吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

bandoneon

【Disc Review】“El Encuentro” (2009) Dino Saluzzi

“El Encuentro” (2009) Dino Saluzzi
Dino Saluzzi (bandoneon)
Anja Lechner (cello) Felix ´Cuchara´ Saluzzi (tenor sax) The Metropole Orchestra

El Encuentro
Dino Saluzzi & Anja Lechner
Imports
ディノ サルーシ


 Dino Saluzzi、ストリングスオーケストラとの共演、ライブ録音。
 前作”Ojos Negros” (2006)に続いてAnja Lechnerのチェロ、さらにSaluzziファミリーのサックスがフィーチャーされます。
 もちろんジャズでもタンゴでもなくクラシック。
 楽曲はDino Saluzzi作。
 もの悲しげで郷愁感あるれるメロディ、アンサンブルの連続。
 漂うような、伸び縮みするような、揺らぐような独特の音空間はそのまま。
 Anja Lechnerチェロはもちろん、ストリングス陣もその揺らぎにピタリと寄り添います。
 ストリングスカルテットとの共演、クラシック~タンゴ作品“Kultrum” (Oct.1998) と同様。
 おそらくジャズの人たちよりも相性はいいんでしょうねえ。
 終始、静謐で穏やか、優しげな音。
 静かに漂うようなストリングスの間から思い出したように出てくるバンドネオン、チェロ、サックスの素晴らしさ。
 ゴージャスとか豪華云々といった言葉は似合いません。
 とても上質で優雅な音空間。




posted by H.A.

【Disc Review】”Ojos Negros” (2006) Dino Saluzzi

”Ojos Negros” (2006) Dino Saluzzi
Dino Saluzzi (bandoneon) Anja Lechner (violoncello)

Ojos Negros (Slip)
Dino Saluzzi
Ecm Records
 ディノ サルーシ 
 アニア レヒナー 


 

 Dino Saluzzi、“Kultrum” (Oct.1998)で共演したチェリストAnja LechnerとのDuo。
 珍しくこのコラボレーションは長く続きます。よほど波長が合ったのでしょうかね。
 楽曲はほぼDino Saluzziの作品。
 クラシック~室内楽~タンゴのテイスト。
 バンドネオンが奏でる郷愁感あふれるメロディ、揺らぐリズムにピッタリと寄り添うチェロ。
 いつもの浮遊感が、少し強固な「うねり」のように変化しているように感じます。
 もちろんジャズ度はゼロ。
 スウィングはしませんが、その代わりのとても心地よい「揺らぎ」、あるいは「うねり」。
 Enrico Rava, Al Di Meola, Charlie Haden, George Gruntz, Thierry Lang, David Friedman・・・等々、共演者は多数いますが、Dino Saluzziの「揺らぎ」にキチンと対応できたのはAnja Lechnerだけかも?
 だからコラボレーションが続く・・・と想像してみたり。
 さて実際はどうなのでしょう・・・?
 Dino Saluzziの漂うようなバンドネオンに対して、立ち上がりの音がとても柔らかいチェロがカウンターを当てていくスタイル。
 遠くから聞こえてくるような少し細めのバンドネオンの音に対して、少し太めのチェロの音。
 双方が相まって、強烈な浮遊感、でも何故かしっかりとした質感のとても優雅な音空間。
 アルバム全てがそんな音。
 流れている部屋はどこかわからない遠い世界につながっているような錯覚。
 素晴らしい作品。




posted by H.A.

【Disc Review】“Juan Condori” (2005) Dino Saluzzi Group

“Juan Condori” (2005) Dino Saluzzi Group
Dino Saluzzi (bandoneon)
Felix ´Cuchara´ Saluzzi (sax) José Maria Saluzzi (guitar) Matias Saluzzi (bass) U. T. Gandhi (drums)

Juan Condori
Universal Music LLC
ディノ サルーシ


 Dino Saluzzi、ファミリーバンドでの作品。
 本作はサックスカルテット+バンドネオン、ジャズ的な編成でジャズ的な音。
 クール、かつエキゾチックなムード。
 少しテンション高め、ヒタヒタと迫ってくるような緊張感。ドラマチックな構成。
 共演作“Volver” (1986)もあるEnrico Ravaあたりの作品の雰囲気が近いのでしょうか。ヨーロピアン・コンテンポラリー系で他にも何か近いモノがあったように・・・。
 クリーントーンのエレキギターがとても現代的で洗練されたムード、いい感じで効いています。大きくフィーチャーされるわけではありませんが、ガットギターも含めていい感じで南米なムード。
  もちろん大将Dino Saluzziが音を出すといきなり彼の世界。
 急に音楽に揺れが出て、優雅で幻想的なムード。
 全体を通じてみれば、いつもの漂うような幻想的なムード、浮遊感、郷愁感はそのままに、クールで洗練された音。
 また、決してうるさくはならない静謐な音空間。
 目下ジャズっぽいDino Saluzziを聞くにはこのアルバムが一番いいんでしょうね。
 カッコいいコンテンポラリージャズのDino Saluzzi。




posted by H.A.

