吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

bass

【Disc Review】“Telephone” (1984) Ron Carter, Jim Hall

“Telephone” (1984) Ron Carter, Jim Hall

Jim Hall (guitar) Ron Carter (bass)

Telephone
Ron Carter
Concord Records
1990-10-25


 Ron CarterとJim HallのDuo、ライブ録音。
 ライブ録音の“Alone Together” (1972)、“Live at Village West” (1982)の続編。
 二人のオリジナル曲が半分にジャズスタンダードが半分の構成、それらと同様。
 但し、会場がライブハウスから大会場になり、グラスの触れ合う音も聞こえてきません。
 その空気感のせいか、音のイメージも少し変わった感じ。
 沈んだ感じがなくなり、元気いっぱい動きまくっている印象。
 あの"Alone Together"までがスウィンギーでアグレッシブな感じに様変わり。
 ライブハウスとは違って大観衆、曲が終わるごとにやんややんやの大歓声なのだから、ま、そんな感じになるのもむべなるかな。
 ベースがブンブンうなりながらグングン前に進んで、ギターもマッチョな感じ。
 あの消え入るような儚く繊細な音の動きは色んな場面であるのですが、音の勢い、空気感に飲み込まれて、さてどうでしょう。
 “Alone Together” (1972)、“Live at Village West” (1982)、本作と、歳月が進むにつれ、アグレッシブに変わってきている感じでしょうかね。
 とかなんとか、そんな子細なことは横に置いて、会場にいるつもりになって、達人たちのノリノリの名人芸を堪能するのが吉。




posted by H.A.


【Disc Review】“Live at Village West” (1982) Ron Carter, Jim Hall

“Live at Village West” (1982) Ron Carter, Jim Hall

Jim Hall (guitar) Ron Carter (bass)

Live at Village West
Ron Carter
Concord Records
1992-10-16


 Ron CarterとJim HallのDuo、ライブ録音。
 “Alone Together” (1972)の続編。
 10年ほど空いているようですが、ジャズスタンダードを中心としていくつかオリジナル曲の構成、空気感も同じ。
 “Circles” (1981)と同じくConcord Jazzからですが、ギターの音は“Alone Together” (1972)に近いイメージ、軽くエフェクティングされたような“Circles”に対して、少々堅め、鉄線弾いてます系に戻った感じ。
 また、コードストロークでバッキングする場面が増え、ま、それもお好み次第。
 静かで少し沈んだムードはまだまだ続いています。
 お約束?の“St. Thomas”までもがおとなしい感じになってしまうのもご愛敬。
 ジャズスタンダードもさることながら、中盤のオリジナル曲、バラード“New Waltz”、南米風、あるいはPat Metheny風の”Down from Antigua”がカッコいい。
 もちろん要所々にあの消え入るような繊細な音が散りばめられています。
 沈んだところから一気に駆け上がり、そして高い所でくるりと回って消えてゆく瞬間の儚いこと、カッコいいこと。
 それが気になりだすと、逆に普通のテーマ演奏までが別のモノののように聞こえてきます。
 本ステージもそんな音がてんこ盛り。




posted by H.A.



【Disc Review】“Alone Together” (1972) Jim Hall, Ron Carter

“Alone Together” (1972) Jim Hall, Ron Carter

Jim Hall (guitar) Ron Carter (bass)

Alone Together
Jim Hall / Ron Carter
Ojc
1991-07-01


 名手たちのDuo、ライブ録音。
 居並ぶ有名スタンダードにオリジナル曲を少々。
 ギターのコードワークのアドリブで攻めた“St. Thomas”からスタート。
 とてもリラックスしたムード。
 が、 “Alone Together”のメロディがベースで奏でられた後のギターソロで目が覚めます。
 決して長くはないインプロビゼーションながら、静かな空間に消え入っっていくような繊細で美しいギター。
 とても儚い音。
 聞き流していると印象に残らないかもしれない奥ゆかしさ。
 艶やかなクリーントーンのギターが紡ぐとても美しい綾。
 もののあはれ・・・、なんて言葉が頭をよぎる音。
 それが気になってしまうと、他にもどこかにあるんじゃない、とギターに留意して聞くと、何のことはありません。
 全編それ。
 その美しさに気が付いてしまうと、何気なく奏でられたような “Prelude to a Kiss”, “Autumn Leaves”などの旋律が何か特別なモノに聞こえてきます。
 オーソドックスな演奏、“Undercurrent”(1963)のような強烈なインタープレーの場面は少なく、強い音もない、地味な印象のアルバムなのでしょう。
 が、繊細な美しさが病みつきになるかも、の演奏集。




posted by H.A.



