吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

drum

【Disc Review】“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

Julia Hülsmann (Piano)
Marc Muellbauer (Double Bass), Heinrich Köbberling (Drums)
Uli Kempendorff (Tenor Saxophone)

Not Far from Here
Hulsmann, Julia -Quartet-
Ecm
2019-11-01


 ドイツのピアニストJulia Hülsmann、2019年作。
 レギュラーなのであろうトリオにサックスを迎えたカルテット編成。
 本作もこの人らしい質感の落ち着いたコンテンポラリージャズ。
 いかにも現代のヨーロピアンジャズ、明るい系。
 オーソドックスにスッキリと聞こえながらも凝りまくったアレンジ、展開。
 ときおり混沌に突っ込むか・・・、あるいは漂い続けるか・・・、沈痛系か・・・、と思わせながらも、そうはなりません。
 サックスも同じような動き、神経質な音の流れ、あるいは激情系か、と思わせながら、あくまで上品にまとまっていきます。
 いかにも近年のECMレコードのサックスらしい、艶やかで美しい音。
 いつもながらに美しいピアノの音との絡みがこれまた美しい。
 天井が高い空間で鳴っているような極上のリバーブが効いた美しい録音。
 楽曲、演奏を含めてダークさはなし、明度高め。
 いかにも女性らしい、あるいはかつてのECMらしくない優しい音ですが、繊細というよりは骨太な感じでしょうか。
 いろんな新たな仕掛けや奇をてらった作品も多い中(そうゆうのを好んで探しているのではありますが・・・)、スッキリとしたヨーロピアンジャズらしいジャズ。
 とても安心して聞ける一作、ってな感じがよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“Psalm” (1982) Paul Motian

“Psalm” (1982) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Bill Frisell (electric guitar) Ed Schuller (bass)
Joe Lovano (tenor sax) Billy Drewes (tenor, alto sax)

Psalm
ECM Records
2000-11-16


 Paul Motian、1982年作。
 前作“Le Voyage” (1979)からまたまた全メンバーを交代し、本作は二管サックスクインテット。
 ここでBill FrisellJoe Lovanoが参加し、後々まで続くトリオのメンバーが揃います。
 例のスペーシーなギターの音が聞こえると、とても幻想的、あのトリオな音。
 ドロドロとしたジャズな感じに未来感も加わりつつの尖端サウンド。
 物悲しさはそのまま、全編ルバートのスローバラードの時間もたっぷり。
 ロックなビートもディストーションなギターもたっぷり。
 かといって、1980年代流行りのスッキリ系ゴージャズ系のフュージョンになる由もなく、妖しくダーク、過激で複雑怪奇なジャズ。
 強烈な緊張感、沈痛さも強まって、少々ヘビー。
 怖いかも・・・と思っていると、例の能天気なカントリーっぽいギターが聞こえてきたり、もう何が何だか・・・
 桃源郷か、はたまた地獄の一丁目か、この世ではないどこかを彷徨っている感たっぷりのトリップミュージック。
 この後、本作のメンバーを絞り定番トリオ、ECMでは“It Should've Happened a Long Time Ago” (Jul.1984)、へと続いていきます。

※後の演奏から
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Dance” (1977) Paul Motian

“Dance” (1977) Paul Motian

Paul Motian (drums, percussion)
David Izenzon (bass)
Charles Brackeen (soprano, tenor sax)

Dance
Motian, Paul
Ecm Import
2008-11-18


 Paul Motian、”Conception Vessel” (1973)、“Tribute” (1974)に続くECMレコードでの第三作。
 前作から全メンバーが交代したピアノレスサックストリオ編成。
 Ornette Coleman所縁のドラマーに、知る人ぞ知るフリー系サックス。
 ダークなトーンと物悲しい空気感はそのまま。
 ベースの重心が上がって、サックスがソプラノ中心になった分、少し軽くなった感じですが、妖しさはそのまま、フリー度高め。
 音量も下がった分、クールさも助長された感じもします。
 常時前面に出てクダを巻きつつ、ときおり狂気と激情を発するサックス、例の漂うビート、明後日の方に向かって進んでいるようにも聞こえるリズム隊。
 陰鬱、沈痛とまではいかずとも、ただ事ではない空気感たっぷり。
 そんな強い緊張感の中、ちょっとすっよぼけたような演奏もありますが、これまた後々まで続くこの人の色合い。
 全部あわせて、フリー度高めのクールなジャズ。
 これまたハードボイルド。

