吉祥寺JazzSyndicate

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Trygve_Seim

【Disc Review】“Helsinki Songs” (2018) Trygve Seim

“Helsinki Songs” (2018) Trygve Seim

Trygve Seim (tenor, soprano sax)
Kristjan Randalu (piano) Mats Eilertsen (bass) Markku Ounaskari (drums)

Helsinki Songs
Trygve Seim
Ecm
2018-08-31


 ノルウェーのサックス奏者Trygve Seim、カルテットでのコンテンポラリージャズ。
 サポートはリーダー作”Absence” (2017)でタダモノではない感を漂わせていたエストニアのピアニストKristjan Randaluを中心とするトリオ。
 ここまでの作品からすれば意外にもポップで穏やかなジャズ、静かなバラードが中心。
 静かながらとんがりまくっていた”The Source and Different Cikadas” (2000)あたりから、作品が進むにつれて徐々にわかりやすくなってきていたように思うので、落ち着くところに落ち着いたのかもしれません。
 静かにビートを刻むベースとドラムに、明度の高い上品なピアノ、強い浮遊感のピアノトリオ。
 “My Song” (1977) Keith Jarrett までとは言わずとも、そんな空気感も漂う、懐かし気で前向きな明るいメロディ。
 そんな音を背景にした優しいサックス。
 沈痛、敬虔な感じではなくてあくまで懐かし気な穏やかさ。
 ECMのお約束、ルバートでのスローバラードは中盤の”Birthday Song”。
 他にもそんな雰囲気の演奏がちらほら、というよりも全編そんなイメージのゆったりと浮遊するような音。
 近年のノルウェーのアーティストのECM作品、穏やかな表情の作品がたくさん。
 近年の北欧の若手~中堅の本音は、こんな感じのわかりやすい音なのかもしれません。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Source and Different Cikadas” (2000) Trygve Seim / The Source

“The Source and Different Cikadas” (2000) Trygve Seim / The Source
Trygve Seim (Soprano, Tenor Sax) Øyvind Brække (Trombone) Per Oddvar Johansen (Drums)
Frode Haltli (Accordion) Christian Wallumrød (Piano) Arve Henriksen (Trumpet)
Morten Hannisdal (Cello) Finn Guttormsen (Double Bass) Marek Konstantynowicz (Viola) Henrik Hannisdal, Odd Hannisdal (Violin) 

Source & Different Cikadas
Morten Hannisdal
Ecm Import
2002-07-16


 ノルウェーのフリージャズ?バンドThe Sourceにさまざまなゲストが加わったECM作品。
 とても静かなアヴァンギャルドミュージック。
 抽象度、自由度が高いアンサンブル中心の音作り。
 ストリングスが妖し気な背景を作り、サックス、トロンボーン、トランペット、あるいはアコーディオン、バイオリンなどが不定期に前面に立ち、泳ぐように音を出していく構成。
 どこか牧歌的な空気、あるいは、時折の激しい音、沈痛な音、どこかおどけた表情の音などを挟みながら、不思議で妖しい音の流れが続きます。
 ECMのこの種の作品、どこかにルバートでのスローバラードが挟まれている場合が多いのですが、本作では5曲目、” Bhavana”。
 揺らぎが出るストリングスが絡みつつのフワフワとした時間。
 とても妖しくて素敵です・・・
 さて、このアルバム、いったい何を表現したいんだろう?
 わかりません。
 とにもかくにも日常とは隔絶した異空間。
 不思議な迷宮へのトリップミュージック。

※別のバンドの演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Rumi Songs” (2015) Trygve Seim

“Rumi Songs” (2015) Trygve Seim
Trygve Seim (tenor, soprano saxophones) 
Tora Augestad (vocal) Fode Haltli (accordion) Svante Henryson (violoncello)
 
RUMI SONGS
TRYGVE SEIM
ECM
2016-08-26
トライヴ セイム

 ノルウェーのサックス奏者Trygve Seim、女性ボーカルを迎えた変則カルテット。
 11世紀?ペルシャの詩人Jalaluddin Rumiの詩にTrygve Seimがメロディをつけた楽曲を演奏したアルバム。
 ジャズではなくて、クラシックか、ポップスか、はたまた民族音楽か、ジャンル分けは無理な不思議な音楽。
 クラシカルで優しいムード。
 優しくて懐かしい方のTrygve Seimの世界ですが、彼の作品としても異色でしょう。
 アコーディオンはDuo作品“Yeraz” (2007)を共同で作ったノルウェーの人、ボーカルも同様、チェロはスウェーデンの人。
 もちろん、北欧色全開、温度感低め、澄み渡った清々しい空気感。
 ボーカルはちょっとビックリ、恐ろしいくらいに透明度が高い、聞いたことがないような凄まじいまでに美しい声、朗々としたいソプラノボイス。
 クラシック系と思っていましたが、ジャズの人のようです。ホントかなあ。
 それを狙ったわけではないのかもしれませんが、賛美歌的なムードも漂います。
 少々ノスタルジックでパイプオルガン的なアコーディオンの響きとスタイリッシュなチェロの音が後ろを固めつつ、漂うようなTrygve Seimのサックス。
 そんな音の中、とてつもなく美しい声で歌われる優しくて懐かしい、そして不思議なメロディ。
 周囲は穏やかで洗練、敬虔な空気に包まれます。
 なんだか現実離れしているというか、浮世ではないというか・・・無国籍でどこにいるのか、どの時代にいるのか、昼なのか夜なのかさえ、よくわからない空気感。
 非日常的な時間へトリップさせてくれる音であることは間違いありません。
 PVは柔らかな日が差す水辺の映像ですが、確かにそんな空気感。
 きっと平和で穏やかな世界・・・なのだと思います。

 


posted by H.A.


