吉祥寺JazzSyndicate

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drum

【Disc Review】“Ruta and Daitya" (May.1971) Keith Jarrett, Jack DeJohnette

“Ruta and Daitya" (May.1971) Keith Jarrett, Jack DeJohnette

Keith Jarrett (piano, electric piano, organ, flute) Jack DeJohnette (drums, percussion)

ルータ・アンド・ダイチャ [SHM-CD]
ジャック・ディジョネット
ユニバーサル ミュージック クラシック
2008-11-05


 当時のMilesバンド、そして現在まで共演が続く盟友のDuo。
 “Live Evil” (Dec.16-19,1970)よりも少し後、"Facing You" (Nov.1971)との間のセッション。
 リリースは"Facing You" (Nov.1971)と前後し、さらに“Solo Concerts:Bremen and Lausanne” (1973) の後のようですが、ECMレコードでの初制作だったのでしょう。
 この前後含めて、いつもの作品とは色合いが異なります。
 ジャズファンク、サイケ、エスニック、美しいバラード、フォークロック、フリージャズ、その他が入り混じる、不思議感たっぷりの演奏集。
 Milesバンド在籍中の時期だからといったこともあるのでしょうか、エフェクティングされたエレクトリックピアノが中心。
 パーカッションとのDuo演奏を中心に、一部でフルート、アコースティックピアノがフィーチャーされます。
 静かに鳴る鍵盤と静かにビートを出す打楽器。
 いい感じのメロディ、鋭いインプロビゼーションを散りばめつつ、不思議で穏やかな音の流れが続きます。
 ここまで、これからのKeith Jarrettの音楽が断片的にコラージュされたような演奏集。
 その意味ではコンボでの“Somewhere Before" (Aug.1968),“The Mourning of a Star" (Jul.Aug.1971)に通じるのですが、全く別テイストの淡く、さらにサイケな色合い。
 おそらく大ブレークはもう少し後。
 その前にしてこれを企画し世に出すECMレコードも凄い。
 さすがの慧眼。

※後のStandardsでの演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

Kendrick Scott (Drums)
Michael Moreno (Guitar) Taylor Eigsti (Rhodes) Joe Sanders (Bass)
John Ellis (Tenor Saxophone) Jahi Lake (Turntabalist)

A Wall Becomes A Bridge
Kendrick Scott Oracle
Blue Note
2019-04-05


 Kendrick Scottのアメリカンコンテンポラリージャズ。
 前々作“Conviction” (2013), 前作“We Are The Drum” (2015)とコアのメンバーは変わらないバンドOracleでのアルバム。
 ここまでのアルバムと同じ線ですが、少しジャズな感じ、ポップさが抑えられ、不思議感が増した感じ、より未来的になった感じ。
 複雑に動きながらも柔らかなビート、飛び交う電子音、ループ。
 派手な先端ドラム、美しいギター、浮遊から疾走まで何でも来いのピアノ。
 未来的フュージョン、ジャズ、ロック、ソウル、ヒップホップ、ミニマル、その他諸々が混ざり合う音は、いかにも今の音。
 洗練された現代ジャズ~フュージョン。
 複雑に積み上げられ、徹底的に練り上げられた感じながら、作り物っぽさのない自然さは、独特の柔らかさゆえでしょうか。
 今風でクール感じのサックスを中心に各人のインプロビゼーションのスペースはたっぷり、それらが全体のアンサンブルの中に溶け込み、これまたさりげない感じながら手練れた演奏。
 不思議感たっぷりのメロディはここまでと同様、Wayne Shorterな感じ、さらに、複雑でドラマチックな構成は、実験的、先端的な要素も相当に組み込まれつつも、気難しさはなく、十分にポップです。
 ドラムは派手ですが、終始フワフワした心地よさも加えて、BGMとしてもとてもいい感じ。
 21世紀、2010年代終りの粋。
 もし今Milesさんがご存命であればこんな感じの音楽をやっているのかな?
 さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“The Declaration Of Musical Independence” (2014) Andrew Cyrille

“The Declaration Of Musical Independence” (2014) Andrew Cyrille

Andrew Cyrille (drums, percussion)
Bill Frisell (guitar) Richard Teitelbaum (synthesizer, piano) Ben Street (double-bass)



