吉祥寺JazzSyndicate

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Tango

【Disc Review】“Reflejos” (1997-2011) Daniel Nakamurakare

“Reflejos” (1997-2011) Daniel Nakamurakare

Daniel Nakamurakare (bass)
Edgardo Acuña (guitar) Adrián Fernández Fazio, Marcelo Macri (piano) Ricardo Fiorio, Lautaro Greco, Pablo Mainetti (bandoneon) Pablo Agri, Juan Roqué Alsina (violin) Pablo Rodríguez (percussion)




 おそらくアルゼンチン在住日系人による、現代タンゴ。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 少々重めのビート感、悲壮感も漂うようなメロディラインは、Astor Piazzolla的なイメージ。

 ってな感じでこのレーベルの現代フォルクローレのイメージとは雰囲気が異なります。
 さらに、ヨーロッパ系コンテンポラリージャズ的でもあるし、プログレッシブロック的にも聞こえます。
 Astor Piazzolla所縁のフォーマット。
 バイオリン、バンドネオン、ピアノが代わる代わる奏でる物悲しく深刻系のメロディとドラマチックな構成。
 音、ビートが上下左右に伸び縮みするバンドネオンと、激情を表出するバイオリン。
 そこまでは極めてAstor Piazzolla的なのですが、後方で、あるいはときおり前面に出るエレキベースのうねりが現代的。
 アンダーグラウンド的な妖しさもありながら、鬱屈した感じがしないのも微妙なバランス。
 むしろクールな質感、淡々とした哀感。
 それまた現代の音ならではなのかもしれません。
 フォルクローレとはまた違うアルゼンチン。
 クールな現代タンゴ。


 


posted by H.A.

【Disc Review】“Yo!” (2000-2001) Silvana Deluigi

“Yo!” (2000-2001) Silvana Deluigi
Silvana Deluigi (Voices)
Pablo Ziegler, Gustavo Beytelmann, Osvaldo Calo (Piano) Horacio Malvicino (Guitar) Walter Castro, Horacio Romo (Bandoneon) Horacio "Mono" Hurtado, Andy González (Bass) Steve Swallow (Electric Bass) Robby Ameen (Percussion)
Fernando Suárez Paz, Alfredo Triff (Violin)

YO!
SILVANA DELUIGI
ewe
2007-06-27


 Kip HanrahanのレーベルAmerican ClaveからAstor Piazzollaへのトリビュート。
 フィーチャーされるのはアルゼンチンの女性ボーカリストSilvana Deluigi。
 Kip Hanrahan作品にフィーチャーされていた囁き系、クール系の人ではなく、少々ハスキーな声で情感たっぷりに歌うオーソドックスな?タンゴ系の人。
 さらに”Tango: Zero Hour” (1986) Astor Piazzollaを制作したメンバーに、Kip Hanrahanバンドのメンバーが加わる構成。
 Astor Piazzolla色のタンゴが中心ではあるのですが、Kip Hanrahanはもちろん、Jack Bruce、さらにはメキシコ曲、Edú Lobo、Chico Buarqueといったブラジル曲なども加えた多彩な楽曲。
 楽曲ごとに編成を変えながら、Astor Piazzolla色とKip Hanrahan色が混ざり合い、交錯する構成。
 一貫しているのはダークで緊張感の高い空気感。
 冒頭のタンゴスタンダード”La Cumparsita”は、妖し気なバイオリンとソリッドなエレキベースのKip Hanrahanの色合いに染まっています。
 Astor Piazzolla、その相棒Pablo Zieglerの楽曲は、強烈な哀感が直接的に表出するAstor Piazzollaの色合い。
 ブラジル曲は強い浮遊感と妖し気なバイオリン、フリー掛かったピアノが交錯する、これまたKip Hanrahan風。
 やはり名作"A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996)を想い出してしまします。
 さらに、ソロピアノで演奏されるタンゴ、Astor Piazzollaバンドではあまり目立たなかったHoracio Malvicinoが前面にフィーチャーされたジャズっぽいタンゴもカッコいい。
 ・・・ってな感じで、いつものアフロキューバンの強烈なビートではありませんが、さまざまな南米的な要素をごちゃまぜにし、さらに妖し気で緊張感の高い現代のアンダーグランド色でコーティングし、なぜかタンゴ系のボイスがしっかり映える音作り。
 ブエノスアイレスなのか、ニューヨークなのか分かりませんが、どこかの都会の片隅、うらびれた街角の空気が交錯する、少し沈んだ、妖しく危ない空気感。
 さすがKip Hanrahanの現代タンゴ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Libertango in Tokyo” (2011) Naoko Terai, Richard Galliano

