吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Toninho_Horta

【Disc Review】“Viva Eu” (2019) Barbara Casini & Toninho Horta

“Viva Eu” (2019) Barbara Casini & Toninho Horta

Barbara Casini (Vocals) Toninho Horta (Guitar, Vocals)
Giuseppe Fornaroli, Luiz Claudio Ramos (Guitar) Francis Hime (Piano)
Chico Buarque, Danilo Caymmi, Edu Lobo, Illesi (Vocals) Joyce Moreno, Nelson Angelo (Vocals, Guitar)

ヴィヴァ・エウ
BARBARA CASINI & TONINHO HORTA
Unimusic
2021-01-20


 イタリア在住ブラジリアン女性ボーカリストBarbara Casini、Toninho Hortaの双頭リーダー作。
 ブラジリアンアーティストNovelliの作品集。
 Toninho さんの近作“Shinkansen” (2020)は日本からでしたが、本作はイタリアから。
 明るく元気なそちらとは全く違うテイスト、抑制されたクールなブラジリアンポップス。
 たくさんの名前が並んでいますが、ベースなし、パーカッションなし、ピアノも少々のみ、ギターとヴォイスのデュオを中心として、楽曲によってゲストが加わる編成、静かな音。
 Toninhoさんもガットギターに徹してサポート中心、ときおりスキャット、ってなイメージ。
 シンプルで静かな音を背景にしたシャキッとしたヴォイス。
 バラード中心、いかにもブラジリアン、穏やかな哀愁をまとったSaudadeなメロディたち。
 あの丸い音の楽園エレキギターの登場場面はありませんが、当然ながらガットギターでの歌伴も名人芸。
 緩急自在、十分に華やかで過剰でない、絶妙なバランス。
 そして名前だけでごちそうさまな超々豪華なゲスト陣。
 気が付いていませんでしたがBarbaraさん、Joyce御大にそっくりの歌い方。
 二人で歌うと区別がつきません。
 その他含めて、ギターとヴォイスのみを中心としたシンプルなサウンドながら変幻自在。
 全編を通じた少し沈んだムード、ハイテンションに行き過ぎない抑制されたムードがとてもクールでエレガント。
 そんな中、締めは”Durango Kid” (1993)を思い起こすストロークと哀愁のメロディ、どこか遠くを眺めるような空気感、静かにかつドラマチックに幕。
 派手ではなく、浮かれるでもなく、かといって落ち込むでもなく、ジワジワくる系、沁みてくる系。
 そんなMPB。


 


(1979) "Terra dos Pássaros
(1980) ”Toninho Horta” 
(1988) ”Diamond Land” 
(1989) “Moonstone” 
(1992) ”Once I Loved” 
(1992) “Sambao” Kenny Barron 
(1993) ”Durango Kid” 
(1994) “Live in Moskow” 
(1994) ”Foot on the Road” 
(1994) “Toninho Horta & Carlos Fernando” 
(1995) ”Durango Kid 2” 
(1995) “Cem Boce” with Joyce 
(1997) “From Belo to Seoul” with Jack Lee 
(1997) “Serenade” 
(1998) ”To Jobim with Love” (From Ton to Tom) 
(1999) “Duets” with Nicola Stilo 
(2000) “Quadros Modernos” with Juarez Moreira and Chiquito Braga 
(2003) “Vira Vida” with Nicola Stilo 
(2004) ”Com o pé no forró” 
(2007) “Solo ao Vivo” 
(2007) “Toninho in Vienna” 
(2007) “Cape Horn” with Arismar do Espírito Santo 
(2008) “Tonight” with Tom Lellis 
(2010) ”Harmonia & Vozes” 
(2010) “From Napoli to Belo Horizonte” with Antonio Onorato 
(2012) ”Minas Tokyo” 
(2014) “No Horizonte de Napoli” with Stefano Silvestri 
(2015) "Alegria é Guardada em Cofres, Catedrais" with Alaíde Costa
(2013-2018) “Belo Horizonte” 
(2020) "Shinkansen"
(2020) “Viva Eu” with Barbara Casini

posted by H.A.


