吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

clarinet

【Disc Review】“In Cerca Di Cibo” (1999) Gianluigi Trovesi, Gianni Coscia

“In Cerca Di Cibo” (1999) Gianluigi Trovesi, Gianni Coscia
Gianluigi Trovesi (Piccolo, Alto, Bass Clarinet) Gianni Coscia (Accordion)
 
In Cerca Di Cibo
Gianluigi Trovesi
Ecm Import
2000-07-25
ジャンルイージ・トロヴェシ 

 イタリアのクラリネット奏者Gianluigi Trovesi、同じくイタリアのアコーディオン奏者Gianni CosciaのDuo作品。
 近年では“Birdwatching” (2015) Anat Fortで素晴らしい客演、リーダー作も“Vaghissimo Ritratto” (2007) Gianluigi Trovesiなどなど、たくさんのアルバムがありますが、これがECMでの初制作でしょうか?
 ECMの管楽器奏者に多い艶のある張り詰めた音、さらに強いクラシックの香り。
本作はイタリアの作曲家Fiorenzo Carpiの映画音楽?を中心とした作品。
 それをアコーディオンとのDuoで演奏するのだから、オシャレで上品、哀愁が漂う音になること受け合い。
 冒頭から低くストリングスのように響くアコーディオンの音を背景にして、朗々と奏でられる物悲し気なワルツ。
 クラシカルでノスタルジックなムードの穏やかな演奏が続きます。
 一曲一曲がコンパクトに納められ、次々と情景が移ろっていくような作り。
 ジャズ的なグルーヴや興奮、強烈なインプロビゼーションの場面はわずかですが、暖かで緩やかな時間が流れていきます。
  “New Cinema Paradiso”の寂寥感まではいきませんが、コミカルな楽曲含めて、小粋な演奏が続きます。
 明るい方のイタリアンテイスト、フレンチとも共通する色合い。
 のほほんとした感じ。
 ECMとしては異色な作品なのでしょう。
 明るく暖かな音はレーベルカラーとは全く違います。
 21世紀になってからはこんな作品もちょこちょこありましたかね。
 平和な昼下がりのECMな音。
 ジャケットもそんな感じですね。

 


posted by H.A.




【Disc Review】“Soltando Amarras” (1998) Quique Sinesi, Marcelo Moguilevsky

“Soltando Amarras” (1998) Quique Sinesi, Marcelo Moguilevsky
Quique Sinesi (guitar, etc.) Marcelo Moguilevsky (reeds, voice, etc.)
Calros Aruirre (paino)

Soltando Amarras
Quique Sinesi
Espa Music
キケ・シネシ、マルセロ・モギレブスキー


 現代フォルクローレのギタリスト、Quique Sinesi、リード奏者とのDuo作品。
 “Danza Sin Fin” (1998)と同時期の録音、質感も同じ。
 これまた優雅で郷愁感が滲み出る名曲、名演奏揃い。
 冒頭曲こそハイテンション、ハイスピード、聞き慣れない笛が前面に出ますが、以降は穏やかで優しいメロディ、優雅な演奏が続きます。
 Marcelo Moguilevskyはクラリネット、ソプラノサックスを中心に、フルート、ボイスまでまで様々な楽器を駆使した演奏。
 この人もジャズの経験がある人なのでしょうかね。
 いい感じのグルーヴ、どの楽器にしても素晴らしい表現力、抑揚感。 
 Quique Sinesiのギターはソロ作品と同様の瑞々しさ。
 ギターソロではなくMarcelo Moguilevsky が背景を作ってくれる分、Quique Sinesiのシングルトーンのギターソロもたっぷり。
 ジャズ、スパニッシュ、その他が混ざり合ったような質感。
 スローテンポのタメとアップテンポでの強烈な疾走感、そのバランス、組み合わせががなんとも優雅でカッコいい。
 グルーヴに乗ったカッコいいインタープレーの場面もしばしば。
 Calros Aruirreは一曲のみの提供、客演ですが、これまた素晴らしい内容。
 ジャズファン目線で見たフォルクローレ、違和感があるとすれば、ビートが弱いこと、インプロビゼーションのスペースが小さいことがその要因なのでしょう。
 本アルバムはインプロビゼーションたっぷり、全編通じて穏やかなスウィング。
 優雅なビート感に慣れてしまえば、こちらの方が心地よかったりします。
 純粋にギターを聞きたいならば、あるいは静謐を求めるのであれば“Danza Sin Fin” (1998)の方が良いかもしれません。
 こちらのアルバムには、同様の質感に加えて、上品な高揚感、興奮もあります。
 どちらが良いかはお好み次第、というか、その日の気分で決めればよいのでしょう。
 どちらも同じぐらいに上質、周囲の空気が浄化されるような素晴らしい音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Miramari” (2008) Andre Mehmari, Gabriele Mirabassi