“Libertango in Tokyo” (2011) Naoko Terai, Richard Galliano
Naoko Terai (violin) Richard Galliano (accordion, bandneon) 
Stephane Logerot (bass) Orchestra Camerata Ducale

リベルタンゴ・イン・トーキョー
寺井尚子
EMIミュージックジャパン
2011-12-21


 寺井尚子、Richard GallianoのPiazzollaトリビュート、Tokyo Jazzでのライブ録音。
 ベースを加えたトリオを中心としてストリングスがサポートする形。
 企画だけ見ると、あるいは“Libertango”なんてタイトルを見ると、ちょっと引いてしまう感もあるのですが、これがエキサイティングでカッコいい演奏。
 冒頭の“Libertango”から激しい演奏。
 この曲、私的には食傷気味で無意識に避けてしまうのですが、このバージョンはカッコいい。
 フロントのお二人のスムース&強烈な疾走感、ジェットコースターのような演奏。
 基本的には打楽器、ピアノがいないトリオの演奏に、ストリングスが彩りを加えるぐらいのバランスですが、強烈です。
 激情系のバイオリンがフロントに立ち、背後で強烈なグルーヴを作り、時に突っ走るRichard Galliano。
 激しい展開、ブチ切れ気味の流れにしばしばなりつつも、あくまでスムース。
 気がついていませんでしたが、お二人、似たタイプなのかもしれません。
 トゲや毒が少ないのも共通点でしょうか。 
 ビート感を含めて相性バッチリでしょう。
 トリオのみ強烈な疾走感、エキサイティングな場面もしばしば。
 トリオだけで全部やってしまってもよかったんじゃない、と思ったり、思わなかったり。
 Piazzolla三曲に他はRichard Gallianoのオリジナル中心。
 タンゴ風のRichard Gallianoのオリジナル曲になると、ストリングスも全開。
 哀感、緊張感、その他諸々Piazzolla風ではあるものの、いかにもフレンチっぽい、明るくてオシャレな感じもちらほら。
 またジャズ的なインプロビゼーションのスペースがたっぷり。
 二人ともキッチリとした起承転結に強烈な疾走感のソロ、さらに終盤はブチ切れ気味の激しさと興奮。
 もちろん重厚なイメージのPiazzollaバンドよりも軽快です。
 それら、ジャズでもタンゴでもない空気感あたりで好みがわかれるのかもしれませんが、バランスのとれた素晴らしい演奏だと思います。
 締めはタンゴの定番”La Cumparsita”に、ストリングスが映える名曲”Oblivion”。
 完成度の高い演奏に加えて、エンターテイメントとしてもキッチリまとまっています。
 お二人とも人気があり過ぎて、あるいはポップな演奏が出来てしまうだけに、マニアな人々からは距離を置かれる感じもあるのですが、素晴らしいアーティスト、演奏だと思います。
 ジャズからタンゴへ入っていくにはちょうどいい入口なのかもしれません。
 数えきれないぐらいにあるのであろうPiazzollaトリビュート作品、私が知っているのはごく一部だけですが、このアルバム、お気に入りの最右翼、かな?




posted by H.A.

