吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Miles_Davis

【Disc Review】“Dark Magus”(Mar.1974) Miles Davis

“Dark Magus”(Mar.1974) Miles Davis
Miles Davis (electric trumpet with wah-wah, organ)
Pete Cosey (electric guitar) Reggie Lucas (electric guitar) Dominique Gaumont (electric guitar)
Michael Henderson (electric bass) Al Foster (drums) James Mtume (percussion)
Azar Lawrence (tenor sax) Dave Liebman (soprano, tenor sax)

Dark Magus
Miles Davis
Music on CD
マイルス デイビス


 Miles Davis、“In Concert”(Sep.1972) 以来のアルバム、ライブ録音。 
 間に“Live in Stockholm 1973”<DVD> (Oct.27,1973)、“Stadthalle, Vienna 1973” <DVD> (Nov.3,1973)といった映像、他にもブートレッグなどはたくさんありそうでますが、公式音源としては一年半ぶり。
 但し、お蔵入りになり、発表されたのは1977年日本限定とのこと。 
 “On The Corner”(Jun.1972)的な複雑なビートではなく、“In Concert”(Sep.1972)で中心だったシンプルなファンク~ロック、キーボードを排して、ディストーションを掛け、ワウを多用するギター中心の音作りへ移行。
 パーカッションは効いていますが、ビート感はほどほどシンプル。
 が、過去にはなかった感じの強烈な疾走感。
 Key PersonはドラムのAl Foster。
 なんでも叩けて、複雑なビートを出せたジャズドラマーJack DeJohnetteに対して、細かいことはさておいて、ハイハットをバシャバシャバシャバシャ、ひたすら鳴らし続けながら、とにかく突っ走るAl Foster。
 Milesがどこかで言っていた「白人のようにぶっ叩く」ことを、あまりやらなかったJack DeJohnetteに対して、ぶっ叩き突っ走るAl Foster。
 好みはさておき、大転換。
 前作“In Concert”(Sep.1972)をどういったイメージで作ろうとしていたのかはわかりませんが、そのアルバムから、本作の音の予見は明確に出ていました。
 動きまくるベース、ワウを掛けたギターのカッティングと一体になって突っ走るバンド。 
 さらにサックスもリードギターも突っ走り型。
 一丸となって突っ走るバンド、疾走するファンクビートでのハードなインプロビゼーションミュージックが出来上がりました。

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 冒頭から凄まじい疾走感。
 疾走するビートを背景にして、ワウを掛けたトランペット、サックス、グショグショロックギターが突っ走りまくり。
 強烈です。
 その流れから時折突入する、激烈、混沌の世界もカッコいい。
 Bitches Brewバンドの混沌は何かねっとりした狂気混じりの印象でしたが、こちらの混沌はどことなくクール。
 これも、混沌になってもフリーにはならず、定型ビートを出しまくるドラム、ベースによる印象が大きいのでしょう。
 概ね10数分でビートのパターンを変え、方向を変えながら進むバンド。
 軽快だったり、ヘビーだったり、沈痛なバラード風になったり、激烈疾走になったり・・・
 楽曲の型はあるのでしょうが、その場の流れでビート、コードをフレキシブルに変更していくスタイルの即興演奏なのでしょう。
 長尺な演奏が続きます。
 あたかも巨大魚の群れが、時にはスピードを上げ、時には留まるように、うねりながら悠々と泳いでいるようなイメージ。
 ワウを掛けてサイケに突っ走るMiilesに、激情を発しながら突っ走るDave Liebman。
 テナーサックスの響きにちょっとだけノスタルジックなジャズのムードを感じる場面もありますが、ハイテンションなソプラノサックス、ズルズルグチョグチョのJimi Hendrixをさらに激しくしたようなギターが寛ぐことを許してくれません。
 ヘビーなミディアムテンポのファンク、ラテン基調の高速でフリーな演奏、エスニックで妖しい演奏などもはさみながら、終盤は再び一丸となって疾走するバンド。
 ハイテンションな音の塊が、次から次へと、これでもかこれでもかと押し寄せてきます。
 終盤は怒涛のポリリズム曲"Calypso Frelimo"、"Ife"ときて、締めはJimi Hendrix風のヘビーなリフから、徐々に熱を冷ますようなパーカッションのソロ。
 お疲れ様でした。

