吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Ry_Cooder

【Disc Review】“Paris, Texas” (1985) Ry Cooder

“Paris, Texas” (1985) Ry Cooder
Ry Cooder, David Lindley, Jim Dickinson (Performer)



 Ry Cooderの映画音楽。
 もちろん全編で例のスライドギターが鳴っているのですが、いつもの諸作とはイメージが異なります。
 とても静かでゆったりとした音の流れ。
 寂し気で悲し気な音。
 スぺクタルでも、深刻な悲劇でもなさそうな、極めて日常的な何気ないやるせなさ。
 そんな空気感を醸し出す、遠くで響いているような、ギター+αの余白の多い、薄い音、少ない音数の空間。
 ソロ、少人数での演奏が中心ゆえの、定まるような定まらないような、漂うような音の流れ。
 いつもよりシンプルな構成の楽曲、コードの繰り返しゆえの穏やかな高揚感と陶酔感。
 ルーズでレイドバックして聞こえるはずのスライドギターが、寂し気に幻想的に弾きます。
 極めて何気ないのだけども、なぜか別世界へのトリップミュージック。
 とても素敵な音楽です。

 このアルバムがECM的だ、と強弁するつもりはありませんが、とても静かな“Silent Light” (2016) Dominic Millerを聞いてこのアルバム、その他Ry Cooder諸作をなぜか思い出してしまいました。
 きっとどこか繋がっているんでしょうね・・・?

 なお、映画『パリ、テキサス』(1984)を近年になってようやく観ましたが、予想の何倍も素晴らしい、この音楽そのもの、上記のコメントがそのまま当てはまる、素敵な作品でした。




posted by H.A.




【Disc Review】“Bop Till You Drop” (1979) Ry Cooder

“Bop Till You Drop” (1979) Ry Cooder
Ry Cooder (guitars, mandolin, vocals)
Ronnie Barron (organ, guitar, keyboards) Patrick Henderson (organ, keyboards) David Lindley (guitar, mandolin) Tim Drummond (bass) Milt Holland (percussion, drums) Jim Keltner (drums)
Bill Johnson, Herman E. Johnson, Jimmy Adams, Cliff Givens, Chaka Khan, Bobby King, Randy Lorenzo, George "Biggie" McFadden, Simon Pico Payne, Greg Prestopino (vocals)

Bop till you drop
Ry Cooder
Import
2000-01-01


 Ry Cooder、大名作“Paradise and Lunch” (1974)、“Chicken Skin Music” (1976)、“Jazz” (1978)に続くヒットアルバム。
 ポップス~AORなRy Cooder。
 ・・・っても、音が小綺麗に整理され、洗練され、上記の作品のルーズでレイドバックしたムードが薄くなっただけなのだと思うのですが、空気感が全く違って聞こえます。
 お洒落なTV-CMで使われて、大人気だったように記憶していますが、そんな音。
 ここまでの作品の埃っぽさが一掃され、あのギターも、何のことはないお兄さんが口ずさんでいるようなボーカルもシャープに響きます。
 もちろんアレンジも、楽器、コーラスのアンサンブルも完璧。
 透明度の高い録音、個々の楽器やボイスの粒立ちも完璧。
 何か特別なものが無くなってしまったようにも感じるのですが、そんなことはオヤジのたわごと。
 ジャケットのように、カウボーイスタイルからスーツに着替えたRy Cooder。
 とてもとてもいい感じのポップス~アメリカンロックポップス。
 “Lonesome CarBoy”ってな、音にピッタリなネーミングのカーオーディオのCMで流れていたと思っていたのだけども、それは別のアルバムからのようですね。
 いずれにしても、とても懐かしい素敵な音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Showtime” (1977) Ry Cooder

“Showtime” (1977) Ry Cooder
Ry Cooder (guitars, voice)
Jesse Ponce (bajo sexton) Flaco Jiménez (Accordion) Henry Ojeda (bass) Isaac Garcia (drums)
Frank Villareal (alto sax) Terry Evans, Eldrige King, Bobby King (voice)

ショー・タイム(ライヴ)<紙ジャケット仕様>
ライ・クーダー
WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
2007-08-08


 Ry Cooder、大名作の二作“Chicken Skin Music”(1976)と“Jazz” (1978)の間のライブ録音。
 “Paradise and Lunch” (1974)、“Chicken Skin Music” (1976)的な音と、それまでのアルバムをミックスしたような、テックス・メックスとサザンロックが交錯するステージ。
 カントリーとソウルとブルースとニューオリンズファンクとメキシコ音楽、その他諸々がフュージョンする音。
 ライブということもあり、“Paradise and Lunch” (1974)のように、神がかった感じでいろんな楽器、何本ものギターが複雑に絡み合う感じではないのですが、その分シンプルでスッキリ。
 ギタートリオとボーカル、コーラスを中心として、アコーディオンやサックスその他が加わるシンプルな音作りは、諸作とはまた別種の優雅でのどかな音。
 まわりになーんにもないハイウエイにポツンとあるバーで、ワイワイやってるようなお気楽で楽し気な空気感。
 ちょっと前のアメリカ映画によく出てきた雰囲気ですねえ。
 元気で、明るくて、楽し気で、ゆるくて、少々の哀感。
 こりゃ気持ちいいや。




posted by H.A.