【Disc Review】“And Then Comes The Night” (2018) Mats Eilertsen

“And Then Comes The Night” (2018) Mats Eilertsen

Mats Eilertsen (bass)
Harmen Fraanje (paino) Thomas Strønen (drums)



 現代ECMのファーストコールベーシストのひとり、ノルウェーのMats Eilertsen、ECMでのリーダー作第二弾。
 編成はシンプルなピアノトリオ、前作”Rubicon” (2015)よりも淡く漂うような色合いが強くなった繊細で静かな音。
 ピアノは引き続き美しく繊細な音を奏でるオランダのHarmen Fraanje、ドラムはECM御用達、ノルウェーのフリー系Thomas Strønenに交代。
 いかにも近年のECM的なルバートでのスローバラードを中心とした、静かで淡い色合いの音。
 ベース、ピアノ、ドラム、三者三様の自由なビート。
 ゆったりと散りばめられていく美しい音。
 Keith Jarrettをより繊細にしたような静かなピアノ、変幻自在に動くこれまた繊細なドラム、音の流れ全体を下から支えるベース。
 余白の多い空間。
 自由な動きが拡散していくようで発散はせず、各人の波動は常に同期が取れているような、絶妙なアンサンブル。
 その静かで淡い音の流れの中から、ときおり表出するセンチメンタルなメロディ。
 そんな繊細なインタープレーが織り成す綾。
 夢うつつの時間、全身の力が抜けていくような音の流れが続きます。
 哀しげながら絶望でも激情でもない、穏やかな空気感、
 根底に流れているのはヨーロッパのSaudadeなのでしょうか。
 どこか遠いところへ誘う、静かなトリップミュージック。




posted by H.A.



【Disc Review】“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu

“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu 

Lars Danielsson (bass, cello) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn)

Summerwind
Paolo Fresu
Act
2018-09-28


 スウェーデンのベーシストとイタリアのトランペッター、大御所二名のDuo作品。
 下の方でうごめくベースあるいはチェロと、ゆったりと漂うようなクールなトランペット。
 冒頭、あの”枯葉”が別のモノのように響きます。
 二人のオリジナル曲を中心に、いくつかのヨーロピアンメロディ。
 Lars Danielssonのあの激甘メロディは抑制され、淡い色合いの漂うような音の流れ。
 内省的で沈んだ空気感。
 躍動するベースと、ゆったりしたトランペットの感傷的な音。
 今にも静止しそうなほどに漂いながら、ときに強烈に加速しながら、静かな時間は進んでいきます。
 各曲短い演奏、三分に満たない楽曲も散りばめられ、次々と切り替わっていく淡い景色。
 遠い過去を眺めているようにも聞こえるし、何気ない日常のクールダウンのようにも聞こえます。
 クールな佇まい、静かでスタイリッシュ、淡い色合い、沈んだ空気感。
 やはりメロディアス。
 日常の喧騒から離れ、夢うつつな時間が流れていくような心地よさ。
 そんな名人芸。




posted by H.A.



【Disc Review】“Xieyi” (1999,2000) Anders Jormin

“Xieyi” (1999,2000) Anders Jormin


Anders Jormin (bass)
Robin Rydqvist (trumpet, flugelhorn) Lars-Goran Carlsson (trombone) Nicolas Rydh (bass trombone) Krister Petersson (French horn)

