吉祥寺JazzSyndicate

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Miroslav_Vitous

【Disc Review】“Remembering Weather Report” (2006, 2007) Miroslav Vitous

“Remembering Weather Report” (2006, 2007) Miroslav Vitous
Miroslav Vitous (Double Bass)
Gerald Cleaver (Drums) Michel Portal (Bass Clarinet) Gary Campbell (Tenor Saxophone) Franco Ambrosetti (Trumpet)

Remembering Weather Report
Miroslav Vitous
ECM
ミロスラフ・ビトウス


 Miroslav Vitous、Weather Reportトリビュート(?)。
 今回もメンバーは大幅に入れ替え。
 トランペットのFranco Ambrosettiスイスの人、Thierry Langらとの”Live at the Dolder Grand Hôtel Zurich” (2000) The Winners といった作品もあるMilesチックな人。
 ドラムのGerald Cleaverは”Wislawa” (2012) Tomasz Stanko New York Quartetのメンバー。
 さらにベテランMichel Portalのクラリネット、若手?のサックス。 キーボードレス。
 さらにはOrnette Colemanの”Lonely Woman”が入ってみたり、何がどういう意図なのかはよくわかりません。
 これまた私にとっては謎の多い作品。
 冒頭はWayne Shorter、”Nefertiti”をモチーフにしたフリージャズから、”Lonely Woman”ベースのフリージャズへ。
 その他“When Dvorák Meets Miles”なんてすごいタイトルの曲もあります。
 激しいベースとドラムのフリーなビートの上で、サックス、トランペットが絡み合う構成。 
 全体的には静音系のフリージャズ。
 最後はMilesの"All Blues"変形のフリージャズで締め。
 やはり前作”Universal Syncopations II” (2004, 2005)の方がWeather Report的なイメージで、そちらがトリビュート作だったらわかりやすいのだけど・・・
 またMiles所縁のメンバーを集めた前々作“Universal Syncopations” (2003)とはどの作品も繋がってこないし・・・
 ?????
 考えれば考えるほど謎は深まるばかり・・・
 んー、Weather Report総帥Joe Zawinulが亡くなったのが2007/9か・・・




posted by H.A.

【Disc Review】”Universal Syncopations II” (2004, 2005) Miroslav Vitous

”Universal Syncopations II” (2004, 2005) Miroslav Vitous
Miroslav Vitous (Double Bass, Singing Bowls)
Adam Nussbaum, Gerald Cleaver (Drums) Daniele Di Bonaventura (Bandoneon) Bob Mintzer (Tenor Sax, Bass Clarinet) Bob Malach, Gary Campbell (Tenor, Soprano Sax) Randy Brecker (Trumpet) Vesna Vaško-Cáceres (Voice) and chorus, orchestra

Universal Syncopations II (Ocrd)
Miroslav Vitous
Ecm Records
ミロスラフ・ビトウス


 Miroslav Vitous、タイトルからすれば“Universal Syncopations” (2003)の続編なのでしょう。
 が、メンバーは総入れ替え、和声楽器なし。
 基本的にはメンバーが入れ代わりつつのホーン入りコンボ+オーケストラ。
 冒頭はオーケストラとコーラス(+シンセサイザー?)を交えたWeather Reportっぽいビート、展開の演奏。
 ・・・にしても肉声のSEなど、ちょっと変わっています。
 続いてはオーケストラ(+シンセサイザー?)のスペーシーな音とフリージャズっぽいインプロビゼーションの絡み。
 などなど、なんだか初期のWeather Reportを想い起すような音。
 もちろん彼が音作りの一部を担っていたのだろうし、その幻想的な部分が増幅されたイメージ。
 Miroslav VitousとしてはWeather Reportをこんな感じにしたかったのかも・・・?
 それとも長年やりたかったオーケストラを交えた組曲、大作を形にしてみたのかもしれません。
 ・・・なんてのも、こちら側の勝手な想像。
 全体的にはソプラノサックスが印象に残りますが、その他、バンドネオンの淡いメロディやら、哀愁漂うトランペットやら。
 確かに妖しくも全編もの悲しく、ドラマチックな構成。
 最後はとても穏やかなオーケストラ、低く漂うコーラスとピチカートとの絡みで締め。
 不思議な一作です。
 それにしても、前作“Universal Syncopations” (2003)との関係性は見えてきません。
 次はなぜかWeather Reportっぽくない、“Remembering Weather Report” (2006, 2007)へと続きます。
 このあたりの作品、私にとっては謎です。


