吉祥寺JazzSyndicate

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Thomas_Stronen

【Disc Review】“Mercurial Balm” (2010,2011) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

“Mercurial Balm” (2010,2011) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

Thomas Strønen (Drums, Percussion, Electronics) Iain Ballamy (Saxophone, Electronics)
Eivind Aarset, Christian Fennesz (Guitar, Electronics) Prakash Sontakke (Slide Guitar, Vocals) Nils Petter Molvær (Trumpet)

Mercurial Balm
ECM Records
2017-07-28


 ノルウェーのフリー系ドラマーThomas Strønenとイギリスのサックス奏者Iain Ballamyのプロジェクト。
 ECMレコードでは“Quiet Inlet” (2007,2008)に続く第二作。
 本作のサポートメンバーは北欧の先端系、アンビエント系、さらにインド系。
 静かな無国籍アンビエント系ミュージック。
 前作と同じく、ゆったりと漂うようなビート、パーカッションと電子音が作る幻想的な時空の中を泳ぐ美しいサックスの音。
 妖しさ120%も同様ながら、メロディアスになったように思います。
 おそらくサックスが前面に出る場面が多い印象だから。
 無機質な反復が続くようで、穏やかで淡い色合いの音、どことなく懐かしい空気感。
 それは“In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis的あるいは初期Weather Reportな感じでもあるし、北欧伝統音楽系が混ざっているのかもしれないし、ミニマル、あるいは未来的アビエントな感じもします。
 そんな淡く幻想的な音の流れが全体を支配しつつ、ときおりビートを定めて動き出すドラムとメロディアスなサックス。
 まどろむような陶酔感と覚醒の錯綜。
 鎮痛、陰鬱さはなく終始穏やか。
 この系の中では音楽の輪郭が明確でメロディアスな方なのかもしれません。
 かといってポップさはもとより、甘さもないバランス。
 全ては淡い幻想の中。
 穏やかながら強烈なトリップミュージック。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Quiet Inlet” (2007,2008) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

“Quiet Inlet” (2007,2008) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

Thomas Strønen (Drums, Electronics) Iain Ballamy (Tenor Saxophone, Soprano Saxophone)
Christian Fennesz (Guitar, Electronic) Nils Petter Molvær (Trumpet, Electronics)

Quiet Inlet
ECM Records
2017-07-28


 ノルウェーのフリージャズ系ドラマーThomas Strønenとイギリスのサックス奏者Iain Ballamyのプロジェクト、ECMレコードでの初作。
 Thomas Strønen は“Parish” (2004) 以降、ECMレコードで静かなフリー寄り音楽の人、Iain Ballamy は”Quercus” (2006) June Taborのメンバー、Coltrane系な人。
 サポートはオーストリアの先端系ギタリストとノルウェーの寂寥系トランペット。
 静かなフリー交じり、アビエント寄りミュージック。
 静かに鳴る電子音と静かにビートを刻むパーカッション。
 電子音は風のようでもあるし、宇宙的でもあるし。
 パーカッションの金属音は不規則に揺られる風鈴、擦過音と大きくはない打撃音は木々が揺れ、こすり合う音のよう。
 どこか遠いところの景色が見えてくるようでもあるし、幻想のようでもあるし。
 ときおり明確なメロディで覚醒を促すようなサックス、トランペットの音も、多くは淡い空気感の中に溶け込んだまま。
 曖昧なようで抽象的なようで、そうでもないバランス。
 悲哀はなくカラッとした雰囲気、全体を通じたどこか懐かしい空気感。
 そんな淡く心地よい時間。



posted by H.A.


【Disc Review】“Lucus” (2017) Thomas Stronen,‎ Time Is a Blind Guide

“Lucus” (2017) Thomas Stronen,‎ Time Is a Blind Guide

Thomas Strønen (drums, percussion)
Ayumi Tanaka (piano) Ole Morten Vågan (double bass)
Håkon Aase (violin) Lucy Railton (cello)

Lucus
Thomas Stronen
Ecm Records
2018-01-19


 ノルウェーのドラマーThomas Strønenの静かなコンテンポラリージャズ。
 前作”Time Is A Blind Guide” (2015)のタイトルを冠したバンド。
 前作からパーカッションが抜け、ピアニストが日本人女性に変わっています。
 時空が歪むような弦の妖しいアンサンブルと静かなグルーヴが絡み合う、フリージャズ混じりの北欧ジャズ。
 基本的な空気感は同じですが、ここまでの作品よりもフリー度が下がったイメージでしょう。
 メロディ、コードが明確で、ビートも定常な場面が多くなっています。
 バンドが一体となって静かななうねりを作りながらヒタヒタと迫りくるようなアンサンブル。
 ベースが土台を作り、つかず離れずうねるように揺れるように旋律を奏でるバイオリンとチェロ、さらに別の周期で揺れるピアノ、自由に動くドラム・・・
 全体を通じた淡い色合い。
 その中からときおり浮かび上がるピアノ、バイオリン、チェロのシングルトーンがとても美しく響きます。
 が、その時間は束の間、また次の音のうねりへ・・・
 それらが織り重なるような繊細な音の綾。
 前作の”I Don't Wait For Anyone”のような突出した名曲はないのかもしれませんが、タイトル曲をはじめとして、概ね全編でメロディ、ビートが明解な分、全編がそんな感じ。
 明確なような曖昧なような、どこか遠い所を眺めているような非現実的な時間。
 とても静かで繊細で、それでいてハードボイルドな一作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Stronen

“Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Stronen
Thomas Stronen (drums, percussion)
Kit Downes (piano) Håkon Aase (violin) Ole Morten Vågan (double bass) Lucy Railton (cello) Siv Øyunn Kjenstad, Steinar Mossige (percussion)

Time Is a Blind Guide
Thomas Stronen
Imports
2015-10-30


 ノルウェーのドラマーThomas Strønen、ストリングス入りのコンテンポラリージャズ。
 先の“Parish” (2004)から、間にサックスとのDuoユニット”Food”の作品が何作かありますが、リーダー作としては十年以上間を空けた久々のアルバム。
 それらの作品からすれば、現代のヨーロピアンフリージャズ御用達のドラマーのイメージ、実際その通りなのかもしれませんが、本作は自作の楽曲を中心としたメロディアスな演奏も沢山収められています。
 妖し気なムードはここまでの諸作そのままに、メロディ、展開が明確な楽曲が目立つ分、わかりやすく、フリージャズ色は薄くなっています。
 むしろ穏やかで優しい音楽。
 フリーな場面はほどほど、不協和音もほどほど、半数ほどは明確なメロディのある演奏。
 冒頭は意外にも「定常」なビート、美しいピアノと強い緊張感のストリングスが交錯するハイテンションなジャズ。
 Jack Dejohnetteを想わせるヒタヒタと迫りくるグルーヴ、美しいピアノ、緊張感含めて1970年代のECM戻ってきたようなムードもあります。
 全体を眺めればリーダーのパーカッションは、基本的には繊細かつ変幻自在なフリーな色合い。
 一部を除けば、なかなか定常なビートは出しません。
 バンドのビートが定まってもパーカッションだけがフリー、なんて場面もちらほら。
 ストリングスはオーソドックスなアンサンブルではなく、妖しく緊張感を醸し出す系。
 バイオリンが胡弓に聞こえてしまうような、時空が歪んでいるような不思議感。  
 フリーなパーカッションとあわせて、崩れそうで崩れない、危うくスリリングな場面もしばしば。
 そこから徐々にビートが定まっていき、気がつけばサンバ混じりのビートで突っ走る”I Don't Wait For Anyone”など、最高にカッコいい。
 リズム隊は疾走しても、弦楽器の時間の流れはゆったりとしていて歪んだまま、危うさ最高の凄い演奏。
 ヒタヒタと迫ってくるようなビートはPat Metheny&Lyle Mays風の雰囲気だったり・・・
 その他、ECMの定番ルバートでのスローバラードなどを含めて、危うさ、妖しさたっぷり。
 初めて聞くイギリス人ピアニストKit Downesのパキパキした美しい音、フレージングもいい感じです。
 全曲オリジナル曲、キッチリしたメロディの曲は、ノルウェーの人らしく郷愁感を誘う懐かし気なメロディがいくつか。
 やはりノルウェーの人に染み込んでいるメロディはそんな感じなのでしょう。
 なぜか日本の民謡、童謡にも通じるメロディ。
 やはり、全体通じて、ここまでの作品とはかなり印象が異なります。
 フリーな演奏が散りばめられた、優しくメロディアスなジャズ。
 懐かしさ、安らぎと、想像力を搔き立てる抽象性、先が読めないスリルとのバランス。
 このバランスは希少、とても素敵だと思います。



  

posted by H.A.

【Disc Review】“Parish” (2004) Thomas Stronen

“Parish” (2004) Thomas Stronen
Thomas Stronen (Percussion) 
Bobo stenson (Piano) Fredrik ljungkvisk (sax, clarinette) Mats Eilertsen (bass)

