吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Steve_Kuhn

【Disc Review】“Home” (1979) Steve Swallow

“Home” (1979) Steve Swallow
Steve Swallow (bass)
Sheila Jordan (voice) Steve Kuhn (piano) David Liebman (saxophones) Lyle Mays (synthesizer) Bob Moses (drums)

Home
Universal Music LLC
2009-02-25
スティーブ スワロー

 Steve Swallow、最近作“Into the Wood” (2011) より30年以上前、1970年代のコンテンポラリージャズ。
 こちらは、モダンジャズではなく、フュージョンでも無く、あくまでコンテンポラリージャズ。
 カッコいい演奏揃い。
 リーダー含めてオールスターのメンバー。
 シンプルなようで不思議系、ちょっとすっとぼけたようでエキサイティング、推進力の強い音のイメージを決めているのはもちろんリーダーでしょう。
 が、このアルバムの主役はSteve KuhnDave Liebmanかな?
 微妙にタメを入れながらドラマチックな音の流れを作るSteve Kuhn
 対して、あくまで自然に流麗に音を組み立てていくDave Liebman
 どちらにも感じられる微かな狂気。
 こりゃ相性バッチリですね。
 聞き慣れたDave LiebmanRichie Beirachとのコンビネーションに勝るとも劣らず。
 ほぼ全曲でフィーチャーされるSheila Jordanのボーカルも妖しげでいい感じ。
 決定的な名曲がないのが残念ですが、どの曲も悪くない。
 明るくて元気いっぱい。
 でもどことなく妖しげ。
 なぜか前に進む不思議なグルーヴ。
 聞き易くて、当たり前のようで、妖しくて、カッコいい音楽。




posted by H.A.

【Disc Review】“Cycles” (1981) David Darling

“Cycles” (1981) David Darling
David Darling (cello)
Collin Walcott (sitar, tabla, percussion) Steve Kuhn (piano) Jan Garbarek (sax) Arild Andersen (bass) Oscar Castro-Neves (guitar)
 
Cycles
David Darling
Ecm Import
2000-05-16
デビッド ダーリング

 ECMの隠れた名盤。
 現代音楽の色が強い?チェリストがリーダー、ECMオールスターがサポート。
 曲者揃いですので、どんな音なのか予想できませんが、聞いてみてもなんとも簡単には説明できない多様な内容。
 ともあれ、冒頭の”Cycles”は激甘、涙ちょちょ切れの大名曲。
 とても悲しい映画のテーマ曲、というより、そんなイメージよりもずーっと悲しく、美しく、奥が深い音。
 訥々したピチカートから始まり、シタールが絡み妖しげな雰囲気、さらに凜としたピアノが美しいメロディを奏で、三者で定まっているような、そうでもないような浮遊感の強い、でも美しい空間を作る。
 それだけもとても美しく、もの悲しく、感動的なのに、そこにリーダーのチェロのアルコが後ろの方の空間から引きずるような沈痛なテーマを展開。
 でも、そのままそこに居座るのではなく、消え入ったり、また現れたり。
 中盤以降はボリュームが上がり、前面へ、でも気が付くとまた消えていて・・・。
 その間もずっと淡々としたベース、ピアノとシタールの美しくて妖しい絡み合いが続く・・・
 なんとも奥ゆかしいというか、聞けば聞くほどはまっていきそうな深い音。
 ってな感じで涙々、沈痛の約七分間。決してこれ見よがしな派手な演奏はないのだけども、何度聞いても飽きません。
 後続は少し現代音楽、フリージャズの色の濃い演奏。
 無国籍、ノンジャンルな音。
 でも混沌はわずかで、基本的にはピアノが透明な空間を作り、その中でチェロ、サックス、シタールなどが自在に色づけしていく感じ。
 サックスが前面に出ると北欧系の厳しい感じだったり、ピアノが前面に出ると上品なヨーロピアンジャズっぽくなったり、さまざまな表情。
 特にSteve Kuhnのピアノ、このアルバムでは決して音数は多くないのですが、ゆったりとしたテンポの上に、後ろ髪を引かれるようなタメの効いた音の置き方、微妙な音の変化でもの悲しさと美しさ全開。
 リーダーのチェロの時折りの強烈に感傷的な音使いとの絡みは絶妙。
 冒頭曲のような甘いメロディが他にもいくつか。
 どれも深い音、胸が詰まるような切ない音、奥の深い絡み合い。
 いずれにしても秋っぽい音、今の季節にはピッタリだなあ。



posted by H.A.

【Disc Review】“Mostly Coltrane” (2008) Steve Kuhn

“Mostly Coltrane” (2008) Steve Kuhn
Steve Kuhn (piano)
Joe Lovano (tenor saxophone, tarogato) David Finck (double-bass) Joey Baron (drums)

Mostly Coltrane
Steve Kuhn
Ecm Records
2009-07-07
スティーブ・キューン

 ECMならではのクールなコルトレーン曲集。
 深刻で暗めかと思いきや、意外にカラッとした味わい。
 むしろ明るい。
 激しさよりもクールネス。
 ほどよい緊張感、ほどよいスリル。
 ピアノは相変わらずの美しさ。
 Steve Kuhn、Joe Lovanoともに落ち着いてきているのでちょうどいいバランス。
 大人な音。
 かつてのテンションでやると凄まじいアルバムになったんだろうなあ。
 でも、今の時代、このくらいがちょうどいいのかな・・・?




posted by H.A.

