吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Rosa_Passos

【Disc Review】“Rosa Passos Canta Caymmi” (2000) Rosa Passos

“Rosa Passos Canta Caymmi” (2000) Rosa Passos
Rosa Passos (vocal) and others

ホーザ パッソス

 Rosa Passos、ドリバル・カイミの作品集。
 アコースティックギターを中心とした、ピアノ、ベース、パーカッション、時折管などが加わるオーソドックスなボッサコンボ。
 手練れた演奏。
 少し残念なのが彼女自身がギターを弾いていないこと。
 少し遅れ気味にビートを置いていくそれがないと少し景色が変わってきます。
 ゆったりしないというか、独特の寂寥感が薄まり、普通の洗練されたボサノバに聞こえてしまいます。
 もちろんいい演奏なんだけども、もっと素敵なモノを知ってしまった悲しさ・・・
 さておき、バイーアの巨匠が作った曲は、これまた常に郷愁感が流れる素晴らしい曲ばかり。
 都会的な優雅さや洗練は神様Jobimに譲るとしても、サラリとした質感、気取らないさり気げなさがとてもいい感じ。
 もちろんボイスは言わずもがなのいつもの彼女、サラリとした質感、気取らないさり気げなさ。
 相性はバッチリ、悪いわけがありません。
 なんだかんだでやはり名作です。

(※この投稿は2016/02/23から移動しました。)




posted by H.A.

【Disc Review】“Morada do Samba” (1999) Rosa Passos

“Morada do Samba” (1999) Rosa Passos
Rosa Passos (Vocal, Guitar)
Luis Galvão (Guitar) Fabio Torres (Piano) Gilson Peranzzetta (Accordion, Piano) Nema Antunes, Jorge Helder (Bass) Erivelton Silva (Drums) Don Chacal, Jaguara Congas, Marcos Vicente (Percussion) Idriss Boudrioua (Alto Sax) Roberto Marques (Trombone) Eduardo Neves (Tenor Sax) Ricardo Pontes (Flute)

Morada Do Samba
Rosa Passos
Bmg Int'l
ホーザ パッソス


 現代最高のボサノバボーカリストと言い切りましょう。
 Rosa Passosの名アルバム。
 コンボ編成での現代的なジャジーボサノバ。
 “Letra & Música - Ary Barroso” (1997)、“Canta Antonio Carlos Jobim” (1998)と名曲集が続いて、本作はオリジナル曲中心。
 “Pano Pra Manga” (1996)あたりまでは素晴らしいオリジナル曲がてんこ盛り。
 以降はあまり書かなくなっているようだし、自分でギターを弾く場面も減ってきます。
 この人の可憐なようで沈んだ微妙な声が一番映えるのは、この人のオリジナル曲のように思うし、彼女自身が弾く少し遅れ気味のギターだと思うのだけども、少々残念。
 さておき本作は2/3がオリジナル曲。
 ギターも同じぐらい自演。
 予想に違わない素晴らしいメロディと歌、演奏。
 しっとりとした淡い郷愁感が漂うメロディと優雅なコードの動き。
 泥臭さを感じさせない、現代的で洗練された流れ。
 裏表の声のコントロールを含めて、知り尽くした自身の声の表現の幅が最大限に出せそうな展開。
 Jobimの曲ほどキャッチーではないにせよ、淡い色合い、穏やかに語りかけるような、いかにもRosa Passosなメロディ。
 淡々としながらも、何かを慈しむような声、歌い方にピッタリくるのでしょうね。
 やはりこの人はオリジナル曲が一番。
 他には冒頭を飾るDjavanの名曲“Beiral”、Dorival Caymmi、Chico Buarqueなど。
 もちろんオリジナル曲と一体となった質感。
 少人数でのしっとりとした音から、零れ落ちるようなピアノ、ジャズの香りもふんだんにちりばめたホーン、エレキギターがフィーチャーされる音まで、素晴らしい演奏揃い。
 派手さや過剰さが一切ない、かつ不足もないナチュラルで上品、さりげない音作り。
 ”Rosa"(2006)のような静謐な凄みとは少し違うけども、コンボでの演奏の分、こちらの方が聞きやすいのかもしれません。
 これまた完璧なアルバム。
 これまた大名作です。





posted by H.A.

