吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Tord_Gustavsen

【Disc Review】“The Other Side” (2018) Tord Gustavsen Trio

“The Other Side” (2018) Tord Gustavsen Trio

Tord Gustavsen (piano, electronics)
Sigurd Hole (bass) Jarle Vespestad (drums)

The Other Side
Tord Gustavsen Trio
Ecm
2018-08-31


 ノルウェーのピアニストTord Gustavsenのトリオ作品。
 サックス、ボーカルが入った作品が続いていましたが、オーソドックスなトリオ+ほんの少しの電子音。
 一時期の攻撃的なビートとハイテンションな演奏は抑えられ、あの静かで沈痛な寂寥の世界。
 哀愁漂う音をゆったりと置いていくピアノ。
 オリジナル曲に加えて、J.S.Bach他のクラシック曲、伝統曲が半分ほど。
 どこまでも沈んでいくような空気感はそのままですが、前作“What was said” (2015)ほど沈痛ではありません。
 また、例の歌謡曲的な強烈な美メロやキッチリした8ビートがひたすら続く感じではありません。
 淡い色合いのメロディと自由度の高いビート感。
 ECMのお約束、ルバートでのスローバラードなども交えつつの浮遊感、淡くて自由な感じ、それをJ.S.Bachなどのクラシック曲でやってみよう・・・ってな感じが新機軸なのかもしれません。
 いつものしんみりとした空気感の中で、意外な方向に漂っていく音の動き。
 あるいは、淡く茫洋とした空気の中から突然現れる、いつもの沈痛なまでも美しいメロディ。
 深刻さはほどほど、とても落ち着いていて優しい音、懐かしい音なので、疲れた日の気持ちの清涼剤としてちょうどいいのかな?
 しんみりとしつつもそのまま心地よく寝れそうですねえ。
 そんなピアノトリオ。




posted by H.A.



【Disc Review】“The Well” (2011), “Extended Circle” (2013) Tord Gustavsen

“The Well” (2011), “Extended Circle” (2013) Tord Gustavsen
Tord Gustavsen (piano)
Tore Brunborg (tenor, soprano saxophone) Mats Eilertsen (double bass) Jarle Vespestad (drums)

The Well
Universal Music LLC

トルド グスタフセン




トルド グスタフセン





 Tord Gustavsen、前作“Restored, Returned” (2009) からボーカルが抜けた、サックス入りカルテットでのアルバム二作。
 相変わらずの「沈み込む寂寥感」の世界。
 でも、サックスが入ってよりカッコよくなったのが、ビートが強い曲、あるいは盛り上がるドラマチックな演奏。
 ヒタヒタと迫ってくるような高速なビートと、それでもゆったりとしたピアノの組み合わせがカッコいい展開が何曲も。
 ビートが強い曲でもピアノを強くは弾かないので、そこを補うサックス。
 ピアノトリオ作でも似た展開はありましたが、期待通りに盛り上がり切る演奏、緊張感も少々高め。
 サックスは張りつめた音ながら、感情的にビヒャーとやるタイプではなく、常に冷静にメロディを紡いでいくタイプ。
 その意味ではTord Gustavsenに近いタイプの音使い。
 世界観を損なうことなく、変化をつけるいい組み合わせ。
 この2作、どちらも同じ質感ですが、“Extended Circle”の方が少しビート感が強い印象。
 気のせいなのかもしれませんが、その意味で、“Extended Circle”が私的には最もお気に入り。
 トリオならば同様の理由で“Being There” (2006)。

 それにしてもこの人の曲、基本的には沈んだムードですが、特徴的なのが途中の意外なところに挿入される前向きなメジャー系のコード、展開。
 それにホッとさせられつつ、次の瞬間にはまた寂寥の世界に連れ戻される・・・そんな繰り返し。
 そのあたりにもこの人の音楽のカッコよさなのでしょう。
 楽曲の素晴らしさに加えて、サックスが入って、緊張感、ドラマチックさが高まったTord Gustavsen。
 上手くすれば、かつてのKeith Jarrett、そのカルテットのような一大スタイリスト、スーパーバンドに化けるかも。それともこの種の沈痛な感じは少々古いのかな?どうだろ?
 最新作“What was said” (2015)では、また少人数、静謐、沈痛系に戻りましたが、さて・・・・・・?




posted by H.A.

【Disc Review】“Restored, Returned” (2009) Tord Gustavsen

“Restored, Returned” (2009) Tord Gustavsen
Tord Gustavsen (piano)
Tore Brunborg (tenor, soprano saxophone) Mats Eilertsen (double bass) Jarle Vespestad (drums) Kristin Asbjørnsen (vocals)

Restored, Returned
Universal Music LLC
2010-02-03
トルド グスタフセン

 Tord Gustavsen、サックス、女性ボーカルを迎えた作品。
 メンバーが変わっても世界観は同じ。
 全てスローバラード、沈み込むような寂寥感。
 ボーカルはハスキー系。
 大声だったり叫んだりはしませんが、絞り出すような歌い方。
 ピアノだとサラリと聞けるメロディが、鬼気迫るような妖しさ。
 8ビート中心なことも含めてジャズというより、ポップス~フォークロックな雰囲気もしばしば。
 音階も少し聞き慣れない系のモノを使い出したかな?
 サックスはJan Garbarekを少しだけマイルドにしたイメージ。
 張りつめたトーン、緊張感高い系。
 結果として、ここまでの作品の淡々としたイメージに、妖しさと強い緊張感が加わる形に。
 元々、甘美なメロディながら、甘美、あるいはロマンチックな感じの演奏ではなかったと思いますが、その面目躍如、辛口な部分が強調された、といったところでしょう。
 これまた静謐で美しい、さらに妖しさと緊張感が加わったバラードアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】“Being There” (2006) Tord Gustavsen Trio