Parish (Slip)
Thomas Stronen
Ecm Records
2006-03-14





 ノルウェーのドラマーThomas Stronenのリーダー作。
 “Rica” (2001) Parishと同じメンバー、北欧コンテンポラリージャズカルテットですが、そちらのOrnette Coleman色、Bobo Stenson色、あるいはMats Eilertsen色に対して、本作はかなり印象が異なります。
 集団でのインプロビゼーションを中心とした静音フリージャズな作品。
 素直なカルテット、あるいはトリオでの演奏はなく、パーカッションを中心として、メンバーが入れ替わり立ち替わりしながら展開していくスタイル。
 “Rica” (2001)の淡い色合い、静かな音の流れはそのままに、定常なビート、聞き慣れたメロディ的な要素がなくなり、抽象度が高く、先の読めない展開が中心。
 ECM移籍第一作は往々にしてフリーインプロビゼーション中心になるケースが見受けられますが、変幻自在のパーカッショニストThomas Stronen のそれとして見るのであれば、いかにもな色合いなのでしょう。
 いきなり応用編からぶつけられる感じで、聞く側からすればなかなか取っつきにくいことも否めないのですが、そのアーティストの色合いを洗い出すにはいい方法なのかもしれません。
 結果としては、ECMならではの静かで硬質でひんやりとした音、先の展開予測不可能、変幻自在の北欧ジャズ。
 全体をリードするなかなか定常なビートを出さないパーカッションに美しいピアノ、静かながらクダを巻く系のサックスが絡み合いつつ流れていく時間。
 多くが不思議系、出口の見えない迷宮系。
 が、キツイ感じのフリージャズではありません。
 Bobo Stensonのピアノが相変わらず美しい。
 さらに、中盤以降に納められた何曲かのリーダーのオリジナル曲は、哀愁が漂うハードボイルドなメロディ。
 強烈な浮遊感が心地よいルバート的なスローバラードもあります。
 それらをCD前半にもってくるともっと人気作になるんじゃないかなあ・・・とか思ったりもしますが・・・
 そんなアクセントを含めて、淡い感じが心地よいととらえるか、あるいは先の読めないスリリングさがカッコいいととらえるか、はたまた抽象的にすぎてよくわからんととらえるか・・・
 ま、人それぞれかと。
 私的にはさすがにECMの音、静かで美しい音の流れが心地いいし、さらにその中から突然に現れる、ECMのお約束?の全編ルバートでのスローバラードなんてカッコいいなあ、と思います。
 静かな非日常感が心地よい一作、但し、応用編かな?
 この先、サックスとのDuoバンド"Food"の作品が何作か、リーダー作はしばらく先の“Time Is A Blind Guide” (2015) 。
 そちらはメンバーがガラッと変わって、音も変わって、わかりやすい感じです。
 やはりECMへの移籍後は、第二作ぐらいから落ち着いてくるのかな・・・?




 posted by H.A.


【Disc Review】“Rica” (2001) Parish

“Rica” (2001) Parish
Thomas Stronen (Percussion) Mats Eilertsen (bass) Bobo stenson (Piano) Fredrik ljungkvisk (sax, clarinette) 

Rica
Parish
Imports
2008-05-06


  ノルウェーのドラマー、ベーシスト、スウェーデンのピアニスト、サックスの北欧混成バンド、ライブ録音。
 Bobo Stensonはもとより、今やECM御用達の面々、同じ編成でECM作品“Parish” (2004) Thomas Stronenがありますが、本作はそれよりも少々前、オランダのレーベルから、少々普通のジャズ寄りの演奏。
 編成こそオーソドックスなサックスカルテット、インプロビゼーションのスペースはたっぷりありますが、サックスが前面に出るわけでなく、アンサンブルが中心。
 いかにもな北欧的コンテンポラリージャズの音かもしれません。
 誰がリーダーといったわけではないのでしょうが、さすがに歳の功、静かな空間に響くとても美しいBobo Stensonのピアノが映える音作り。
 抽象的でフリーな演奏も少々混ざりつつもその場面は多くはありません。
 Charlie Haden風のベースソロから始まり、タイトル”Mon Cherry”からすればDon CherryかOrnette Colemanトリビュート、”Lonely Woman”な感じからスタート。
 Bobo Stenson絡みの“Dona Nostra” (1993) Don Cherryなんて名作を想像してしまいますが、もう少しジャズ寄りでしょう。
 さらにはSam Riversなんて通好みの人の楽曲。
 これまたちょっとひねくれていながらもジャジーな演奏。
 その他含めて全編淡い色合い、静かで思索的な展開が続きます。
 後のECM作品“Parish” (2004) Thomas Stronenほど抽象度は高くなく、"Rubicon" (2015) Mats Eilertsenのように郷愁感が前面に出るわけではありません。
 やはり大御所Bobo Stensonのとんがったジャズの色合いが強いのでしょうかね?
 Bobo Stensonとしては“Live At Visiones” (1997) Lars DanielssonでLars Danielsson、Dave Liebmanとのコラボが終了し、ECMで“Serenity” (1999)などのトリオ諸作を作っている時期。
 何かしら新しい音を探している時期だったのかもしれません。
 が、最後はBill Evansの“Very Early”、17分を超えるフワフワと漂うような美しいジャズ演奏。
 やはりBobo Stensonかあ・・・?

※後の“Parish” (2004) Thomas Stronenから、唯一ジャズっぽい演奏。


 posted by H.A.


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