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 本作、完成度の高い素晴らしい演奏だと思うのですが、しばらくお蔵に入ってMiles休養期の1977年のリリース。
 “Big Fun”(Nov.1969-Jun.1972)、“Get Up with It”(May.1970-Oct.1974)、“Agharta”よりも後。
 Miles自身、あるいはスタッフは何か気に入らないところがあったのでしょう。
 大きな瑕疵はなさそうだし、先進的に思えるし、モダンジャズファンからはそっぽを向かれるでしょうが、ロックファンには受けそうです。
 おりしも“Blow by Blow” (1975) Jeff Beckなど、ロックギターフュージョンが人気な時代。
 それでも本作をリリースせず、また、逆にスタジオ録音には、本作的な激烈疾走ファンクはありません。
 素直に考えると、本作は1974年前後のMilesが世に問いたい音では無かったのでしょう。
 ではMilesは何をやりたかったのか?
 本作と“Get Up with It”に収録された半年前の録音の大名演"Calypso Frelimo"<Sep. 1973>を比べて、勝手ながら妙に納得。
 本作のバージョン、ポリリズミック感はさておき、ファンキーさがあまり出ていなくて、 ヘビーさ、激しさ、疾走感が前面に出ているように感じます。
 おまけにフェイドアウト。
 Al Fosterのドラム、ハイハットが均等に鳴りまくり、叩きまくっているもんね。
 諸々を鑑みると、やりたかったのはヘビーな激烈疾走ファンクではなく、ファンキーでポリリズミックな音。
 スタジオ録音では満足するものが出来たが、ライブになるとちょっと・・・の“In Concert”(Sep.1972)と同じ状態だった?と推察します。
 ブートレッグを聞けばまた違う感想になるかもしれませんが。
 ・・・とかなんとか、そんな妄想はさておいて、このあたりのアルバム、どれもぶっ飛んでいます。
 その中でも一番激烈なのは、本作“Dark Magus” (Mar.1974)だと思います。

 


posted by H.A.

【Disc Review】“In Concert”(Sep.1972) Miles Davis

“In Concert” (Sep.1972) Miles Davis
Miles Davis (electric trumpet with wah-wah)
Cedric Lawson (electric piano, synthesizer) Reggie Lucas (electric guitar) Khalil Balakrishna (electric sitar) 
Michael Henderson (electric bass) Al Foster (drums) Badal Roy (tablas) James Mtume (percussion)
Carlos Garnett (soprano, tenor sax)

イン・コンサート
マイルス・デイビス
SMJ
2014-10-22


 Miles Davis、“On The Corner”(Jun.1972)直後のライブ録音。
 スタジオ録音から三か月後、本格的な“On The Corner”ライブツアー初旬の公演、その後、Milesの怪我でツアーは中止、との情報もあります。
 ここまでの主力メンバーが、以降しばらく共演するメンバーに交代しています。
 John McLaughlin が抜けReggie Lucasが参加。
 さらにここまでの中核メンバーJack DeJohnetteが、後々まで共演するAl Fosterに交代。
 残ったMichael Henderson、Mtumeとのコンビネーションは休養まで続きます。
 “On The Corner”はまだ世に出ていない時期ですが、その音楽をライブでやろうとしているとともに、新たな布陣で次のことを試そうとしていたようにも聞こえます。
 “Dark Magus”(Mar.1974)、“Agharta”、“Pangaea”(Feb.1.1975)への布石にも見えます。
 楽曲もポリリズミックな“On The Corner”的なモノに加えて、素直なファンクの”Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)系、”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970)系が半分を占めます。
 ポリリズムとその前までのファンクとは違う疾走ファンクの融合がどこまでできるのか確かめようとしていた様にも聞こえます。
 その実相はわかりませんが、結論からすれば、一部は“On The Corner”的ですが、その複雑なビートを作り出すことは出来ず、“Dark Magus”(Mar.1974)的な疾走ファンクの色合いの方が強い作品。
 それらの要素が融合することなく混在している状況。 
 Al Fosterとなぜかインド楽器陣が定常ビートの疾走ファンクで、他の楽器はポリリズミックなアプローチ。
 Al Fosterには別の可能性を感じていたのでしょうが、インド楽器陣がここまでになったのもわかるような気がします。