※次のバンドの演奏から。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Tribute” (1974) Paul Motian

“Tribute” (1974) Paul Motian

Paul Motian (drums, percussion)
Sam Brown (acoustic, electric guitars) Paul Metzke (electric guitar) Charlie Haden (bass)
Carlos Ward (alto sax)

Tribute
ECM Records
1993-11-01


 Paul Motian、”Conception Vessel” (1973)に続くリーダーでの第二作、ECMレコードでの制作。
 Charlie Hadenと二人のギターに、楽曲によってサックスが加わる編成。
 ECM、あるいは後のPaul Motian Trioのお約束、とても静かで妖しい、全編ルバートでのスローバラードがてんこもり。
 物悲しい音を奏でるギターに沈み込むベース、その中を漂う刃物のように鋭いサックス。
 そして、ときにパコーン、ポコーン、チーン・・・、ときにバシャバシャ・・・、ビートを出しているのか出していないのか、何なのかよくわからないドラム。
 それがカッコいい。
 あの“Death and the Flower” (1974) と同時期、音楽の色合いは違いますが、当のKeith Jarrettが加わればあのバンドになりそうなメンバーになんだから、カッコよくて当たり前。
 それと雰囲気が違うのは、終始前面に出るギターとクールな質感、後のTrioと違った感じがするのは、サイケと寂寥の間を行き来するギターと下の方で激しく蠢くベースゆえでしょうか。
 “Liberation Music Orchestra” (1969) Charlie Hadenに近い感じがしないでもないですが、もっとクール。
 全編を通じたダークなトーンもあわせて、とてもハードボイルドな妖しいジャズ。
 あまり話題にならないアルバムなのかもしれませんが、紛うことなき名演、名作。

※近い時期、近いメンバーでの演奏から。雰囲気は違いますが・・・


posted by H.A.


【Disc Review】“Ruta and Daitya" (May.1971) Keith Jarrett, Jack DeJohnette

“Ruta and Daitya" (May.1971) Keith Jarrett, Jack DeJohnette

Keith Jarrett (piano, electric piano, organ, flute) Jack DeJohnette (drums, percussion)

ルータ・アンド・ダイチャ [SHM-CD]
ジャック・ディジョネット
ユニバーサル ミュージック クラシック
2008-11-05


 当時のMilesバンド、そして現在まで共演が続く盟友のDuo。
 “Live Evil” (Dec.16-19,1970)よりも少し後、"Facing You" (Nov.1971)との間のセッション。
 リリースは"Facing You" (Nov.1971)と前後し、さらに“Solo Concerts:Bremen and Lausanne” (1973) の後のようですが、ECMレコードでの初制作だったのでしょう。
 この前後含めて、いつもの作品とは色合いが異なります。
 ジャズファンク、サイケ、エスニック、美しいバラード、フォークロック、フリージャズ、その他が入り混じる、不思議感たっぷりの演奏集。
 Milesバンド在籍中の時期だからといったこともあるのでしょうか、エフェクティングされたエレクトリックピアノが中心。
 パーカッションとのDuo演奏を中心に、一部でフルート、アコースティックピアノがフィーチャーされます。
 静かに鳴る鍵盤と静かにビートを出す打楽器。
 いい感じのメロディ、鋭いインプロビゼーションを散りばめつつ、不思議で穏やかな音の流れが続きます。
 ここまで、これからのKeith Jarrettの音楽が断片的にコラージュされたような演奏集。
 その意味ではコンボでの“Somewhere Before" (Aug.1968),“The Mourning of a Star" (Jul.Aug.1971)に通じるのですが、全く別テイストの淡く、さらにサイケな色合い。
 おそらく大ブレークはもう少し後。
 その前にしてこれを企画し世に出すECMレコードも凄い。
 さすがの慧眼。

※後のStandardsでの演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

Kendrick Scott (Drums)
Michael Moreno (Guitar) Taylor Eigsti (Rhodes) Joe Sanders (Bass)
John Ellis (Tenor Saxophone) Jahi Lake (Turntabalist)