※音源がないので懐かしいWeather Reportの映像。


posted by H.A.

【Disc Review】“Universal Syncopations” (2003) Miroslav Vitous

“Universal Syncopations” (2003) Miroslav Vitous
Miroslav Vitous (Double Bass)
Jack DeJohnette (Drums) John McLaughlin (Guitar) Chick Corea (Piano) Jan Garbarek (Soprano, Tenor Sax) Isaac Smith (Trombone) Wayne Bergeron (Trumpet) Valerie Ponomarev (Trumpet, Flugelhorn)

Universal Syncopations
Miroslav Vitous
ECM
ミロスラフ・ビトウス


 Miroslav Vitous、久々のECM、ベテランスーパーミュージシャンを迎えた作品。
 メンツを見るとどうしても”Bitches Brew” (1969)、同時期の“Infinite Search” (Nov.1969)、あるいは激しい“Miroslav Vitous Group” (1980)あたりの音を想像してしまうのですが、全く違います。
 ピアノトリオ+ギター+サックスのクインテット全員が揃う曲はなく、ベースとドラムに各人が加わるトリオ、あるいはカルテットが中心。
 Jan Garbarek+ドラム+ベースのトリオ演奏が一番多いでしょうか。
 ホーン陣はアンサンブルでの参加のみ。
 なんとも説明しづらい不思議なジャズ。
 楽曲は穏やかな雰囲気の不思議系だし、各人のインプロビゼーションは、各人のイメージ通りなのだけども、全体の音はかつてとは全く異なります。
 時代も変わっているので当たり前と言えばそうなのですが、何がどう変わったのか、それこそ不思議です。
 Chick Coreaのかつての狂気は消え失せ、John McLaughlinにはまだちょっと残っている感じもありますが、まずまず落ち着いています。
 Jan GarbarekはECMでの共演作“StAR”(1991)ほど穏やかではありませんが、1970年代のような切羽詰まったような緊迫感でもありません。
 Jack DeJohnetteはヒタヒタと叩いていますが、なぜかかつての緊張感のあるビートではありません。
 ・・・といった感じでかつての演奏を知る立場としてはなんとも形容しがたい演奏集。
 最後は“StAR”(1991)を想わせる穏やかで美しいサックストリオで幕。
 録音時点は彼らが世に出た1960年代末から30余年。
 全体のムードは穏やか、端々から聞こえる各人の演奏はさりげなくても名人芸。 
 緊張感の塊のようなサックス、きらびやかなピアノ、若干の狂気を秘めた怒涛のようなギター。 
 そしてかつてと変わらない推進力のベースとドラムのスーパーコンビ。 
 その年輪を味わいますかね・・・
 さらに問題作?”Universal Syncopations II” (2004, 2005)へ続きます。





posted by H.A.