 フリージャズ系のドラムの大御所Andrew Cyrille、ECMでの初リーダー作。
 近作“Lebroba” (2017)に先立つアルバム。
 ピアノトリオ+ギターのオーソドックなカルテットのようで、そうはなりません。
 ドラムを背景にBill Frisellが前面に出て、他のメンバーが彩りを加えていく構成。
 もちろんフリー系。
 かつての親分?Cecil Taylorバンドのような激烈系ではなく、静かで落ち着いた、でも過激な音。
 いきなりディストーションが掛かったギターが前面に出るフリージャズ。
 過激でドラマチックな演奏ながら、なぜか静かです。
 静かで自由なドラム。
 鳴り続けるその淡々とした音は、覚醒を促すようでもあり、眠りに誘うようでもあり。
 漂うような音の流れは、複雑な心象風景のようにも、迷宮のようにも聞こえます。
 そして全体を包み込むような淡い哀しみ。
 クリーントーンのギターが美しいメロディを奏でても、ゆっくりと時を刻むようなピアノが鳴っても、アフリカンな打楽器が聞こえても、混沌が訪れても、その色合いは変わりません。
 心の中を覗き込むような、不思議な時間。

※こちらは最近作から。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Lebroba” (2017) Andrew Cyrille

“Lebroba” (2017) Andrew Cyrille

Andrew Cyrille (Drums)
Wadada Leo Smith (trumpet) Bill Frisell (guitar)

LEBROBA
CYRILLE/SMITH/FRISEL
ECM
2013-01-18


 フリージャズ系のドラマーAndrew Cyrilleの変則トリオ、ECMから。
 これまたフリージャズ系のトランペッターに、なんでもありのBill Frisell
 平均年齢70歳を超えるのであろう大ベテラン、大御所、曲者たちの集い。
 ベースレスでワンホーン、Bill Frisellとくれば、往時のPaul Motianトリオを想い起こしますが、その続編のような幻想的な音。
 漂うように哀し気なメロディを紡ぐトランペットは、年齢を感じさせない端正な音。
 それに寄り添うようなギター、それらに合わせるように、あるいは無視するかのように自在にビートを繰り出すドラム。
 ルバートでのスローバラードから次々と表情を変えていく音の流れ。
 拡散していくようで、そうはならず、かといってオーソドックスなところには決して落ち着きません。
 かといって難解至極にはならず、凶悪になるのもほんのわずかなギターの激しいディストーションの場面のみ、あくまで穏やかでクールな音。
 自由でノンジャンルなようで、流れる空気感はやはりジャズ。
 まだまだやんちゃ、でも混沌には行かない。
 歴戦のつわものたちの妖しく、但し、落ち着いた音。




posted by H.A.


【Disc Review】“One Is the Other” (2013) Billy Hart

“One Is the Other” (2013) Billy Hart

Billy Hart (drums)
Ethan Iverson (piano) Ben Street (double bass)
Mark Turner (tenor sax)

One Is The Other
Universal Music LLC
2014-02-28


 Billy Hart、“All Our Reasons” (2011)に続くサックスカルテット。
 前作と同じメンバー、不思議感たっぷり、フリー混じりのコンテンポラリージャズ。
 前作と同様にBilly Hart, Ethan Iverson, Mark Turnerで楽曲を分け合い、スタンダードを一曲。
 メカニカルなMark Turner曲で突っ走り、フリーなEthan Iversonの曲で漂い、Billy Hartの曲でちょっとだけ普通のジャズに戻る、そんな組み合わせ。
 少々陰鬱系。
 John Coltraneをクールにしたというか、Wayne Shorterをスッキリさせたというか、そんなサックスが全編で鳴り続けます。
 Ethan Iversonのピアノもそれに合わせてかどうか、前作よりも不思議系。
 前作はECMっぽくやってみましたが、本作はThelonious Monk系を強めに・・・ってな感じ。
 御大は変幻自在、大技小技の軽快なドラム。
 全部合わせて、明後日の方向に飛んで行って、なかなか帰ってこないで次の曲へ・・・
 でもなんだかなんだでECMにしてはジャズだったりします。
 懐かしいんだか、新しいんだか・・・
 これまたフリーとオーソドックスの狭間をさまよう、不思議感たっぷりの現代ジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“All Our Reasons” (2011) Billy Hart

“All Our Reasons” (2011) Billy Hart

Billy Hart (drums)
Ethan Iverson (piano) Ben Street (double bass) 
Mark Turner (tenor sax)

