Sebastián Macchi (voice, piano, rodhes, guitar)
河沿いミュージックなんて言葉があるようですが、確かに水が流れていくような、ときおり川面がきらめいているような、木漏れ日のような音。
景色は緩やかに移ろっていきます。
音の作り方からはざっくりと、純フォルクローレ系、ポップス系、クラシック系、ジャズ系、タンゴ系ぐらいに分類できそう。
それらが入り混じり、さらに、繊細、明朗、寂寥・・・などなど雰囲気が分かれて、いろんな色合い。
2018年春の時点で私が知る限りのお気に入りは以下。
ジャズの香りもある、繊細な色合いの作品群。
“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)
“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)
“Luz de agua” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva
“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)
“Las Mananas El Sol Nuestra Casa” (2010) Javier Albin
“Anima” (2011) Ethel Koffman
“Resonante” (2011) Luis Chavez Chavez
“Luminilo” (2011) Juanjo Bartolome
“Cantos Sin Dueno” (2012-2014) Agueda Garay
“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva
“Matriz del agua” (2015) Martín Neri
"Creciente” (2016) Claudio Bolzani
ブラジル系と比べるとジャズの香りが薄目のモノが多いのですが、フォルクローレの奇数拍子系の浮遊感はそれとは別種の心地よさ。
御大の第一作“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)に全てが包含されているようにも思います。
“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)が次のピークで、次がさてどれでしょう・・・?
"Creciente” (2016) Claudio Bolzaniあたりでしょうか?
聞いていない作品の中にも凄いのがあるのでしょう。
他の作品含めてハズレはなさそうなので、これからは新譜をキチンとチェックしようかなあ・・・と思いつつ・・・
posted by H.A.
“Vals de Papel” (2017) Luis Barbiero
Luis Barbiero (voice)
Sebastián Macchi (piano, keyboard) Carlos Auirre (piano, accordion, bass) Martin Sued (accordion) Mauricio Guastavino, Juan Pabla Perez, Cacho Hussein, Silvia Lopez (guitar) Damián Ortiz (mandolin) Joe Troop (violin, banjo) Fernando Silva (bass) Gonzalo Díaz (drums, percussion) Pedro Guastavino (pandeiro) Mauricio Bernal (marimba) Horacio Lopez, Nahuel Ramayo (percussion)
Eugenio Zappa (claninet) Ruben Carughi (trombone) Juan de Dios Puerta Bernabe (tuba) Cintia Bertolino (voice) and strings
アルゼンチンのフルート奏者Luis Barbieroのボーカル作品。
前作にあたるのであろう“Música Argentina de Cámara” (2015)からはクラシックな人だと思っていましたが、本作はいろんな要素が入り混じるアルゼンチンポップス。
リーダーのボイスは艶やかで優しげ、伸びやか。
少しノスタルジックな香りも漂う南米テイスト。
冒頭、ボッサ風ビートのギターで始まりますが、エレピとマリンバ、ピアノが絡み合う不思議な音から始まります。
続くはいかにも現代フォルクローレ、美しいピアノとCarlos Aguirre的なギターのアンサンブルを背景として、女性とデュエットする歌うスローなワルツ。
さらにはパーカッシブでキューバっぽいラテンポップス、ピアノのみを背景にした濃密系のバラード、アコーディオンに先導されるセンチメンタルなワルツ、巻き舌のスペイン語がマシンガンのように発せられるアップテンポ・・・
などなど、これでもかこれでもかといろんな南米的な空気感がてんこもり。
目くるめくように変わっていくようで、なぜか雰囲気は同じ。
とても穏やかで少々ノスタルジック。
さりげないようで楽曲、演奏ともに極めて上品で上質。
楽曲ごとに変わる少人数の編成、アンサンブルを含めて、徹底的に練り上げられているのであろうことがうかがえる音作り。
前作と編成が全く異なるため、印象のギャップが大きいのですが、実は音の流れ自体は同じなのかもしれません。
現代フォルクローレとは片付けてしまえない、いろんな南米が詰まったような一作。
ひょっとしたら大名作なのかもしれません。
posted by H.A.