【Disc Review】“Paradise and Lunch” (1974) Ry Cooder

“Paradise and Lunch” (1974) Ry Cooder
Ry Cooder (guitars, mandolin, vocals)
Ronnie Barron (piano, organ) Russ Titelman, Chris Ethridge (electric bass) Red Callender, John Duke (bass) Milt Holland (drums, percussion) Jim Keltner (drums)
Plas Johnson (alto sax) Oscar Brashear (cornet)
Bobby King, Gene Mumford, Bill Johnson, George McCurn, Walter Cook, Richard Jones, Russ Titelman, Karl Russell (voices)
Earl Hines (piano)

Paradise and Lunch
Ry Cooder
Mobile Fidelity
2017-03-24


 夏の終わったころに聞きたくなる音、Ry Cooderの大傑作。
 アメリカンロックのベストアルバムは"No Reason to Cry" (1975, 1976) Eric Claptonだと勝手に思っているのですが、もっとアメリカ南部な感じなのはこちら。
 ま、Ericさんはイギリスの人ですし・・・
 ストレートなアメリカンロック色が強かったここまでの作品に対して、本作、あるいはこの前の”Boomer's Story” (1972)あたりから音が変わってきているようにように思います。
 ロックというよりも、ブルース、ソウル、ニューオリンズファンク、カントリー、アメリカ南部とメキシコが混ざり合う、いわゆるテックス・メックス、レイドバックしまくった音。
 音の密度と音圧が下がった感じで、ディストーションが掛かったギターもあまり出てきません。
 アメリカオンリーから、その周辺国の音へと広がっていく端緒でしょうか?
 ゆるーいようで完璧な組み立て。
 前後左右、いろんなところからいろんなギターやコーラスが飛び出してくる、とても素敵な音作り。
 小さな音で聞いているとサラリと流れてしまうのかもしれないけども、大きな音、あるいはヘッドホンで聞くと、気持ちよさ最高。
 計算づくでやったのか、自然体でこうなってしまうのか、完璧なアンサンブル。
 ジャズピアノやサックスなども入り乱れてジャジーなムードも醸し出しつつ、あの時代の大らかでのんびりしたアメリカ南部な空気感が最初から最後まで。
 ちょっとした埃っぽさも、それがいい感じですねえ。
 Eric ClaptonLittle FeatThe BandThe Allman Brothers Bandも神様のような人たちだけど、こんな感じのゆるくて心地よい演奏は少なかったと思うなあ・・・
 まさにParadise。
 次も大傑作“Chicken Skin Music” (1976)。
 この期のRy Cooderは最高。




posted by H.A.


【Disc Review】“Jazz” (1978) Ry Cooder

“Jazz” (1978) Ry Cooder
Ry Cooder (guitar, dobro, vocals, mandolin, tiple, harp)
John Rodby, Earl Hines (piano) Barbara Starkey (pump organ) David Lindley (mandobanjo, mandolin) Tom Pedrini, Chuck Domanico, Chuck Berghofer (bass) Mark Stevens (drums) Harvey Pittel (alto sax, clarinet) Tom Collier (marimba, vibraphone) George Bohanon (baritone horn) Oscar Brashear (cornet) Stuart Brotman (cimbalom) Red Callender (tuba) David Sherr (bass clarinet) Randy Aldcroft (trombone) Pat Rizzo (alto sax) Mario Guarneri (cornet) Bill Hood (bass sax) Willie Schwartz (clarinet) Jimmy Adams, Cliff Givens, Bill Johnson, Simon Pico Payne (backing vocals)

