吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

bass

【Disc Review】“Extended Play: Live at Birdland” (2000) Dave Holland

“Extended Play: Live at Birdland” (2000) Dave Holland

Dave Holland (double bass)
Steve Nelson (marimba, vibraphone) Billy Kilson (drums)
Robin Eubanks (trombone, cowbell) Chris Potter (alto, soprano, tenor sax) 



 Dave Holland、2000年作、ライブ録音。
 編成は“Points of View” (1998)からのヴィブラフォントリオ+二管のクインテット。
 ほとんどが10分越え、20分を超える演奏も何曲かの激しいジャズ。
 スタジオ録音作品から多くの楽曲が取り上げらていますが、同じ楽曲とは気づかない凄まじい演奏。
 各曲ともアンサンブルはスタジオ録音の色合いと大きくは変わっていないのだと思うのですが、長尺なソロを含めて熱量とテンションが別次元。
 ゴリゴリブリブリ、凄まじい音量とスピードで突っ走るサックス、それに呼応するこれまた凄まじいドラム。
 ホーンが引くと音量が下がって一息つき、ベースのソロ、ドラムとのバース交換(今や懐かしい?)、もちろんヴィブラフォンが前面に出る時間もたっぷり。
 ヴィブラフォントリオでドラムがずーっと凄まじいソロ状態の場面がカッコいい。
 ホーンと対等にフィーチャーされていますが、音量が小さい分、目立つ場面が少なくなった感じもします。
 一息つくと怒涛のような音圧のホーン陣。
 甘さのないメロディ、演奏は、いつもながらのクールでハードボイルドなこの人の音楽の色合い。
 とても激しい演奏ですが、1960-70年代のような混沌や絶叫はありません。
 が、紛うことなき超ド級熱血ジャズ。
 そんなDave Hollandバンドの生身の記録。




posted by H.A.


【Disc Review】“Points of View” (1997) Dave Holland

“Points of View” (1997) Dave Holland

Dave Holland (double bass)
Steve Nelson (marimba, vibraphone) Billy Kilson (drums)
Robin Eubanks (trombone) Steve Wilson (alto, soprano sax)

Points of View
Billy Kilson
Ecm Records
1998-09-15


 Dave Holland、1997年作。
 ヴィブラフォントリオ+二管のクインテット、Steve Nelsonのみが残り、めまぐるしくメンバーは変わります。
 ドラムは前作の鬼のようなGene Jacksonからこれまた鬼、この後長く共演するBilly Kilson、管はM-Base閥。
 後にビッグバンドまで拡大していきますが、“The Razor's Edge” (1987)あたりまでの分厚い感じとは少し違ったスッキリ系。
 ヴィブラフォンのクールで甘い響きゆえなのか、計算されたアンサンブルゆえなのか。
 いずれにしてもテーマ一発、順にソロを回して・・・ってなシンプルな感じよりも、複雑なテーマを複雑なアンサンブルでキッチリ決めつつ、ドカーンとくる各人のソロ、コレクティブなインプロビゼーションへと繋いでいく凝った編曲。
 ヴィブラフォンが前に出る場面も本作ではたっぷり。
 さらに乾いたスネアの音が目立つ激しいドラム。
 そして締めはマリンバの音がすっとぼけてるんだか、妖しいんだか、長閑なラテン調のトリオ演奏で締め。
 これまた珍味でよろしいのでは。
 この後音量とテンションをさらに上げていくバンド、ヴィブラフォンが目立つアルバムはこれが最後でしょうか。
 そんなバランスのDave Hollandバンド。




posted by H.A.


【Disc Review】“Dream of the Elders” (1995) Dave Holland

“Dream of the Elders” (1995) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Steve Nelson (vibraphone) Gene Jackson (drums)
Eric Person (alto, soprano sax) Cassandra Wilson (vocals)