“Miramari” (2008) Andre Mehmari, Gabriele Mirabassi
André Mehmari (Piano, Pandeiro) Gabriele Mirabassi (Clarinet)
Ricardo Mosca (Drums) Ze Alexandre Carvalho (Double Bass)

Miramari
Andre Mehmari
EGEA ‎

アンドレ メマリ 
ガブリエル ミラバッシ


 ブラジルのピアニストAndre Mehemari、イタリアのクラリネット奏者Gabriele Mirabassiとのとても優雅なDuo+α。
 Andre Mehemariとイタリアは何か縁があるのでしょうかね。
 ”Cinema Paradiso”の好演もあるし、特に初期のふわりとしたムード、哀愁と暖かさが交錯する空気感は、その映画と同じムード。
 エレガントでノスタルジックな香りが漂うこのアルバムもそんな雰囲気。
 インプロビゼーションの場面はありますが、各曲とも短め、楽曲のテーマ、アンサンブル中心の演奏。
 全体のムードはクラシック~室内楽な感じ。
 いつもの穏やかな哀愁が漂うオリジナル曲中心。
 エレガントなワルツから始まり、ブラジル曲なども挟みながら、終始穏やかな音。
 スローでは微妙なタメが聞いた優雅なピアノ。クラシックの香り。
 こぼれ落ちるような繊細な音使い。テンポが上がると強烈な疾走感。
 クラリネットの人の情報は持っていませんが、クラシック寄りのジャズの人なのでしょうかね。
 これまた終始上品に、スムースで穏やかな音。
 サンパウロの自宅スタジオでの録音のようですが、ローマ、ナポリあたりの陽光が見えるのは気のせいでしょうかね。
 明るく晴れた穏やかな日のBGMにピッタリ、そんな音楽。




posted by H.A.

【Disc Review】“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstone

“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstone
Norma Winstone (voice)
John Taylor (piano) Tony Coe (clarinet, tenor saxophone)

ノーマ ウインストン


 冬に合う音。
 厳しい冬ではなく、優しい冬に似合う音。
 ゆっくりと漂うように、静かに零れ落ちるピアノの音と、乾いたvoice。
 まどろむ空間に覚醒を促すクラリネットの響き。
 三者の複雑で有機的、かつ自然な絡み合い。
 極めて上質な、落ち着いた時間、空間。




posted by H.A.

【Disc Review】”Real Time” (1994) Eddie Daniels

”Real Time” (1994) Eddie Daniels
Eddie Daniels (clarinet, tenor sax)
Chuck Loeb (guitar) Ned Mann (bass) Adam Nussbaum (drum)

Real Time
Chesky Records
1994-08-29
エディ ダニエルズ

 Anat Cohenで思い出したクラリネットのEddie Daniels、シンプルなジャズ・アルバム。
 クラリネット、音色がやさしいし、何となくノスタルジックな感じで、とてもいい感じ。
 でもそんな雰囲気がいいのか悪いのか、最近のジャズでは希少。
 さすがにスイング時代のものは録音の古さ含めてそれを聞くつもりで聞かないといけないし、最近だと前掲のAnat Cohen、あるいはECMレーベル系で出てきても、リラックスして聞けるタイプの音は少ないかも。
 で、この人の登場。
 さすがにジャズ系の第一人者だけあって、とても上手くて気持ちよく聞ける音。
 優しげなだけでなくて芯がある音、自然でかつメリハリの利いたフレージングがいい感じ。
 このアルバムでは半分ぐらいテナーサックスも吹いていますが、全部クラリネットで吹いてもらいたいぐらい。  フュージョン系の作品も多いのかもしれませんが、このアルバムはジャズ。
 バックはシンプルなギタートリオ、ベースはウッドベース、4ビート中心。
 ところが、ギターがChuck Loebなだけにそこそこのフュージョン臭。
 実はこれがいい感じ。
 Chuck Loeb、近年はメジャーなバンドFour Playとかに参加して人気なのでしょうが、このころから本当にキレイな音。
 音のキレイさだけだとこの人の右に出る人はいないのでは?
 ソリッドギターっぽいシャープな音色、透明感の強いクリーントーン、リバーブかディレイかコーラスが少々強めでスペーシー。
 Pat Methenyをさらに透明にしてスムースにした感じ。
 このアルバムはそんなギターの音の空間に包み込まれるような心地よさ。なかなか素直なジャズはやらない人なので、その意味でも貴重なアルバム。
 ということで、最高の音色を出すお二人が、交互に音を出してくれるお気に入りのアルバム。
 スムース・ジャズと言ってしまうと別のジャンルの音楽になってしまうのでしょうが、まさにそんな音。