“Being There” (2006) Tord Gustavsen Trio
Tord Gustavsen (piano)
Jarle Vespestad (drums) Harald Johnsen (bass)

Being There
Universal Music LLC
2007-04-20
トルド グスタフセン

 Tord Gustavsen、ECMでの三作目。
 前二作“Changing Places” (2001)、“The Ground” (2004) と同じメンバー、同じテイストですが、少し違うのはビートが強い演奏が増えていること。
 スロー・バラードについては前の二作と基本的には変わりません。
 強烈な寂寥感を伴う美しいメロディ、淡々とした演奏。
 それらがアルバムの大半を占めることも変わりません。
 それでも本アルバムでは強めの8ビートのグルーヴィーな演奏、さらには、いかにもハイテンション系ヨーロピアン・コンテンポラリー・ジャズな演奏など、強烈な推進力の演奏が数曲。
 それがさまになっていなければ、単にチェンジ・オブ・ペースかな、で終わるんだけど、ものすごくカッコいい演奏。
 ピアノ自体はいつもの丁寧な演奏。
 強い演奏ながら、突っ走ったり、ブチ切れたりはしない。
 その冷静な感じとバンドの高揚感の組み合わせがカッコいい。
 そして、いつもながらエピローグに置かれた前向き系の曲のメロディの素敵なこと。
 ということで、目下の彼のアルバムでは、これとサックス入りの”Extendet Circle”(2013)がビート感が強めでお気に入り。





posted by H.A.

【Disc Review】“Changing Places” (2001)、“The Ground” (2004) Tord Gustavsen Trio

“Changing Places” (2001)、“The Ground” (2004) Tord Gustavsen Trio
Tord Gustavsen (piano)
Jarle Vespestad (drums) Harald Johnsen (bass)

Changing Places
Universal Music LLC
2003-03-18
トルド グスタフセン
The Ground
Universal Music LLC
2005-02-28
トルド グスタフセン

 前掲“What was said” (2015)のTord Gustavsen、ECMでのデビューから二作。もう十年以上経っていましたか。
 全て同メンバーによるピアノトリオ。 ある意味すごい作品。
 多くが静謐なスローバラード。全ての曲がとても美しく、とてももの悲しいメロディ。
 それもアルバム二枚、全て。
 ほのかに明るいムードではあるのですが、マイナーとメジャー、悲壮感と前向きさが複雑に交錯する展開。
 いわゆる耽美的系、内省的系、抒情的系。
 聞いた感じはものすごくわかりやすいジャズ。様式もテーマ~ソロ~テーマの基本的なスタイル。
 でも何かが違う。
 これでもかこれでもかと出てくる美しいメロディなのか、間が多い演奏なのか、淡々としたリズムなのか、決してエキサイトしないクールな演奏なのか、それとも何かメロディかコードに隠し味があるのか・・・。
 たぶんその全てなのでしょうが、いずれにしても、極めてわかりやすいのに、今までになかった感じが摩訶不思議。
 シンプルに、今時珍しい、楽曲、メロディ重視の音楽だからかなあ・・・
 それにしても、次から次へと美しいメロディのバラードが作れることには驚嘆。
 これだけ似たテイストの曲が並ぶと、いくつかは妙な曲があってもおかしくなさそうだけども、捨て曲なし。さらに、イスラエル系に同じく、北欧系によくある微かな日本的な香り。
 とてもわかりやすい静音ジャズの代表作であるとともに、近年のピアノトリオのバラード集の代表作。





posted by H.A.

【Disc Review】“What was said” (2015) Tord Gustavsen

“What was said” (2015) Tord Gustavsen
Tord Gustavsen (Piano, Electronics, Synth bass)
Simin Tander (Voice) Jarle Vespestad (percussion)

what was said
gustavsen/tander/ves
ecm
2016-01-29
トルド グスタフセン

 ノルウェーのピアニストTord Gustavsen、ドイツのボーカリストSimin Tanderを迎えたアルバム。
 Simin Tanderのルーツはアフガニスタンにもあるようですね。
 Tord Gustavsenは激甘というより、痛いぐらいにセンチメンタルで美しいメロディを静かに演奏するスタイルの人。
 静かな8ビートが基本。スウィングもなければスリリングなソロ回しもあまりなし。音が鳴っていない時間が10%ぐらい(大げさ)はありそうな静謐で間の多い音作り。
 本作もそんな一作。
 いつもは美しいピアノの音で奏でられるメロディ、それをハスキーな女性の声で囁くように歌われると寂寥感は大きく増幅。
 来るところまで来たかなあ・・・ってな感じの寂寥感。
 中近東系?の聞き慣れない言語の歌、聞き慣れない音階のスキャットなど、寂寥感を通り越して妖しい、あるいは敬虔なムード。
 トリオ作“Being There” (2006)、サックス入り作品“The Well” (2011), “Extended Circle” (2013)で段々と強めのビートになってきたように感じていましたので、そちらに行くかと思ってたら、逆に超静謐な世界。 
 いつものほのかに明るいムードが薄いというか、厳かな方向に。
 サックスが入った作品はある適度のエネルギー感のあるドラマチックさでしたが、本作はあくまで静謐なドラマチックさ。
 また、本作はベースレス。パーカッションはあくまでアクセント付け、電気系での補強もわずかで、ピアノソロが演奏の中心。 
 結果的にビートが自由、曖昧になり、強い浮遊感。 
 基本的にはいつものTord Gustavsen節ながら、沈痛度はさらに強め。
 その世界が好きな人にとってはたまらない作品なのでしょう。




posted by H.A.
Profile

jazzsyndicate

【吉祥寺JazzSyndicate】
吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。
コンテンポラリー ジャズを中心に、音楽、映画、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