Dream of the Elders
Holland, Dave
Ecm Records
1996-03-26


 Dave Holland、1995年作。
 後々まで共演が続くビブラフォンが加わり、長くフロントを務めたSteve Colemanが交代、ドラムはこれまたスタイリストGene Jacksonに交代。
 形としてはワンホーンカルテット。
 さらにこれまたM-Base閥、後の女王Cassandra Wilsonが一曲に参加。
 例のドスの効いたビート、無骨で愛想のない楽曲に、ビブラフォンの涼しげな音が加わります。
 音の感じは変わりました。
 サックスはよりシャープな印象、全体的には少し軽くなった感じがします。
 後の二管作品と比べるとヴィブラフォンの出番、存在感がたっぷり。
 サックスが達人であることは言わずもがななのですが、それが引いてヴィブラフォントリオになる場面もカッコいい。
 突っ走るヴィブラフォン。
 “Extensions” (1989)のギターとは違う印象の疾走感。
 涼し気なようでハイテンションな怒涛のような演奏。
 爽やか・・・とはニュアンスが違った、後々までも続く独特のクールネスと激しい演奏のバランスが定まった感じでしょうか。
 なおCassandraさんはこの期にして既に貫禄たっぷり、例の異次元から響いてくるようなドスの効いた声、妖しいムード。
 全部含めてカッコいいコンテンポラリージャズ、クールかつ激しい系。
 Dave Holland諸作、分厚い音がよければ二管以上、スッキリ系がよければ本作か“Extensions” (1989)って感じでよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“Extensions” (1989) Dave Holland

“Extensions” (1989) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Kevin Eubanks (guitar) Marvin "Smitty" Smith (drums) 
Steve Coleman (alto sax)

Extensions
ECM Records
2008-11-04


 Dave Holland、1989年作。
 前作“Triplicate” (1988)にギターが加わった入ったサックスカルテット編成。
 ギターは後の“Turning Point” (1992) などでも共演が続く、疾走ギターのKevin Eubanks
 ギターが加わっただけで景色はガラリと変わります。
 装飾なし、武骨なまでにハードボイルドネス最高だった前作のトリオに対して、決して派手ではない洗練された彩りとクールネスが加わります。
 たっぷりのリバーヴを効かせた上での繊細なクリーントーン中心、カミソリのような疾走ギター。
 心地よさ最高な音。
 時折のディストーション、チョーキング、ロックフレーズもあくまでシャープで上品。
 複雑なファンクなビート、そろそろ始まった頃なのであろうM-Baseな感じもたっぷり。
 そのうえでの浮遊感、疾走感、飛翔感。
 ハードボイルドネスたっぷり、クールネス最高、オシャレさも少々。
 Dave Holland諸作、これが一番カッコいい、というか私的な好み。
 でもECMレコードでのKevin Eubanks参加作品はこれ一作のみ、スタイリストSteve Colemanもここまで。
 ま、他のレーベルからカッコいい共演作がたくさん出ているので、うまくいったのでしょう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Triplicate” (1988) Dave Holland

“Triplicate” (1988) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin "Smitty" Smith (drums) 
Steve Coleman (alto sax)

Triplicate
ECM Records
1988-09-05


 Dave Holland、1988年作。
 しばらく続いた三管ピアノレスクインテットから、Steve Colemanだけ残し、ドラムにエレクトリックMiles時代の盟友を迎えたサックストリオ編成。
 分厚かったサウンドが削り取られ、研ぎ澄まされシャープになった音。
 諸作よりもジャズな感じがするのは、Jack DeJohnetteのドラムゆえでしょうか。
 ホーンのアンサンブルの中に隠れていいたベース、ドラムの動きが余白を含めて明確になりました。
 装飾なしの空間に響くアルトサックス。
 変な音を出すわけではないのになぜか不思議感たっぷり、変幻自在。
 グニョグニョしながら起承転結があるんだか無いんだかよくわからない節回し、太いんだか細いんだかわからない、でも綺麗な音。
 アルトが引いた時間のベースとドラムのみの飾り気のない時間が、これまたハードボイルド。
 ジャズスタンダードが少々加わっていますが、中心となるオリジナル曲は複雑で愛想のないメロディ。
 それがクールでハードボイルドといえばその通り。
 加えて、少人数での張り詰めた演奏が醸し出す緊張感。
 危機一髪とか、寄らば切るとか、タイトロープとか、そんな感じ。
 甘さや愛嬌なし。
 うるさくないので、大音量で聞いて心地よい音。
 クールでハードボイルドなDave Hollandのジャズ、真骨頂、ってな感じでよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Razor's Edge” (1987) Dave Holland

“The Razor's Edge” (1987) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin Smitty Smith (drums) 
Kenny Wheeler (flugelhorn, trumpet, cornet) Robin Eubanks (trombone) Steve Coleman (alto saxophone)