【Disc Review】“Libertango: The Music of Astor Piazzolla” (1999) Gary Burton

“Libertango: The Music of Astor Piazzolla” (1999) Gary Burton
Gary Burton (Vibraphone)
Marcelo Nisinman (bandoneon) Pablo Ziegler, Nicolas Ledesma (piano) Horacio Malvicino (guitar) Héctor Console (contrabass) Fernando Suarez-Paz (violin)
 
Libertango: Music of Astor Piazzolla
Gary Burton
Concord Records
2000-04-04
ゲイリー バートン

 Gary Burton、“Astor Piazzolla Reunion: A Tango Excursion” (1996)に続くAstor Piazzollaトリビュート。
 本作も名作“Tango: Zero Hour” (1986) Astor Piazzollaのメンバー+ビブラフォン。
 前作と同じ質感の軽めで華やかなタンゴ。
 Astor Piazzollaバンドと空気感は全く異なりますが、ジャズ、フュージョンっぽいわけでなく、あくまでタンゴ。
 もちろん、Gary Burton的な洗練され華やかな現代的な音。
 フュージョンはさておいても、もっとジャズっぽくアレンジしてもよさそうな感がありますが、それだとPiazzollaキンテートの面々の力量が生きないし、神様Piazzollaへの冒涜になるのでしょうかね?
 “Libertango”で幕を開け、”ブエノスアイレスの冬”に続き、”Escualo”、”Milonga del Angel”などを経て、”Adios Nonino”で締める構成。
 前作よりもこちらの方が人気曲のオンパレードでしょうか。
 あざとい、っちゃあそうだけど、著名な名曲を選んで、いい感じに並べようとすると、確かにこんな感じになりそうですよね。何も異論はございません。
 本作、加えて前作を聞けば、Astor Piazzollaの人気曲を概ね聞けてしまうといえばそうでしょう。
 Piazzolla特有のキツさ、深刻さもこのバンドではマイルド。
 私的にはAstor Piazzollaオリジナルの冷たく沈んでいく感じの方が好みですが、こちらの方が気に入る人がいても全く不思議ではありません。
 もちろんオリジナルとは質感は異なれど、一部の隙も無い演奏力、名曲、名演揃い。
 Piazzolla入門編としていける、たぶん。
 ジャケットも最高。
 



posted by H.A.


【Disc Review】“Astor Piazzolla Reunion: A Tango Excursion” (1996) Gary Burton

“Astor Piazzolla Reunion: A Tango Excursion” (1996) Gary Burton
Gary Burton (Vibraphone)
Daniel Binelli, Marcelo Nisinman, Astor Piazzolla (bandoneon) Pablo Ziegler, Nicolas Ledesma, Makoto Ozone (piano) Horacio Malvicino (guitar) Héctor Console (contrabass) Fernando Suarez-Paz (violin)
 
Astor Piazzolla Reunion: A Tango Excursion
Gary Burton
Concord Records
1998-02-24
ゲイリー バートン

 Gary Burton、大名作“Tango: Zero Hour” (1986)、“Piazzolla: La Camorra” (May.1988) Astor Piazzollaのメンバーが勢ぞろいしたAstor Piazzollaトリビュート作品。
 Astor Piazzollaの名前もありますが、この時期には既に亡くなっていますので、一曲のみのオーバーダビング。
 楽器構成はPiazzollaキンテート+ヴィブラフォン、楽曲もAstor Piazzolla。
 Astor Piazzollaに近いの音になってもよさそうなのですが、何故かより洗練された線が細めの音。
 アレンジが大きく異なるわけでもヴィブラフォンが常に前面に出ているわけでもなく、バンドネオンの人もカッコいい演奏なのですが、不思議な質感の違い。
 録音の具合とそれを含めた緊張感の違いなのでしょうかね?
 名曲“Soledad”、バンドネオンがリードする“Piazzolla: La Camorra” (May.1988) Astor Piazzollaのバージョンと、ヴィブラフォンがリードする本作あたりが好対照でしょうか。
 似たアレンジながら、深く沈んでいくような“Piazzolla: La Camorra” (May.1988)のバージョンに対して、フワフワと舞うような本作のバージョン。
 バンドのメンバーもリードする音、空気感をそのまま引き継いて音を出しているような感じがします。
 Piazzollaバンドでは激情系のイメージのバイオリン、ピアノもなぜかスッキリした感じがします。
 どちらも静謐な演奏ながら、鬼気迫るようなPiazzollaのバージョンに対して、サラリとした本アルバムのバージョン。
 善し悪しは好みでしかないのでしょうが、そんな違い。
 さておき、Piazzollaの鬼気迫るメロディの上を泳ぐようなヴィブラフォンの清涼感が心地よい音。
 漆黒の闇のような深さを感じる“Tango: Zero Hour” (1986)に対して、少々あっさり系、薄味の本作。
 その分かえって気軽に聞けるのかもね。




posted by H.A.