※こちらは純ジャズ。ノスタルジックでいい感じ。

posted by H.A.

【Disc Review】 “Notes From The Village” (2008) Anat Cohen

“Notes From The Village” (2008) Anat Cohen
Anat Cohen (Clarinet, Tenor,Soprano Saxphone, Bass Clarinet)
Jason Lindner (Piano, Fender Rhodes, keyboard) Omer Avital (Bass) Daniel Freedman (Drums & Percussion) Gilad Hekselman (Guitars)
 
Notes From the Village
Anat Cohen
Anzic Records
2008-09-09
アナット コーエン

 イスラエルの女性ホーン奏者Anat Cohen。
 もの凄くカッコいい音、吹きっぷり。
 名前は聞いていたけど、正直、Gilad Hekselman目当て、後追いで聞いたCD。
 ここまで凄い奏者とは想像していませんでした。
 音がキレイ、リズムへの乗り方がカッコいいし、流麗かつ強烈な抑揚。
 起承転結を踏まえたインプロビゼーションの構成力もさることながら、音符のつなぎ方、置き方が何か違うんだろうなあ。
 計算づくではできない、天才にしかできない何かを持っていそうな感じ。
 全体のイメージはいかにもイスラエルジャズ。
 ちょっと変わったリズム、ほのかなエキゾチシズムと哀感が流れるメロディ。
 Coltraneの”After Rain”が入っていますが、そのイメージ。兄は同質の”Dear Lord”をやっていましたが、何かあるんでしょうかね。
 リズム、メロディの感じは日本に通じるものを感じるのだけど、どうなのでしょう?
 北欧はメロディが日本っぽいけど、イスラエルはリズムも近い気がするのはなぜ???
 さておき、サイドのメンバーも素晴らしい演奏。
 リズムへの乗り方がなんだか違う。
 グルービー、どの曲も盛り上がってエキサイティング、でもちょっぴりクール。
 ドラムもピアノもベースもみんなもの凄くうまい。
 さらに、なんだかエキゾチック。
 人気があるのも納得、のイスラエルジャズ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Post Scriptum” (2010) Wolfert Brederode

“Post Scriptum” (2010) Wolfert Brederode
Wolfert Brederode (piano)
Claudio Puntin (clarinets) Mats Eilertsen (bass) Samuel Rohrer (drums)

Post Scriptum
Wolfert Quartet Brederode
Imports
2011-07-26
ヴォルフェルト ブレデローデ




 オランダの若手のピアニストWolfert BrederodeのECM第二弾、最近作。
 前作“Currents” (2006)では抑え気味だったインプロビゼーションのスペースが増え、ジャズ度が増してきました。
 楽曲も同様、普通のジャズアルバムとして聞いてもおかしくない質感。
 とはいえ、相変わらず不思議感はてんこ盛り。
 前作と同様に、ピアノが同じリフを繰り返しつつ、リズムとクラリネットが変化をつけていく構成、あるいはピアノとクラリネットを入れ替えた構成も何曲か。
 リズムの取り方もベテラン陣にはない新しい感覚。
 美しく妖しい不思議な音使いのピアノと、静かなグルーブ感のドラムがカッコいいのは相変わらず。
 インプロスペースがはっきりした分、クラリネットの凄さも明確に。
 クールな質感ながら、フレージング、スピード感、抑揚ともに一級品。
 全体を貫くクールな緊張感、静かなグルーブ感、浮遊感、あくまで上品な昂揚感。
 美しく妖しい楽曲と、これも美しく妖しいインプロビゼーション。
 新しい感覚の音の流れ。
 見えてくるのは東欧あたりの深い森。
 やはり”Something Strange, but Comfortable”。 


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Currents” (2006) Wolfert Brederode

