吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Weather_Report

【Disc Review】“This Is This!” (1986) Weather Report

This Is This! (1986) Weather Report
Josef Zawinul (Keyboards) Wayne Shorter (Saxophones) Victor Bailey (Bass) Mino Cinelu (Percussion, Vocals) Peter Erskine, Omar Hakim (Drums)
Carlos Santana (Guitar) Marva Barnes, Colleen Coil, Siedah Garrett, Darryl Phinnessee (Vocals) 
 
This is this
Weather Report
MUSIC ON CD
ウェザー・リポート


 Weather Report、最終作。
 前作“Sportin' Life” (1985)のポップ路線踏襲。
 サックスが似合いそうなバラードでシンセサイザーが使われていたり、本作にもいかにもWeather Reportな高速な未来的4ビート曲がありカッコいいのですが、最後までWayne Shorterは出てこなかったり、Omar Hakimは一曲にしか参加していなかったり、バンドとしては事実上解散状態だったのでしょう。
 冒頭からクラッピングが効いたポップなビートにSantanaのロックギター。
 SantataとはドラマーLeon Chanclerが共通で、“Tale Spinnin'” (1975)あたりで共演していてもよかったんでしょうが、それから10年、やっと実現。
 デジタルっぽくてポップで明るい演奏はかつてのWeather Reportっぽくはありませんし、参加二曲のうち冒頭曲にはWayne Shorterは出てきません。
 が、もう一曲での弾むベースにロックな泣きのギターに続くサックスの絡みはやはりカッコいい。
 それでもやっぱりこのバンドで一番カッコいいのは、疾走する未来的4ビートの”Update”、と思うのは古い感覚のジャズファンなのでしょうか?
 1980年代も半ば。
 おりしもフュージョン全盛期が終わりそうな時期。
 このバンドの解散はそれを象徴するような出来事だったのかもしれません。
 総本山Miles Davisは、同時期“You're Under Arrest” (Jan.1984–Jan.1985)でポップなファンクフュージョンから次の作戦、Marcus Millerとのコラボレーションに移行中。
 次の世代の人の代表の一人、Pat Metheny は”First Circle” (1984)が同時期で、ここから一気に加速する時期。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisあたりを端緒としたジャズ・ロック・ファンクフュージョンの終着点の一つ。
 その第一世代が終わり、次の世代の次の音楽に移る時期、その象徴的な作品なのかもしれません。
 



 フュージョン、コンテンポラリージャズのベースとなる“In a Silent Way” (Feb.1969)、“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisを作ったのは、MilesとJoe Zawinulなのだろうし、以降も両者が抜きつ抜かれつしながら、常に前に進んでいたように思います。
 Miles諸作と同様に、時系列で聞くと少しずつ音を変えて行っているのが見える流れ。
 4ビートへのこだわりはJoe Zawinulの方が強かったようにも思えるのも面白いところ。
 それにしても、Miroslav Vitous、Alphonso Johnson、Jaco Pastorius、Victor Baileyと続くスーパーベーシストの系譜は凄いなあ。

※“Bitches Brew”的ファンクジャズ
 (Aug.6-12.1970) “Zawinul” Joe Zawinul 
 (Feb-Mar.1971) “Weather Report
 (1972) “Live in Tokyo” 
 (1972) “I Sing the Body Electric

※ファンクフュージョン
 (1973) “Sweetnighter
 (1974) “Mysterious Traveller

※楽園ファンクフュージョン
 (1974) “Native Dancer” Wayne Shorter with Milton Nascimento
 (1975) “Tale Spinnin'
 (1976) “Black Market
 (1977) “Heavy Weather

※ファンクフュージョン+未来的4ビート
 (1978) “Mr. Gone
 (1979) “8:30” 
 (1980) “Night Passage
 (1982) “Weather Report
 (1983) “Procession

※ポップなファンクフュージョン
 (1984) “Domino Theory” 
 (1985) “Sportin' Life” 
 (1986) “This Is This!” 


posted by H.A.

【Disc Review】“Sportin' Life” (1985) Weather Report

Sportin' Life (1985) Weather Report
Josef Zawinul (Keyboards) Wayne Shorter (Saxophones) Omar Hakim (Drums, vocals)
Victor Bailey (Bass, vocals) Mino Cinélu (Percussion, vocals, guitar)
Bobby McFerrin, Carl Anderson, Dee Dee Bellson, Alfie Silas (Vocals)
 