【Disc Review】“The New Tango” (Jul.1988) Astor Piazzolla with Gary Burton

“The New Tango” (Jul.1988) Astor Piazzolla with Gary Burton
Astor Piazzolla (Bandoneón) Gary Burton (Vibraphone)
Horacio Malvicino (Guitar) Pablo Ziegler (Piano) Hector Console (Bass) Fernando Suárez Paz (Violin)

THE NEW TANGO
ASTOR PIAZZOLLA
WEA
2004-06-01
ゲイリー バートン
アストル ピアソラ


 Astor PiazzollaのバンドにGary Burtonが客演したモントルーフェスティバルライブ録音。
 “Tango: Zero Hour” (May.1986) Astor Piazzollaの二か月後のステージのようです。
 Piazzollaが逝去した後にトリビュート作品“Astor Piazzolla Reunion: A Tango Excursion” (1996)、“Libertango: The Music of Astor Piazzolla” (1999)が制作されますが、こちらは本家本元との共演。
 楽器の編成は同じ、演奏者も御大を除けば同じ、アレンジも大きくは変わらないかもしれないけども、なんだか雰囲気が違います。
 軽快なイメージのGary Burton の作品に対して、こちらは当然ながらAstor Piazzolla の世界。
 ズーンと沈んでいくというか、漆黒というか、緊張感が全く違うというか。
 Gary Burtonが前面に出る時間が長い分、Astor Piazzollaはあまり前に出ず、後ろにドカッと構えている印象ですが、ピリピリした空気を感じます。
 Gary Burtonの音は相変わらず華やかなのですが、これまたピリピリした感じがするのは気のせいでしょうか?
 本来、フワフワしたヴィブラフォンとドッシリとしたAstor Piazzollaバンドの対比が面白いのでしょう。
 確かにそんな感じもあります。
 が、もっと浮遊感が合って華やかなになってもよさそうなヴィブラフォンが、Piazzollaバンドの空気にすっかり取り込まれてしまったようにも聞こえます。
 何というAstor Piazzollaの求心力。
 Astor Piazzollaを聞き込んだ人からすればどう聞こえるのかはわかりません。
 Piazzollaのライブならもっと他にいい作品もあるのでしょう。
 それでもこの微妙な組み合わせ、微妙なバランスは貴重な記録なんだろうなあ、と思います。
 Gary BurtonがPiazzollaを演奏する、といったイメージに近いのは現代的で軽快な上掲の二作でしょう。
 このアルバムはもっと別の何か。
 あくまでAstor Piazzollaの世界。
 とてもカッコいいと思います。 




posted by H.A.


【Disc Review】“Summit - Reunion Cumbre” (1974) Gerry Mulligan/Astor Piazzolla

“Summit - Reunion Cumbre” (1974) Gerry Mulligan/Astor Piazzolla
Astor Piazzolla (bandoneon) Gerry Mulligan (baritone saxophone)
Angel 'Pocho' Gatti (piano, Fender Rhodes, organ) Tullio De Piscopo (drums, percussion) Giuseppe Prestipino (electric bass) Alberto Baldan, Gianni Ziloli (marimba) Filippo Daccò, Bruno De Filippi (electric guitar)
Umberto Benedetti Michelangelo (violin) Renato Riccio (viola) Enio Miori (cello)
 
