“Bayou” (2018) Thomas Strønen
Thomas Strønen (Drums, Percussion)
Ayumi Tanaka (Piano) Marthe Lea (Clarinet, Vocals, Percussion)
ピアノは日本人女性、クラリネットも女性。
静かで自由な時間、迷宮系。
美しいピアノと妖しいクラリネット、ときおり聞こえる女声の歌。
それらに合わせるように鳴る静かな打音、擦過音。
フリーなインプロビゼーションが中心でしょうか。
ここまでの諸作では何曲かはあったビートの効いたジャズな演奏はありません。
派手なインプロビゼーションの場面もありません。
ゆったりとした流れ、たっぷりの余白。
誰かの発した音に合わせるように形を変えていくバンド。
美しい音とメロディアスなフレーズたち。
が、長く一定の形を保つことなく、漂い、消えていく音。
少し音量を変えると、あるいは聞く位置を変えるだけでも形が変わってしまいそうな繊細さ。
そんな音の流れが最初から最後まで続きます。
予測不可能、ジャズやクラシックなわかりやすさはなく、聞き慣れた音ではありません。
終始緊張感に包まれ、明るくもありません。
それでも心地よいのは、個々のフレーズがメロディアスだから、そしてどこか懐かしい空気が流れているからでしょうか。
静かな迷宮。
静かな迷宮。
儚く繊細な時間。
posted by H.A.