【Disc Review】“Journey's End” (1982) Miroslav Vitous

“Journey's End” (1982) Miroslav Vitous
Miroslav Vitous (Bass)
John Taylor (Piano) John Surman (Soprano, Baritone Sax, Bass Clarinet) Jon Christensen (Drums)

Journey's End
Miroslav Vitous
Ecm Import
ミロスラフ・ビトウス


 Miroslav Vitousサックスカルテット、三作目。
 ピアニストがKenny KirklandからJohn Taylorに交代。
 全二作とは少々異なる面持ち。
 激しい演奏はなく楽曲も明確ですが、なぜか不思議感が強くて複雑な音楽。
 John Surmanの楽曲が半数を占めることが大きいのかもしれません。
 旋回するようなシンプルかつ不思議なラインのリフを繰り返すスタイル。
 彼が前面に出る場面が多いようにも感じます
 さらに鋭く美しいピアノ。
 明るさ元気さは前任者の方があるのでしょうが、妖しさ、鋭さはこちらが上。
 前面に出る場面は多くはないのですが、強烈な存在感のピアノ。
 激しかったりフリーだったりする場面がないのに、妖しさ不思議感が強いのは、彼の色合いも強いのかもしれません。
 Miroslav Vitousも相変わらずの推進力ですが、本作も後ろに引いた感じでしょうか。
 これが普通のジャズバンドのバランスではありますが。
 ドカーンと力で押し切る場面もなくなり、全編を漂うさりげない緊張感。
 最後にJohn Taylorが前面に出る不思議で静かな演奏。
 結果的にはMiroslav Vitousの作品というよりも、John Surman、John Taylorの色合いが強い作品かもしれません。
 次に向けた準備だったのかもしれませんが、次のECMでの録音はソロでの“Emergence” (1985)、さらに10年後、とても穏やかな”StAR” (1991) Jan Garbarek。
 エレクトリックマイルス的な激烈でシリアスな音が流行らなくなったのもこの時代なのかもしれません。
 ロック混じりの激烈ジャズの“Infinite Search” (Nov.1969)でスタートし、”Weather Report”(1971)を経て、それが終わった本作、あるいは“To Be Continued” (1981) Terje Rypdal / Miroslav Vitous / Jack DeJohnette・・・
 といった見方も出来なくはないか・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Miroslav Vitous Group” (1980) Miroslav Vitous Group

“Miroslav Vitous Group” (1980) Miroslav Vitous Group
Miroslav Vitous (Bass)
Kenny Kirkland (Piano) John Surman (Soprano, Baritone Sax, Bass Clarinet) Jon Christensen (Drums)

Miroslav Vitous Group
Miroslav Vitous Group
Ecm Records
ミロスラフ・ビトウス


 Miroslav VitousのECMでのサックスカルテット第二弾。
 “First Meeting” (1979)と同メンバー。
 インタープレー中心の前作に対して、各人のソロスペースが明確になった構成。
 逆に楽曲の抽象度、フリージャズ的な色合いは強くなった印象。
 結果的には、Kenny Kirkland、John Surman含めた強烈なインプロビゼーションがたっぷりと聞けます。
 アップテンポでのKenny Kirklandは、まんまWynton Marsalisバンドでの強烈な疾走感のKenny Kirkland。
 これは微笑ましいというか、なんというか。
 それでもECMの真骨頂、ルバートでのバラードでは強烈な浮遊感の素晴らしいピアノ。
 そういえば、後のBranford Marsalisのバンドではそんな演奏もありました。
 その他フリージャズや激しい系、妖しい系もありますが、どんな曲でも自らがバンドを引っ張るような素晴らしい演奏。
 ダークな色合いの他のメンバーに対する、美しく明るい色合いのピアノ。
 大御所に十分伍して、絶妙なバランスを作っています。
 まだWynton Marsalisと合流する前だと思いますが、やはりこの頃から稀代の天才の雰囲気十分。
 前作では穏やかだったJohn Surmanは、本作では少々激しめ。
 得意の激しい旋回フレーズもちらほら。
 Miroslav Vitous少々後ろに引き気味でしょうか。
 もちろん後ろ回っても強烈な牽引力、推進力は全開。
 前作よりは明るさは無くなりましたが、その分ハイテンションで強烈な演奏。
 この心地よい激しさを出せるバンドは希少。
 この時期のMiroslav Vitousサックスカルテット三作、どれかを選ぶならば、この作品。私は。
 ECMの同じメンバーは二作までの流れに従ってかどうだか、次作“Journey's End” (1982)ではピアニストが交代。
 明るいのをお求めの場合は“First Meeting” (1979)、ハイテンションならば本作、妖しいのがよければ次作“Journey's End” (1982)、といったところ。