【Disc Review】“Canta Antonio Carlos Jobim” (1998) Rosa Passos

“Canta Antonio Carlos Jobim” (1998) Rosa Passos
Rosa Passos (Vocal)
Luis Galvão, João Lyra (Guitar) Cristóvão Bastos, Marco Brito (Piano) Jorge Helder (Bass) Wilson DasNeves, Erivelton Silva (Drums) Carlos Malta (Flute) Idriss Boudrioua (Alto Sax) Zé Nogueira (Soprano Sax)

Canta Antonio Carlos Jobim
Rosa Passos
ホーザ パッソス


 Rosa Passos、Ary Barroso作品集“Letra e Musica:Ary Barroso” (1997)の次はJobim作品集。
 これまでもJobimナンバーはたくさん録音していたと思いますが、本作はちょっとだけひねった斬新なアレンジのJobim集。
 バンドは前作に引き続いてピアノトリオ+ギター+ホーンのオーソドックスな編成。
 ちょっと聞きではオーソドックスでアメリカなジャズボッサ、でな感じもあるのですが、一番目立つピアノが、ちょっと変わった音使い。 しかも、透明度の美しい高い音。
 音を外すわけでなないのだけども、素直な感じではなくて、意外なタイミングで意外な音を出すタイプ。
 ピアニストは二人いますが、どちらも似たような感じ。
 ヨーロピアンコンテンポラリー系とまでは言わないけども、それっぽい感じもするモダンな音使いです。
 Cristóvão Bastosって人、情報は持っていませんが、ベテランのようで、その筋の大御所、スタイリストなのでしょうね。
 他にもホーンのアンサンブルがちょっと変わった感じだったり、意外な感じで挟んでみたり、たまにエレキベースが唸ってみたり・・・
 アレンジはいつもの相棒のギタリストLuis GalvãoとピアノのCristóvão Bastos。
 申し合わせたわけではないのでしょうが、似たような少々の不思議テイスト。
 普通にJobimの名曲を演奏しても今や普通になってしまうので、ちょっとひねってみますかね、ってかな感じかも。
 Luis Galvãoのギターはいつも通りにここでもオーソドックスなのですが・・・
 さておき、そんな音を背景にして当のRosaさんはいたってマイペース。
 なーんにも変わりません。
 ちょっと沈んだムードのしっとりとした歌。
 周囲が穏やかに沈静化していくようなムード。
 ほどほどの湿り気。
 それだけでも聞き慣れてしまった名曲が新鮮、あるいはとてもリッチに聞こえます。
 優雅なJobimのメロディに優雅な声が似合います。
 この雰囲気を出せる人は・・・?
 他にはいないなあ・・・?




posted by H.A.

【Disc Review】“Letra e Musica : Ary Barroso” (1997) Rosa Passos, Lula Galvao

“Letra e Musica : Ary Barroso” (1997) Rosa Passos, Lula Galvao
Rosa Passos (vocal, guitar) Lula Galvao (guitar)
Marco Brito, Hamleto Stamato (piano) Jorge Helder (bass) Erivelton Silva (drums) Armando Marsal (percussion) Idriss Boudrioua (alto sax) Sergio Galvo, Ze Nogueira, Carlos Malta (soprano sax, flutes) Emilio Santiago (vocal)

Barroso: Letra e Musica
Rosa Passos
Lumiar Music Brasil
ホーザ パッソス


 Rosa Passos、Lula Galvaoとの双頭名義でのAry Barroso作品集。
 前掲の“Curare”(1991) との間には、“Festa”(1993)、 “Pano Pra Manga”(1996)といった名作MPBがあります。 
 Lula Galvaoは初期から今も続くサポートメンバー。
 Rosa Passosの音作りそのものに大きく関わってきた一人なのでしょう。
 Ary Barrosoは”ブラジルポピュラー音楽の父”と呼ばれている人、名曲”ブラジルの水彩画”の作者。
 優雅でさりげない楽曲、どこかで聞いたことあるようなメロディ揃い。
 バンドはピアノトリオ+ギター+ホーンのオーソドックスな編成。
 彼女自身がギターを弾かないとジャズっぽくなるように思っていましたが、本作もそんな音が中心。
 彼女のギターならではの少し沈みこむような遅れがちなようなビートではなく、ジャストで現代的なジャズサンバ。
 洗練された素晴らしいバンド。 
 ナチュラルで、ピアノとホーンがいい感じのジャジーなムード。
 ボーカルはいつも通りの特別なボイス。
 さりげないけども、他のボーカリストとは一線を画した特別な繊細な歌。
 優雅なメロディと、洗練された背景と、繊細な歌の絶妙な組み合わせ。
 全編を漂う郷愁感。
 これまた名作。
 この人に駄作なし。




posted by H.A.