 なお、“On The Corner”の次の日のセッション(“Big Fun”収録、但しツインドラム)、あるいは、三か月後、“Get Up with It”(May.1970-Oct.1974)収録のDec.1972のセッションでは、Al Fosterのドラム、同じメンバーでカッコいいポリリズミックファンクが出来上がっています。
 メンバーのバランス、役割分担の最適化にもう少し調整が必要だったのでしょうかね? 

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Disc 1 (first set):
 1.Rated X 12:16
 2.Honky Tonk 9:18
 3.Theme from Jack Johnson 10:12
 4.Black Satin/The Theme 14:14

 冒頭曲は“On The Corner”の世界。
 さまざまな楽器が複雑に絡み合うリズム隊と、Milesも含めてフロント陣が現れては消えながら、バンド全体でビートを作り出す構成。
 “On The Corner”のような粘りには欠け、Al Foster的疾走感の方が強いのですが、ポリリズミックなビート、調性の取れた混沌がまずまず出来ているように思います。
 このままテンションを上げていくのかと思いきや、二曲目以降から様相が異なってきます。
 引き続き、ファンク曲をさまざまな楽器の絡み合いで“On The Corner”の世界へ近づけようとしていたようにも聞こえます。
 が、肝心のドラムがいかにも素直なビート。
  “On The Corner”にも収められていた“Black Satin”のドラムの違いを比べると明らか。
 16ビートの軽快感、粘りとタメ、キメがカッコよくファンキーなビートではなく、シンプル。
 出だしは悪くない感じですが、アクセントがいいところに入らず、あの粘って跳ねる感じが出ていません。 
 さらに終盤はタンタンタンタン・・・といかにもシンプル。
 また、左チャンネルのダブラとシタール (ギター?)が、ドラムと同じビートをジャッカジャッカジャッカジャッカ・・・
 平板で均等なシャッフルを刻み続け、お祭り(阿波踊り?)的ノリの場面がしばしば・・・
 右チャンネルのキーボード、パーカッションは複雑に絡み合うようなビート感を出しているように思いますが、全体としては素直なビート感が前面に出ます。
 そんな中でMiles他のフロント陣のソロは悪くありません。
 結果からすれば“On The Corner”の世界とは別物、ちょっと変わった色合いも混じったファンク。
 ドラムが勘所だったように思います。

