吉祥寺JazzSyndicate

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Nana_Vasconcelos

【Disc Review】“Codona 3” (1982) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

“Codona 3” (1982) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

Collin Walcott (sitar, tabla, hammered dulcimer, sanza, voice) Don Cherry (trumpet, organ, doussn' gouni, voice) Naná Vasconcelos (percussion, berimbau, voice)



 エスニックフュージョングループCodonaの第三作。
 Collin Walcottが1984年に逝去しますので、これが最終作になるのでしょう。
 相対的にまとまっていた感もある第一作“Codona” (1978)から、ぶっ飛び度が強くなった感もある“Codona 2” (1980)に続く本作。
 もちろんぶっ飛んだ無国籍ワールド。 
 冒頭、“Goshakabuchi”なる日本の伝統曲?からスタート。
 静謐さを醸し出す鐘の音と雅な旋律を奏でるトランペット。
 さらに古楽器dulcimerの高貴な響きが絡み合う桃源郷サウンド。
 徐々にスピードとテンションを上げ、日本的な空気をまとったままの疾走サウンド。
 続いて、陶酔へと誘うシンプルなリフと儀式的ビートの繰り返し、呪文のような妖しいボイスが延々と続く演奏、摩訶不思議な音階を奏でるトランペットとシタール。
 よじれたような静かな子守歌。
 囁き声の合唱が続く中での荘厳?なバラード。
 静かなビートを背景にして歌やらシタールやら妖し気なパーカッションやらが汽笛のような音の交錯。
 最後は静かに緊張感を煽るように鳴り続けるオルガンを背景に、断片的に飛び交うトランペット、意味不明なボイス、パーカッション。
 もう何がなんだかよくわかりません。
 あくまで静かで抑制された音、繰り返されるリフ、ビート、そして妖しい音の数々が、静かな高揚、陶酔へと誘う時間。
 行き着く先は妖しげな桃源郷。




posted by H.A.


【Disc Review】“Codona 2” (1980) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

“Codona 2” (1980) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

Collin Walcott (sitar, tabla, mbira, timpani, voice) Don Cherry (trumpet, melodica, doussn' gouni, voice) Naná Vasconcelos (percussion, talking drum, berimbau, voice)



 エスニックフュージョングループCodonaの第二作。
 基本的には前作“Codona” (1978)と同様の無国籍・無時代のエスニックフュージョン。
 強烈な浮遊感に覆われた前作と比べると、ビートが明確で定常な演奏、テーマが明確なジャズ的な演奏、また、不可思議なヴォイスが前面に出る場面も多く、若干印象が異なるのかもしれません。
 Naná Vasconcelosさんのパーカッションがたっぷりフィーチャーされ、延々と雄叫びを上げる、なんて時間も。
 ジャズっぽいCollin Walcottの楽曲にしても、トランペットはさておき、シタールや妖し気なパーカッションが背景なだけに、あまり他では聞けないエスニックなんだか、なんなんだかよくわからない、摩訶不思議な世界。
 挙句の果てには、あのNanáさんのケッケッケッケッケなんて音も聞こえてきて、山奥度120%。
 妖しい音を発するパーカッションが延々と鳴り続ける中でのシタール、トランペット、メロディカ、その他の静かでフリーな絡み合い。
 不思議さ、妖しさ200%。
 相対的に整った感もある“Codona” (1978)よりもさらに山奥なのかどこなんだかわからないぶっ飛んだ時間。
 世はフュージョン全盛期のポップでお洒落、あるいはキメキメメカニカル、はたまたシンセでスペーシーな時代。
 そんなことは我関せず、全く明後日の方向、異次元へのトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Codona” (1978) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

“Codona” (1978) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

Collin Walcott (sitar, tabla, hammered dulcimer, kalimba, voice) Don Cherry (trumpet, wood flute, doussn' gouni, voice) Naná Vasconcelos (percussion, cuica, berimbau, voice)

Codona
Codona
Ecm Records
2000-09-12


 エスニックフュージョングループCodonaの第一作、ECMレコードから。
 誰がどう考えたらこの組み合わせが出来たのかよくわかりませんが、スタイリスト三人組。
 インドなシタール、タブラ、ヨーロッパ~中近東な古楽器、キリッとしたジャズ~フリージャズあるいは無国籍な管楽器、ブラジル山奥なパーカッションとヴォイス、さらに日本的な旋律もちらほら。
 全部合わせて世界一周、無国籍なのは言わずもがな、とても幻想的な音。
 冒頭は日本的な音階、雅な感じの弦と笛の絡み合い。
 トランペットが聞こえると現代西洋の空気が少し流れますが、その時間は決して長くなく、山奥的幻想な打楽器、笛の音とともに、どこにいるのかわからない空間に。
 漂うような音の流れを作るシタールやタブラ、ビリンボウの妖しい音もさることながら、ところどころに散りばめられた、琴にも似た古楽器Dulcimerの高貴な響きと、キリッとしたトランペットの絡み合いがカッコいい。
 "Colemanwonder”なんてタイトルのOrnette ColemanStevie Wonderのメドレーがあったりするのもご愛敬。
  どこかすっとぼけた感じも含めてぶっ飛んでいます。
 それでいてとても心地よいのは、沈痛さや深刻さとは無縁の穏やかで懐かしい音の流れ故なのでしょう。
 ナチュラルなトリップミュージックの極めつけ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Amor Brasileiro” (1998) Vinicius Cantuária