【Disc Review】“Pano Pra Manga” (1996) Rosa Passos

“Pano Pra Manga” (1996) Rosa Passos
Rosa Passos (Vocal, Guitar)
Andrea Earnest Dias, Carlos Malta(Flute) Armando Marcal (Percussion) Chico Buarque, Ivan Lins (Vocals) Glauco Fernandes, Leo Ortiz(Violin) Lula Galvao (Guitar) Marco Brito (Keyboards) Marco Brito (Piano) Iura Ranevsky (Cello) Jorge Helder, Jorge Helder, Nema Antunes (Bass) Erivelton Silva (Drum) Pedro Amorim (Bandolin)

Pano Pra Manga
Rosa Passos
Caravelas
ホーザ パッソス






 Rosa Passos、前作“Festa” (1993)と同様、とても素敵なボサノバ~MPB(ブラジリアンポップス)作品。
 同じくジャズボッサコンボ+ストリングスを中心とした柔らかな演奏。
 余剰な音や音の加工が少なくなって、さらにナチュラルにスッキリした感じ。
 本作もオリジナル曲中心。
 激甘なメロディや、一度聞いたら忘れないような強烈なメロディはないのだけども、常に穏やかで優しげ、哀愁が流れる空気感。
 声はもちろん、本人のゆったりとしたギターの影響も大きいのだとは思うのだけども、このさりげない上質感は唯一無比。
 もちろんJobimさんは神様だろうし、その影響も大きいのだろうけども、こちらはまだまだ人間臭く俗臭い。
 ゲストで参加している大御所Chico Buarque、Ivan Linsの素晴らしさに勝るとも劣らず。
 彼らの表出する哀愁は強烈だけど、Rosaさんの哀愁はサラリとしていてベタつかない。
 MPBでもボサノバでも決して変わらない、とても穏やかな優しさ、そして郷愁。
 このアルバム、さりげないし、ポップス仕立ても多いし、ジャケットは地味だし、決して有名でもないだろうけども、とてつもなく素晴らしい作品かもしれない。聞けば聞くほど・・・。
 “Entre Amigos” (2003)、”Rosa"(2006)に匹敵する素晴らしさ、聞きやすさはその中でも筆頭。

(※この投稿は2016/02/23から移動しました。)




posted by H.A.

【Disc Review】“Festa” (1993) Rosa Passos

“Festa” (1993) Rosa Passos
Rosa Passos (vocal, guitar) 
Lula Galvao (guitar) Jorge Helder, Sizao Machado (bass) Itamar Assiere (piano) Erivelton Silva (drums)
Gilson Peranzzetta (keyboards, accordeon) Idriss Boudrioua (alto sax) Paulo Guimaraes (flute) Marcio Montaroyos (trumpet) Pirulito, Ovidio Brito (percussion)

Festa
Rosa Passos
Sbme Import

ホーザ パッソス



 

 現代最高のボサノバボーカリストRosa Passos。
 ジャズボッサ編成のコンボとストリングスがサポートするボサノバ~MPB(ブラジリアンポップス)作品。
 バックの音も少々厚め、さりげなくストリングなども入るアコースティックながら作り込まれたMPB的な色合いが中心。 
 後の“Rosa” (2006)などの静謐系ボサノバ作品に比べると凄みには欠けるのかもしれませんが、その分わかりやすくて明るい感じ。
 ゆったりとリズムを刻むガットギターと柔らかくグルーヴするバンド。
 その上をしなやかに舞ういつの時代も変わらないRosa Passosの優しい声。
 さらには、ジャジーなエレキギター、優雅なアコーディオン、ストリングス・・・。
 ちょっとエコー強めの録音も手伝ってドリーミーで平和な感じ。 
 時代はロック、フュージョン全盛期なのでしょうが、そんな気配は微塵もありません。
 曲はブラジル的郷愁感が流れるとても素敵なオリジナル。
 佳曲ばかり。
 らしくない少々ジャンピーな曲もよしとしましょう。
 キッチリ作り込まれた、でも、さりげなくてとてもナチュラル、とても素敵なブラジル音楽。