Xieyi
Universal Music LLC
2009-02-25


 スウェーデンの名ベーシストAnders JorminのECMでのリーダー作。
 ECMでの録音は“Notes from Big Sur” (1992) Charles Lloyd、“Matka Joanna” (1994) Tomasz Stankoあたりからでしょうか。
 たくさんの作品に参加していますが、このレーベルでの初リーダー作。
 あくまでソロ演奏が中心。
 ホーンのアンサンブルは一分前後の短いインタールード的な楽曲のみ。
 堂々たるベースソロ。
 余分な音のない一人だけ、ベースだけの音。
 ジャズであれフリーであれ、スローテンポでも静かな音でもグルーヴを作る人ですが、一人であってももちろんそれ。
 静かなバラード演奏が中心。
 メロディアスな演奏もあれば、断片的なフレーズの連続、次々と景色が変わっていくようなインプロビゼーション的な演奏もあり。
 どこかで聞いた記憶があるようなメロディが現れては消えていく時間が続きます。
 静謐な空間に響く低い弦の響き、静かなグルーヴは心地よさ最高。
 どこか懐かしいような、遠くを眺めているような、断片的な記憶を探しているような不思議な感覚。
 ハードボイルドで静かな時間。




posted by H.A.


【Disc Review】“Casa” (2016-2017) Clara Presta, Federico Seimandi

“Casa” (2016-2017) Clara Presta, Federico Seimandi

Clara Presta (piano, voice) Federico Seimandi (bass)
Juan Pablo Theaux (timpe, guitar) Lisandro Mansilla (sax) Rodrigo Carazo, Guadalupe Gómez (voice)

Casa
Independiente
2018-02-05


 アルゼンチンの男女Duoの現代フォルクローレ。
 フォーキーで優しい、でも不思議感たっぷりな現代の音。
 ピアノとボーカルの女性とベースを中心として、楽曲によって少人数のゲストが加わる編成。
 音楽自体は静かなバラードを中心としたオーソドックスなテイスト。
 クラシック、ジャズ、フォルクローレ、少々のタンゴの香りがするポップス風味。
 ピアノもベースも奇をてらった感じでも派手な感じでもありません。
 むしろ訥々した感じ、少人数での南米ミュージックゆえの柔らかな浮遊感。
 さらに諸々ひねったような不思議感。
 シンプルなようで凝ったアレンジなのだと思います。
 全編に哀感が漂っていますが、激甘センチメンタルではない淡くてクールな感じ、複雑な動きのオリジナル曲は、いかにも現代の若者のメロディ。
 そんな音を背景にした、とても繊細で美しい声。
 ブラジルNo.1の超美声Gisele De Santiを薄めにしたような感じでしょうか?
 透明度高い可憐系、さらさらと流れながら、上に上がると自然に裏返る、ふわりとした心地よい声。
 素晴らしい歌なのですが、なぜか前面に出る感じではなく、ピアノ、ベース、ゲストのギター、サックスと対等にアンサンブルの一部として溶け込んでいるさり気ないイメージ。
 全編に漂うどこか懐かし気な空気感は、もちろん南米Saudade。
 などなど含めて、近年の現代フォルクローレの色合いが揃ったようなサウンド、優しい系。




posted by H.A.

【Disc Review】“Tangofied” (2012) Torben Westergaard, Diego Schissi

“Tangofied” (2012) Torben Westergaard, Diego Schissi

Torben Westergaard (bass) Diego Schissi (piano) 
Guillermo Rubino (violin) Paula Pomeraniec (cello) Santiago Segret (bandoneón) Ismael Grossman (acoustic guitar)

 デンマークのベーシストTorben WestergaardとアルゼンチンのピアニストDiego Schissi双頭リーダーバンドの現代タンゴ。
 Astor Piazzollaキンテートと同様の編成+チェロ。
 Astor Piazzollaの色合いが強く感じられますが、もう少し軽めで不思議感たっぷり。
 硬めのビート感に硬質なピアノ、とても哀し気な音色のバイオリンに、漂うバンドネオン、クールなギター、それらに重厚な背景を作りカウンターを当てるチェロ、そして不思議なエレキベース。
 計算されたアンサンブル、各人が代わる代わる前面に立ち、うねりを作りながら次々と変化していく背景のアンサンブルはいかにもタンゴですが、そんな中でエレキベースがファンクに跳ねる感じ。
 ピアノを中心とした全体のパキパキ感とベースの不思議な跳ね具合、さらに他の楽器の浮遊感の組み合わせがなんとも新しい感じ。
 リーダー陣のピアノとベースが後ろに下がる時間は強い浮遊感、とても優雅でクラシカルなムード。
 二人が戻るとピキピキパキパキしながら跳ねる感じの不思議な空気感。
 少々硬めの質感ながら、インプロビゼーションの場面では疾走系のジャズになるDiego Schissiのピアノがとてもいい感じ。
 一聴バラバラな感じが、なぜか自然に収まっていく感じがこれまた不思議。
 楽曲はAstor Piazzolla風もふんだんに取り入れた、哀愁、郷愁たっぷり、ドラマチックな構成。
 が、彼ほどの深刻感、沈痛感はなく、甘からず辛からず、そして曖昧過ぎない淡い色合いが中心。
 さらにどこかすっとぼけたような明るさがある不思議なテイスト。
 ベタつかないクールで乾いた質感もいかにも現代の音、そんなタンゴ。
 とても不思議な感じですが、とても素敵だと思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“Partners” (1989) Paul Bley, Gary Peacock