A Wall Becomes A Bridge
Kendrick Scott Oracle
Blue Note
2019-04-05


 Kendrick Scottのアメリカンコンテンポラリージャズ。
 前々作“Conviction” (2013), 前作“We Are The Drum” (2015)とコアのメンバーは変わらないバンドOracleでのアルバム。
 ここまでのアルバムと同じ線ですが、少しジャズな感じ、ポップさが抑えられ、不思議感が増した感じ、より未来的になった感じ。
 複雑に動きながらも柔らかなビート、飛び交う電子音、ループ。
 派手な先端ドラム、美しいギター、浮遊から疾走まで何でも来いのピアノ。
 未来的フュージョン、ジャズ、ロック、ソウル、ヒップホップ、ミニマル、その他諸々が混ざり合う音は、いかにも今の音。
 洗練された現代ジャズ~フュージョン。
 複雑に積み上げられ、徹底的に練り上げられた感じながら、作り物っぽさのない自然さは、独特の柔らかさゆえでしょうか。
 今風でクール感じのサックスを中心に各人のインプロビゼーションのスペースはたっぷり、それらが全体のアンサンブルの中に溶け込み、これまたさりげない感じながら手練れた演奏。
 不思議感たっぷりのメロディはここまでと同様、Wayne Shorterな感じ、さらに、複雑でドラマチックな構成は、実験的、先端的な要素も相当に組み込まれつつも、気難しさはなく、十分にポップです。
 ドラムは派手ですが、終始フワフワした心地よさも加えて、BGMとしてもとてもいい感じ。
 21世紀、2010年代終りの粋。
 もし今Milesさんがご存命であればこんな感じの音楽をやっているのかな?
 さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“The Declaration Of Musical Independence” (2014) Andrew Cyrille

“The Declaration Of Musical Independence” (2014) Andrew Cyrille

Andrew Cyrille (drums, percussion)
Bill Frisell (guitar) Richard Teitelbaum (synthesizer, piano) Ben Street (double-bass)



 フリージャズ系のドラムの大御所Andrew Cyrille、ECMでの初リーダー作。
 近作“Lebroba” (2017)に先立つアルバム。
 ピアノトリオ+ギターのオーソドックなカルテットのようで、そうはなりません。
 ドラムを背景にBill Frisellが前面に出て、他のメンバーが彩りを加えていく構成。
 もちろんフリー系。
 かつての親分?Cecil Taylorバンドのような激烈系ではなく、静かで落ち着いた、でも過激な音。
 いきなりディストーションが掛かったギターが前面に出るフリージャズ。
 過激でドラマチックな演奏ながら、なぜか静かです。
 静かで自由なドラム。
 鳴り続けるその淡々とした音は、覚醒を促すようでもあり、眠りに誘うようでもあり。
 漂うような音の流れは、複雑な心象風景のようにも、迷宮のようにも聞こえます。
 そして全体を包み込むような淡い哀しみ。
 クリーントーンのギターが美しいメロディを奏でても、ゆっくりと時を刻むようなピアノが鳴っても、アフリカンな打楽器が聞こえても、混沌が訪れても、その色合いは変わりません。
 心の中を覗き込むような、不思議な時間。

※こちらは最近作から。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Lebroba” (2017) Andrew Cyrille

“Lebroba” (2017) Andrew Cyrille

Andrew Cyrille (Drums)
Wadada Leo Smith (trumpet) Bill Frisell (guitar)

LEBROBA
CYRILLE/SMITH/FRISEL
ECM
2013-01-18


 フリージャズ系のドラマーAndrew Cyrilleの変則トリオ、ECMから。
 これまたフリージャズ系のトランペッターに、なんでもありのBill Frisell
 平均年齢70歳を超えるのであろう大ベテラン、大御所、曲者たちの集い。
 ベースレスでワンホーン、Bill Frisellとくれば、往時のPaul Motianトリオを想い起こしますが、その続編のような幻想的な音。
 漂うように哀し気なメロディを紡ぐトランペットは、年齢を感じさせない端正な音。
 それに寄り添うようなギター、それらに合わせるように、あるいは無視するかのように自在にビートを繰り出すドラム。
 ルバートでのスローバラードから次々と表情を変えていく音の流れ。
 拡散していくようで、そうはならず、かといってオーソドックスなところには決して落ち着きません。
 かといって難解至極にはならず、凶悪になるのもほんのわずかなギターの激しいディストーションの場面のみ、あくまで穏やかでクールな音。
 自由でノンジャンルなようで、流れる空気感はやはりジャズ。
 まだまだやんちゃ、でも混沌には行かない。
 歴戦のつわものたちの妖しく、但し、落ち着いた音。




posted by H.A.


