吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

drum

【Disc Review】“Como Dibujo Agua” (2009) Mario Gusso

“Como Dibujo Agua” (2009) Mario Gusso
Mario Gusso (percussion, kalimba)
Sebastian Macchi (piano) Javier Lozano (piano, rhodes) Maria Elia (piano, voice) 
Diego Penelas, Joaquín Errandonea (Guitar, Voice) Sebastian Esposito, Cesar Silva, Pepe Luna (guitar) 
Willy González, Carlos Marmo, Guillermo Delgado (bass)
Micaela Vita (Voice) Franco Luciani (harmonica) 

COMO DIBUJO DEL AGUA
MARIO GUSSO(マリオ・グッソ)
PAI
2010-08-15


 アルゼンチンジャズ、現代フォルクローレのパーカッショニストのリーダー作。
 Carlos Aguirre 閥の人なのかどうかはわからないのですが、Carlos Aguirre的大名作の“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005)のピアノ、Sebastian Macchiの参加に惹かれて聞いてみた一作。
 フォルクローレ、ジャズ、ソウル、ポップス・・・などなど、いろんな色合いがフュージョンする、アルゼンチン・ジャズ・フュージョン。
 楽曲の提供者によって音のイメージは異なります。
 何曲かのSebastian Macchiの楽曲は、Carlos Aguirre的、繊細な現代フォルクローレ。
 その他諸々、スパニッシュ風ギターが前面に出たり、女性ボーカルがフィーチャーされたり、アメリカ南部ロック風だったり、やはり繊細なピアノが全体を支配したり・・・
 ってな感じで、定番の繊細なガラス細工のような現代フォルクローレではなく、元気なジャズフュージョン。
 あるいはそれらがフュージョンし、交錯するアルバム。
 目立つのはリーダーの激しいドラムと、Willy Gonzálezの前面に出て動きまくるエレキベース。
 ちょっと強めの音ですが、なんだかんだで、優し気で懐かし気な空気感は南米の人特有の色合い。
 ブラジリアンなジャズは最高ですが、アルゼンチンなジャズもとてもカッコいい。
 その現代的な若者の音。


※Willy Gonzálezのバンドから。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Já Tô Te Esperando” (2005) Edu Ribeiro

“Já Tô Te Esperando” (2005) Edu Ribeiro
Edu Ribeiro (drums)
Chico Pinheiro (guitar) Fábio Torres (piano) Thiago Espírio Santo, Paulo Paulelli (bass)
Toninho Ferragutti (accordeon) Daniel D'Alcântara (trumpet, Flugelhorn)



 ブラジリアンジャズ?のドラマーEdu Ribeiroのリーダー作。
 Chico PinheiroRosa Passosなど、ブラジル系のジャズ、フュージョン、MPBのアルバムでよく見かける人。
 その界隈ではファーストコールな人なのでしょう。
 本作はプロデューサーに現代最高?のブラジリアンジャズギタリストChico Pinheiroも名を連ね、いかにもそんな感じの現代的ブラジリアンジャズ。
 何曲かでエレキベース、エレピは入りますが、基本的にはアコースティックなジャズ。
 Chico Pinheiroが入ると都会的な色合い、クールなジャズ色が強くなるのだけども、もちろんブラジリアンジャズの独特のフワフワした感じは出ていて、心地いいバランス。
 ピアノトリオ+ギターを背景に、アコーディオンの柔らかい音がフワフワと漂い、キリッとしたトランペットとギターが全体を締める、そんな構成。
 ドラム、ギターはもちろんの事、ベースのグルーヴが凄いし、ピアノも、トランペットも、超一線級の演奏。
 さらに、これまた凄い演奏力のアコーディオンが、普通のジャズとは違う空気感を醸し出しています。
 もちろん普通のジャズフュージョンとして聞いても最高にカッコいい演奏だし、CD終盤に向けてドカーンと盛り上がっていく構成もお見事。
 全曲、リーダー、Chico Pinheiroのオリジナル曲。
 キリッとしたジャズ曲、エレキベースがうなるフュージョン曲、さらに南米エキゾチックな曲が交錯しつつ進む、元気いっぱいの演奏。
 アメリカ産のジャズ、フュージョンと比べると、なぜかしなやかで柔らかに感じるリズムと音の流れ。
 ノってくるとなぜかサンバに聞こえてしまうのは気のせいでしょうか?
 その要因はビート感なのか、コードの流れなのか、いまだによくわかりません。
 アメリカンなジャズ、フュージョンに食傷した時、でもヨーロッパ系や重かったり暗かったりする音、さらには直球な南米系もピンとこない時には、こんな感じのジャズが一番気持ちいいですかね。
 明るくて爽やかだしね。




posted by H.A.

