吉祥寺JazzSyndicate

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Robert_Glasper

【Disc Review】“Everything's Beautiful” (2015) Miles Davis & Robert Glasper

“Everything's Beautiful” (2015) Miles Davis & Robert Glasper
Robert Glasper (Piano, Keyboards, Percussion)
Danny Leznoff, Kyle Bolden, John Scofield (Guitar) Chris Rob (Electric Piano)
Derrick Hodge, Braylon Lacy, Burniss Earl Travis II (Bass)
DJ Spinna (Drum Programming) Rashad Smith, DJ Spinna (Percussion) Hiatus Kaiyote (Program, etc)
Bilal, Illa J, Bianca Rodriguez, Phonte, Nai Palm, Laura Mvula, Amber Strother, Anita Bias, Georgia Anne Muldrow, Ledisi, Chris Rob (Vocals) Erykah Badu (Vocals, Percussion)
Lakecia Benjamin (Alto, Tenor Sax) Stevie Wonder (Harmonica) Brandee Younger (Harp)
 
Everything's Beautiful
Miles Davis
Sony Legacy
2016-05-27
ロバード グラスパー

 Robert GlasperのMiles Davis曲集。
 Robert Glasper Experiment名義にはなっていませんが、”Black Radio” (2011)的なヒップホップ、ネオソウル作品。
 もっと柔らかくて淡い感じかもしれません。
 フワフワとしたエレピ、打ち込みっぽいドラム中心の音に、曲ごとにボーカリスト、ゲストが入れ替わるスタイル。
 若手、HipHop系の人については詳しくありませんが、ベテランのビッグネームとしてはErykah Badu、Stevie Wonder、John Scofield。
 ”Milestones”はさておき、エレクトリックMilesが好きな人にとっては、”Maiysha”、”Little Church”などのレアグルーヴがカバーされていたり、”Silence Is The Way”、 “Song for Selim”なんてタイトルの曲があったりすると、ジャズではないことはわかっていても、どうしても手が出てしまうところ。
 おまけに”Maiysha”をErykah Baduが歌うとなると・・・

 Milesのしゃがれ声のサンプリングをラップ風に、Joe Zawinulのエレピのサンプリングをループに仕立てた穏やかなグルーヴからスタート。
 そんな感じのマニアックでオシャレな遊び心が溢れた音作りが続きます。
 お目当てのErykah Baduの”Maiysha”も予想通りの音。
 とても優し気な素敵なメロディ、まさにレアグルーヴなのですが、この曲、本当に硬派で孤高のMilesが書いたのかなあ?と聞くたびにいつも思う、オシャレな曲。 
 柔らかなビートとフワフワとしたエレピに乗ったクールな歌声。
 ちょっと時代っぽいシンセの音にニヤリとしていると、続くのはホンモノのMilesのトランペットのサンプリング。
 これには思わず笑ってしまうというか、元ネタを知っている人は楽しくなってくる作り。
 さらにMiles とErykah BaduとのDuo状態。
 これは両方のファンからすれば、涙チョチョ切れな演出。
 プロモーションビデオもパロディ半分で楽しそうだし、元ネタと1970年代の時代感が見ても聞いても楽しくなってきます。
 「こんなバカなことに付き合わせやがって・・・」とErykah Baduさんが思ったかどうかはわかりませんが、感情が読み取れないクールな表情、いつも通りに据わった眼差しがなんともミステリアス。
 この約7分間だけでもう十分でしょう。
 気になる人は“Get Up with It” (May.1970-Oct.1974) Miles Davisを聞いてみましょう。
 元ネタは、オシャレなメロディの後にズルズルギター、さらにあのStuffのGordon Edwards風グルーヴ、その他諸々???、まさにレアなトラックです。 
 そういえばErykah Baduの以前のステージのオープニングは”So What”でしたね。

 さておき、他も含めてフワフワとしたエレピを中心とした穏やかな音を背景にして、いかにも今風のラップ、ネオソウル的な歌が乗ってくる構成。
 一部を除き、原曲の形はありません。 
 一部のドスが効いたラップには引いてしまいますが、サウンド自体は柔らかくて心地よい音。
 さらにそれに要所に元々の音源からのサンプリングが乗ってくる構成。
 それに気づいてニッコリするのはマニアだけの楽しみ。
 いかにもなラップの曲の中で、これ、どこかで・・・?”Blue in Green”のBill Evans?・・・とかが隠されていますので、探してみましょう。 
 これ、なんて曲のどこの部分だっけ?とか思い、クレジットを確認して、納得したり、忘れていたり・・・
  “Milestones”は妖しいコーラスが錯綜する8ビートに、鬼のようなアルバム”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970) に収録されたオシャレなブラジリアンレアグルーヴの”Little Church”、“Song for Selim”は、さらにオシャレに、しかも妖しく仕上がっています。
 もちろんジャズっぽさはありません。
 Milesっぽくもありません。
 でも、これをジャズじゃないとか、Milesじゃないとかいうのは野暮ってもんでしょうねえ。
 Milesをネタにしてカッコいい音楽やってるねえ、オシャレじゃん・・・・・・が、Milesを聞いてきた人の大人な反応のように思います。私は。
 今の時代の「クール」な音はこんな感じなのでしょう。
 たぶん。




posted by H.A.