Sportin' Life
Weather Report
MUSIC ON CD
ウェザー・リポート


 Weather Report、ラス前は前作“Domino Theory” (1984)よりもさらにポップな音作りのアルバム。
 次作“This Is This!” (1986)は契約消化のため云々といった話、Wayne Shorter、Omar Hakimの参加も限られていて、本作が事実上のラストアルバムなのかもしれません。 
 パーカッションがMilesバンドに“Decoy” (Jun.1983–Sep.1983)まで参加していたMino Cinéluに交代しています。
 冒頭からいつもより明るく元気いっぱいなファンクフュージョン。
 いつものように弾むようなリズムですが、ホーン隊のようなシンセサイザーのブレイクが効いたちょっとディスコ(懐かしい!)っぽいなあと思うゴージャスで派手なビート。
 ボコーダー的な音、デジタル処理した気な楽し気なコーラス、ミュージックビデオで大人数でダンスしていそうな雰囲気は、まあ想定の範囲としても、イメージチェンジではあります。
 ここまでの流れに沿った複雑なファンクビートをはさみながらも、アコースティックギターを背景にしたフォークなボーカル曲などもこのバンドとは思えない音。新顔Mino Cinéluの曲、ギター、ボーカルですか。
 さらにはシンセサイザーがメロディを綴るあの”What's Going On”。
 ベースラインと、サックスのオブリガートがカッコいいんだけども、そこそこ素直で、Weather Reportっぽいところまでもって行けているのかなあ・・・
 “Domino Theory”ではまだ半数以上を占めていた複雑なビートのファンクは少なくなりました。
 それでも最後の二曲、ソプラノサックスが主導する幻想的なバラード、プラスチックな4ビートの香りもする複雑なビートの楽園ファンクと、いかにもなシンセサイザーとサックスの絡み合い。
 これこそこの期のWeather Report・・・ってな感覚は古いのかなあ・・・?
 もし本作がラストアルバムだとすれば、ハッピーエンドな感じで、それなりにカッコいい締めだと思うのだけど。
 きっとまだそのつもりではなかったんだろうなあ・・・
 
 


posted by H.A.


【Disc Review】“Domino Theory” (1984) Weather Report

Domino Theory (1984) Weather Report
Josef Zawinul (keyboards) Wayne Shorter (tenor, soprano sax) Victor Bailey (bass) Omar Hakim (drums) José Rossy (percussion)
Carl Anderson (vocals)

Domino Theory
Weather Report
MUSIC ON CD
ウェザー・リポート


 新生Weather Report の第二弾、というより、ラストまで本作含めて後三作。
 徐々にポップ度が高くなっていく過程の一作。
 宇宙的なシンセサイザー?の響きで幕を開けますが、それは男性ボーカル入りバラードのAOR風ポップチューンの前奏。
 この曲でのWayne Shorterの出番はなし。
 これはなんとも・・・
 二曲目からはいつものファンクフュージョン
 複雑なビート、複雑なメロディの展開ながら、なぜか軽やかでポップ、コーラスなども挿入されて楽し気なムード。
 ドラム、ベースにシンセサイザーは使っていないようなので、グルーヴ自体は自然、前作“Procession” (1983)と同じくゴムまりのように弾む強烈なリズム隊。
 が、シンセサイザーの音色が多彩になり、さらにサックスにもエフェクティングした感じで、何だかデジタルなムードも強くなってきましたかね。
 “Mr. Gone” (1978)あたりから前作“Procession” (1983)まで続いた未来的な4ビートも本作ではありません。
 それでもだんだんと複雑なフュージョン~インプロビゼーション色も強くなり、最後のタイトル曲”Domino Theory”もは明るい色合いながら、超複雑系のファンクチューン。
 新しいジャズフュージョンを追及するこのバンドの面目躍如。
 全体を眺めるとカッコいいジャズファンクフュージョンです。
 でもなんで冒頭にボーカル曲を持ってきたんだろう?
 謎です。
 次作“Sportin' Life” (1985)を聞くとポップの方向に行くつもりだったのは分かるのですが。
 Miles Davisが復帰作 “The Man with the Horn” (Jun.1980–May.1981)でボーカルを入れたのが数年前、Time after Timeを吹いた“You're Under Arrest” (Jan.1984–Jan.1985)が同じ時期。
 時代はジャズ、フュージョンではなく、ポップス、AORですか・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Procession” (1983) Weather Report

Procession (1983) Weather Report

Josef Zawinul (keyboards) Wayne Shorter (tenor, soprano sax) Victor Bailey (bass) Omar Hakim (drums, guitar, vocals) José Rossy (percussion, concertina)
The Manhattan Transfer (vocals)

