“Fronteira” (2017) Rafa Castro
Rafa Castro (piano, voice)
Igor Pimenta (bass) Gabriel Alterio (drums)
Vana Bock (cello) Ricardo Taka, Marcos Scheffel (violin) Daniel Pires (Viola)
Vinicius Gomes (Guitar) Lea Freire (Flute) Teco Cardoso (Sax)
Monica Salmaso (Voice)



 ブラジル、サンパウロのシンガーソングライター、ピアニストRafa CastroのMPB、あるいはミナス~フォルクローレ的なブラジリアンコンテンポラリージャズ。
 “Lachrimae” (2003) Andre Mehmari, “Naissance” (2012) François Morin,“Dos ríos” (2008) Andrés Beeuwsaertなど、新しいところでは“Macieiras” (2017) Alexandre Andrésなどに近いムード、フォルクローレの香りがする南米ジャズフュージョンの系。
 ピアノトリオ+自身のボイスをベースとして、楽曲ごとにストリングスカルテット、ギター、管楽器が入れ替わり加わっていく形。
 冒頭から幻想的なECM的ルバートのイントロ、ピアノトリオとソプラノサックスの絡み合い。
 さらにストリングスカルテットにスキャットボイスが入るとAndré Mehmari風に・・・、ビートが強くなるとあの時期のPat Metheny風に・・・
 バラードになってもその空気感は変わりません。
 強烈な浮遊感、哀し気で、寂し気で、幻想的で・・・
 そんな線でまとめてくるのかな?と思いきや、先に進むにつれて音量が上がりエネルギーも強くなっていきます。
 ギターが映えるちょっとハードなジャズテイストやら、ドラマチックで派手な演出やら、スモーキーなミステリアスボイスMonica Salmasoが参加した幻想的な音やら、その他諸々いろんな色合い。
 いずれも少々寂し気で悲しげだけど前向きな雰囲気、いわゆるサウダージなオリジナル曲のメロディがとてもいい感じ。
 リーダーの少々素っ頓狂系のハイトーンボイスが、若き日のEgberto Gismonti風に聞こえるのもご愛敬。
 少々ハードな演奏などは音楽自体もEgberto Gismontiっぽいというか、神のごとき彼の強い影響は多くの若手にあるのでしょうね。
 などなど含めて、いろんな要素がてんこ盛りのブラジリアンミュージック。
 André Mehmari的あるいはCarlos Aguirre的な色合いに、ちょっとハードなジャズ、あるいはEgberto Gismontiな色合い、現代のポップス、ジャズが複雑に交差する、なんて感じでしょうか、
 今後どう化けるか楽しみな人。




posted by H.A.