【Disc Review】“Shinkansen” (2020) Shinkansen

“Shinkansen” (2020) Shinkansen

“Shinkansen : Toninho Horta (guitar) Jaques Morelenbaum (cello) Liminha (bass) Marcos Suzano (percussion)
Guests : Branford Marsalis (soprano saxophone) Ryuichi Sakamoto (piano) Jessé Sadoc (trumpet, flugelhorn)

シンカンセン
Shinkansen
SMJ
2020-10-28


 Toninho Horta、新ユニットShinkansen:新幹線。
 あの名曲?のタイトルを冠したユニット。
 ギタートリオにこれまた日本に縁が浅くないJaques Morelenbaumのチェロが加わるバンド、楽曲によってこれまた豪華なゲストが加わる編成。
 意外にもカッチリした印象のジャズフュージョン。
 静かなパーカッションとエレキベースがビートを作り、エレキギターとチェロが代わる代わる前面に出て、ところどころにゲストが加わる、そんな構成。
 ソプラノサックスが聞こえると洒脱なフュージョンテイスト、ピアノが鳴っていると少々妖しい、ゲストの御方の色合い。
 ヴォイスの登場場面は少々のみのインスツルメンタルミュージック。
 のほほんとしたあの名曲?も、キッチリとしたリズム隊に後押しされ、キッチリとしたフュージョンに様変わり。
 ステディなビートを刻み続けるパーカッションに弾むエレキベース、攻めるチェロ。
 そしてフワフワと柔らかく丸っこいクリーントーンのエレキギターは、楽園で流れていそうな、そんな音。
 いつもながらのToninhoさんの柔らかくて軽快なブラジリアンミュージックではありますが、前作“Belo Horizonte” (2013-2018)とはちょっと違う面持ち、タイトなジャズフュージョン寄り。
 楽曲はオリジナル、少々哀しい、でも前向きなSaudadeなメロディたち。
 名作“Moonstone” (1989)辺りの感じに近いかもしれませんが、もっと直球でしょうか。
 攻めた感じの先端的で妖しい演奏もありますが、なんだかんだで優しい感じの勝ち。
 ちょっと拍子抜けなくらい平和で元気いっぱいですが、Toninhoさんが入っていれば、さらに彼の楽園エレキギターがたっぷり聞こえれば何でも名演。
 とても優しくてハッピーな感じ含めて、よろしいのではないでしょうか。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Belo Horizonte” (2013-2018) Toninho Horta & Orquestra Fantasma

“Belo Horizonte” (2013-2018) Toninho Horta & Orquestra Fantasma

Toninho Horta (guitars, voice)
Andre Dequech (keyboards) Yuri Popoff (bass, voice) Esdra Nenem Ferreira (drums) Robertinho Silva (Percussion) Lena Horta (flute, voice) 
Nivaldo Ornelas (tenor sax) Breno Mendonca (soprano sax) Wagner Souza (trumpet, flugelhorn) Pedr Aristides, Joao Machala (trombone)
Juarez Mareira (guitar) Rudi Berger (violin) William Galison (harmonica)
Lisa Ono, Joyce, João Bosco, Deular Andrade, Carla Vilar, Tadeu Franco, Coral Mater Ecclesiae, Samuel Victor, Freitas Ferreira (voice)


 Toninho Hortaの2019年リリース作品。
 コンボ編成+αで時間を掛けて制作された様子のセルフカバー集と新曲集のたっぷりCD二枚組。
 全編、あの柔らかでさり気ない浮遊感たっぷりのブラジリアンフュージョン~ポップス。
 ピアノトリオ、パーカッション、フルートに自身のギターのオーソドックスな編成をベースに、楽曲ごとに管楽器、ストリングス、コーラス、ゲストボーカリストなどが加わる、あるいは人数を絞る、これまたオーソドックスなMPB作品の構成。
 一枚目のセルフカバー集は、ボーカル曲中心。
 “Durango Kid”から始まり、 小野リサが歌う“Beijo Partido”、Joyce, João Boscoの参加が一曲ずつ、などなど。
 “Moonstone” (1989)あたりの雰囲気、スッキリしたコンボ演奏を中心に、柔らかな歌、あの丸いクリーントーンのエレキギターもたっぷり。
 いかにもあの時代のMPB、ブラジリアンフュージョンっぽい感じなのですが、柔らかな空気感、しなやかなビートがとても心地いい、極めて上質な定番サウンド。
 CD二枚目は新曲、インスツルメンタル中心。
 明るいのだけどもどこか陰のある、そしてどこか懐かしいSaudadeな演奏揃い。
 Orquestra Fantasmaはデビュー作"Terra dos Pássaros" (1979)のバンド名のようです。
 それを意識したのかどうか、少々顔を出すファズが掛かったサイケなギターやらエレピやらを含めて、あの時代の空気感もちらほら。
 かといって過剰ではない、スッキリした今風の音。
 所々で聞かれる静かにヒタヒタと迫るビート、柔らかなギター、スキャットヴォイス、メロディの動きは、あの時期のPat Methenyへの影響がまるっと見える音。
 Patさんは変わりましたが、Toninhoさんは変わりません。
 それがカッコいい。
 全部含めて、ノスタルジーとか何とかを超えた、とても素敵で心地よい今の音。





posted by H.A.

