“Characters On A Wall” (2019) Louis Sclavis
Louis Sclavis (Clarinets)
Benjamin Moussay (Piano) Sarah Murcia (Double Bass) Christophe Lavergne (Drums)
フランスのクラリネット奏者Louis Sclavis、2019年作、オーソドックスなジャズ編成カルテット。
本作では先端エレキギターもバイオリンもエレピも出てきません。
そんな普通な編成で、普通に寄った摩訶不思議なLouis Sclavisワールド。
例の妖しい旋律を奏でるクラリネットと、あくまでメロディアス、不協和音までが美しいピアノが絡み合う美しいコンテンポラリージャズ。。
ECMでのお約束、ルバートでのスローバラードの時間もたっぷり。
Benjamin Moussayは“Sources” (2012)辺りからの準レギュラーなのだと思いますが、この共演でこれほど普通にコンテンポラリージャズピアノを演じることはなかったように思います。
ECMでのソロ作品“Promontoire” (2019)よりも強い躍動感。
漂い、零れ落ち、ときに疾走する、クラシックをまとった美しい音。
タダ者ではない感、たっぷり。
ECMでのソロ作品“Promontoire” (2019)よりも強い躍動感。
漂い、零れ落ち、ときに疾走する、クラシックをまとった美しい音。
タダ者ではない感、たっぷり。
そんなピアノが全体のイメージを支配している感じでしょうか、例の不穏さはなく、激しさ、妖しさ、不思議さが抑制された印象。
漂うビート、美しいピアノの響きの中を泳ぐ艶やかなクラリネット。
現代音楽的、あるいは激しいプログレッシブロックな場面はなく、4ビートとはいかずとも、あくまでジャズな感じが勝ります。
全編通じて不思議さはほどほど、抑制された美しいヨーロピアンコンテンポラリージャズ。
毒気をお求めの向きには、さて、どうでしょう。
ぶっ飛んだり死に至ったりする感じはありませんが、十分に痺れるほどの成分が混ざっていると思います。
私的にはこのくらいがちょうどいい感じ。
美しい音が支配する名演奏。
posted by H.A.