吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Wayne_Shorter

【Disc Review】“A Tribute to John Coltrane” (1987) David Liebman/Wayne Shorter

“A Tribute to John Coltrane” (1987) David Liebman/Wayne Shorter
Dave Liebman, Wayne Shorter (Soprano Sax)
Richie Beirach (piano) Eddie Gomez (bass) Jack De Johnette (drums)
 


 Dave Liebman, Wayne Shorter、ツインソプラノサックスでJohn Coltraneにトリビュートしようという懐かしのLive under the Skyでの録音。
 サックスの二人とJack De JohnetteはMiles所縁の人でもあり、Eddie Gomez、Jack De Johnetteは名作“Batik” (1978) Ralph TownerなどでのECM所縁、あるいはBill Evans所縁の名コンビ。
 Dave Liebman、Richie Beirachは“LLookout Farm” (Oct.1973)などでのこれまたECM所縁の名コンビ。
 Richie Beirach、Jack DeJohnetteはECMでの名作“Elm” (1979)で共演済。
といったことで、Miles Davisなのか、Bill Evansなのか、ECMなのか、いろんな所縁の人たちのバンドが演奏するJohn Coltraneのトリビュート。
 要するにクリエイティブ系ジャズの超一線級の人たちが集まった日本でのライブ。
 おりしも日本はバブルの宴の最中。
 どうせならピアノにKeith Jarrett、さらにMiles DavisとJaco Pastriusも呼んでしまえば歴史に残る・・・
 とかなんとかはさておいて、豪華メンバーでのごっつい演奏。
 冒頭の”Mr.PC”から突っ走るバンド。
 軽快に疾走するDave Liebmanに対して、同じく激しくブチ切れたような演奏ながら明後日の方向に向いているような不思議感の強いいつもながらのWayne Shorter。
 激しいけどもオーソドックスなDave Liebmanに対して、よくわからない不思議感満載のフレーズを紡ぐWayne Shorter。
 極めてわかりやすい対比の二人。
 何曲かはJohn Coltrane、Eric Dolphyの鬼のようなコンビのライブ演奏が”Impressions”(1961) John Coltraneなどに残されていますが、似たいような対比。
 本作の方がスッキリした演奏かもしれません。
 私の好みはWayne Shorterですが、Dave Liebmanの凄みが前面に出た演奏。
 続くはバラード、Dave Liebman, Richie BeirachのDuoでの“After the rain”~“Naima”。
 最後はこれまた激しい”Indiana”~”Impressions”の長尺メドレー。
 CDに収められたのは抜粋なのだと思うのだけども、なんともこれだけではもったいないような演奏。
 また、激しい演奏ですが、想定の範囲の展開、あるいは、激烈フリーに突入する場面もないのは少々寂しいかな?
 この期においては、それは前時代的だったのでしょうね。
 いい時代の素晴らしいジャズ、激しい系。




posted by H.A.


【Disc Review】“Without a Net” (2010) Wayne Shorter

“Without a Net” (2010) Wayne Shorter
Wayne Shorter (Soprano, Tenor Sax) Danilo Pérez (Piano) John Patitucci (Bass) Brian Blade (Drums) Mariam Adam (Clarinet) Valerie Coleman (Flute) Monica Ellis (Bassoon) Jeff Scott (French Horn) Toyin Spellman-Diaz (Oboe)