Razor's Edge
Holland, Dave
Ecm Records
2000-06-06


 Dave Holland、1987年作。
 “Jumpin' In” (1983), “Seeds of Time” (1984)に続く三管、ピアノレスでのクインテット。
トロンボーンが交代し、Kenny Wheeler以外は変拍子ファンクジャズ集団M-Base閥で固められました。
 が、この期はまだまだ普通にジャズ。
 冒頭からこれECMでやるの?な明るく平和な感じの“ど”ジャズ。
 強烈な推進力のリズム隊に、Kenny Wheelerさておき、黒々としたホーン陣。
 とてもモダンジャズ。
 が、二曲目はフリービート、全編ルバートっぽいバラード、いかにもECM。
 Kenny Wheelerの音が聞こえるとヨーロピアンハイテンションジャズに聞こえてきたり、やっぱり平和でブルージーなジャズだったり、危機感煽り系の演奏はSteve Colemanの曲だったり・・・
 そんな色合いが交錯します。
 ピアノレスゆえのたっぷりの空間を埋め尽くすのはボコボコと鳴り響くベース。
 華やかな音でないだけにクールでハードボイルド。
 そんな中で響くホーンの残響音が孤高な感じで、これまたハードボイルド。
 ここから先は編成をさまざまに変えつつ、クールでハードボイルドなジャズが続きます。

※別のバンド、アルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Seeds of Time” (1984) Dave Holland

“Seeds of Time” (1984) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin "Smitty" Smith (drums)
Kenny Wheeler (trumpet) Julian Priester (trombone) Steve Coleman (alto sax)

Seeds Of Time
Dave Holland Quintet
ECM
2019-01-18


 Dave Holland、1984年作、ピアノレス三管クインテット。
 ECMでのこの編成は、“Jumpin' In” (1983)に続いての二作目でしょうか。
 1970年代、エレクトリックMiles、“Conference of the Birds” (1972)や“Balladyna” (1975)  Tomasz Stankoなどほどのエネルギー放出型ではない、でも激しい系ジャズ。
 ECM御用達のトランペット、トロンボーンに、後の変拍子ファンクジャズM-Base閥の親分Steve ColemanとMarvin "Smitty" Smithの若手の組み合わせ。
 ホーンのアンサンブルはビッグバンドのように響き、その後ろで動きまくるベースと煽るドラム。
 沈痛陰鬱系やら勇壮系やら、やっぱりジャズっぽかったりやら、さまざまな表情のメロディに、フロント三者が絡み合いつつ徐々にブチ切れていくソロ。
 肉声なども交えつつのArt Ensemble of Chicago?なんて演奏も含めてフリーや混沌、激情系に突っ込んでいく場面も少々。
 気がつけば怒涛の中、でも調整は崩れない、クールでハードボイルドな空気感はそのまま、そんなバランス。
 ECMにしては普通にジャズっぽいかなあ・・・と思いつつも、美しい音を含めて醸し出される緊張感はこのレーベルならではなのでしょう。
 1970年代も今は昔、かつてのイメージと変わってほどほど落ち着いたジャズ、でも激しい系。




posted by H.A.

【Disc Review】“Conference of the Birds” (1972) Dave Holland

“Conference of the Birds” (1972) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Barry Altschul (percussion, marimba)
Sam Rivers, Anthony Braxton (reeds, flute)

Conference of the Birds
Barry Altschul
Ecm Records
2000-04-11


 Dave Holland、1970年代序盤、フリー混じりのコンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
 “Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)を始め、エレクトリックMilesの初期を支えた人。
 上記はもちろん、“1969Miles” (1969), “Balladyna” (1975) Tomasz Stankoなどでも凄まじい演奏が記録されています。
 リーダー作ではあくまでウッドベースでアコースティック4ビート中心、フリー混じりのジャズ。
 ファンク路線へ突き進むMilesバンドに長居しなかったのも納得の「ジャズ」。
 ピアノレス、複数ホーンは以降の作品とも共通する編成。
 本作の二人は凄まじいブチ切れサックス。
 テーマを決めたら怒涛の疾走。
 グルグルととぐろを巻くテナーに、激情を発しながら飛翔するアルト、ソプラノ。
 激しい演奏ながらビートを崩すことなくグングン前に進むベース、自由にアクセントを加えるドラム。
 1970年代エネルギー放出型ジャズのようで、どこか醒めた感じのクールネス。
 フリーなコレクティブインプロビゼーションなども交えつつ、これでもかこれでもかとそんな演奏がてんこ盛り。
 これは凄い。
 甘さゼロ、ダークで辛口、ハードボイルドなジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Eastward” (1970) Gary Peacock Trio