【Disc Review】“Promises Kept” (2002) Steve Kuhn

“Promises Kept” (2002) Steve Kuhn
Steve Kuhn (piano)
David Finck (bass) String Ensemble


Promises Kept
Steve Kuhn
Ecm Import
2004-04-27
スティーブ キューン




 かつてのオリジナル曲を豪華なストリングスをバックにして。
 ミュージシャン冥利に尽きるのでしょう。
 少しピアノのテンションは落ちてきたかな?
 得意だった不協和音や、スケールアウトもほぼ聞かれず。
 が、タメというか、引きずるような節回しはそのまま。
 もともと鋭すぎる人だっただけに、いい感じの落ち着き具合と言えばその通り。
 心地よくリラックスして聞きましょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Remembering Tomorrow” (1995) Steve Kuhn

“Remembering Tomorrow” (1995) Steve Kuhn
Steve Kuhn (piano)
David Finck (bass) Joey Baron (drums)

Remembering Tomorrow
Steve Kuhn
Ecm Import

スティーブ キューン




 久々のECMレーベル復帰?作。
 オリジナル曲のカバーが中心。
 かつてのような攻撃性は薄れてきたかな?
 落ち着いた音。
 枯れたといえばそうなのかもしれないけども、この人の場合はそのくらいがいい加減かも。
 美しさは相変わらず。
 緊張感が薄れた分、誰にでも受け入れてもらえそう。
 美しく、少しだけ怪しいピアノトリオの佳作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Playground” (1979) Steve Kuhn Sheila Jordan Band

“Playground” (1979) Steve Kuhn
Steve Kuhn (piano) Sheila Jordan (voice)
Harvie Swartz (bass) Bob Moses (drums) Life's Backward Glances (Spkg)

スティーブ キューン
※Motility、Ecstacyと3枚セットでどうぞ。すごいセット。

 前作“Motility”(1977)からサックスが抜け、妖しさ満点の女性ボーカルがイン。
 さらにクリエイティブな音になるか?と思いきや、意外にジャズっぽい。
 リーダーのピアノは相変わらずの引きずるような節回しですが、少し妖しさが薄れたイメージ。
 妖し気なボーカルと好バランス。
 強烈なドラマチックさは前作同様。
 前作よりもテンションは落ちたのかもしれませんが、その分オーソドックスで聞き易い印象。
 その分凄味は薄れたものの、こちらもいい感じのコンテンポラリージャズです。





posted by H.A.

【Disc Review】“Motility” (1977) Steve Kuhn and Ecstasy

“Motility” (1977) Steve Kuhn
Steve Kuhn (piano)
Steve Slagle (soprano and alto saxophone, flute) Harvie Swartz (bass) Michael Smith (drums)

Life's Backward Glances (Spkg)
Steve Kuhn
ECM スティーブ キューン
2009-01-13
 
※原盤は廃盤のようです。1970年代作品3枚セットでどうぞ。ジャケットもよかったのに・・・

 これはカッコいい。
 コンテンポラリージャズの典型その1。
 モダンジャズとは遠いし、フュージョンと呼ぶには柔らか過ぎます。
 ヨーロッパっぽい音なのでヨーロピアンフュージョンと呼ぶのも何か違いそうだし、おまけにリーダーはアメリカ人。
 カテゴライズは難しそうです。
 美しくエキサイティングな音楽。
 難しくも複雑でもありません。
 アップテンポでは強烈な疾走感。
 バラードではピアノの独特のタメでルバートっぽくなり、ドラマチック。
 ときおり飛び出す得意の不協和音、スケールアウトが不思議感を醸し出します。
 曲はメロディアスな美曲揃い。
 サックス、フルートのスペースは大きく、素晴らしい演奏だけど、あくまで全体の中に溶け込み、ピアノを中心としたバンドの全体音が響きます。
 後半は少しポップになりフュージョンっぽくなってきますが、それら含めて新しい質感の音楽。
 しなやかで美しい、森のような音。




posted by H.A.

【Disc Review】“ECSTASY” (1974) Steve Kuhn

“ECSTASY” (1974) Steve Kuhn
Steve Kuhn (piano)

エクスタシー
スティーヴ キューン






 ベテランピアニストSteve Kuhnの若かりし日のピアノソロ。
 結構とんがっています。
 緊張感の塊のような音。
 でも美しい音楽。
 メロディアスな曲、スローテンポでは独特のタメを効かせた漂うようなフレーズ、早い展開では強烈な疾走感。
 要所で響く不協和音、スケールからずれた音、落ち着いたと思ったらまた崩れていく不思議な展開。
 Keith Jarrettのソロと比べて美しさは同等としても、こちらは冷たく鋭利な氷のような美しさ。
 緊張感はそれ以上。
 冷たく、怪しく、美しい音楽。
 これぞSomething Strange, but Comfortable.


posted by H.A.

【Disc Review】“Trance” (1974) Steve Kuhn

“Trance” (1974) Steve Kuhn
Steve Kuhn (piano, electric piano)
Steve Swallow (electric bass) Jack DeJohnette (drums) Sue Evans (percussion)

スティーブ キューン

 キラキラしたピアノ。
 派手なフレージング。
 怪しいメロディ。
 強烈な疾走感。
 ドラマチックな構成。
 時折現れる4ビートがクール。
 やっぱりSteve Kuhnはカッコいいや。




posted by H.A.
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