【Disc Review】”Senderos” (Nov.2002) Dino Saluzzi

”Senderos” (Nov.2002) Dino Saluzzi
Dino Saluzzi (bandoneon)
Jon Christensen (drums, percussion)

Senderos
Dino Saluzzi
Ecm Records
ディノ サルーシ


 Dino Saluzzi、ドラマーとのDuo。
 リズムを含めた「揺らぎ」が持ち味と見るDino Saluzziと、推進力強い系のJon Christensen。
 エキサイティングなインプロビゼーション系の音楽と、揺らぐ音楽の組み合わせがチェンジ・オブ・ペース、バランスが取れた音楽。
 バンドネオンのソロ演奏が半数、ドラムが入って強いビートでの演奏が半数。
 冒頭曲のように珍しいエキサイティング系のインプロビゼーションが展開されるかと思えば、バンドネオンのソロでの揺れるDino Saluzzi World。それが入れ代わり、立ち代わり・・・。
 もちろん両者を組み合わせ、ヒタヒタと迫ってくるような演奏もあります。
 ドラムはビート作りよりも、テンションを高める役回りを演じているような感じですかね。
 それらが総合されて、ドラマチックなアルバム。
 ベースとの組み合わせは既にやってみたので、次はドラマーと組み合わせると何か起こるかも・・・ってな感じでしょうか。
 いい作品だと思いますが、2人がピタッと合っているかと言えばどうでしょう?どちらも少々無理をしている感も・・・。
 これ以降、ジャズ的な作品はありますが、今のところ純粋なジャズドラマーとの共演がないのも興味深いところ。
 結局、Dino Saluzziの揺れるリズムにピタッと合わせることができたミュージシャンはファミリー、そしてチェリストAnja Lechnerを中心とするクラシック系の人だけ・・・ってな解釈は違ってますかね・・・




posted by H.A.

【Disc Review】”Trio Tage” (Oct.Nov.2002) George Gruntz, Thierry Lang, Dino Saluzzi

”Trio Tage” (Oct.Nov.2002) George Gruntz, Thierry Lang, Dino Saluzzi
George Gruntz, Thierry Lang (piano) Dino Saluzzi (bandoneon)

トリオ・ターゲ
ティエリー ラング,ディノ サルーシ, ジョルジュ グルンツ
P-JAZZ
2005-04-20


 Dino Saluzzi、スイスのピアニスト二人とのトリオ作品。
 George Gruntzとはビッグバンド作品”Theatre” (1983)以来の共演。
 美しいピアノの代表格Thierry Langは、郷愁感が強い諸作、牧歌的な作品も作っており、Dino Saluzziは憧れの人だったのかもしれません。
 いずれにしても異色の共演、異色の編成。
 ”If” (2001) Myriam Alterと同様に、ECM以外で録音すると何故かタンゴの香りが強くなるのも面白いところ。
 本作は静謐で美しいバラード集。
 冒頭、ピアノによる静かなフリージャズ。少々混沌の時間はそこだけ。
 リズムが入りバンドネオンが入ると独特の揺れ。
 そして郷愁感あふれるDino Saluzziのメロディ。
 美しいピアノを背景にして自在に動き回るバンドネオン。 揺らぐ空間。
 その揺らぎはバンドネオンの音が止むまで止まりません。
 ピアノだけになると一転して端正なリズム、ジャズの気配。
 が、バンドネオンの参加とともにまた揺らぐ時間へ・・・その繰り返し・・・。
 各者が持ち寄ったとてもセンチメンタルなメロディ。
 Dino Saluzziの郷愁感、ヨーロピアンのスタイリッシュな哀愁感。
 タンゴであれ、ジャズであれ、Dino Saluzzi Worldであれ、美しいメロディ、美しいピアノと揺らぐバンドネオンが作る素晴らしい時間。
 とても素敵なアルバムです。

※音源がないので収録曲をThierry Langの作品から。


posted by H.A.