Disc 2 (second set): 
 1.Ife 27:53
 2.Right Off/The Theme 10:30

 後半はミディアムテンポのファンクでスタート。
 こちらも前半の二曲目以降と同様の印象。
 ドラムはシンプルですが、他の楽器が彩りを加えていくことで複雑なビート感を作ろうとしているのだろうなと想像はできます。
 前半と同じく、右チャンネルのキーボード、パーカッションは頑張っていますが、左チャンネルの楽器群がベースと同じパターンを続けていたり、その他諸々、素直なファンクチューンに聞こえてしまいます。
 “Big Fun”収録<Jun.12.1972>の同曲のセッションではカッコいいポリリズムが出来上がっていますが、ライブ、あるいはドラム一台ではちょっと勝手が違うようです。  
 中盤からスピードが上がるとますますその感が強くなりますが、逆に、突っ走るように叩きまくるドラムが心地いい時間。
 さらに再びミディアムビートにテンポを落としたところは、粘りのあるビートにMilesのトランペット。
 そこがカッコいいのですが、長い時間ではないのが残念、スローバラードに続きます。
 最後はアップテンポなシャッフルビート。
 ノリノリですが、こちらも左チャンネルからお祭りビートが聞こえてきます。
 各人のソロはカッコいいし、右チャンネルのパーカッション、キーボードは混沌な感じがカッコいいんだけども・・・
 そんな感じで、ポリリズミックではなく、あくまで素直でノリのいいビートでドカーンと盛り上がって締め。
 もし“On The Corner”を聞いていなかったら、インド楽器で変わった色付けがされた突っ走るファンク・・・でよかったのかもしれませんが、なんとも複雑な気持ち・・・

 以下、勝手な想像に過ぎませんが・・・
  ・Al Fosterのドラムの疾走感をバンドに取り入れたかった
  ・“On The Corner”的なファンキーでポリリズミックなグルーヴと疾走感を融合したかった
  ・Al Fosterのドラムでも、他の楽器との融合でポリリズミックになると考えていた
  ・実際“Big Fun”収録の"Ife"<Jun.12.1972>のセッションではできていた(ツインドラムだが)
  ・が、ライブでは目論み通りにはならず、シンプルなビート中心となった
 ってな感じ、と推察します。
 そんな疾走するファンク、激烈な"Dark Magus”(Mar.1974)へと続きます。

 


posted by H.A.

【Disc Review】“On The Corner” (Jun.1972) Miles Davis

“On The Corner” (Jun.1972) Miles Davis
Miles Davis (electric trumpet)
Chick Corea (electric piano) Herbie Hancock (electric piano, synthesizer) Harold I. Williams (organ, synthesizer)
David Creamer, John McLaughlin (electric guitar) Collin Walcott, Khalil Balakrishna (electric sitar)
Michael Henderson (electric bass) Jack DeJohnette (drums) Jabali Billy Hart (drums, bongos) Badal Roy (tabla) James "Mtume" Foreman, Don Alias (percussion)
Dave Liebman (soprano sax) Carlos Garnett (soprano, tenor sax) Bennie Maupin (bass clarinet) Paul Buckmaster (cello)

ON THE CORNER
Miles Davis
COLUM
マイルス デイビス


 Miles Davis、これまた問題作、不思議感爆発の新展開。
 ここまでの作品、その後の作品とも全くムードが異なります。
 音源が多いこともあってか、Milesの変化は概ねアナログ的で、徐々に変わっていくのですが、突然変異にも見える作品がいくつか。その一つ。
 ここまででは、“In a Silent Way” (Feb.1969)、“Jack Johnson"(Feb.18,Apl.7,1970)と本作。
 下のように並べてみると、これらの三作も繋がってはいるのですが、直前の作品とは質感が全く異なります。
 クラシック~ポップス畑のPaul Buckmasterが実質的なディレクターだったから、といった話もありますが、それだけでもなさそうです。
 Milesの中では常に次の音が鳴っていて、その一部は前の作品で試行済み。
 それを大胆に強調した結果なのでしょう。 
 本作も前作”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970)の一部で示されていた、混沌と調性が同時に混在するポリリズミックなビートを強調し、具現化した結果とも思えます。