Without a Net
Wayne Shorter
Blue Note Records
ウェイン・ショーター


 Wayne Shorter、現時点での最新作。
 “Footprints Live!” (2001)以来のカルテットでのライブ録音を中心としたアルバム。
 間に”Alegría” (2003)、”Beyond the Sound Barrier” (2005)の二作。
 ホーン陣の参加は一曲のみ。
 そちらは20分を超える不思議なメロディ、不思議な展開、変幻自在な組曲風。
 このバンドの自在な展開を譜面にしてみました、ってな感じでしょうか。
 他はカルテットでの演奏。
 “Footprints Live!”ではぶっ飛び気味でアバンギャルドだったサウンドが、少々オーソドックス寄りとは言わないけども、まとまってきた印象。
 複雑なビート感、展開はそのまま、違和感やトゲのようなものが薄くなり、スッキリした印象。
 おそらくバンドのスタイル自体は同じで、基本的に自由なんだけども、お互いの手の内が見えて慣れてきて、落ち着くところに落ち着くようになった・・・のでしょうか?
 それでも不思議系、変幻自在であることは変わりません。
 サックスはまだまだ吹けています。 というか吹きまくっています。
 “Footprints Live!”では感じられた少々の枯れがなくなり、艶やかな音で迷いのないフレージング。
 ピアノトリオも各人の反応がピッタリと合ってきた感じ。
 突っ走ると気持ちいいんだろうなあ、といったところで突っ走って、落ち着くところではそれなりに納まる感じ。
 メロディアスだったり、コード進行が見えたりする場面が増えているようにも思います。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) の“Sanctuary” を想い起こさせる、ルバートでのバラード”Starry Night”などは絶品です。
 聞いているこちらが慣れただけなのかもしれませんが・・・
 ある程度の骨子だけ決めて、後は自由自在にビートも和音も成り行きで音楽を作っていく、フリーになったらなったでそれでいいし、メンバーの波長が合えば定型な音に収斂されてもよし、そんな試みだったのでしょう。
 ある程度先が読めるようになった感じもありますが、やっぱり何だか現代の不思議系。
 クリエイティブ系の若手もビックリのクリイティブな演奏。
 御歳おいくつかかわかりませんが、まだまだ元気、やっぱり普通ではないWayne Shorterミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“Footprints Live!” (2001) Wayne Shorter

“Footprints Live!” (2001) Wayne Shorter
Wayne Shorter (Soprano, Tenor Sax)
Danilo Pérez (Piano) John Patitucci (Bass) Brian Blade (Drums)

Footprints: Live by WAYNE SHORTER (2013-03-13)
WAYNE SHORTER
Universal Japan
ウェイン・ショーター


 Wayne Shorter、“High Life” (1994-1995)以来、久々のリーダー作。
 セッションやライブなどではちょくちょく名前が出ていますので、断続的に活動はしていたのでしょう。
 現代の強力ピアノトリオを従えてのライブ録音。
 これが変わっています。
 楽曲はBlue Note時代、Miles時代からのオリジナル曲中心。
 が、どれもメロディの断片は確認できるものの、全く違う曲に変身。
 何拍子で、何がどうなっていて、何を合図にバンドが進んでいるのかわからない複雑な音の構成。
 かといってフリーではなくて、何かが少しずつズレながら音を組み立てている、といったイメージ?
 それとも全てその時の各人の動きに合わせてフリーにやっているのでしょうか?
 指揮をとっているのはいったい誰なのでしょう?
 Wayne Shorterなのかもしれないし、Danilo Pérezなのかもしれません。
 かつてのMilesバンドもフレキシブルにビートが動くイメージでしたが、それよりももっとフレキシブル。
 Milesバンドはコードは制約として残っていたように思いますが、それも自由。
 全く先が読めない、曲もわからない展開。
 かといって各人が好き勝手に演奏しているのではなく、なぜか感じる統制。
 あっちに行ったりこっちに行ったりなのに、なぜかまとまってしまう演奏。
 この頃のコンテンポラリー系でもこの種の展開はなかったのでは?
 これはきっと新しいのでしょう。
 Wayne Shorterのサックスは少々枯れ気味の部分はあるものの、まわりの音の変化に合わせて激しいブロー。
 Danilo Pérezがバンドの中核なのでしょうか?
 盟友Herbie Hancockにラテン風味をつけて少々重くしたようなイメージのピアノ。
 少なくともちょっと聞きではピアノの変化に合わせて、ベースとドラムが反応し、サックスが乗っていっている印象があります・・・
 ん?そうでもないのかな?
 んー?よくわからん。
 これまた不思議系でエキサイティング。
 まだまだクリエイティブなWayne Shorterの再起動。




posted by H.A.