 なおこの先、1980年代からECMの作品は淡いものが増えていくように思います。
 気のせいかもしれませんし、録音がアナログからデジタルに移行していったことも影響しているのかもしれません。
 やはり、1970年代ハイテンションコンテポラリ―ジャズ、最後の砦、ってな表現が当たっているような気もするなあ・・・
 最後ってのは大げさで、他にもいくつか砦があったかな・・・?


※別のバンドですが・・・


posted by H.A.

【Disc Review】“First Meeting” (1979) Miroslav Vitous

“First Meeting” (1979) Miroslav Vitous
Miroslav Vitous (Bass)
Kenny Kirkland (Piano) John Surman (Soprano Sax, Bass Clarinet) Jon Christensen (Drums)

First Meeting
Miroslav Vitous
Ecm Import
ミロスラフ ビトウス


 Miroslav Vitous、ECMでの初リーダー作はサックスカルテット。
 凄まじい“Terje Rypdal/MiroslavVitous/Jack DeJohnette” (1978)の次年の録音。
 これもすごいメンバー。
 ECMでは珍しいKenny Kirklandの参加。 Wynton Marsalisバンドへの加入前でしょう。
 もしこの後ECMと契約しているとさてどうなったのやら・・・
 他のメンバーがメンバーなので素直なジャズが出てくるわけはないのですが、それでもまずまずオーソドックスなコンテンポラリージャズ。
 1970年代ECMのハイテンションなサウンド、その明るい系。
 冒頭からキラキラと美しいピアノと激しいベースとの絡み合い。
 Jon Christensenのヒタヒタと迫ってくる系のビート。
 John Surmanのサックスはここでは爽やかです。
 楽曲のテーマ、メロディは曖昧ですが、各者が複雑に絡み合う素晴らしいインタープレーの連続、ドラマチックな構成。
 そんな演奏が続きます。
 フロントに立つサックスもさることながら、背後で動きまくるピチカートと激情を交えたアルコのベースと美しいピアノの対比が一番印象に残ります。
 インプロビゼーションはサックスとベース中心。
 個々の人のソロというよりは四者が一体となったコレクティブインロビゼーションの色合いが強い場面も多い構成。
 そこは“Terje Rypdal/MiroslavVitous/Jack DeJohnette” (1978)とも共通。
 この期のMiroslav Vitousが作りたかった音がそれなのかもしれません。
 ECMのこの種のバンド、メンバーを固定してたくさんの作品を制作するケースはなく、概ね二作程度。
 このバンドも然り。
 Miroslav Vitous、絶頂期とも思える時期、スーパーなバンドでの一作。
 ECM1970年代、ハイテンションコンテポラリ―ジャズ、最後の砦・・・、ってな表現は、間違っていますか・・・?




posted by H.A.

【Disc Review】“To Be Continued” (1981) Terje Rypdal / Miroslav Vitous / Jack DeJohnette

“To Be Continued” (1981) Terje Rypdal / Miroslav Vitous / Jack DeJohnette
Terje Rypdal (Electric Guitar, Flute) Miroslav Vitous (Acoustic Bass, Electric Bass, Piano) Jack DeJohnette (Drums, Voice)