“Paino Pampa” (2016) Sebastian Benassi
Sebastian Benassi (piano)
アルゼンチンのピアニストSebastian Benassiのソロピアノ作品。
クラシックとフォルクローレ、ジャズが入り混じる、とても静かな演奏集。
ヨーロピアンなムードも漂うクラシックな空気感に、ジャジーな演奏も交えながら進む静かな音の流れ。
各曲二分+αの短い演奏、全17曲。
ゆったりとしたテンポで奏でられる美しく、少々センチメンタルメロディは、南米曲とオリジナル曲、いずれも美しく優しいメロディ。
冒頭から今にも止まりそうなスローテンポでの優雅な演奏。
続くは南米ジャズなこれまた優雅な音~優しいメロディの漂うようなワルツ。
とてもエレガントなクラシックな演奏、優雅な奇数拍子のフォルクローレな演奏、揺れながら迫ってくるような南米ジャズな演奏、端正なジャズバラードな演奏、いずれもとても静かで上品な演奏が続きます。
ワンコーラス+αが奏でられるだけで、次々と景色が遷り変わっていくような展開。
アップテンポは数曲のみ。
ビート、躍動感は抑えて、ただただ漂うような美しいピアノの音。
どこか柔らかでのどかなムード、懐かしい空気が漂うのは、南米のメロディ、アルゼンチンのピアニストならではでしょうか。
“The Köln Concert” (Jan.1975) Keith Jarrettとも、“Caminos” (2006) Carlos Aguirreとも、“Ernesto Nazareth Ouro Sobre Azul” (2014) Andre Mehmariとも、おそらくはクラシックとも違うピアノミュージック。
急がない、飛び跳ねない音の動きは、まったりとした時間には最高のBGM。
もちろん上品で上質、心地よさ最高。
posted by H.A.
"Creciente'' (2016) Claudio Bolzani
Claudio Bolzani (guitar, voice, mandolin, electronics)
Sebastian Macchi (piano, keyboard, percussion, voice) Carlos Aguirre (piano, keyboard, accordion, flute, voice) Bernardo Aguirre (guitar, percussion) Juan Quintero (guitar, voice) Fernando Silva (bass) Gonzalo Diaz (percussion, voice, aerofonos) Luis Barbiero (flute, voice) Leandro Drago (electronics) Daniela Leste (voice)
アルゼンチンのギタリスト&ボーカリストClaudio Bolzaniのリーダー作。
とても静かな現代フォルクローレ。
リーダーは名作“Luz de agua: Canciones”(2005)、”Luz de agua: Otras canciones”(2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silvaのメンバー。
洗練された現代のフォルクローレ、Carlos Aguirreの路線に一番近そうな音が上記の二作、その三人のメンバーのように思います。
盟友Fernando Silvaの“Miro por la ventana” (2013)は少々元気系、フュージョン寄りでしたが、本作はアコースティックで繊細、とても静かな音。
上掲の作品の中でも一番穏やかで静謐かもしれません。
繊細なギターに、半数ほどの楽曲ではあの少しささくれた儚げなボイス。
少人数の限られた音数で、全編、静かで繊細な音の流れ。
ピアノとギターに、ベース、つつましやかなパーカッション、フルートにアコーディオン、水の音、ほんの少しの電子音・・・
とても静かですが、ジワジワとくるドラマチックな音の流れ。
一時期のPat Metheny Groupを想い起こす場面もいくらか。
Carlos Aguirreナンバーで始まり、Sebastian Macchi、現代タンゴの Diego Schissi、オリジナル、さらにはRalph Towner、Egberto GismontiといったECM系の人たちの名前も並びます。
彼ら作るサウンド、どこかで繋がっているのでしょう。
前半のCarlos Aguirre的な音もさることながら、中盤、Sebastian Macchiの”Corazon”あたりから、最後のRalph Townerの”Green and Golden”まで、静かな凄みが漂う音の流れのカッコいいこと。
全編通じて少し沈んだ感じが醸し出す、この人独特のクールネス、ハードボイルドネス。
名作です。
※こちらは“Luz de agua”バンド。
posted by H.A.
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