【Disc Review】“Em Casa Com Luiz Eça” (2017) Igor Eça

“Em Casa Com Luiz Eça” (2017) Igor Eça
Igor Eça (bass, guitar, voice)
Toninho Horta (guitar, voice) Itamar Assiere (piano) Jurim Moreira, Ricardo Cota (drums)
Dori Caymmi, Edu Lobo, Zé Renato (voice) Mauro Senise (flute, sax) 

Em Casa Com Luiz Eca
Igor Eca
Imports
2017-04-21


 ブラジル、ジャズサンバトリオTamba TrioのピアニストLuiz Eçaへのトリビュートアルバム。
 リーダーは明記されていませんが、息子さんのIgor Eçaが仕切ったのでしょうかね?
 楽曲はLuiz Eçaの作品を中心とした、オーソドックスなジャズサンバ。
 バンドはピアノトリオ+ギター+木管を中心とした、これまた由緒正しいオーソドックスなブラジリアン・ジャズフュージョン編成、一部ボーカル入り。
 そのギターがToninho Horta
 ガットギターはもちろん、丸い音のエレキギターもたっぷり。
 さらにボーカルはそのToninho Hortaに加えて、Dori Caymmi, Edu Loboの豪華ゲスト陣。
 ま、想像通りの平和で楽し気な音。
 普通・・・といえばその通りなのですが、Toninho Hortaのギターがたっぷり聞ければ文句なし。
 やはりこのあたりのサウンドは、気楽に安心して聞けるなあ・・・


※別のバンドから。


posted by H.A.

【Disc Review】”Minas Tokyo” (2012) Toninho Horta

”Minas Tokyo” (2012) Toninho Horta
Toninho Horta (guitar, vocal) Nobie (vocal)

ミナス-トウキョウ
トニーニョ オルタ




 日本制作のToninho Horta。
 ひいき目を割り引いても、ものすごく素敵なアルバム。
 基本的はソロですが、リズムを刻むガットギターにエレキギターをオーバーダビング。
 この組み合わせが最高に気持ちいいし、カッコいい。
 アルバム一枚、ここまでたっぷりとやった作品はなかったのでは。
 結果、統一感があるし、全編心地よい音が続く素敵な時間。
 丸くて艶やかなクリーントーン、楽園から聞こえてくるようなエレキギター
 数曲で入る日本の女性ボーカルも可憐で儚げ、いい感じ。
 ちょっと笑える“shinkansen~”含めて、いつになくアップテンポが多い感じでしょうか。
 これまたいい曲ばかり。
 ちょっと走り気味にも聞こえるガットギター、その上をふわふわと浮遊する声、それらをこれまた浮遊感のある丸っこいエレキギターが定常に引き戻す感じ。
 なんだか不思議なタイム感。
 さらにとてもクリアな録音も手伝ってか、洗練された音、浮遊感が強いのにクールな質感。
 最高傑作、と断言はしないけども、少人数の作品の中では一番聞きやすそうだし、彼のエレキギターをたっぷり聞けるし、とても心地いい音楽、いいアルバムです。





posted by H.A.

【Disc Review】”Harmonia & Vozes” (2010) Toninho Horta

”Harmonia & Vozes” (2010) Toninho Horta
Toninho Horta (guitar, vocal)
D'Black, Ivan Lins, Djavan, Ivete Sangalo, Seu Jorge, Sergio Mendes and more&more

HARMONIA & VOZES
TONINHO HORTA
MINAS RECORDS

トニーニョ オルタ

 Toninho Horta、豪華ゲスト陣が彼の楽曲を演奏するポップス仕立ての作品。
 少し懐かしい感じの音。
 デビュー当時のMilton Nascimento的Minas色な豪華MPB路線を、現代風にやるとこんな感じなのかなあ。
 派手で豪華、やり過ぎてる感もあるかつての作品に比べて、シンプルでスッキリとした編成、アレンジ。
 Toninho Hortaのメロディはどんな編成でも誰が歌っても彼の世界。
 明るくて前向きな、少し懐かしいような、さらに少々の寂寥感。
 豪華で楽しげなポップスのようで、最後のインスト二曲は泣けます。




posted by H.A.