 “Nefertiti” (Jun.Jul.1967)        ジャズ
 “Miles in the Sky” (Jan.May.1968)   電化ジャズ
 “Filles de Kilimanjaro” (Jun.Sep.1968) ファンクジャズ+電化ジャズ
●”In a Silent Way” (Feb.1969)      ファンクジャズ+電化ジャズ
 “Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)    ファンクジャズ+電化ジャズ
 “Miles Davis At Fillmore” (Jun.1970)   ファンクジャズ+電化ジャズ+フリージャズ
●”Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)   ファンク
 “Live Evil” (Dec.16-19,1970)       ファンクジャズ+電化ジャズ+フリージャズ+ポリリズム 
●”On The Corner” (Jun.1972)       ポリリズミックファンク
 “In Concert” (Sep.1972)         ポリリズミックファンク+疾走ファンク
 “Dark Magus” (Mar.1974)       疾走ファンク

 LP一枚、4曲に分かれていますが、概ね二つのリズムパターンで乗り切ってしまいます。
 ここまでの諸作と同様に、自由にセッションを繰り広げ、それを編集して出来上がった作品なのでしょう。
 おまけに、ホーン陣の音量のレベルが低く抑えられています。特に二曲目以降。
 タイトルは「俺は隅にいるから(勝手にしてくれ)」といった意味?
 リズム隊だけでなく、ホーン陣を含めて作り上げる複雑なビート・・・の感じを強調したかったのでしょうね?
 これをジャズと強弁する人はいないと思いますが、どのジャンルから見ても特異な音。
 ジャズ的なインプロビゼーションを期待すると拍子抜け、ファンクとしてもビートはさておき、その上に載ってくる音が混沌としていてなんのことやら・・・
 どのジャンルから見ても取っつきにくそうですが、このビートの妙、カッコよさに気付いてしまうと病み付きになってしまって・・・
 聞き流してしまうと単調にも聞こえてしまいそうなひたすら続くビートパターンが陶酔感を誘う、そんな音。
 ジャズなオヤジには受けなくとも、ゲームミュージック、ミニマルミュージック?を聞いて育った現代の若い世代に受けたのも分かるような気がします。

 この作品のMVPは”Live Evil”に引き続き、またまたドラマーJack DeJohnette(+Billy Hart)のように思います。
 さまざまなパーカッションが出てきますが、このポリリズム感を出せるのは、複雑でカッコいいビートを作り出し、叩き続けることのできるドラムだからこそ。
 Jack DeJohnetteとの共演はこの作品までですが、後続の作品を聞くとなおさら・・・
 次作“In Concert”(Sep.1972)はこのアルバムの感じを出そうとして出し切れていません。
 その後もこれに類する作品は無いと思います。
 そのくらい不思議で特別な音楽。
 この作品でやろうとしていたことを、この後紆余曲折を経ながら発展させ完成した音が、“Get Up with It”収録の"Calypso Frelimo"<Sep. 1973> の凄まじい演奏。
 休養前のMiles Davisの音楽のたどり着いた先のように思います。

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 冒頭から複雑なファンクビート。
 この曲のみJohn McLaughlin、Dave Liebmanが参加しています。
 淡々としながらも複雑なビートを刻むドラム、ベース。
 その上に違ったビート感でリズムを刻むギター。
 それらに絡むタブラとパーカッション。
 さらにキーボードも加わり、時折パターンを変えながらも淡々進む複雑なビート。
 それらを背景にして、次々と現れては消えるサックス、ギター、キーボードのソロ。
 続くこと約7分。
 やっと登場するワウを掛けたトランペット。
 が、前面に出るイメージではなく、カウンターをあてるギター、キーボード、リズム隊の中にの中に溶け込んでいるイメージ。
 トランペットが去ってもフロントに立つ楽器が入れ代わり立ち代わりしながら、同じビートパターンで延々と20分続きます。
 淡々としているようで、打楽器陣だけでなく、またリズム隊だけでなく、フロント陣の音も含めて複雑なビートが作られ、次々と変化していくようなイメージ。
 これは今まで無かったであろう新しさ。
 しかもカッコいい。