“Amor Brasileiro” (1998) Vinicius Cantuária

Vinicius Cantuária (Guitars, Percussion, Voice) Naná Vasconcelos (Percussion, Voice)
Michael Leonhart (trumpet) Arto Lindsay (guitar)

Amor Brasileiro
Vinicius Cantuaria
インディペンデントレーベル
1998-04-15


 Vinicius Cantuária、1998年、Naná Vasconcelosとのコラボレーション作品。
 二人のDuoを中心として、数曲でゲストが加わる構成。
 アコースティックギターを背景にして、例のブラジリアンネイティヴなパーカッションとヴォイス、クールなVinicius Cantuáriaのヴォイスの絡み合い。
 少人数の静かで落ち着いた音。
 仕掛けは最小限に抑えられ、あくまでナチュラルな音。
 録音はニューヨーク、十二分に洗練されていて、あくまでVinicius Cantuáriaワールドですが、それに風と土の香りを加えていくようなNaná Vasconcelosの妖しい音。
 半数ほどのオリジナル曲にボサノバスタンダード、MPBスタンダード。
 いつもの構成、前作“Sol Na Cara” (1996)にも近いフォーキーで静かなサウンドですが、もう少しブラジル寄りな感じ。
 電子音も聞こえません。
 わずかに使われるエレキギターが特別にカッコよかったりもするのですが・・・
 都会的に過ぎず、洗練され過ぎず、とんがり過ぎず、そして素朴に過ぎない、ちょうどいいころ合いの自然な音。
 どこか遠い所を眺めるような空気感。
 ここから先は都会で夜なVinicius Cantuária、お洒落な“Tucumã” (1999)へと続きます。




posted by H.A.


【Disc Review】“If You Look Far Enough” (1988,1991,1992) Arild Andersen, Ralph Towner, Nana Vasconcelos

“If You Look Far Enough” (1988,1991,1992) Arild Andersen
Arild Andersen (bass) Ralph Towner (guitars) Nana Vasconcelos (percussion, voice)
Audun Kleive (snare drum)

If You Look Far Enough
Arild Andersen
Ecm Import
アリルド アンデルセン 
ラルフ タウナー
ナナ バスコンセルス
 


 ECMオールスターでのトリオ+αでのセッション。
 編成は普通のギタートリオなのですが、このメンバーですので普通ではありません。
 Ralph Townerのトリオではハイテンションな名作”Batik” (1978)がありますが、全く違う質感。
 楽曲提供からするとリーダーはArild Andersenなのでしょう。
 Ralph Townerの出番は少なめ、ベースがリードし前面に出る場面、Arild Andersen、Nana VasconcelosのDuoでの演奏が印象に残ります。
 Arild Andersenのいつものド派手なベースが炸裂するハイテンションな演奏から、穏やかなスタンダード演奏まで多種多様。
 ブンブン唸るベースに瑞々しいギター、妖し気なパーカッションと幻想的なボイス。
 そういった演奏を想像してしまいますが、それは2-3曲。
 そちらは、サディスティックなまでに攻撃的なベースと、それに呼応するハイテンションなギター。
 何かの格闘技を見ているような演奏。
 淡々とビートを出し、時折奇声を挟むNanaさんがレフリー役。
 そんな演奏を間にはさみながら、半数以上は穏やかで幻想的な演奏。
 ゆったりとしたテンポと妖しげで抽象的なメロディ。
 ループを使ってシンセサイザー的な音を作っているベース。
 妖しげなビートを出し、奇声を上げるNanaさん。
 先の展開が予想できないフリーインプロビゼーション的な演奏が印象に残ります。
 ちょっと気の利いたメロディと演奏力で押し切ってしまえばそれだけで凄いグルーヴの凄いアルバムができていしまいそうですが、そうはしないクリエイティブな人達。
 凡人からは想像できない明後日の方向に向かって進んでいるように感じる部分も無きにしも非ず。
 さすがECM、Arild Andersen。




posted by H.A.

【Disc Review】“Duas Vozes” (1984) Egberto Gismonti

“Duas Vozes” (1984) Egberto Gismonti
Egberto Gismonti (guitar, piano, dilruba, wood flutes, voice)
Naná Vasconcelos (percussion, berimbau, voice)