【Disc Review】“1+1” (1997) Herbie Hancock / Wayne Shorter

“1+1” (1997) Herbie Hancock / Wayne Shorter
Herbie Hancock (Piano) Wayne Shorter (Soprano Sax)

1+1
Wayne Shorter/Herbie Hancock
Polygram Records
1997-07-01
ハービー ハンコック
ウエイン ショーター


 Milesバンドの盟友Herbie Hancock、Wayne ShorterのDuo作品。
 Wayne Shorter はファンク系の“High Life” (1994-1995)以来、純アコースティックな録音は1960年代以来でしょうか。
 とても静かで穏やか、少々妖しいバラード集。
 楽曲提供は各人概ね同数、三分の一がフリーインプロビゼーション、カバーが一曲。
 お互い手の内は知り尽くしているでしょうし、フレキシブルに反応し合うスタイルはかつてのまま。
 それでもかつての熱気は消え、大人な音。
 もうブチ切れながらブローする場面もなければ、突っ走る場面も少々のみ。
 両者のクールさ、ハードボイルドさはそのままに終始落ち着いた音使い。
 一つ一つの音を丁寧に置いていく印象、それでも流麗なピアノと、少々不思議な方向に動く、純フュージョン系の人のようにスムースではないソプラノサックス。
 やはり名コンビ。
 同じく名コンビのDuo作品“1975: The Duets” (1975) Dave Brubeck, Paul Desmondとは役回りが逆だなあ、と思ってみたり。
 あちらほどノーブル、オーソドックスではなく、やんちゃな風味やスリルも残っていますが、上質さは同じ。
 “An Evening With Herbie Hancock & Chick Corea In Concert” (1978) Herbie Hancock & Chick Corea と同様に、かつての親分Milesが聞いたらたぶん気に入らないのかもしれないけども、この上品なだけではない穏やかさは希少。
 とても大人で穏やかですが、わずかなトゲ。
 とても素敵な音楽です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Native Dancer” (1974) Wayne Shorter with Milton Nascimento

“Native Dancer” (1974) Wayne Shorter with Milton Nascimento
Wayne Shorter (soprano, tenor sax) Milton Nascimento (Guitar, Vocals)
David Amaro (Guitar) Jay Graydon (Guitar) Herbie Hancock (Piano, Keyboards) Wagner Tiso (Organ, Piano) Dave McDaniel (Bass) Roberto Silva (drums) Airto Moreira (percussion)

ネイティヴ・ダンサー
ウェイン・ショーター
SMJ



 Wayne Shorter、久々のリーダー作。
 Milton Nascimentoとの共演。
 リーダー作としては“Odyssey of Iska” (Aug.1970)以来、Weather Reportでは“Mysterious Traveller” (1974), “Tale Spinnin'”(1975)あたりと近い時期。
 リーダー作でボサノバ曲はいくつか取り上げていましたし、“Moto Grosso Feio” (Apl.Aug.1970)ではMilton Nascimentoの名曲“Vera Cruz”を収録。 そちらはちょっとびっくりのヘビーさ。
 Weather Reportとしてもこれからラテン混じり、楽園テイストに移行しようとしていた時期でもあるのでしょう。
 本作は、かつてのリーダー作やこの頃までのWeather Report諸作からは想像できない、あくまで明るいブラジリアンフュージョンアルバム。
 当時流行っていたフュージョン、盟友Herbie Hancockの影響も大きいのでしょう。
 なお、同時期のMilesはハードな“Dark Magus” (Mar.1974)。 完全に別の道へ。
 半数はMilton Nascimentoの名曲揃い。
 ブラジル的な郷愁感が漂う、現代的なメロディの素敵な曲ばかり。
 Wayne Shorterの楽曲も不思議さが薄くなり、何だか明るくなってすっかりイメージチェンジ。
 そのメロディ、コードを最大限に生かした現代的なアレンジ。
 幻想的なエレピの響きがとてもいい感じ。
 ソプラノ中心のサックスも落ち着いたインプロビゼーション、裏表を使い分けたこれまた幻想的な歌声。
 天使の歌声と呼ばれた裏声から始まり、最後のHerbie Hancock作、ルバートでのバラードに至るまで、最高の演奏。
 とても楽園チックな音です。
 ここからこの後のWeather Reportに移植していったのかな?と思う展開もしばしば。
 ジャズっぽさはあまりありません。
 Wayne Shorterの諸作としても極めて異色、Weather Report色もありません。
 ジャズファン、フュージョンファン、Weather Reportファン、ブラジル音楽ファン、ポップスファンのいずれからも距離を置かれそうな微妙な位置の音なのかもしれません。
 でもそれらがいい感じでフュージョンしたとても素敵な音楽。
 私はその混ざり具合が心地よくて大好きです。
 結局、Milton Nascimentoのアルバムとしてもこれが一番好みだったりして・・・
 なんだかんだいってもジャズっぽいんだろうなあ。





posted by H.A.

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