“Entendre” (2020) Nik Bartsch
Nik Bartsch (Piano)
ピアノ一台でもやはりミニマルファンクジャズ。
楽曲もいつものModuleXXシリーズ。
メンバー間の探り合うような時間が無くなりなり、単刀直入、直球勝負。
硬質なピアノ、硬質なビート。
硬質なピアノ、硬質なビート。
ダークな空気感、妖しいムード。
強い緊張感を伴いひたすら続くリフレインと現れては消えていく哀しいメロディ。
一定のパルスを保ちつつ、グラデーションを描きながら徐々に変わっていく景色。
各曲終盤に向けて徐々に上がっていく音量、テンション。
そして、内に内に向かっていたエネルギーが一気に外に向けて放たれる瞬間・・・開ける視界・・・
大筋の流れはバンドでの演奏と変わらないのかもしれませんが、ピアノ一台ゆえの混り気なし、明確な輪郭、シャープでひたすら美しい音。
ジャズ的なインプロビゼーションの時間がほとんどないのも変わりませんが、バンド全体が絡み合いながらリフを作る諸作品よりもシンプルで、メロディと展開が明確に見えるようにも感じます。
ビートが強くなってもピアノ独奏ゆえの静かな佇まい。
静謐で硬質、図らずとも背筋が伸びるような時間。
妖しく美しい音のリフレインが誘う陶酔感に浸るか、徐々に変わっていく景色を眺めるか、大きな変化の瞬間がもたらすカタルシスを待つか。
エネルギーが外に向かうオーソドックスなジャズとは違う、内向的で求道的、静かなミニマルジャズ、ってな感じでよろしいかと。
※ソロでのライブ演奏から。
posted by H.A.