Summit
Mulligan
Ans Records
1990-10-25


 Astor PiazzollaとGerry Mulliganの共演作。
 どうもイメージが合わない二人を誰がどう考えて引き合わせたのかはわかりませんが、とにもかくにもイタリアでの録音。
 当時のPiazzollaバンドにGerry Mulliganが客演した形ではないのでしょう。アルゼンチンに加えて、イタリアっぽい名前も入っていおり、バンドの出自ついてはよくわかりません。
 当の御大Piazzollaもイタリア系でしたかね。
 楽曲はすべてPiazzollaナンバー。
 全編通じてPiazzollaのメロディではあるのですが、背景でエレピ、エレキベースが鳴っていたり、ストリングスのアンサンブルが絡んだり、ドラムがキッチリビートを出していたりで、Piazzollaバンドとはかなり違った質感。
 ちょっと古め、1970年代の映画のサントラ的なムード。
 優しくゆったりしたバリトンサックスは、哀感の強いPiazzollaのメロディにこの上なくピッタリきます。
 バリバリではなくフワフワとした音と、悲しく切ないメロディの対照がいい感じのバランス。
 が、その音が太い分、バンドネオンの音が細く聞こえてしまうのはいたしかたないところでしょうか。
 サックスが背景に回っているであろう場面も、前面に出て聞こえてしまいます。
 インタープレーの場面も微妙なバランス。
 さらに、ロックなビート、ポップスっぽいアレンジの場面もしばしば。
 ってな感じで、Astor Piazzollaの諸作、あるいはGerry Mulligan諸作の雰囲気とは少々異なる質感。
 タンゴ、ジャズに慣れていない人にはこんな感じの方が馴染みやすいのかな・・・?
 変わらないのは素晴らしいメロディ。 
 気が付いていませんでしたが、イタリア的な哀愁も混ざっているんでしょうかね。
 バリトンサックス、電気楽器、ロックビート、ストリングス・・・・何にでも合ってしまいそうな哀愁と緊張感。
 が、なんだかんだでドラムが入っていないPiazzollaキンテートのスタイルが一番落ち着きますかね?




 posted by H.A.

【Disc Review】“Desperate Dance” (2015) Pablo Ziegler, Quique Sinesi

“Desperate Dance” (2015) Pablo Ziegler, Quique Sinesi 
Pablo Ziegler (Piano) Quique Sinesi (Guitar) 
Walter Castro (Bandoneon)
 
Desperate Dance
Pablo Ziegler
Yellowbird
2015-09-04
パブロ ジーグラー
キケ シネシ


 Astor PiazzollaバンドのピアニストPablo Ziegler のトリオ作品。
 前作?“Bajo Cero” (2003)と同じメンバー、10数年ぶりのアルバムのようです。
 そちらと変わらない穏やかなタンゴ的ジャズ、ジャズ的タンゴ。
 明るくて軽やか、Piazzollaの音楽の緊張感、深刻さ、激しさを薄めた感じはそのままですが、前作よりも少しタンゴ色が強いかもしれません。
 Pablo Ziegler のオリジナル曲を中心に、Piazzolla二曲、Quique Sinesiが二曲。
 Quique Sinesiの曲までタンゴっぽくて、そちらに振ろうとしたというか、むしろ前作の方がカラフルで変わった色合いなのかもしれません。
 なぜか”Mahavishnu Tango”なんてJohn McLaughlinの曲までありますが・・・
 タンゴの色合いが強くなると薄味のPiazzollaってなイメージも強くなっていますかね。
 Piazzolla的タンゴを演奏しても、Gary Burton諸作にしろ、Pablo Ziegler諸作にしろ、 Astor Piazzollaがいないと、重厚さ、緊迫感が薄らぎ、全く違う音になってしまいます。
 ま、それがいいのかもしれません。
 共通するのは哀愁が漂うセンチメンタルなメロディ。
 ビート感、音の流れはタンゴ的なのですが、インプロビゼーションが始まるとPablo Ziegler、Quique Sinesiともにジャズなムード。
 軽くて穏やかな色合いのバンドネオンも合わせて、とても軽快で快適。
 前作と同様、とてもオシャレです。
 ジャケットの素晴らしいポートレートは、少々夜なタンゴっぽい感じですが、音は明るくてさわやか。
 今の季節、昼下がりあたりにピッタリの音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Avantgarde Buenos Aires” (2012) Quique Sinesi, Mono Hurtado, Walther Castro, Facundo Barreyra