【Disc Review】”Com o pé no forró” (2004) Toninho Horta

”Com o pé no forró” (2004) Toninho Horta
Toninho Horta (guitar, vocal)
Dminguinhos (accordion, vocal) abd others

トニーニョ オルタ

 Toninho Horta、少し変り種ですが、とても楽しげ、素敵なアルバム。
 “Forro”なるブラジル北東部の伝統舞踊リズムをベースにしたもののようです。
 詳細はわかりませんが、いつものToninho_Worldではなく、さらに明るくて素朴なテイスト。
 のどかなビート。
 サンバなども混ざった感じで、なんだか楽しそうなリズム、音使い。
 のほほんとしたアコーディオンが前面に出て、代わる代わるワイワイと歌うスタイル。
 曲は明るい流れのToninhoの作品。
 プリミティブなイメージに聞こえるかもしれませんが、確かにそんなテイストでありつつも、何故か洗練された質感。
 リズムは楽しげだけど落ち着いているし、ベースラインもしっかりしているし、サラリとストリングスが流れていたり、さりげないようで素晴らしいアレンジ。
 そして何よりも何よりも、そんな楽しげで洗練された音を背景に、Toninhoが全編であの丸っこい音のギターを弾きまくっていること。
 これ、すごくいいアルバム。
 最初から最後まで、楽しさ最高。




posted by H.A.

【Disc Review】”To Jobim with Love” (From Ton to Tom) (1998) Toninho Horta

”To Jobim with Love” (From Ton to Tom) (1998) Toninho Horta
Toninho Horta (guitar, vocal)
Gary Peacock (bass) Dave Kikoski (piano) Gal Costa (vocal) Bob Mintzer (sax) and others

To Jobim With Love (Dig)
Toninho Horta
Resonance Records

トニーニョ オルタ

 Toninho Horta、豪華ゲスト、ストリングスを従えたJobimトリビュート。
 彼にしては珍しいオーソドックスな現代的ジャズボッサ。
 代表曲中心の選曲、とても律儀でキチンとしたアレンジ。
 ストリングス、ホーン、ゲストの絡め方もあくまでサラリと上品に。
 さて、普通の人だとありきたりになってしまいそうですが、この人ならばそれだけで素晴らしいアルバム。
 ふわっとしたボイスはいつも通りだし、あの艶やかで丸っこいクリーントーンのエレキギターが前面に出ているし。
 バンドは上品にグルーヴ、インプロはどれもカッコいい。
 唯一の欠点は、本人が音を出していないと誰のアルバムかわからなくなること・・・
 案外、一番わかり易いToninho Hortaかも。
 とても完成度の高いカッコいいジャズボッサアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】“Sem Voce” (1995) Joyce, Toninho Horta

“Sem Voce” (1995) Joyce, Toninho Horta
Joyce (vocal, guitar) Toninho Horta (vocal, guitar) 

セン・ヴォセ
ジョイス 
トニーニョ オルタ



 ブラジルの巨匠2名の共演。
 おまけにJobimナンバー集。
 普通に予想できてしまう音で、その通りの演奏なのですが、やはり名人たちが演るとちょっと違いますね。
 スパッとしたお姉さんと、優しげなお兄さんが作る柔らかな音楽。
 基本的にはギターとボーカルだけ。
 誰と何をやっても、Toninhoさんは相変わらずのマイペース。
 Joyceの音楽として見ると、いつになくしっとりとしていて、Jobimの曲特有の陰影が前面に。
 聞いていると肩の力が抜けていきつつも、何となく寂しくなったり。
 でも暗くはならない。
 Saudade、郷愁ってやつですね。




posted by H.A.

【Disc Review】”Durango Kid 2” (1995) Toninho Horta

”Durango Kid 2” (1995) Toninho Horta
Toninho Horta (guitar, vocal) 

Durango Kid 2
Toninho Horta
Big World Music

トニーニョ オルタ

 アコースティックギター弾き語り、第二弾。
 名曲”Aquelas Coisas Todas”からスタート。
 激しく爪弾かれるギターと、遠い目をしたような声。続く静謐。
 静かに緩やかに流れる音、時間。
 穏やかに遠い過去に思いを馳せる時間、空間。
 この「遠い目をしたような」質感あたりがミナス・サウンドの真骨頂なのでしょうかね。
 Milton Nascimentoはもちろん、今のAndre Mehmariにも共通する音のように思います。




posted by H.A.
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