 エグベルト ジスモンチ 
 ナナ バスコンセロス 

 “Dança Das Cabeças”(Nov.1976)から8年後?のDuo作品。
 密林系の妖しい雰囲気はこちらも同様。
 冒頭からから妖しさ満点。
 あの名曲”ブラジルの水彩画”が見事に解体。
 他にも前半はレロレロレロレレレレレー、なんてボイス、後半がとてつもなく美しい名曲”Don Quixote”だったりとか、なんとも面白い構成。
 Biancaなんて曲もありますが、Bianca Gismontiのことなのでしょうね。
 全体的には少し緊張感が和らいで、リラックスして聞ける感じ、湿度も低めでサラリとした感じ。
 もちろんジャズっぽさはなし。
 民族音楽調、もちろんブラジルなのでしょうが、どこの国なのか、どこの山奥なのかさっぱりわかりません。
 山奥で響いてそうな妖しげな打楽器の音とボイス。ウッフィウッフィ、ケケケケケーとかね・・・。 さらに、どのジャンルにもとらわれそうもないギター、ピアノ。
 静謐、と言えばそうかもしれないなあ・・・
 ってな感じ、全体を通じた明るいムード、少しすっとぼけたような感じも含めて和めるアルバム。
 ECM、変わり種でも気軽に聞けるEgberto Gismonti。


※Nana Vasconcelosが2016/3/9に亡くなられたとのこと。
 ご冥福をお祈りいたします。



posted by H.A.

【Disc Review】“Saudades” (Mar.1979) Naná Vasconcelos

“Saudades” (Mar.1979) Naná Vasconcelos
Naná Vasconcelos (berimbau, percussion, gongs, voice)
Egberto Gismonti (guitar, string arrangements) Stuttgart Radio Symphony Orchestra

ナナ バスコンセロス

 ブラジリアンパーカッションのNaná Vasconcelos、ECMでのリーダー作はオーケストラとの共演作。
 Collin Walcott、Don Cherry との“Codona” (Sep.1978) Codonaを制作後、Pat Methenyとのコラボレーション”As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls” (1980) “Offramp” (1981) 前の作品。
 Egberto Gismontiとの “Dança Das Cabeças”(Nov.1976)の二年余後。
 Egberto Gismontiは、演奏では一曲のみの参加ですが、アレンジ全般を受け持っていたのでしょう。
 なんともすごい作品。
 Naná Vasconcelosはあくまでネイティブな演奏とボイス。
 オーケストラはあくまでクラシック音楽の端正で洗練されたそれ。
 間を取り持つEgberto Gismonti。
 緩やかで穏やかな音。
 ビリンボウやパーカッションの演奏は予想の範囲としても、美しいオーケストラのちょっとしたブレイクに、クェックェッケケケケーー・・・とかのボイス・・・
 ????
 が、それらがぶつかっているわけでもなく、不調和を起こしているわけでもない不思議な協調。
 優し気に見守るような西洋音楽と、自在に動くネイティブな音。
 都市と自然、現代と古代の共生・・・なんてことを考えたのかどうかはわからないけども、そんな感じ。
 Egberto Gismontiの頭の中がいつもそうなっているのかなあ・・・と思ってみたり。
 この強烈なミスマッチをシレっとやって、キッチリまとめてしまうクリエイティビティの凄み。
 恐れ入りました。


※Nana Vasconcelos、2016/3/9に亡くなられたとのこと。
 ご冥福をお祈りいたします。



posted by H.A.

【Disc Review】“Dança Das Cabeças” (Nov.1976) Egberto Gismonti

“Dança Das Cabeças” (Nov.1976) Egberto Gismonti
Egberto Gismonti (8-string guitar, piano, wood flutes, voice)
Nana Vasconcelos (percussion, berimbau, corpo, voice)

 エグベルト ジスモンチ 
 ナナ バスコンセロス 


 これが、Egberto Gismonti、Nana VasconcelosともにECM初録音なのでしょうか?
 Nana Vasconcelosは”Codona” (Sep.1978) 、”As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls” (1980) Pat Metheny & Lyle Mays、”Offramp” (1981) Pat Metheny Group、あるいはリーダー作”Saudades” (Mar.1979)の前、Egberto Gismontiもこれ以前のECMでの録音は見当たりません。

 さて、これはいきなり妖しげな楽園ミュージック。
 よくよくわからないパーカッションやら鳥や動物の擬声?やらの間から聞こえる笛の音・・・。
 ブラジルの山奥ですごしているとこんな音が聞こえてきそうですね。
 楽しげでもあるし、神秘的でもあるし。
 これが、ミナス?ブラジルの密林?の雰囲気なのでしょうかね?
 基本的にはのどかで平和な感じなのだけど、Gismontiさんのギターやピアノが鳴り出すと急に現代的、都会的になり、強い緊張感、独特のグルーヴ。
 と思っていると、いきなりレロレロレロレロレーーーってなボイス・・・。
 こりゃすごいや。
 後に共演するあのPat Methenyもこの種の音をやりたかったんだろうな、と思う場面も多々。
 長尺な組曲が2曲ですが、要所で現れるメロディが素敵で展開も多彩。
 ブラジル系音楽といっても、青空と海の景色は見えてきませんし、湿度高めな空気感。
 海辺のリゾートではなく、密林にトリップしたくなったら効果テキメンな音楽。
 以降、Egberto Gismontiは名作を量産、Nana Vasconcelosはあちこちから引っ張りダコ。
 これをドイツのレーベルで作ってしまうこのお二人ならびに、プロデューサーManfred Eicherの慧眼に感服。

※Nana Vasconcelosが2016/3/9に亡くなられたとのこと。
 ご冥福をお祈りいたします。



posted by H.A.
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