“Avantgarde Buenos Aires” (2012) Quique Sinesi, Mono Hurtado, Walther Castro, Facundo Barreyra
Quique Sinesi (guitar) Mono Hurtado (bass) Walther Castro (bandoneon) Facundo Barreyra (drums)

Avantgarde Buenos Aires
Avantgarde Buenos Aires
Acqua Records
2012-10-30
アヴァンギャルド・ブエノス・アイレス 
キケ シネシ
 




 アルゼンチンのバンドによる現代タンゴ。
 Quique Sinesi、Walther Castroは Pablo Zieglerのバンドの人。
 他のメンバーも一線級の人たちなのでしょう。
 現代のアルゼンチン音楽らしく、フォルクローレの香りも含めて、とても優しくて穏やか、美しい音楽。
 名前はAvantgarde、前衛的な演奏も何曲かあり、それを目指しているのかもしれませんが、美しいメロディの楽曲が多く、全体的には優し気で上品な演奏が印象に残ります。
 ジャズファンからしてうれしいのが、常にゆるーくスウィングしていること。
 タンゴの場合、ともすればリズムがきつかったり、全くバックビートが効いていなかったりすることがままあるのですが、このバンドは違います。
 ベース、ドラムがジャズの人のようなノリとグルーヴ、それもヒタヒタと迫ってくる系。
 フロントのギター、バンドネオンともにいい感じのビート感。
 繊細なアンサンブルはもとより、インプロビゼーションのスペース、インタープレーがたっぷり。
 “Cité de la Musique” (1996) Dino Saluzziあたりを想い起しますが、もっとサラリとした質感、素直でポップなイメージ。
 楽曲は各メンバーのオリジナルにAstor Piazzolla一曲。
 郷愁感の漂うメロディアスな曲が多く、何曲かのアバンギャルドもなぜか違和感なく流れの中に収まっています。不思議です。
 とても透明度が高くて瑞々しい音。
 ECM的ではなくて、もっと明度が高い音ですが、派手ではなく、いいバランスの心地よさ。
 タンゴはリズムがねえ・・・とお思いのジャズファンの人、あるいは、ECMは好きだけどもう少し明るいモノもお求めの人は、一度お試しを。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bajo Cero” (2003) Pablo Ziegler, Quique Sinesi, Walter Castro

“Bajo Cero” (2003) Pablo Ziegler, Quique Sinesi, Walter Castro
Pablo Ziegler (Piano) Quique Sinesi (Guitar)
Walter Castro (Bandoneon)

Bajo Cero
Pablo Ziegler
Zoho Music
パブロ シーグレル
キケ シネシ


 Astor Piazzollaバンドのピアニスト、Duo、Trioでのタンゴ的ジャズ、ジャズ的タンゴ。
 おそらく元々ジャズの人なのでしょうから、ジャズファンとしてもいい感じで聞けるピアニスト。
 ブルージーなアメリカンともクラシック色の強いヨーロピアンとも違う独特の色合いのピアニスト。
 クラシック~ジャズ~タンゴを徹底的に弾いてきた事を感じさせる音使い。
 Piazzollaバンドでのカッコよさは言わずもがな、ジャズの経験を通じて自然なバックビートが効いているのでしょうね。
 ギターとバンドネオンは新世代の人たち。
 Quique Sinesiのフレージングはジャズっぽい感じもそこかしこに。
 ビート感もジャズ度が強いのかもしれません。
 さらにとても瑞々しい音色と音使い。
 バンドネオンはシャンソンの香りすらも漂う明るい色合いの音使い。
 全体を眺めればもちろんタンゴなのですが、ジャズ的な感じだったり、シャンソン風味が漂っていたり。
 とても優雅。
 オリジナル曲に加えてAstor Piazzolla曲、その他。
 求道的あるいは漆黒のイメージのAstor Piazzollaに対して、Pablo Zieglerの音楽はカラフルで明るいイメージ。
 深刻系で湿度の高いPiazzolla曲も、このバンドではあっけらかんとカラッとしたイメージ。
 Piazzollaのカッコよさは絶対的だと思いますが、明るいこのバンドもいい感じ。




posted by H.A.
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