“Electra” (2002,2003) Arild Andersen

Arild Andersen (double bass, drum programming)
Eivind Aarset (guitars) Paolo Vinaccia (drums, percussion) Patrice Héral (drums, percussion, voice) Nils Petter Molvær (drum programming) Arve Henriksen (trumpet)
Savina Yannatou, Chrysanthi Douzi, Elly-Marina Casdas, Fotini-Niki Grammenou (vocal)

Electra (Slip)
Andersen, Arild
Ecm Records
2005-10-04


 ノルウェーのスーパーベーシストArild Andersen、2000年代早々の作品。
 メンバーはノルウェーの先端系の面々とエスニックなヴォーカリストたち。
 薄く鳴る不穏な電子音、ギターのプリミティブなパーカッション、妖しいヴォイス、コーラス、ときおりの寂寥感の塊トランペット。
 ゆったりとしたテンポ、終始漂う哀しげで妖しいムード。
 “Sagn” (1990)などの北欧民族系らしき聞き慣れない音階はそのままに、電子音たっぷり、妖しさ、未来感が増した無国籍エスニックサウンド。
 強烈な幻想感。
 例の疾走する激烈ジャズベースの登場場面はありません。
 バンドと一体になって強烈な幻想を演出する役回り。
 勇壮系、少々重めのビート感も加えて、ここまでくるとジャズさは希薄、プログレッシブロック。
と思っていると、強烈な悲しみを湛えたエスニックなスローバラードやら、敬虔なムードのコーラスと 電子音の絡み合いやら、ロックなギターやら、ノイズやら。
 変幻自在、予測不能ながら、とてもドラマチック。
 いつの時代のどこにいるのやら、もはや不明。
 そんなトリップミュージック。
 沈痛なイメージが全編を覆っていますが、意味不明でも激烈でもないので、無事生還できると思います。
 たぶん。


 

posted by H.A.