吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Nicolas_Masson

【Disc Review】“Travelers” (2017) Nicolas Masson, Colin Vallon, Patrice Moret, Lionel Friedli

“Travelers” (2017) Nicolas Masson, Colin Vallon, Patrice Moret, Lionel Friedli

Nicolas Masson (Tenor, Soprano Saxophone, Clarinet) Roberto Pianca   (Guitar) Emanuele Maniscalco (Drums, Piano)

Travelers
Nicolas Masson
Ecm Records
2018-02-16


 スイスのサックス奏者Nicolas Masson、ECMでの第三作。
 編成は“Third Reel” (2012), “Many More Days” (2014)のギターを交えた変則トリオから、ピアノトリオとのオーソドックスなワンホーンカルテットに変わりました。
 ベースが入り、ビートと音楽の輪郭が明確になりました。
 その上での例の漂うような音使い。
 あくまで静かな音、ゆったりとしたテンポ、沈んだムード、哀し気な空気感、不思議感はそのまま、“Third Reel” (2012)の沈痛系と “Many More Days” (2014)の穏やか系が交差する楽曲。
 ピアノは同じくスイスのColin Vallon
 漂うような零れ落ちるような、繊細な音がたっぷりとフィーチャーされます。
 リーダー作でもそうでしたが、どの方向に動いていくのかは予測できません。
 浮遊と疾走が交錯するとても美しい音。
 予測しずらいのはサックスも同様。
 但し、疾走はしません。
 あくまで漂うような演奏、いかにもECMのサックスらしく、サブトーン、ビブラートのない張り詰めた音。
 ビートが明確な分、トリップミュージックな感じは薄らいだのかもしれません。
 でも不思議感はたっぷり。
 これが現代のスイスの空気感なのかどうかはわかりませんが、少し沈みながらも落ち着いたクールなムード、儚く美しい、そして妖しい現代のジャズ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Many More Days” (2014) Third Reel

“Many More Days” (2014) Third Reel

Nicolas Masson (Tenor, Soprano Saxophone, Clarinet) Roberto Pianca   (Guitar) Emanuele Maniscalco (Drums, Piano)

Many More Days
Third Reel
Imports
2015-06-02


 スイスのサックス奏者Nicolas Massonを中心としたヨーロピアンの変則トリオ、ECMでの第二作。
 前作“Third Reel” (2012)のタイトルをバンド名としたようです。
 本作も静かで妖しい迷宮サウンド。
 ベースレスゆえの浮遊感、静かに高速な刻まれるビートと、ゆったりと漂うようなテナーサックス、ギター。
 前作と同様、そんな場面が印象に残りますが、前作よりも沈痛度、陰鬱度が下がり、終始穏やか、どこか懐かしい感じが漂います。
 ときおりの電子音、ピアノを訥々と奏でられる場面も何曲か、含めて少しカラフルになっているかもしれません。
 淡く抽象的な、あるいは不安感を煽るような、はたまた明後日の方向から聞こえてくるような不思議感たっぷりのメロディたち。
 計算尽くのアンサンブルなのだと思いますが、どう動いていくのかは予測不可能。
 とても穏やかなのですが、緊張感の塊。
 短く刻まれる演奏ともに、周囲の景色は次々と変わっていきます。
 さらに中盤から終盤にかけて、徐々にボリュームとテンションを上がってくるドラマチックな展開。
 それでも静謐な空気感は変わりません。
 通して聞くと、周囲の雰囲気、あるいは気持ちが一変してしまうような非日常感。
 さながら白日夢。
 これまたトリップミュージック。
 本作は沈痛でも深刻でも陰鬱でもなく、とても穏やかです。




posted by H.A.


【Disc Review】“Third Reel” (2012) Nicolas Masson, Roberto Pianca, Emanuele Maniscalco

“Third Reel” (2012) Nicolas Masson, Roberto Pianca, Emanuele Maniscalco

Nicolas Masson (Tenor Saxophone, Clarinet) Roberto Pianca (Guitar) Emanuele Maniscalco (Drums)

Third Reel
Masson
Ecm Records
2013-06-04


 スイスのサックス奏者Nicolas Massonを中心としたヨーロピアンの変則トリオ、ECMでの初作。
 静かで妖しい、強烈な浮遊感、少しだけフリーの色合いのコンテンポラリージャズ。
 冒頭はBill Frisell的な漂うギターを背景にし、漂うようなサックスのバラード。
 穏やか系・・・と安心するのは束の間。
 ディストーションを効かせたギターが掻き鳴らされ、高速なシンバルの4ビート。
 そんな中でゆったりと沈痛で深刻なメロディを奏でるサックス。
 が、そんな激しい場面も束の間、数曲のみ、激烈にはなりません。
 サブトーン、ビブラートの少ない、いかにも現代的なクールなサックス。
 また、ECMらしく透明度の高い音。
 あくまで静かに、ゆったりと漂うような演奏。
 各曲はコンパクトにまとめられ、次々と景色は変わっていきます。
 共通するのは哀感と浮遊感、強い緊張感、そして静かな空間に響く心地いいサックスの音。
 静かで内省的な空気感、迷宮の中を彷徨っているようなムード。
 残響音の後の静寂な瞬間に覚醒するか、微睡に落ちるか。
 あるいは、この静けさと沈痛さ哀しさが錯綜する空気感に安らぎを感じるか、不安を感じるか。
 いずれにしても強烈な非日常感、これまた心の中を覗き込むような時間。
 どこか遠い所へと誘うトリップミュージック。




posted by H.A.

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