(※この投稿は2016/02/23から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Curare” (1991) Rosa Passos

“Curare” (1991) Rosa Passos
Rosa Passos (vocal, guitar)
Lula Galvao (guitar) Jorge Helder (bass) Jose Antonio (piano) Erivelton Silva (drums) Idriss Boudrioua (sax) Marsal (percussion) and Strings

Curare
Rosa Passos
Deckdisc Brasil
ホーザ パッソス


 現代最高のボサノバ~MPBボーカリストRosa Passos、初期の作品。
 以降、”Festa” (1993),“Pano Pra Manga” (1996)とMPBテイストの名アルバムが続きますが、こちらも同質の素敵なアルバム。
 バンドのメンバーも大きくは変わりません。
 ボサノバベースのナチュラルなフュージョンサウンド、要所でストリングも入ります。
 エコーをたっぷり効かせて、この人にしては少々ゴージャス。
 少々の時代感もありますが、まずまず自然なテイストに仕上がっています。
 楽曲はカバーのみ、Jobimをはじめとするブラジルの名曲揃い。
 Djavan, Ary Barrosoなど、この頃から好みは決まっていのでしょう。
 ボーカルはこの頃から特別な声。
 ウイスパーよりもわずかに強め、鼻に抜けるような微妙な声。
 微妙で可憐な声ながらもブレない歌唱力、さりげない表現力。
 演奏だけなら他にも上手いモノやら斬新なモノは多々あるのでしょう。
 それでも凡百のボサノバアルバムとは一線を画している何か。
 やはり彼女のvoiceなのでしょう。
 一声だけで漂う淡い哀愁、郷愁感。
 やはり、現代最高のBosa_Novaだと、私は思います。





posted by H.A.

【Disc Review】“Recriação” (1979) Rosa Passos

“Recriação” (1979) Rosa Passos
Rosa Passos (vocal, guitar)
Jose Menezes (guitar) Gilson Peranzzetta (keyboards) Luizao (bass) Wilson das Neves (drums) Ubirajara (bandneon) Jorginho (Flute) Zdenek Svab (trompa) and others



 現代ボサノバ~MPB最高のボーカリストRosa Passosのデビュー作。たぶん。
 この後の作品は“Amorosa” (1988), “Curare” (1991)のようなので、かなり間が空いていて、私の知る限りの作品とはかなりイメージが異なります。
 ちょっと時代を感じさせるオーケストラ、シンセサイザー?も含めたアレンジ、ポップス仕立てな音作りが目立ちますかね。
 1970年代MPBな音作り、いろいろやってみました、ってな構成。
 何となく手練れた感じがしないボーカルは、瑞々しいといえばそうかもしれないし、素朴で可憐ともいえばそうかもしれません。
 別の言葉にすれば、洗練される前の音。
 現代的な音ではなく、1970年代を感じるちょっとノスタルジックな音。
 後にはあまりない?フェイザーがたっぷり聞いたローズがフワフワしていて、この人にピッタリな空気感。
 半数以上を占めるボッサなビートの曲は後の作品のムードなのですが・・・ 
 変わらないのは独特のボイスと共作によるオリジナル曲のメロディ。
 そこはかとない哀愁、郷愁が漂う、さり気ない音の流れ。
 沈んでいるようでそうでもない、普通なんだろうけども泣きだしそうにも聞こえる微妙なボイスはこの頃から。
 微妙に遅れがちで少々沈んだ感じの絶妙なギターはまだかな?・・・
 Joao Gilbertoとこの人しか出せない(と私は思っている)空気感までもう少し。
 天才登場・・・ってな感じではないのかもしれませんが、悲し気なようでのほほんとしているムードは特別でしょう。
 などなど含めて、完成してくる前の、初々しい、とてもいい感じの音・・・だと思います。
 やはりこの人の音は和みますねえ。

(※この投稿は2017/05/30から移動しました。)



 posted by H.A.
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