吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

bass

【Disc Review】”Rendezvous Suite” (2009) David Murray, Jamaaladeen Tacuma

”Rendezvous Suite” (2009) David Murray, Jamaaladeen Tacuma
David Murray (Tenor Saxophone, Bass Clarinet) Jamaaladeen Tacuma (Bass Guitar)
Ranzell Merrit (Drums) Mingus Murray (Guitar) Paul Urbanek (Keyboards)
 
Rendezvous Suite
Jamaaladeen Tacuma
C Major
2013-01-29
デヴィッド・マレイ
ジャマアラディーン・タクマ


 真っ黒けな音の過激なサックスDavid MurrayとヘビーなファンクのJamaaladeen Tacumaの共演作。
 名前だけで鬼も逃げ出しそうな恐ろしいコンビですが、その通りのいかつい音。
 似たタイプの共演で名作“Layin' in the Cut” (2000) James Carterがあり、近いムードですが、本作の方が少しだけジャズに寄っているかもしれません。
 楽曲はJamaaladeen Tacuma作のファンク。
 例によってヘビーなベース。
 ちょっと前の時代のような、ベンベンってな感じの音が強烈な存在感。
 決して音数が多いわけでもフレージングが派手なわけでもないのにさすがの凄み。
 黒光りしているようなベースですが、さらに黒光りするようなテナーサックス。
 “Layin' in the Cut” (2000) James Carterも十二分に怖いですが、さらに親分登場・・・ってな感じ。
 あちらが激走超大型タンクローリーのような音だとすれば、こちらは黒塗りの大型セダン。
 ゆったりと前に進むようなグルーヴに、決して激しく叫ぶわけではないドスの効いた真っ黒けのサックス。
 なんだか余裕があって「相対的には」上品に聞こえたりもします。
 不良な大人の音。
 一番やんちゃなのは何曲かで大きくフィーチャーされるギター。
 Jimi Hendrixを離散型にした感じのズルズルグチョグチョな音。
 全編?8ビート、ミディアムテンポのファンク。
 ベースはもちろん、シンセサイザー的な音も所々に入って、表面上は全くジャズっぽくありません。
 それでもどことなくジャズな香りがします。
 なんだかんだでDavid Murrayのサックスがジャズっぽいからでしょうかね?
 ファンク、ラテン、アフリカなんでもこいの人ですが、やっぱりジャズの人。
 そんな微妙なバランスがなんとも不思議なジャズファンク、あるいはファンクジャズ。
 真っ黒けの過激な音。

※こちらはJamaaladeen Tacuma在籍中のOrnette Colemanのバンドから。
 近いかな?違うなあ・・・?


posted by H.A.

【Disc Review】“Polska” (2013) Możdżer, Danielsson, Fresco

“Polska” (2013) Możdżer, Danielsson, Fresco
Leszek Możdżer (piano, celesta, vibraphone, synth) Lars Danielsson (cello, bass) Zohar Fresco (percussion, vocal) and Orchestra