“Eastward” (1970) Gary Peacock Trio

Gary Peacock (bass) 
Masabumi Kikuchi (Piano) Hiroshi Murakami (Drums)

イーストワード
ゲイリー・ピーコック
ソニー・ミュージックレコーズ
1997-09-21


 Gary Peacock、1970年、日本で制作したピアノトリオ。
 ピアノは菊池雅章氏。
 フリー色はありませんが、モダンジャズからははみ出したコンテンポラリージャズ。
 少々硬質な質感の録音、とても繊細な音、キリッとした質感のクールなジャズ。
 ベースは饒舌ながらハードボイルドなあの佇まい。
 楽曲はあのごっつくて気難しい印象ではなく、日本的な音の動きを交えつつのコンテンポラリージャズ。
 クールなジャズに優し気なワルツ、雅な展開、ジャズロック風、そして後々まで繰り返し演奏される”Little Abi”。
 とても繊細に聞こえるのは、リリカルなピアノ、あるいは日本の空気感故でしょうか。
 零れ落ちるような、ハラハラと舞い落ちるような、そんな場面がそこかしこ。 
 あの“Paul Bley with Gary Peacock” (1963, 1968) からはずいぶん経ち、“Tales Of Another” (Feb.1977)はまだまだ先。
 バタ臭い(死語ですか?)感じのそれらに対して、あくまで端正で楚々とした感じ。
 1970年代初頭の日本、モダンジャズから一歩踏み出たジャズ。
 繊細さ、そこはかとない日本っぽさがとてもモダン。




posted by H.A.



【Disc Review】“Not in Our Name” (2004) Charlie Haden Liberation Music Orchestra

“Not in Our Name” (2004) Charlie Haden Liberation Music Orchestra

Charlie Haden (bass)
Carla Bley (piano, arranger, conductor) Steve Cardenas (guitar) Matt Wilson (drums)
Michael Rodriguez, Seneca Black (trumpet) Curtis Fowlkes (trombone) Ahnee Sharon Freeman (French horn) Joe Daly (tuba) Miguel Zenón (alto saxophone) Chris Cheek (tenor saxophone) Tony Malaby (flute, tenor saxophone)

Not in Our Name
Charlie Haden Liberation Music Orchestra
Verve
2005-08-30


 Charlie Haden、2004年、21世紀に入ってのLiberation Music Orchestra、“Dream Keeper” (1990)以来のアルバム。
 楽器編成は大きく変わっていないのだと思いますが、もう一人の主役Carla Bley以外は全員新しいメンバー。
 初期のフリー色がなくなり、スッキリしたイメージ、メロディアスなコンテンポラリージャズ。
 例のアバンギャルド、あるいは涙ちょちょ切れなセンチメンタル曲中心ではなく、Pat Metheny/ Lyle Mays/ David Bowie, Ornettte Coleman, Bill Frisellなどなど、縁のありそうな面々の楽曲が多く取り上げられています。
 お約束?のスパニッシュテイストあり、レゲエあり、霊歌風あり、ワルツあり。
 手練れた管楽器のインプロビゼーション、ところどころに彩りを加えるギター、沈み込むベース。
 かつての混沌、ドロドロした情念のようなもの、フリーキーな音、嗜虐感などなど、とんがった音が表出される場面はほとんどありません。
 アレンジもひねくれた感じはなく、おおむねオーソドックスでスッキリ爽やか。
 テーマは母国アメリカなのでしょう。
 何かしらの問題を糾弾する、あるいは悲哀で覆われた感じはなく、おおらかな空気感。
 大人になったというか、平和になったというか。
 もちろんリズム隊もフロント陣も名人芸の手練れた演奏。
 個々の楽曲のメロディとインプロビゼーションが前面に出る、洗練された現代的なジャズ。
 くすんだイメージの“Liberation Music Orchestra” (1969)のジャケットを模した明るい雰囲気のカラフルなジャケット、そのままな音。
 メッセージ、あるいは時代感さておき、トゲが取れて丸くなった、そんなLiberation Music Orchestra。




posted by H.A.

Profile

jazzsyndicate

【吉祥寺JazzSyndicate】
吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。
コンテンポラリー ジャズを中心に、音楽、映画、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