【Disc Review】“Emergency!” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime

“Emergency!” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime
Tony Williams (drums, voice?) John McLaughlin (guitar) Larry Young (organ)

エマージェンシー!
トニー・ウィリアムス・ライフタイム
ユニバーサル ミュージック クラシック
2003-05-21


 Tony Williams Lifetimeのデビュー作、超ハイテンションハードロックジャズ。
 “Saudades" (2004) Trio Byondを聞いて久々に引っ張り出してきたアルバム。
 “In a Silent Way”(Feb.1969)の三か月後、Tony Williams は参加していませんが、他の二名が参加したあの“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)の三カ月前の録音。
 ジャズとロックが融合していく結節的な時期、Milesの諸作と同様、結節点的な作品。
 冒頭のタイトル曲からガンガンのロックなハードな音。
 が、怒涛のような激しい音でテーマを決めると、いきなり4ビート。
 これがオルガントリオならではの、スムースでカッコいいグルーヴ。
 もちろん歪んだギターがうなる超ハイテンションでハードな演奏ですが、4ビートから脱却しようとしていた上記のMiles Davis作品とはちょっとイメージが異なります。
 激しくロックな演奏の合間にそんな場面がしばしば登場し、そこは“1969Miles”(Jul.25,1969)などに近い感じのエネルギー放出型ジャズ。
 また、“Saudades" (2004)のJack DeJohnetteのゴツゴツしたドラムに対して、あるいはグニョグニョしたJohn Scofieldに対して、本作のお二人はスムース。
 8ビートにしろ、4ビートにしろ、激しく叩きまくっているようでヘビーでは無くて、軽快・・・ってなのも変ですが、不思議にサラリと聞けてしまいます。
 音量が落ちた4ビートの場面などは、シンシンとしたシンバルが静かに響く、紛うことなきあのジャズのTony Williams。
 John McLaughlinも同様。
 ディストーション掛けてチョーキングしまくりのようで、実際にそうなのですが、綺麗に音符が並んでいるように思います。
 っても、激しいことには変わりはなく、要所で入る妖し気なボイスを含めて、端正なジャズでも、アーティスティックなフリージャズでもなく、4ビートも混ざるロック、あるいはハードなプログレッシブロックジャズ。
 それも超弩級に激しい系。
 とてもトリオの演奏には聞こえません。
 途中の混沌な場面はフリージャズな“Super Nova” (Aug.Sep.1969) Wayne Shorter、ファンクな場面では“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davisを想い起こすのですが、それも同時代。
 以下の様に近作を並べてみると、ロックロックしているのは本作と“Jack Johnson" ぐらいで、ジャズへのロックの伝道者の張本人は、Miles Davisというよりも、Tony Williams, John McLaughlinだったのでしょうかね?

 “In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis
 “Is”, “Sundance” (May.11-13.1969) Chick Corea
 “Emergency” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime
 “1969Miles” (Jul.25,1969) Miles Davis
 “Bitches Brew” (Aug.19-21,1969) Miles Davis
 “Super Nova” (Aug.Sep.1969) Wayne Shorter
 “Infinite Search” (Nov.1969) Miroslav Vitous
 “Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davis
 “The Song of Singing” (Apl.17,18.1970) Chick Corea
 “Zawinul” (Aug.6-12.1970) Joe Zawinul 
 ‎”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet
 “Mwandishi” (Dec.1970) Herbie Hancock
 “Weather Report” (Feb-Mar.1971) 

 ジャズ、フリージャズ、ロックがグチャグチャに入り混じりながら、次のモノが生まれる途上の激しい音。
 ここまで激しければ、スカッと爽快・・・に聞くためには体調を整え、心して・・・


 

 posted by H.A.


【Disc Review】“Saudades" (2004) Trio Beyond

“Saudades" (2004) Trio Beyond
Jack DeJohnette (drums) Larry Goldings (organ) John Scofield (guitar)