【Disc Review】“One Is the Other” (2013) Billy Hart

“One Is the Other” (2013) Billy Hart

Billy Hart (drums)
Ethan Iverson (piano) Ben Street (double bass)
Mark Turner (tenor sax)

One Is The Other
Universal Music LLC
2014-02-28


 Billy Hart、“All Our Reasons” (2011)に続くサックスカルテット。
 前作と同じメンバー、不思議感たっぷり、フリー混じりのコンテンポラリージャズ。
 前作と同様にBilly Hart, Ethan Iverson, Mark Turnerで楽曲を分け合い、スタンダードを一曲。
 メカニカルなMark Turner曲で突っ走り、フリーなEthan Iversonの曲で漂い、Billy Hartの曲でちょっとだけ普通のジャズに戻る、そんな組み合わせ。
 少々陰鬱系。
 John Coltraneをクールにしたというか、Wayne Shorterをスッキリさせたというか、そんなサックスが全編で鳴り続けます。
 Ethan Iversonのピアノもそれに合わせてかどうか、前作よりも不思議系。
 前作はECMっぽくやってみましたが、本作はThelonious Monk系を強めに・・・ってな感じ。
 御大は変幻自在、大技小技の軽快なドラム。
 全部合わせて、明後日の方向に飛んで行って、なかなか帰ってこないで次の曲へ・・・
 でもなんだかなんだでECMにしてはジャズだったりします。
 懐かしいんだか、新しいんだか・・・
 これまたフリーとオーソドックスの狭間をさまよう、不思議感たっぷりの現代ジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“All Our Reasons” (2011) Billy Hart

“All Our Reasons” (2011) Billy Hart

Billy Hart (drums)
Ethan Iverson (piano) Ben Street (double bass) 
Mark Turner (tenor sax)

All Our Reasons
Deutsche Grammophon ECM
2018-01-19


 大御所ドラマーBilly Hart、ECMでのサックスカルテット作品。
 エレクトリックMilesあるいはHerbie Hancockのサウンドを支えた人。
 ECMでもサポートは多数あったと思いますが、リーダー作は初。
 別レーベルで”Quartet” (2005)を作ったメンバーそのまま、旬な若手Mark Turner、Ben StreetにECMのカラーに合うのか否か何とも微妙な過激なジャズロックバンドThe Bad Plusのピアニスト。
 激烈系にもなりそうな顔ぶれですが、結果は静かなフリー混じりのジャズ。
 Billy Hart, Ethan Iverson, Mark Turner三者のオリジナル曲は淡くて抽象度の高いメロディ。
 冒頭からECMでのお約束、ルバートでのスローバラード的な静かに漂うようなジャズカルテット。
 終始フリーなドラム、高音で旋回するような音が目立つサックス、徐々に激烈になっていく様は、“Kulu Sé Mama” (Jun.Oct.1965) John Coltraneの“Welcome”あたりを想い起こします。
 そんな演奏は冒頭のみ、以降はビートが決まったグルーヴィーで不思議系なジャズ。
 Mark Turnerのサックスはいつものクールな感じよりも、沈痛で陰鬱な感じが目立つ緊張感の高い音。
 リーダーらしく叩きまくるBilly Hart、あちこちに跳びまわりながらも意外にECM的なピアノを弾くEthan Iversonに、ペースキーパーの役割であろうBen Street。
 1960年代にタイムスリップ・・・ってな感じでもないのですが、現代の先端ジャズを演奏する今の若手~中堅もそんなジャズが好きなのでしょう。
 フリーとオーソドックスの狭間をさまよう、不思議感たっぷりの現代ジャズ。




posted by H.A.


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