Procession
Weather Report
MUSIC ON CD
ウェザー・リポート


 Weather Report、Victor Bailey, Omar Hakim、José Rossy を迎えた新メンバーでの第一弾。
 ここまでの作品と同じく、ファンクフュージョンですが、もっと作り込まれているというか、磨き上げられているというか、キッチリ、カッチリした質感。
 ゴージャス、あるいは分厚くなったというのが適当なのかもしれません。
 4ビートも何曲かで取り入れられており、前作“Weather Report” (1982)までの流れ、未来的4ビートのイメージもそのまま引き継がれています。
 新加入のVictor Baileyも大活躍、音量大きめ、前面にフィーチャーされている印象。
 ゴムボールのようにバウンドする質感もそのまま。
 もちろんJaco Pastriusとの音色、フレージング、ビート感の違いは大きいのですが、違うタイプのカッコよさ。
 Alphonso Johnsonとも違って、ファンキーさ、疾走感はそのままに、少し重厚になったイメージでしょうか。
 前後左右、縦横無尽に動きまわりつつもも、強烈なグルーヴと推進力。
 普通のファンクやフュージョンバンドでは聞けない凄い演奏、凄いベーシスト。
 Omar Hakimも同様に重厚な印象。
 結果的に、軽快なイメージだったJaco Pastorius、Peter Erskineのコンビと比べると少々重め、その分ゴージャスに、カッチリとして聞こえるのでしょうかね。
 先のコンビが軟式テニスボールような柔らかな弾み具合だとすれば、こちらは硬式、といった感じでしょうか。
 シンセサイザーの使い方もバリエーションが増えてきたようで、変わった音、変わったメロディの置き方がいくつも登場します。
 サックスもいつになく激しく吹く場面が多くなっています。
 楽曲も決定的な名曲、名メロディこそありませんが、ほどほどキャッチーでほどほどポップな曲が並びます。
 中心となっているJoe Zawinulの曲もさることながら、Wayne Shorterのバラードなどもカッコいい。
 などなど、メンバー交代の不安などどこ吹く風。
 完璧な作品です。
 楽曲のキャッチーさを除けば、スタジオ録音作品の中でも完成度では一、二を争うのでは?
 ある種の粗さのようなものもありません。
 そんなこんなで、“8:30” (1978,1979)にも匹敵するような名作だと思います。
 もっと話題になってもよさそうなアルバムだと思いますが、後は好みの問題なんでしょうかね?
 ちょうどジャケットのイラストのように、カラフルで隙間なくしっかり描き込まれた立体感のある印象。油絵的あるいはアメリカンなCGアニメ的なコッテリ系。
 私は同じくカラフルでも、“8:30” (1978,1979)のようなスッキリ系が好きなので・・・




posted by H.A.  




【Disc Review】“Weather Report” (1982) Weather Report

“Weather Report” (1982) Weather Report

Josef Zawinul (Electric keyboards, piano, clay drum, drum computer, percussion, voice, horn, woodwind, string and brass sounds) Wayne Shorter (Tenor, soprano sax) Jaco Pastorius (Bass guitar, percussion, voice) Peter Erskine (Drums, drum computer, claves) Robert Thomas Jr. (Percussion)
 
Weather Report
Weather Report
Sbme Special Mkts.
ウェザー・リポート


 Weather Report、Jaco Pastorius、Peter Erskineコンビ参加の最終作。
 Wayne Shorterの楽曲は“Mr. Gone” (1978)あたりから減っていった印象ですが、本作でも一曲のみ、Jaco Pastoriusの楽曲はなく、Joe Zawinul中心。
 “Mr. Gone” (1978)から試行してきたことがスッキリとまとまった印象。
 ちょっと変わった未来的なイメージの4ビートやら、聞き慣れない音階やら。
 不思議系の音は残っていますが、それらの諸作よりも明るいイメージでしょう。
 冒頭からファンクとジャズが入り混じるような不思議なビート。
 凄まじいベースと不思議な音のキーボードの絡み合い。
 バスドラムが凄い動きをしていて、それを含めてちょっと他にはないドラミング。
 続くはテナーとベースがリードする絶品バラード。
 さらにはファンクと例の未来的な4ビートが交錯する長尺な組曲。
 LPレコードB面に移っても軽快な曲が並び、またもやとてもカッコいいメロディのバラードも・・・
 などなど、わかりやすい楽曲、スッキリとした名演奏揃い。
 これが“Mr. Gone”以降で作りたかった音の完成形なのかどうかはわかりませんが、プラスチックな質感の未来的4ビートあり、不思議感あり、キャッチーさありの完成度の高いアルバムであることは間違いありません。
 気のせいかもしれませんが、ベースの音がJaco Pastoriusっぽくなくて、エフェクターを掛けたり、固めの音だったり、あの柔らかな音は少々のみ?
 二人が抜けたのはWord of Mouthとツアーがバッティングしたから、と読んだ記憶がありますが、音作りについての確執もあったのかもと思ったり、Jacoのあまりにも個性的な音、存在感が過剰に大きくなるのを嫌ったのかと思ったり。
 “Heavy Weather” (1977)以来のCo-Produce、Jaco Pastoriusのクレジットも残っているのでそうでもないのかなあ?
 最後に収められたベースとドラムがカッコいいファンク曲”Dara Factor Two”の一部に、この期に及んで”Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles DavisのWillie Nelsonに似た、”Jaco Pastrius” (1975-6) の“Come On, Come Over”と同じベースパターンが出てくるのも面白いなあ。
いずれにしてもJaco Pastorius、Peter Erskineは本作を最後に脱退。
 カッチリした質感のファンクフュージョンの“Procession” (1983)へと続きます。
 デビュー作”Weather Report” (Feb-Mar.1971)のジャケットはミッドナイトブルー、ファンクフュージョン路線が始まった“Sweetnighter” (Feb.1973)は曇り空でしたが、本作のジャケットは青空のようです。




posted by H.A.  


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