Polska
Leszek Mozdzer
ACT
2013-12-25
レシェック モジジェル
 
 ヨーロッパのスーパーピアノトリオ、“The Time”(2005)、“Between Us & The Light” (2006)に続く第三作。
 間にライブ作品“Live” (2005,2006)もありますが、かなり間を空けての作品のようです(?)。
 前の作品まではポーランドのレーベルからでしたが、本作はドイツのACT。
 ACTでこのトリオでは初めてですが、“Tarantella”(2009) Lars Danielsson、“Komeda”(2011)Leszek Mozdzer、"The Last Set" (2012) Walter Norris & Leszek Mozdzerなど、さまざまな作品をACTで制作しています。
 レーベルは変わりましたが、トリオの色合いは変わりません。
 穏やかで美しい、でもちょっと不思議系のヨーロピアンジャズ。
 Leszek Mozdzerの作品よりも穏やかなことはもちろん、Lars Danielsson諸作よりも穏やかでしょう。
 録音の感じは、少し丸くなったイメージでエコーもたっぷり。
 あのカミソリのようなピアノが少々マイルド、とても心地よい音。 
 相変わらずLeszek Mozdzerのクラシックの香りとアグレッシブさ、Zohar Frescoのエキゾチシズムと寂寥感、郷愁感、Lars Danielssonのセンチメンタリズムが交錯する音。
 本作は冒頭から敬虔なムードが漂う音。
 この色合いはLeszek Mozdzer、Lars Danielsson諸作にはあまり無かったかな?
 近年ECMあたりではGeorges I. GurdjieffやJalaluddin Rumiあたりの宗教系、教会系、精神性系がプチブーム?な感もありますが、そんな空気が漂います。
 澄み切ったとてつもなく美しいピアノが静かに流れ、Zohar Frescoのボイスが乗ってくるとさらに幻想的なムード。
 どこか遠い所に連れて行ってくれそうな音。
 そんな色合いは冒頭のみのようで、中盤までいつものLeszek Mozdzer、Zohar Frescoの淡い色合い、寂し気で不思議なムードぼ演奏が続きます。
 が、中盤、Lars Danielssonの曲になると一気にメロディアスで浮世に戻った感。
 本作でも二曲のみですが、さすが北欧哀愁小説的音楽の巨匠。
 いつもセンチメンタルでロマンチック、少々沈痛。
 ジャズにはこだわりがなさそうでシレっとどこかに飛んで行ってしまいそうな若手の二人を現実に引き戻す役回り・・・かどうかはわかりませんが、そんなとても素敵なバランス。
 冷たいピアノと暖かいパーカッションとメロディアスなベーシスト。
 これまた素敵なバランス。
 Leszek Mozdzer、普通にヨーロピアンジャズが聞きたければLars Danielssonの作品、ぶっ飛んだピアノが聞きたければリーダー作、ちょっと淡くて妖しげなのを聞きたければ本トリオ。
 ジャズジャズしていないところ、エキゾチシズムと淡々とした独特のクールネスが新しい感じなのだと思うし、普通のジャズピアノトリオには食傷気味の耳にはとても心地よいバランス。
 最後は一曲のみオーケストラ入りの“Are you Experienced?”。
 もちろんJimi Hendrix。
 妖しさ全開、かつクラシカルで高尚な演奏。
 なんだか凄い人たち。




posted by H.A.


【Disc Review】“Between Us & The Light” (2006) Możdżer, Danielsson, Fresco

“Between Us & The Light” (2006) Możdżer, Danielsson, Fresco
Leszek Możdżer (piano, keyboards) Lars Danielsson (cello, bass) Zohar Fresco (percussion, vocal)
 
Between Us & The Light
Mozdzer Danielsson Fresco
Imports
2015-10-23
レシェック モジジェル

 ヨーロッパのスーパーピアノトリオ、“The Time”(2005)に続く第二弾、になるのだと思います。
 本作も淡くて穏やか、静謐なコンテンポラリージャズ。
 切ないメロディの楽曲群、少々の妖しさ、インプロビゼーションというよりもアンサンブルを中心にしたこのトリオの色合い。
 ドラムではなく、パーカッションなことが、なんともいえない淡い感じを醸し出しているように思います。
 冒頭からとても悲し気なLeszek Możdżerのメロディ。
 Leszek Możdżerはもちろん、 Lars Danielssonにもたっぷりのソロスペースがあるのですが、激しくは弾きません。
 静かな音の流れの中で響くパーカッションの乾いた音が寂寥感を醸し出します。
 もちろん強烈なインプロビゼーションの場面もあるのですが、各人のリーダー作ほどではなく、バンドが一体となったサウンドを重視しているように聞こえます。
 “The Time”(2005)と同様にLeszek Możdżer、Zohar Frescoの曲が多く、Lars Danielssonは二曲のみ。
 北欧の親分Lars Danielssonのメロディは甘くてとても素敵なのですが、若手二名の現代的なクールな質感、そこはかとないエキゾチシズムが強い構成。
 時折のZohar Frescoの幻想的なボイスがいい感じのアクセントになっているのも“The Time”(2005)と同様。
 透明度が高くとても美しいLeszek Możdżerピアノは、刃物のように周囲を切り裂いていくイメージのリーダー諸作とは違って、空からキラキラと舞い降りてくる感じ、あるいは穏やかに周囲を舞っている感じ。
 さらにLars Danielssonの落ち着いたベース。
 全曲とても切なげで悲し気なメロディですが、なぜか湿っぽさ、悲壮感はありません。
 クールで穏やかな寂寥感。
 前作“The Time”(2005)を最初に聞いた際、もっと弾いて欲しいと思ったのですが、実はこのくらい弾かないのがいいのかもしれません。
 どこか懐かしい穏やかな世界に連れて行ってくれるトリップミュージック。
 やはり特別な人たちによる特別なバンド、とても素敵なアルバムです。




posted by H.A.