Jazz
Ry Cooder
Imports
ライ・クーダー


 Ry Cooderのこれまたパラダイスミュージック。
 本作のテーマはジャズ。
 ジャズと言ってもモダンジャズではなく、オールドスタイル。
 1920年代?のコルネット奏者“Bix Beiderbecke”をメインテーマとした構成のようです。
 そんなノスタルジックな音。
 さらにオールドジャズだけでなく、テックス・メックスやら、ハワイやら、その他諸々の色合いも混ぜ合わせたような質感。
 本人は失敗作と思っているように聞いたことがあるけども、何でだろう?
 中途半端にノスタルジックに作りすぎたこと?
 きれいにまとめ過ぎたこと?
 もしそうだとしても、私からすれば大傑作、完璧な作品に聞こえます。
 たくさんのメンバーが参加していますが、分厚い音ではありません。
 むしろ薄めで涼しげ、あくまでスッキリとしたのどかな音。
 リズムもハイテンションな2ビート、4ビートではなくて、あくまでゆったり。
 とても優雅。
 ゆるゆるなようで、ちょっと洗練された感じ、締まった感じでしょうかね。
 中心楽器はアコースティックギター。
 ホーンのアンサンブル、ドブロ、ピアノ、ビブラフォンなどが彩を添える構成。
 ボーカル入りは数曲のみ。
 一曲一曲がコンパクトなので、次から次へと景色が変わって退屈なし。
 セピア色の心地よい時間。
 好みからすると、スラックキーギターがフィーチャーされてハワイ的なパラダイス感も強い“Chicken Skin Music” (1976)がいいような気もするし、インスト中心のこちらの方がいいような気もするし・・・
 ま、気分次第で・・・
 どちらも最高のパラダイスミュージック、だと思います。
 晩夏に似合うなあ。
 まだとても暑いけど・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Chicken Skin Music” (1976) Ry Cooder

“Chicken Skin Music” (1976) Ry Cooder
Ry Cooder (Bajo Sexto, mandola, bottleneck guitar, French accordion, electric guitar, slack-key guitar, tiple, Hawaiian guitar, vocals)
Red Callender (upright bass, tuba) Chris Ethridge, Henry Ojeda (bass) Atta Isaacs (slack-key, acoustic guitar) Gabby Pahinui (steel guitar, vocals) Hugo Gonzales (banjo) Russ Titelman (banjo, bass, vocals) Milt Holland (percussion, drums) Jim Keltner (drums) Flaco Jiménez (accordion) Oscar Brashear (cornet) Pat Rizzo (alto sax) Fred Jackson, Jr. (tenor sax) Benny Powell (trombone) Terry Evans, Cliff Givens, Laurence Fishburne, Herman E. Johnson, Bobby King (vocals)

Chicken Skin Music
Ry Cooder
Reprise / Wea
ライ・クーダー


 夏の終わりに似合いそうなこのアルバム。
 アメリカンロックのRy Cooder、テックス・メックス(テキサス系メキシコ系音楽?)とハワイ系音楽をフュージョンした作品・・・なのだと思います。
 私の想うパラダイスミュージックの代表選手。
 普段はジャズが南米系しか聞かないのですが、これ、あるいは“Jazz” (1978) Ry Cooderは、何年かに一度、思い出しては取り出して極楽気分に浸る・・・そんなアルバム。
 スラックキーギターにスライドギターにアコーディオン。
 メキシコなのか、アメリカ南部なのか、ハワイなのか、それらが交錯する不思議な質感。
 楽曲の出自には詳しくありませんが、どの曲もどの演奏もフワフワしていて心地よいこと、この上なし。
 ゆるゆるな音。
 聞いていると気持ちが弛緩して軽ーくなる、そんな感じ。
 脈略がなさそうな組み合わせが、なぜか最初から最後まで一貫した質感の音。
 あのソウルの名曲”Stand By Me”までがゆるくて、アコーディオンの響きが切なくて・・・
 ハワイ、あるいはアメリカ南部~メキシコあたりの人気が少ない田舎町ののほほんとした景色、ゆったりとした空気。
 全編、柔らかくて温い風が吹いてくるような音。
 とても穏やかで幸せ。
 ロック全盛期にこれをシレっとやってしまうRy Cooderのセンスに脱帽。

 この前後のRy Cooder作品はカッコいい作品ばかり。
 どれもアメリカ南部中心に、あちこちのエッセンスを加えてルーズなムード、ノスタルジックなムードがいい感じ。
 “Paradise And Lunch” (1974)、“Chicken Skin Music” (1976)、 “Jazz” (1978)、“Bop Till You Drop” (1979)・・・
 最後のアルバムが大ヒットして、その後はあまり聞かなくなったような記憶があります。
 ちょっと普通のポップス、ロック側に強く振れてきたからかな? なぜだかよく覚えていません。
 次にRyさんに再会するのは、おおよそ20年後、あの”Buena Vista Social Club”。
 とりあえず思い出したので全部聞いてみることにしましょう。
 どれもパラダイスだったような・・・




posted by H.A.
Profile

jazzsyndicate

【吉祥寺JazzSyndicate】
吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。
コンテンポラリー ジャズを中心に、音楽、映画、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