All Our Reasons
Deutsche Grammophon ECM
2018-01-19


 大御所ドラマーBilly Hart、ECMでのサックスカルテット作品。
 エレクトリックMilesあるいはHerbie Hancockのサウンドを支えた人。
 ECMでもサポートは多数あったと思いますが、リーダー作は初。
 別レーベルで”Quartet” (2005)を作ったメンバーそのまま、旬な若手Mark Turner、Ben StreetにECMのカラーに合うのか否か何とも微妙な過激なジャズロックバンドThe Bad Plusのピアニスト。
 激烈系にもなりそうな顔ぶれですが、結果は静かなフリー混じりのジャズ。
 Billy Hart, Ethan Iverson, Mark Turner三者のオリジナル曲は淡くて抽象度の高いメロディ。
 冒頭からECMでのお約束、ルバートでのスローバラード的な静かに漂うようなジャズカルテット。
 終始フリーなドラム、高音で旋回するような音が目立つサックス、徐々に激烈になっていく様は、“Kulu Sé Mama” (Jun.Oct.1965) John Coltraneの“Welcome”あたりを想い起こします。
 そんな演奏は冒頭のみ、以降はビートが決まったグルーヴィーで不思議系なジャズ。
 Mark Turnerのサックスはいつものクールな感じよりも、沈痛で陰鬱な感じが目立つ緊張感の高い音。
 リーダーらしく叩きまくるBilly Hart、あちこちに跳びまわりながらも意外にECM的なピアノを弾くEthan Iversonに、ペースキーパーの役割であろうBen Street。
 1960年代にタイムスリップ・・・ってな感じでもないのですが、現代の先端ジャズを演奏する今の若手~中堅もそんなジャズが好きなのでしょう。
 フリーとオーソドックスの狭間をさまよう、不思議感たっぷりの現代ジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumori

“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumori

Shinya Fukumori (drums)
Walter Lang (piano) Matthieu Bordenave (tenor sax)

For 2 Akis
Shinya -Trio- Fukumori
Ecm Records
2018-02-16


 日本人ドラマーのデビュー作品、ECMレコードから。
 リーダーは30歳代、ピアノはベテランのドイツ人、テナーはリーダーと同世代のフランス人。
 ベースレスでの浮遊感の強い、静かなバラード集。
 といってもECMのお約束の全編ルバート・・・ってな感じではなく、ピアノが定常なビートを出して、サックスはそれに合わせ、ドラムが静かにフリー動いていく構成。
 キッチリとしたヨーロピアンピアノに、Charles Lloyd的な繊細なテナー。
 自由なドラムは、Paul MotianThomas StronenといったECMのフリー系の人たちとはイメージの異なる、静かで繊細な優しい音。
 “Silent Caos”といったとてもカッコいいタイトルのイメージそのままの演奏もありますが、ECM的な毒や難解さ、気難しさはありません。
 ドラムはフリーですが、その動きを含めて全編メロディアス。
 中心となるオリジナル曲はどこか懐かしい童謡を想い起すようなメロディ、音の動き。
 さらにスローでルバートっぽく演奏される美空ひばり/小椋佳の“愛燦燦”、あるいは”荒城の月”なんて、なかなか・・・
 演歌的ではなく、クールに聞こえるのはいかにも現代の音であり、ECMな音。
 それでも全編通じて日本っぽくて懐かしい音の流れは、Japanese Saudadeってな感じでしょうか。
 ヨーロッパで生活する日本人、あるいはドイツの人からしてもそんな感じに聞こえるのでしょうかね?
 とても静かで優しい、日本的な空気感が素敵なコンテンポラリージャズ。



posted by H.A.


【Disc Review】“Notes” (1987) Paul Bley, Paul Motian

“Notes” (1987) Paul Bley, Paul Motian

Paul Bley (piano) Paul Motian (drums)