【Disc Review】“Purcor: Songs For Saxophone And Piano” (2008) Trygve Seim, Andreas Utnem

“Purcor: Songs For Saxophone And Piano” (2008) Trygve Seim, Andreas Utnem
Trygve Seim (tenor, soprano saxophones) Andreas Utnem (piano, harmonium)
 
Purcor
Seim
Ecm Records
2010-11-09
トライヴ セイム

 ノルウェーのサックス奏者Trygve Seimと、同じくノルウェーのピアニストAndreas UtnemとのDuo作品。
 Trygve Seim、激しいフリージャズの作品があったり、“Playground” (2007) Manu Katchéなどの客演では寂寥感と優しさの塊のような音だったり、演奏の幅がある印象。
 本作は後者、穏やかな方のTrygve Seim。
 前作“Yeraz” (2007)よりもさらに優しい音。
 Andreas Utnemの詳しい情報はありませんが、クラシックの色合いも強いとても穏やかなピアノと、教会のパイプオルガン的なハーモニウム。
 楽曲も彼のものが多く、全編とても穏やかなムード。
 教会系の音楽と思われる曲が三分の一を占めますが、敬虔というよりは牧歌的なムードも強く、とても優し気です。
 冒頭もそんなメロディ。
 とても物悲しげだけども優し気で懐かし気。
 どこかで聞いたことあるなあ・・・と考えていると、やはりノルウェーのJan Garbarek”I Took Up The Runes” (1990)、あるいは“Forever Young” (2014) Jacob Young、“Skala” (2010) Mathias Eickあたりに近いムード。
 共通するのは寂寥感、郷愁感、優しくて穏やかな音。
 何かしらのノルウェーの空気感、あるいはノルウェーの民族音楽の色合いがあるのでしょう。
 それらの作品群の中でも、とりわけ穏やかで静かな寂寥感、郷愁感。
 ノルウェーの色合いなのだと思いますが、近年のECM特徴の淡い色合いでもあります。
 さすがに北欧らしく温度感は高くありませんが、ECMならではの透明感の高い音。
 とても澄んだ空気。
 ちょっとだけ物悲し気だけども、和みます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Yeraz” (2007) Trygve Seim, Frode Haltli

“Yeraz” (2007) Trygve Seim, Frode Haltli 
Trygve Seim (tenor, soprano saxophones) Frode Haltli (accordion) 
 
Yeraz (Ocrd)
Trygve Seim
Ecm Records
2008-09-30
トライヴ セイム

 現代ECMのハウスサックス奏者、ノルウェーのTrygve Seimと、同じくFrode HaltliのアコーディオンのDuo作品。
 Trygve Seimは“Playground” (2007) Manu Katché、“Forever Young” (2014) Jacob Youngでの客演他、2000年以降、ECMにたくさんの録音があります。
 ”The Source” (2006)など、アバンギャルド系、激しい系の作品もあり、諸々あわせて普通にジャズの人ではない不思議で妖しいイメージ。
 が、そればかりではないようで、本作は穏やかな音楽。
 1970年代生まれ、Jacob YoungMarcin Wasilewskiあたりと同世代、同胞の大先輩Jan Garbarekの影響があるのかないのか、寂寥感、緊張感の強い音使い。
 Jan Garbarekと空気感は近いのですが、フレージングは違う感じだし、もっと柔らかく、サブトーン多め、激烈に吹くイメージでもなく、同じくECM、同胞のトランペッターMathias Eickのサックス版ってな感じでしょうか。
 21世紀のJan Garbarekってな形容は当たらずとも遠からず、といった感じでしょうか。
 アコーディオンは時にはパイプオルガン的に敬虔に、時には街角のダンスの伴奏のように俗な感じにも響きます。
 タイトル曲はアルメニアの伝統曲のようですが、さらにアルメニアの思想家、音楽家George Ivanovitch Gurdjieffの楽曲が取り上げられています。
 静かなエキゾチシズムと敬虔さ、寂寥感。
 中心となるオリジナル曲も含めて淡いメロディ、全編寂寥感の強い音、静かで穏やかな漂うような音の流れが続きます。
 本来、ぶっとい音でサブトーンも混ざればヤクザな感じになって、それがカッコいいはずのはずのテナーサックスの音が、なぜか清らかに聞こえてしまいます。
 さらに、終盤にあのBob Marleyが弾き語りした名曲”Redemption Song”。
 意外な選曲ですが、全体通じてその歌詞で語られたメッセージが込められているのでしょうかね?
 周囲の空気が浄化されていくような音の流れ。
 21世紀型ECMサウンドの典型、とまではいいませんが、そんな穏やかで敬虔な音。
 不思議な音です。




posted by H.A.


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