吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Sam_Rivers

【Disc Review】“Celebration” (2003) Sam Rivers

“Celebration” (2003) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute, Piano)
Doug Mathews (Bass, Violin, Bass Clarinet) Anthony Cole (Drums, Tenor Sax, Piano)

Celebration: Live at the Jazz Bakery in La
Sam Rivers
Rhombus Records
2004-03-23


 21世紀のSam Rivers、トリオでのライブ。
 ピアノレスでのサックストリオがベースですが、各人楽器を持ち替えながらの演奏。
 基本は1960年代からのフリー混じりのジャズ。
 マシンガンのように音を出し続けながら、あるいはファンキーに弾みながらビートをキープするベースに自由に動き回るドラム。
 もろもろ混ざって、疾走し、伸び縮みする変幻自在のリズム。
 そんなビートを背景に、ソプラノ、テナー、フルートを持ち替えながらこれでもかこれでもかと吹きまくり。
 強烈な疾走感、あるいは飛翔感。
 あのOrnette Colemanのスタイルですねえ・・・
 あるいは複数の管楽器でのコレクティブインプロビゼーション、ソロピアノも、ピアノトリオ(ものすごく上手い!)での演奏を交えながらのさまざまな表情。
 楽曲に愛想がないのはこの種の音楽のお約束ですが、ま、その方が自由度がより高くなるのでしょう。
 また、極めて自由なあの時代のフリージャズ的な音ながら、ドロドロとした感じではなく、どこかしらカラッとしているのもこの人の音楽の色合い。
 全編通じてすさまじい演奏力。
 衰えや枯れたムードなど、微塵もなし。
 よくも悪くもBlue Noteの“Dimensions & Extensions” (1967)の頃と変わりません。
 懐かしいやら、カッコいいやら・・・

※1970年代の映像から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Capricorn Rising” (1975) Don Pullen, Sam Rivers

“Capricorn Rising” (1975) Don Pullen, Sam Rivers

Don Pullen (Piano) Sam Rivers (Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Flute)
Alex Blake (Bass) Bobby Battle (Drums, Tambourine)

Capricorn Rising
Don Pullen
Black Saint
2017-01-20


 Sam Rivers、Don Pullenとの共同リーダー作品。
 ど激しい系のフリージャズ。
 時代感はわからないのだけども、“Agharta”、“Pangaea”(Feb.1.1975) Miles Davisに近い時期。
 激しい系のフリージャズの時代は終っていた時期のようにも想像するのだけども、これでもかこれでもかの激しい系。
 これは熱い。
 あるいは暑苦しい。
 Sam Rivers、Don Pullenともに、あっけらかんと演奏するようなイメージもあるのだけども、この音は重くて熱い。
 血と汗が噴き出るような凄まじい音の洪水。
 全4曲、B面の二曲は明るいラテンな感じですが、それも激しい。
 全編疾走し続け。
 疲労度も120%。
 それでも、聞き終わるとなぜかスカッと爽やか・・・かな・・・?
 とにもかくにも体育会系な音。
 とても激しくて、男臭くてカッコいい音楽。
 夏には聞きたくないけどね・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Dimensions & Extensions” (1967) Sam Rivers

“Dimensions & Extensions” (1967) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute)
Cecil McBee (Bass) Steve Ellington (Drums)
James Spaulding (Alto Saxophone, Flute) Julian Priester (Trombone) Donald Byrd (Trumpet)



 Sam Riversの激しい系モダンジャズ。
 ホーンのアンサンブルや勇ましい系のアコースティック4ビートは“Free for All” (Feb.1964) Art Blakey & The Jazz Messengersなどな感じではあるのですが、ピアノレスがクールな質感、リーダーのサックスはブチ切れ系。
 “Free for All”のWayne Shorterのような激しい音。
 序盤はそんな感じでまだまだ平和ですが、中盤、LPレコードではA面の最後から、激しさを増してきます。
 激しいビートの中、ブチ切れ系のホーン陣の暴力的なブロー。
 “Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyから三年、“Ascension” (Jun.28.1965) John Coltraneから二年、あるいは“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisに先んじること二年の激しい系エネルギー放出型ジャズ、フリー寄り。
 LPレコードB面に移ってもその熱は冷めず、激しい演奏が続きます。
 激烈ながら、妙に深刻だったり陰鬱だったりしないのが、この人の音楽。
 どこかあっけらかんとしていて、なんだかんだでジャズしています。
 モダンジャズなようなフリージャズなような微妙なバランスの音楽。
 壊れそうで壊れない、危ういバランスの激しさ、美しさ。
 そんな時代の狭間の音。




posted by H.A.