Saudades
Trio Beyond
Ecm Records
2006-06-06


 Tony Williams Life Timeへのオマージュバンドのライブ録音、ECMから。
 Tony Williams、Larry Young、John McLaughlinの楽曲にジャズスタンダード、ブルースその他諸々。
 が、あまりLife Timeっぽくはありません。
 ま、ギターがJohn McLaughlinとは全く違うタイプなので当然ですか。
 ハードなジャズファンクが中心ですが、John Scofieldの色合いが強いブルージーな音。
 オルガンは今日的な感じだし、Tony Williamsと比べて聞いてみると、意外にもヘビーなJack DeJohnette
 ロックなジャズのLife Timeのイメージに対して、ブルージーなジャズの空気が全体を流れています。
 冒頭はJoe Hendersonのジャズブルース。
 叩きまくるJack DeJohnetteを背景にして、例のウネウネとしたブルージーなジャズギターの怒涛のソロ。
 続くフリービートなLarry Goldingsのバラードは、ECMっぽく幻想的な音を狙った・・・わけではないのでしょう?
 続くタイトル曲は三人の共作、あるいはインプロビゼーションでのファンキーなビート。
 ハイハットの鳴りが“On The Corner”(Jun.1972) Miles Davisっぽい気もするのですが、きっと気のせいでしょう・・・
 John Scofieldのギターが前面に出るとやはりブルージーさが前面に出ます。
 どちらが過激かはさておき、スムースに音が並ぶJohn McLaughlinに対して、引っかかりながらうねるようなJohn Scofield。
 中締めに置かれた激烈なLife Time ナンバー“Spectrum”での暴れ方も、オリジナルよりも過激です。
 その他、強烈に疾走する“Seven Steps to Heaven”, 漂うバラード“I Fall in Love Too Easily”も演奏されていて、所縁の深いMiles Davis、あるいはJohn Coltraneの”Big Nick”も含めて、広くジャズジャイアンツへのオマージュの意味合いもあるのでしょうかね。
 オリジナルの平和なジャズとは全く違う激しい演奏は、Life Time的といえばそうかもしれません。
 などなどを経ながら、締めはLife Timeのオープニングテーマの激烈曲”Emergency”。
 もちろんエネルギー全開のテーマ。
 その後、4ビートに遷移しますが、叩きまくるJack DeJohnette はもちろん、John ScofieldもLarry Goldingsもブチ切れたインプロビゼーションから、激烈なリフのリフレイン~ドラムソロで幕。
 オリジナルアルバムを引っ張り出してきて久々に聞いてみましたが、激烈さは同じですが、意外にもオリジナルの方がスムースかもしれません。
 そんなこんなで、最後は1970年代初頭に戻ったような激烈なエネルギー放出型ジャズ。
 あれ?、これ、21世紀に入ったECM制作だったよねえ・・・?


 

 posted by H.A.


【Disc Review】“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønen

“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønen
Thomas Strønen (drums, percussion)
Kit Downes (piano) Håkon Aase (violin) Ole Morten Vågan (double bass) Lucy Railton (cello) Siv Øyunn Kjenstad, Steinar Mossige (percussion)

Time Is a Blind Guide
Thomas Stronen
Imports
2015-10-30


 ノルウェーのドラマーThomas Strønen、ストリングス入りのコンテンポラリージャズ。
 先の“Parish” (2004)から、間にサックスとのDuoユニット”Food”の作品が何作かありますが、リーダー作としては十年以上間を空けた久々のアルバム。
 それらの作品からすれば、現代のヨーロピアンフリージャズ御用達のドラマーのイメージ、実際その通りなのかもしれませんが、本作は自作の楽曲を中心としたメロディアスな演奏も沢山収められています。
 妖し気なムードはここまでの諸作そのままに、メロディ、展開が明確な楽曲が目立つ分、わかりやすく、フリージャズ色は薄くなっています。
 むしろ穏やかで優しい音楽。
 変則な編成ですが、ピアノトリオにチェロとバイオリンがフロントのクインテット+パーカッションと見えなくもありません。 
 フリーな場面はほどほど、不協和音もほどほど、半数以上は明確なメロディのあるフリーではない演奏。
 冒頭は意外にも「定常」なビート、美しいピアノと強い緊張感のストリングスが交錯するハイテンションなジャズ。
 Jack Dejohnetteを想わせるヒタヒタと迫りくるグルーヴ、美しいピアノ、緊張感含めて1970年代のECM戻ってきたようなムードもあります。
 もちろん全体を眺めればリーダーのパーカッションは、基本的には繊細かつ変幻自在ないつもの色合い。
 冒頭曲などの一部を除けば、なかなか定常なビートは出しません。
 バンドのビートが定まってもパーカッションだけがフリー、なんて場面もちらほら。
 ま、リーダーだもんね。好きに表現してもらいましょう。
 ストリングスはオーソドックスなアンサンブルではなく、妖しく緊張感を醸し出す系。
 バイオリンが胡弓に聞こえてしまう不思議感。 
 フリーなパーカッションとあわせて、崩れそうで崩れない、危うくスリリングな場面もしばしば。
 そこから徐々にビートが定まっていき、中盤から疾走する”I Don't Wait For Anyone”など、最高にカッコいい。
 なぜかPat Metheny&Lyle Mays風の雰囲気だったり・・・
 ECMの定番ルバートでのスローバラードもあり、ストリングスを絡めて妖しさ倍増。
 初めて聞くイギリス人ピアニストKit Downesのパキパキした美しい音、フレージングもいい感じです。
 全曲オリジナル曲、キッチリしたメロディの曲は、ノルウェーの人らしく郷愁感を誘う懐かし気なメロディがいくつも。
 やはりノルウェーの人に染み込んでいるメロディはそんな感じなのでしょう。
 なぜか日本の民謡、童謡にも通じるメロディ。
 やはり、全体通じて、ここまでの作品とはかなり印象が異なります。
 フリーな演奏が散りばめられた、優しくメロディアスなジャズ。
 懐かしさ、安らぎと、想像力を搔き立てる抽象性、先が読めないスリルとのバランス。
 このバランスは希少、とても素敵だと思います。



  

posted by H.A.
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