、ドラムがひたすらビートを出すスタイルは同様。
 フリーで激しい演奏ながら、なぜか静謐なムードも同様。
 が、前作のような全編が音の洪水・・・ではなくて、間がある演奏、激烈ロック~ファンク、4ビート、激烈系フリージャズ、など曲ごとに変わる表情。
 心なしかTerje Rypdalが少々抑え目で、Miroslav Vitousの激しい音が目立つようにも感じます。
 ともあれ、Jack DeJohnetteは本作でも静かにヒタヒタと叩きまくり。
 この人にしかできないと思うドラミング。
 派手で激烈な演奏がある分、かえって前作よりも過激なイメージが強いのかもしれません。
 が、曲別に見れば、カッコいいジャズ、カッコいいファンク、妙にセンチメンタルなメロディなどなど、バラエティに富んだ激烈系コンテンポラリージャズ。
 本作もとてもカッコいいのですが、to be continuedはなく、このバンドはこれが最後。
 ECMでよくある二作でバンド変更の流れですが、少々残念な気もします。
 あるいは、この種の激烈系な音楽が流行らなくなったのかもしれません・・・




posted by H.A.
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