【Disc Review】”Covered” (2015) Robert Glasper

”Covered” (2015) Robert Glasper
Robert Glasper (piano)
Vicente Archer (bass) Damion Reid (bass)

Covered
Robert Glasper
Blue Note Records
2015-06-16
ロバート グラスパー

 いまや大御所、若手筆頭株Robert Glasper、ピアノトリオでの最新盤。
 出てきたときから何となく新しいなあと思っていましたが、一つの形が確立したのかな?
 PopよりのBlack Radioはさておき、先のジャズピアノトリオ版” In My Element”(2007)と比べるとイメージが全く違う。
 In My Elementも何となく新しいジャズピアノトリオでしたが、なんだかんだで昔のジャズ色も強かったように思います。それがすっかり抜けてしまい、ロック~ソウル~ポップを経てきた、いかにも2015年、現代のピアノトリオに。
 選曲とドラムの違いが大きいのでしょうが、もともと強かった浮遊感、疾走感がさらに強調され、軽快なリズムの使い方がモダン(この言い方自体が古めかしいのですが・・・)でカッコいい。
 特にドラム。
 強調されるスネアの乾いた音がなんとも心地よい。
 毎小節、同じところにスネアが入るドラムはロックっぽくて好みでは無かったのだけども、この演奏はカッコいい。
 シンバルやハイハットの使い方も何かフツーの人とは違うのかな?
 普通のジャズに慣れてしまった耳も惹きつけるとても魅力的なドラム。
 もちろん極めつけはリーダーのピアノ。
 いい意味でものすごく軽い。
 軽いけどしなやかというか、強靭というか。しかもあくまでクールで、決して感情に任せたような激しい音は出さない。
 この感じは他にはあまりない。
 同じフレーズやリフを繰り返すループ的?な手法、質感が今のDJ世代ではトレンドなのだろうし、確かに心地いい。
 個々のフレーズはHerbie Hancockあたりの影響が強そうな感じだけども、柔らかな音使いと、音の構成、リズムの使い方はこの人ならでは。
 決して奇をてらっているわけでも、ひねくった小難しい事をしようとしているわけではないのに新しさ、そして心地よさ満点。
 さて、アコースティック4ビートを愛するモダンジャズファンがついてこれるかどうか?
 私はものすごくカッコいいと思うし大好きです。
 あ、Black Radioも好きですよ。私は。

 

posted by H.A.

【Disc Review】“The Thought Of You” (2014) Otis Brown Ⅲ

“The Thoudgt Of You” (2014) Otis Brown Ⅲ
Otis Brown Ⅲ (drum)
Bial Oliver (vocal) Gretchen Parlato (vocal) Nikki Ross (vocal) John Ellis (sax) Keyton Harrold (trumpet) Shedrick Mitchell (organ) Nir Felder (guitar) Robert Glasper (piano) Ben Willianms (bass)

The Thought of You
Otis Brown III
Blue Note
2014-09-23
オーティス ブラウン3世

 若手?ドラマーによるコンテンポラリージャズ。
 正直、リーダーについての情報は持っていません。
が、Robert Glasperがピアノを弾いているし、Gretchen Parlatoが一曲だけど歌っているので聞いてみた一枚。
 これが古いのやら新しいのやら不思議な感じ、いい感じのジャズ。
 Robert Glasper的な洗練された感じかと思いきや、結構無骨でハードな質感。
 二管のフロント陣がテーマを奏で、ごっつい感じのドラムとベースが下を支えるあの1950~1960年代の香りが数曲。
 サックスがWayne Shorter風だったり、ピアノがときおりHerbie Hancock風だったりするのもご愛嬌。
 さらにヒップホップっぽいもの、ブラコンっぽいボーカル曲も数曲。
 管が抜けてRobert Glasperが表に出てくると急に浮遊感が出て、洗練されたイメージになるし、今風のスタイルの音使いも多い。
 やはりRobert Glasperは現代のスタイリスト。
 でもなぜか彼のリーダー作のイメージまではサラッとはしません。
 汗臭くてドロドロした昔っぽい雰囲気と、クールで明るい今っぽい雰囲気が混在していて、古くからのジャズファンとしてもいろんな意味で楽しめるいいバランス。
 さらにボーカル曲、お目当てのGretchen Parlatoもさることながら、中盤以降の数曲がもろソウル~ブラコン。
 それも少し懐かしい感じの切ない系。
 曲もボーカルもいいんだけど、そのバックの演奏が今風の浮遊感のあるリフをひたすら繰り返すスタイルだったりするので、何となく懐かしくも新しい。
 ニューヨークあたりのライブハウスでは毎晩こんな音が展開されているのでしょうかね。
 新旧ごった煮感がカッコよくて、結構気に入っています。



posted by H.A.
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