【Disc Review】“A New Conception” ‎(1966) Sam Rivers

“A New Conception” ‎(1966) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute)
Hal Galper (Piano) Herbie Lewis (Bass) Steve Ellington (Drums)

ア・ニュー・コンセプション
サム・リヴァース
ユニバーサルミュージック
2014-01-22


 歪む時空の人から、何となくSam Rivers。
 私にとってはEric Dolphyを聞くとなぜか思い出してしまう人。
 フリーに行きそうで行き切らない危ないバランスが共通するのでしょうかね。
 本作はBlue Noteでのモダンジャズ。
 Miles Davisとは“Miles in Tokyo” (Jul.1964)一作のみ。
 ECMで制作するも、“Contrasts” (1979)一作のみ。
 他にもビッグネームとの共演も少なくないのだと思うのだけども、なかなか続かない不思議な人。
 なんででしょうね?
 あくまで私見ですが、John ColtraneSony Rollinsが混ざったような、希少な最高のテナーサックスだと思うのですが・・・
 せめてJoe Hendersonと同じぐらいの人気があってもね・・・

 ともあれ、本作はオーソドックスで平和なモダンジャズ。
 時代は“Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyから進んでいますが、あくまで本作はモダンジャズ。
 ガンガンゴンゴン系のピアノトリオをバックに、スタンダード曲を艶のある音でブリブリと吹きまるテナー。
 平和なだけでなくて、突っ走り、グルグルウネウネとどこまでも続いていくようなフレージング。
 今の季節にはちょうどいい感じの暑苦しさ。
 こりゃ気持ちいいや。





 さらに、音に合っているかどうかはさておき、とても素敵なジャケット。
 全くの余談ですが、私が大好きなBlue Noteのジャケットは本作含めて以下。
 好みが一貫してますね・・・

ア・ニュー・コンセプション
サム・リヴァース
ユニバーサルミュージック
2014-01-22

イージー・ウォーカー+2
スタンリー・タレンタイン
ユニバーサルミュージック
2014-01-22

レッテム・ロール
ジョン・パットン
EMIミュージック・ジャパン
1997-09-26






posted by H.A.


【Disc Review】“Contrasts” (1979) Sam Rivers

“Contrasts” (1979) Sam Rivers
Sam Rivers (tenor, soprano saxophone, flute)
George Lewis (trombone) Dave Holland (bass) Thurman Barker (drums, marimba)
 
Contrasts
Universal Music LLC
サム リバース


 Sam Rivers、唯一のECM作品。
 “Miles in Tokyo”(Jul.1964)でちょっとぶっ飛び気味のサックスを吹いていた人。
 後のBlue Noteでの激しいフリージャズ混じりの作品はカッコよかったし、ECMにも合いそうな雰囲気を持った人。
 本作はクールで妖しいフリージャズ混じりの作品。
 ピアノレスゆえの自由度の高い浮遊感の強い音。
 同じくピアノレス、トロンボーン入り、時期も近い“Enrico Rava Quartet” (1978) Enrico Ravaあたりをさらに自由にした感じ。
 半数は整ったジャズ、半数はサックスとトロンボーンを中心としてフリーにインタープレーをしながら、ドラム、ベースが反応していくイメージでしょうか。
 フリージャズは、激烈ではなくて、離散的な音が飛び交うまずまず静かなタイプ、強い浮遊感。
 決して無軌道で意味不明な感じではないのですが、もともとメロディアスなタイプではないので、フリーではない曲を含めて愛想はなく、素っ頓狂な感じです。
 その分、予測不可能なスリリングさ、クールネスが強い音。
 ビートが乗ってくると強いグルーヴが出るのはDave Hollandのベースに因るところが大きいのでしょう。
 一部で激しい場面もあり、そうなるとDave Hollandのベースが映える場面。
 あの、“1969Miles”(1969)Miles Davis、あるいは“Balladyna”(1975)Tomasz Stankoの激烈感が・・・とまではいきません。
 不思議なもので“Miles in Tokyo”の中だと変わった感じのサックスでしたが、変わった音楽の中では少々激しいながらすごく普通のサックスに聞こえてしまいます。
 その微妙なズレ加減がこの人の魅力なんでしょうねえ。
 なんだかんだでジャズの空気。
 4ビートな場面も結構あります。
 それゆえ、ECMっぽくない不思議なアルバム。
 プロデューサーはもちろんManfred Eicherです。

 



posted by H.A.
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