“Currents” (2006) Wolfert Brederode
Wolfert Brederode (piano)
Claudio Puntin (clarinets) Mats Eilertsen (bass) Samuel Rohrer (drums)

Currents (Ocrd)
Wolfert Brederode
Ecm Records
2008-08-19
ヴォルフェルト ブレデローデ



 ボーカリストSusanne Abbuehlのサイドで只者では無い感が漂う演奏をしていたオランダ?の若手、ジャズとしては新感覚?のピアニスト。
 何が新しいか、象徴的なのは一曲目。
 ピアノは、妖しげ悲しげなリフをひたすら繰り返すのみ。
 ドラム、ベースが微妙な変化を加えつつ静かにグルーブを作り、クラリネットが主旋律とインプロビゼーションっぽい音を乗せるのですが、ピアノはあくまでリフのみ。
 それでもものすごい緊張感。
 静謐な昂揚感、さらに浮遊感。
 ミニマル・ミュージック(よく知りませんが・・・)とは少し違うのでしょう。
 かつてのMilesのNefertittiが似た手法ではあるのでしょうが、質感は違う。
 グルーブと昂揚感は同様ですが、本アルバムはあくまでクールな質感。
 徹底しているのは一曲目だけですが、基本的にはそんな感じで最後まで。
 シンプルな曲にインプロビゼーションはあくまで控えめ、一歩間違えば単調な演奏になりそうですが、なぜか一曲ごとの起承転結が明確に感じられ心地よい。
 この感じは何なのだろう?
 まさに”Something Strange, but Comfortable”。


※ピアノとドラムのDUOですが質感は同じ。

posted by H.A.

【Disc Review】"Compass" (2004) Susanne Abbuehl

”Compass” (2004) Susanne Abbuehl
Susanne Abbuehl (voice)
Wolfert Brederode (piano) Christof May (clarinets) Lucas Niggli (drums) Michel Portal (clarinet)

Compass
Susanne Abbuehl
Ecm Records
2006-06-06
スザンヌ アビュール

 スイス~オランダのボーカリストSusanne Abbuehl 、ECMレーベルでの二作目。
 前作に続く静音ボーカル。
 一曲目、妖しげなバス・クラリネット、これも妖しげだけど美しいピアノが漂うような音使い。
 リズムが定まっているような、そうでもないような。
 ルバート的な浮遊感の強い音、寄せては返す波のようなピアノの上に、語るようなボイス。
 静かなのだけどドラマチック。
 相変わらずピアノがカッコいい。
 Steve Kuhnを丸くしたような感じ?派手なソロは無いのだけども只者では無い感。
 ジャズと呼ぶには静的過ぎるのかもしれないけども、妖しく美しい音楽。
 夜の静寂(しじま)ジャズ。



posted by H.A.

【Disc Review】“April” (2000) Susanne Abbuehl

“April” (2000) Susanne Abbuehl
Susanne Abbuehl (voice)
Wolfert Brederode (piano, etc) Christof May (clarinets) Samuel Rohrer (drums)

April
Susanne Abbuehl
Ecm Import
2002-03-26
スザンヌ アビュール



 スイス?オランダ?のボーカリストSusanne Abbuehl。
 出自やキャリアはよく分りません。
 素直な声質、語るような歌唱はポップス系の人なのかもしれませんが、静かで怪しげ、美しいヨーロピアンジャズサウンド。
 ほぼ全曲ゆったりとしたバラード。
 同レーベルの大御所Norma Winston的ではあるものの、同様の深遠さ、妖しさはあるものの、もう少しポップで現代的、サラリとしたイメージ。
 オリジナル曲に加えてCarla Bleyナンバーから'Round Midnightまでカバーもいくつか。
 全てが彼女流の静謐な世界。
 サポートの御三方も秀逸、Wolfert Brederodeの妖しげで美しいピアノ、控え目ながら的確に反応しつつ、あくまで静かなビートを出すドラム、盛り上げ役ではなく逆に静謐さを際立たせるクラリネット。
 Milesの'Round Midnightは都会的で少々ヤクザな真夜中だけど、こちらは人里離れた教会的な静謐な真夜中。
 林の暗がりから大きなシカっぽい動物がじっとこちらを見ている感じの絵。
 ジャケットは銀河っぽいですが、雰囲気は少し寒い夜の静寂(しじま)。
 冬の晴れた夜空の音と言えばその通り。





posted by H.A.
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