Notes
Paul Bley
Soul Note Records
2007-10-30


 Paul Bley、Paul MotianのDuo作品。
 ECMではなく、イタリアのSoul Noteレーベルから。
 同レーベルでジャケットも似ている“Mindset”(1992) Gary Peacock, Paul Bleyと類似する企画。
 本作のご両人、どちらもモダンジャズの名手ながら、耽美的、離散的な演奏を得意とする稀代のスタイリスト。
 その通りの静かで穏やか、ほんの少し抽象的な演奏。
 二人ともECMではないレーベルの場合、普通にジャズの演奏も多いのですが、本作は極めてECM的な静謐で妖しいサウンド。
 多くが今にも止まりそうなスローバラード。
 たっぷりのタメを効かせて置かれていくピアノの音。
 突然のスケールアウト、突然の疾走、突然の鎮静、突然のスウィング、ブルース・・・いつものPaul Bleyワールド。
 それに呼応するように、時に無視するように刻まれる静かなビート。
 静かだけども落ち着かない、絶妙のアンバランスの妖しく危ない音楽。
 繊細で美しいバラードの連続に、ときおりのOrnette Coleman風フリージャズ。
 最後に収められた唯一のジャズスタンダード、“Diane” (1985) Chet Baker & Paul Bley のタイトル曲は、絶品の美しさ。
 Paul Bley、Paul Motianの演奏するバラードはいつもそう。
 さすが、稀代のスタイリストの創る音。
 名作だと思います。

※“Diane” (1985) Chet Baker & Paul Bleyから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Lucus” (2017) Thomas Stronen,‎ Time Is a Blind Guide

“Lucus” (2017) Thomas Stronen,‎ Time Is a Blind Guide

Thomas Strønen (drums, percussion)
Ayumi Tanaka (piano) Ole Morten Vågan (double bass)
Håkon Aase (violin) Lucy Railton (cello)

Lucus
Thomas Stronen
Ecm Records
2018-01-19


 ノルウェーのドラマーThomas Strønenの静かなコンテンポラリージャズ。
 前作”Time Is A Blind Guide” (2015)のタイトルを冠したバンド。
 前作からパーカッションが抜け、ピアニストが日本人女性に変わっています。
 時空が歪むような弦の妖しいアンサンブルと静かなグルーヴが絡み合う、フリージャズ混じりの北欧ジャズ。
 基本的な空気感は同じですが、ここまでの作品よりもフリー度が下がったイメージでしょう。
 メロディ、コードが明確で、ビートも定常な場面が多くなっています。
 バンドが一体となって静かななうねりを作りながらヒタヒタと迫りくるようなアンサンブル。
 ベースが土台を作り、つかず離れずうねるように揺れるように旋律を奏でるバイオリンとチェロ、さらに別の周期で揺れるピアノ、自由に動くドラム・・・
 全体を通じた淡い色合い。
 その中からときおり浮かび上がるピアノ、バイオリン、チェロのシングルトーンがとても美しく響きます。
 が、その時間は束の間、また次の音のうねりへ・・・
 それらが織り重なるような繊細な音の綾。
 前作の”I Don't Wait For Anyone”のような突出した名曲はないのかもしれませんが、タイトル曲をはじめとして、概ね全編でメロディ、ビートが明解な分、全編がそんな感じ。
 明確なような曖昧なような、どこか遠い所を眺めているような非現実的な時間。
 とても静かで繊細で、それでいてハードボイルドな一作。




posted by H.A.

【Disc Review】“The Windmills of Your Mind” (2010) Paul Motian

“The Windmills of Your Mind” (2010) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Bill Frisell (electric guitar) Thomas Morgan (bass)
Petra Haden (vocals)

The Windmills of Your Mind
Paul Motian
Winter & Winter
2011-08-09


 Paul Motian、これがリーダー作としては最終アルバムになるのでしょう。
 静かなジャズスタンダードのバラード集。
 盟友Bill Frisellが再び参加し、“Small Town” (2016)など彼と近年までも共演する静かな名ベーシストThomas Morganとのギタートリオに、ボーカルは“Petra Haden & Bill Frisell” (2003)でBill Frisellと共演していたCharlie Hadenの娘さん。
 楽曲は演奏しつくされたスタンダード。
 "Tennessee Waltz"、"The Windmills of Your Mind"、"Let's Face the Music and Dance"、"Lover Man"・・・
 少し枯れた感じの寂寥感の強い演奏。
 普通に演奏される当たり前のジャズスタンダードのメロディも、Paul MotianとBill Frisellのコンビだと強い浮遊感の不思議な音。
 そこに静かなグルーヴを出す希少なベース、かわいらしい系の女性ボイス。
 少しダルな感じが、とても力が抜けて心地よいジャズ。
 Bill Evans, Keith Jarrett、そしてECMを支えた芸術的なドラマーPaul Motian、2011年逝去。




posted by H.A.



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