“Partners” (1989) Paul Bley, Gary Peacock

Paul Bley (piano) Gary Peacock (bass) 


Partner
Paul Bley
Sunny Side
2003-07-29


 Paul Bley, Gary PeacockのDuo作品。
 イタリアSoul Note、あるいはドイツECMからではなく、フランスのOwlレーベルから。
 同じくDuo、Soul Noteの“Mindset” (1992)と同様に、Duo、各々のソロを概ね三分の一ずつ。
 構成は似ているものの、そちらと比べると激しく動く音。
 Gary Peacockはどちらも激しい演奏ですが、こちらはPaul Bleyも激しい演奏。
 この人にしては珍しくしっかりと空間が埋まったRichie BeirachSteve Kuhnのようなピアノ。
 二人あわせてKeith Jarrett Standardsな場面もしばしば。
 いつものたっぷりのタメを効かせた美しいバラード演奏も何曲かあります。
 理不尽なまでのスケールアウトもいつも通りなのだと思いますが、音数が多い分、それが目立ちません。
 録音もなんだかきらびやか。
 太い音で音量も大きいベースと、たっぷりのエコーが効いた高音が強い派手な音のピアノ。
 ECMの音に慣れてしまった耳には新鮮に聞こえます。
 が、こちらの方が普通なのかな?
 クールでアーティスチックなPaul Bleyではなく、Gary Peacockの名人芸と、その熱に合わせるような何でも弾けるジャズピアニストPaul Bley。
 ま、普通のジャズピアノではないのですが・・・
 やはり名人は何をやってもカッコいい。




posted by H.A.


【Disc Review】“Paul Bley with Gary Peacock” (1963, 1968) Paul Bley

“Paul Bley with Gary Peacock” (1963, 1968) Paul Bley

Paul Bley (Piano) Gary Peacock (Bass) 
Paul Motian, Billy Elgart (Drums)

Paul Bley With Gary Peacock
Paul Bley
Ecm Import
2000-08-15


 Paul MotianGary Peacockを中心とした、あの時代の少し変わったジャズ。
 ECMの制作ですが、録音は別の時代なのだと思います。
 Paul Motian 参加のピアノトリオの聖典“Waltz for Debby” (1961)、そしてGary Peacockも参加した”Trio '64” (1964) Bill Evansから遠くない時期の録音。
 ベースはScott LaFaroを想わせるような激しい動き。
 普通のジャズのようで、モダンジャズとは何か異質な美しさを散りばめながら、さらに微妙にズレていくようなピアノ。
 二人の動きを意識していないようにも聞こえる、淡々と静かにビートを刻むクールなドラム。
 アコースティック4ビートのモダンジャズですが、なんだか変わっています。
 美しいようでザラついていて、変なようでやはり美しい不思議なバランスは、後のKeith Jarrettのバンドにつながっていくような音。
 Ornette Coleman二曲にPaul Bley二曲、因縁のAnnette Peacock二曲にその他何曲か。
 フリーな場面は多くはありませんが、何か三者が微妙にズレていくような、不思議なバランス。
 普通なようで何か違う、稀代のスタイリストお三方のクリエイティビティとクールネス。
 1960年代と1970年代、モダンジャズとフリージャズ、さらに後のジャズを繋ぐような一作。

※近い時期の演奏から。


posted by H.A.
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