【Disc Review】”Responsorium” (Nov.2001) Dino Saluzzi

”Responsorium” (Nov.2001) Dino Saluzzi
Dino Saluzzi (bandoneon)
José Maria Saluzzi (acoustic guitar) Palle Danielsson (double bass)

Responsorium
Dino Saluzzi
Ecm Records
ディノ サルーシ


 Dino Saluzzi、ギター、ベースとのトリオ作品、“Cité de la Musique”(1996)の続編。
 ベーシストが変わりましたが世界観は同じ。 もちろんジャズではありません。
 基本はタンゴなのでしょうが、フォルクローレの色合いの方を強く感じてしまうような優しい音楽。
 静かで穏やかなDino Saluzzi World。
 前作“Cité de la Musique”のベース、Mark Johnsonはいつも通りに手数多め、強い推進力のジャズベースでしたが、本作のPalle DanielssonはDino Saluzziの「揺らぎ」に合わせにいっているようにも感じます。
 結果的に本作の方が、浮遊感が強いかも。
 それにしてもギターとバンドネオンのコンビネーションの素晴らしいこと。
 同じ波長のような「揺らぎ」。 
 それに耳が行くと、やはりジャズベーシストPalle Danielssonが苦労しているような気がするようなしないような・・・?
 もちろん三者が素晴らしい演奏、素晴らしい音。
 曲はいつも通りの郷愁感あふれる全曲オリジナル。
 コンテンポラリージャズ風味が強い“Cité de la Musique”、あくまで揺れるDino Saluzzi Worldの色が濃い本作、といった対比でしょうか。
 どちらも素晴らしい作品ですが、私の好みはこちらです。
 本日は。




posted by H.A.

【Disc Review】”If” (Jun.2001) Myriam Alter

”If” (Jun.2001) Myriam Alter 
Myriam Alter (compositions)
Dino Saluzzi (bandoneon) John Ruocco (clarinet) Kenny Werner (piano) Greg Cohen (bass) Joey Baron (drums)

If
Myriam Alter
Enja Justin Time

ミリアム アルター 
ディノ サルーシ 


 ベルギーの作曲家のジャズ~タンゴ作品。レーベルはドイツのenja。
 メンバーはジャズの人たち+Dino Saluzzi。
 Dino Saluzzi本人の作品よりもタンゴの香りが強いように。
 レーベルがECMではないこともあり、バンドネオンの音も少し違って聞こえます。
 こちらの方が明確でオーソドックスかな。
 さておき、クラリネットとバンドネオンの絡みがとても優雅。
 哀愁漂う優雅な佳曲揃い。
 楽器の音色も合わせて、どことなくノスタルジックなムード。
 では、Dino Saluzzi諸作のように「郷愁」という言葉がフィットするかどうかは微妙。
 メロディ、アレンジ、演奏の全て、細かな部分を含めて、洗練されたイメージが強いからでしょうかね。
 バンドネオンが前面に出ると、例の「揺らぎ」が出るのですが、背景のカチッとした音に次第に溶け込んでいく感じ。
 全体を眺めてみると、とても洗練された穏やかなヨーロピアンジャズ。
 少し、いや、かなりひねりが効いたECM系ばかり聞いていると、この種の素直な音楽が見えなくなっているかも・・・んなことはないか・・・。




posted by H.A.

【Disc Review】“Kultrum” (Oct.1998) Dino Saluzzi, Rosamunde Quartett

“Kultrum” (Oct.1998) Dino Saluzzi, Rosamunde Quartett
Dino Saluzzi (bandoneon) Anja Lechner (Cello) Helmut Nicolai (Viola) Andreas Reiner, Simon Fordham (Violin)

Kultrum
Dino Saluzzi
Ecm Import
ディノ サルーシ


 Dino Saluzzi、ストリングスカルテットとの共演。ECM New Seriesから。
 レーベルからもわかるように完全にクラシック~タンゴ。
 これまでECMだけでも、”Once Upon a Time - Far Away in the South” (1985)、”Volver” (1986) Enrico Rava、“From the Green Hill” (Aug.1998) Tomasz Stanko、“Cité de la Musique” (1996)、などなど、数多くのジャズミュージシャンとの共演作。
 どれもいい出来ですが、前後左右、縦横無尽に揺れるバンドネオンにピッタリとしたビート感の演奏はなかったようにも思います。
 どちらかが合わせに行っているか、それぞれが自由にやっているイメージ。
 が、この作品はビート感が自然にピタッと合っているように思います。
 クラシックには疎いので、この作品がその世界でどう位置付けられるのかはわかりません。
 とても穏やか、優雅で静謐な豊かな音楽。
 ストリングスと完全に一体化したバンドネオン。
 Dino Saluzziの揺らぎを吸収してしまうストリングスの素晴らしさ。
 全てDino Saluzziの楽曲、タンゴの香り。
 全体を包み込む静謐な浮遊感。
 あいにくクラシック音楽を形容する言葉をもち合わせていないのが残念なのですが、これはいいです。

※音源がないのでRosamunde Quartett を。


posted by H.A.