【Disc Review】“Facing the wind” (1996) David Friesen & Leszek Możdżer

“Facing the wind” (1996) David Friesen & Leszek Możdżer
Leszek Możdżer (piano) David Friesen (bass)
 
Facing The Wind
David Friesen
Power Bros Records
1997
レシェック モジジェル
デビッド フリードセン


 ベテランベーシストDavid Friesenと、当時は若手売り出し中だったであろうポーランドのLeszek MożdżerのDuo作品。
 David Friesenはアメリカ人ですが、ヨーロッパでの活動が多いようで、ポーランドのレーベル?からのようです。
 全体の質感は、とても美しく、穏やかでしっとりとしたヨーロピアンジャズ。
 ECM的な妖しい場面、ハイテンションな場面もしばしば登場しますが、アバンギャルドさ、難解さは全くありません。
 両者のオリジナル曲が半々に”Nefertiti”。
 Leszek Możdżerはこの時点で既に他の人とはちょっと違う感じのスーパーピアニストぶりを発揮していますが、後の諸作と比べるとまだまだ穏やかなジャズピアノ。
 激しさ、過激さが前面に出ていない分、かえって聞きやすいかもしれません。
 冒頭は淡くて優雅なワルツ。
 この期ではBill Evansっぽさが強い感じでしょうかね・・・?と思っていたのは冒頭曲のみ。
 やはりこの期から凄いピアノ。
 何の迷いも乱れもない高速なフレーズ連発。
 強烈な加速感ながらなぜか枠の中にピッタリと納まってしまう心地よさ。
 もちろん相方のDavid Friesenも凄い演奏。
 いかにもウッドベースな深い音、ピッタリと寄り添いながら加減速に対応するサポートに、たっぷりのエコーが効いたアルコを駆使した幻想的な音作りまで、こちらもスーパーなベース。
 普通にスウイングする曲から、幻想的なルバート的なバラードまで、素晴らしい演奏が続きます。
 Lars Danielssonよりも相性がよかったりして・・・そんなこともないか?
 もう二十年も前の録音、甘めの美曲が無い分地味と言われればそうなのかもしれませんが、素晴らしいベース、ピアノがたっぷり聞ける隠れた名作。




posted by H.A.


【Disc Review】”Jasmine”, “Last Dance” (2007) Keith Jarrett, Charlie Haden

”Jasmine”, “Last Dance” (2007) Keith Jarrett, Charlie Haden
Keith Jarrett (piano) Charlie Haden (bass)
 
Jasmine (Shm-Cd)
KEITH JARRETT
MUSICSTORE
2015-09-21
キース ジャレット
チャーリー ヘイデン

Last Dance
Keith Jarrett
Ecm Records
2014-06-17


 Keith Jarrett、かつての盟友とのDuo作品。
 ”Jasmine”は2010年、“Last Dance”は2014年の発表で、後者はCharlie Haden の遺作、もしくは追悼作になるのだと思います。
 “The Melody At Night, With You” (1998)と並んでKeith Jarrettの作品群の中では異色の静謐なバラードアルバム。
 この二人が揃うと“Death and the Flower” (1974)などのアメリカンカルテット諸作もさることながら、“Closeness”(1976)Charlie Hadenの強烈な演奏を思い出しますが全く異なる質感。
 楽曲も二人の作った数多くの名作バラードは取り上げず、ジャズスタンダードからのチョイス。
 Keith Jarrettの諸作、あるいはCharlie HadenのDuo諸作とは異なる音。
 “The Melody At Night, With You”と同じく不思議な磁力をもった静謐な音。
 ビートに乗った演奏も多いため、それとは違う質感ですが、Keith Jarrettは“The Melody At Night, With You”ほどではないにせよ、同様にタメを効かせて少し遅れ気味に音を置いていくスタイルも目立ちます。
 それに寄り添うように静かに音を置いていくCharlie Haden。
 訥々としたムード。
 それでも十分に流麗で、“The Melody At Night, With You”の凄みのようなものは無いのかもしれません。
 消えかかったろうそくのようにゆらめく“The Melody At Night, With You”に対して、静かに優しく煌めくような本シリーズ。
 興奮もなければ、かつての激情や狂気のようなものの表出もない穏やかな空気。
 その裏に隠された意味は・・・
 なんて野暮なことは考えずに、美しいメロディ、淡々と流れる音の流れに和むのがよいのでしょうね。




posted by H.A.


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