To Be Continued
Terje Rypdal
Ecm Import
ミロスラフ・ビトウス
テリエ・リピダル  
ジャック・ディジョネット



 凄まじい“Terje Rypdal/MiroslavVitous/Jack DeJohnette” (1978)の続編。
 同じメンバー、普通の「ギタートリオ」なのですが、そう書くと違和感のある凄まじいバンド。
 前作と同様の質感ですが、穏やかな音と過激な音が交錯するメリハリの強い展開。
 スペーシーなシンセサイザーを背景として、ベースとギターが自由に暴れ、ドラムがひたすらビートを出すスタイルは同様。
 フリーで激しい演奏ながら、なぜか静謐なムードも同様。
 が、前作のような全編が音の洪水・・・ではなくて、間がある演奏、激烈ロック~ファンク、4ビート、激烈系フリージャズ、など曲ごとに変わる表情。
 心なしかTerje Rypdalが少々抑え目で、Miroslav Vitousの激しい音が目立つようにも感じます。
 ともあれ、Jack DeJohnetteは本作でも静かにヒタヒタと叩きまくり。
 この人にしかできないと思うドラミング。
 派手で激烈な演奏がある分、かえって前作よりも過激なイメージが強いのかもしれません。
 が、曲別に見れば、カッコいいジャズ、カッコいいファンク、妙にセンチメンタルなメロディなどなど、バラエティに富んだ激烈系コンテンポラリージャズ。
 本作もとてもカッコいいのですが、to be continuedはなく、このバンドはこれが最後。
 ECMでよくある二作でバンド変更の流れですが、少々残念な気もします。
 あるいは、この種の激烈系な音楽が流行らなくなったのかもしれません・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Terje Rypdal/Miroslav Vitous/Jack DeJohnette” (1978) Terje Rypdal, Miroslav Vitous, Jack DeJohnette

“Terje Rypdal/Miroslav Vitous/Jack DeJohnette” (1978) Terje Rypdal, Miroslav Vitous, Jack DeJohnette
Terje Rypdal (Guitar, Guitar Synthesizer, Organ) Miroslav Vitous (Double Bass, Electric Piano) Jack DeJohnette (Drums)

Rypdal/vitous/dejohnette
Terje &miroslav V Rypdal
Ecm
ミロスラフ・ビトウス
テリエ・リピダル  
ジャック・ディジョネット

 凄いメンツのギタートリオ。
 ギターがプログレッシブロック系Terje Rypdal。
 強烈な推進力のベースとドラムMiroslav Vitous、Jack DeJohnette。
 これは格闘技になるしかなさそうですが、その通りの演奏。
 同年にJack DeJohnette参加、激しい系の名作ギタートリオ“Batik” (Jan.1978) Ralph Townerがありますが、全く違う音楽ながら、それに近いハイテンション。
 激しい演奏なのですが、なぜか静謐な凄み。
 誰がリーダーかは分かりません。
 楽曲からすればTerje Rypdalかもしれませんが、三者が一体となったような凄み。
 冒頭からヒタヒタと迫ってくるようなビート、妖しいアルコに電子音、ズルズルグチョグチョギター。
 三者三様に好き勝手にやっているようで一体となって押し寄せてくるような緊迫感。
 大きな音を出すわけではなく、静かに淡々とビートを刻み続けるドラムの凄み。
 続くビートの定まらない妖しげなバラードになっても緊迫感、高揚感は消えません。
 ドラマチックなアルコ、時には激しいピチカートのベースに、あちこちに飛びまくる歪んだギター、スペーシーな背景を作るシンセサイザーと静かにビートを刻み続けるドラム。
 これだけで十分、おなかいっぱいですが、まだまだこれでもかこれでもかと続きます。
 楽曲はありますが、インプロビゼーション中心の抽象的な音楽です。
 展開は全く読めません。
 大きな音を出すわけではありません。
 抽象的で難しい音楽かもしれませんが、それでここまで違和感なくスルッと聞けてしまうモノは希少。
 フリーなようでうるさくない、軽快なビートが大きいのでしょう。
 Jack DeJohnetteでなければこの演奏は無理でしょう。
 “First Meeting” (1979) Miroslav VitousのJon Christensenと比べると違いは明白。
 “Batik” (Jan.1978) Ralph Townerや“1969Miles”(1969) Miles Davis以上の名演かもしれません。
 フリージャズも歪んだギターも苦手ですが、これはいけます。
 同じメンバーでもこの演奏をもう一度再現しようとしても難しいのでは?
 そんなことも思わせる、凄いメンバーでの凄い演奏集。




posted by H.A.