【Disc Review】“Cité de la Musique” (1996) Dino Saluzzi

“Cité de la Musique” (1996) Dino Saluzzi
Dino Saluzzi (bandoneon)
Marc Johnson (bass) José Maria Saluzzi (acoustic guitar)
 
Cite De La Musique
Dino Saluzzi
Ecm Records
2000-06-06
ディノ サルーシ



 季節柄、秋らしい音楽が無かったかな?と思って取り出したアルバム。
 バンドネオンを中心とした室内楽的ジャズ~ワールドミュージック(でもないか)。
 ちょっと怪しげなジャケットで怖そうな感じもするのですが、実はもの凄く優しい音楽。
 Dino Saluzziのバンドネオン、アルゼンチンの人ですがあまりタンゴタンゴしていない?ところが私のお気に入り。
 Astor Piazzollaあたりと比べると線が細いというか、優しいというか。
 身構えて聞かなければならないAstor Piazzollaに対して、リラックスして聞けるDino Saluzzi。
 このアルバムもそんな感じの音。
 遠くから聞こえてくるような繊細な感じのバンドネオン、静的に、出しゃばらず、でもしっかりとサポートするベースとギター。
 フォークロアっぽい曲が多いかな?強烈な美曲はありませんが、どの曲も優しくていい感じ。タンゴ的な悲壮感、激情感ではなく、穏やか、でもそこはかとなく寂寥感が漂う楽曲群。
 Bill Evans縁の曲を入れているのはMarc Johnsonへのご愛嬌?
 大御所Marc Johnsonがいる分、ジャズ度はまあまあ高めなのでしょう。Guitarはアンサンブル中心ですが、時折り出てくるソロがもの凄くいい感じ。出番が少ないのがちょっともったいないような・・・
 などなど、もろもろ含めて、結果、総じてのんびりゆったり。
 ローカル線に乗って、車窓を眺めている感じのイメージかな?
 決して急がずゆったりと、騒がしくなく淡々と、とても穏やか、とても心地いい・・・思わずうとうと・・・

(※この投稿は2015/09/26から移動しました。)
 


posted by H.A.

【Disc Review】”Rios” (1995) Dino Salussi, Anthony Cox, David Friedman

”Rios” (1995) Dino Salussi, Anthony Cox, David Friedman
David Friedman (Marimba, Vibraphone, Percussion) Dino Saluzzi (Bandoneon, Voice, Percussion) Anthony Cox (Acoustic, Electric Bass)

Rios
David Friedman
Intuition
ディノ サルーシ 
デビッド フリードマン 
アンソニー コックス 


 すごい取り合わせのトリオ。
 ジャケットもフリーか、プログレか、ってな感じでちょっと怖そうなアルバム。
 が、これが穏やかなコンテポラリージャズ。
 楽曲をほぼ等分に持ち寄っていますので、誰かがリーダーといった感じではないのでしょう。'My one and only love'なんてのも入っています。
 三者ともスタイリストですが、ぶつかることなくいい感じで絡み合った演奏。
 Dino Saluzzi一人になると独特の浮遊感、例の「揺らぎ」が出ますが、合奏になるとビシッと合わせてきます。たとえファンクなベースラインでもカッコいいインプロビゼーション。
 推進力が強くよく動くベースと、強いドライブ感のマリンバ。
 そして揺らぎたい気持ちを押さえつつも?バンドに溶け込むバンドネオン。
 全体的に穏やかな分、地味な印象もありますが、いいアルバムです。
 なおこの作品の続編“Other Worlds”(1997)がありますが、バンドネオンはDino Saluzziではありません。Al Di Meoraのバンドと似た顛末。
 Dino Saluzzi、ファミリーを除いて同じ人と沢山の録音はしないようです。チェロのAnja Lechnerだけが例外ですかね。

※音源がないので別の名手との'My one and only love'。これは合いそうな組み合わせだけども、共演は“From The Green Hill” (1998) Tomasz Stankoだけなのかな?


posted by H.A.
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