【Disc Review】“Infinite Search” (Nov.1969) Miroslav Vitous

“Infinite Search” (Nov.1969) Miroslav Vitous
Miroslav Vitous (Bass)
John McLaughlin (Guitar) Joe Henderson (Tenor Sax) Herbie Hancock (Keyboards) Jack DeJohnette, Joe Chambers (Drums)

Infinite search
Miroslav Vitous
Import
ミロスラフ・ビトウス


 チェコ出身、Weather Reportのオリジナルメンバー、Miroslav Vitousのファーストアルバム。
 Weather Reportはまだ結成前、Miles Davisの”Bitches Brew”のセッションが、August 1969なので、ちょうどそのわずか後に録音されたのが本作。
 John McLaughlin、Jack DeJohnetteは”Bitches Brew”のメンバー。
 そんな音・・・、というよりも、”1969Miles” (Jul.25,1969)を思わせるような激しいジャズ。
 Jack DeJohnetteは”1969Miles”のように叩きまくり、
 Miroslav VitousはDave Hollandよりも激しいんじゃないと思わせるようなベース、
 Joe Henderson、John McLaughlin もブチ切れた演奏、
 Herbie Hancockは”Bitches Brew”に呼んでもらえなかったリベンジか・・・
 ってな感じで、冒頭のMiles所縁の曲でもある”Freedom Jazz Dance”とタイトル曲は、エレクトリックマイルス的エネルギー放出型の超激しいジャズ。
 他の曲では少々テンションが落ちるようにも感じますが、逆にHerbie Hancockの端正なエレピが映える演奏、その他諸々、面白い演奏揃い。
 全体を眺めるとエレクトリックマイルス的というよりも新主流派的な音。
 見方を変えれば、Herbie Hancock、Joe Chambers、Joe Hendersonが何故Milesバンドに呼ばれなかったのか見えてきたり・・・はしませんか・・・?
 それにしてもHerbie Hancock はブチ切れ気味でもきれいな音が並ぶし、Joe Hendersonが一部でWayne Shorter的なフレーズを吹いている場面があって、それも面白いなあ。
 そんな想像はさておき、モダンジャズはもちろん、新主流派、フリージャズを置き去り、次の領域に移ろうとする転換期の音。
 次の時代の激しいジャズ。
 この後は、Milesバンドの人、Life Timeの人、ファンクジャズで成功する人・・・、人それぞれ。
 リーダーはWeather Report結成へ。
 もう一つの”Bitches Brew”・・・とまでは言わないけども、そんな時代の転換点のような、結節点のようなアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】"Atmos" (Feb.1992) Miroslav Vitous

”Atmos” (Feb.1992) Miroslav Vitous
Jan Garbarek (soprano, tenor sax) Miroslav Vitous (bass)

Atmos
Miroslav Vitous
Ecm Import
ヤン ガルバレク 
ミロスラフ ビトウス  


 Miroslav Vitous、Jan GarbarekとのDuo作品。
 “StAR” (Jan.1991)と比べて少々抽象的でムードが異なるので続編といった感じではないのでしょうが、こちらも静かで優しい音楽が中心。
 曲はMiroslav Vitousのオリジナル曲中心。
 演奏もベースが中心、サックスはサポートのイメージ。
 ゆったりとしたバラード中心。
 オーケストラ入りのキツめの曲が2曲。
 それを除けば、Jan Garbarekのサックスも優しいサイド寄り。
 甘美なメロディやスウィングするビートはありませんが、その分静謐で幻想的なムード。
 どこか遠くに連れて行ってくる音。
 ウッドベースの音が聞きたくなった時には最高のアルバムのひとつ。




posted by H.A.
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