 二曲目で違うビートのパターンに変わりますが、ここから最後まで基本的には同じパターンが続きます。
 これこそまさに、古今東西、世界最高のビート・・・
 ・・・は大げさかですが、そんなリズム。 
 二台のドラム、Jack DeJohnette、Billy Hartの二人が叩いているのだと思います。
 ”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970)に近いパターンがあり、Jack DeJohnetteが主だと思うのですが、実際どうだったのかはわかりません。
 軽快な16ビートがベースですが、粘りとタメ、微妙にズレたところにビシッと入るアクセントがカッコいいビート。
 極めてシンプルながら、さまざまに表情を変えていくベース。
 軽快ながら、粘って跳ねる、不思議でファンキーなグルーヴ。
 ドラムとベースを意識して聞いているとクラクラしてくるような陶酔感を誘うビート。
 これは最高。
 さらにタブラやらパーカッションやらが絡みさらに複雑化。
 ドラムとベースは強烈ですが、ホーン、ギター、キーボードは音量が抑えられている感じで不思議なバランス。
 バスクラ、ソプラノサックスのソロ、インタープレーが続いているのですが、誰かがフロントに立つといったイメージではなく、打楽器はもちろん、全ての楽器の音がビートに溶け込んで、ビートが複雑に表情を変えていきます。

 LPレコードB面に移ると、同じパターンながら、ビートが強くなります。
 絞った音量が不思議なバスクラのソロから始まり、トランペット~サックスソロでバンド全体の音量が上がってきて、普通に盛り上がるかな?と思っていると、続く遠くで鳴っているようなギターで期待は裏切られます。
 あくまでビート中心です。
 LPレコード片面、ずーっと同じリズムパターン、クラクラしてくるような音であるがゆえに、トリップミュージックにもなりそうな感じ。 
 終盤にビートを落として、パーカッション、タブラ、シタールが妖しく絡み合う時間。
 その後、また複雑なファンクビートに戻りまずが、さまざまな楽器が現れては消え、絡み合いながら、ビートも表情を変えながら静かにエンディング。
 やはり普通のジャズ、あるいはファンクを聞く感覚で聞いてしまうと、とらえどころのない問題作だろうなあ・・・ 
 言い換えればとてもクリエイティブ。
 とてもカッコいい音楽、凄いアルバムです。




posted by H.A.

【Disc Review】”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970) Miles Davis

”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970) Miles Davis

<Session A. Feb.1970>
Miles Davis (trumpet)
Joe Zawinul, Chick Corea (electric piano) John McLaughlin (electric guitar) Dave Holland (acoustic bass) Billy Cobham, Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion)
Wayne Shorter (soprano sax) Khalil Balakrishna (electric sitar)

<Session B. Jun.1970>
Miles Davis (trumpet)
Herbie Hancock, Chick Corea (electric piano) Keith Jarrett (organ) Ron Carter (acoustic bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion)
Steve Grossman (soprano sax) Hermeto Pascoal (drums, vocals, electric piano)

<Session C. Dec.19,1970> 
Miles Davis (trumpet)
John McLaughlin (electric guitar) Keith Jarrett (electric piano, organ) Michael Henderson (electric bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion)
Gary Bartz (soprano sax, flute) Conrad Roberts (vocal narration, poem)
 
Live-evil
Miles Davis
Colum
マイルス・デイビス


 Miles Davis、新たなスタート。
 激烈ファンクを中心にした一作。 
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969)の延長線上にはあるのですが、”Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)の色が混ざり、さらに次の試みもなされているように思います。
 “Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970)から半年しか経っていませんし、演奏される楽曲も1/3は同じなのですが、雰囲気は異なります。
 ここまでと違った感がするのは、ベースがDave HollandからMichael Henderson へ交代したことが大きいのでしょう。
 結果、ジャズ度がより薄くなっています。
 なお、後にJack DeJohnetteが抜けるとさらにジャズが遠くなるのですが・・・
 本作、いくつかのセッションから構成されていますが、メインは<Dec.19,1970>のライブ。
 Dave HollandがMichael Hendersonに、Steve GrossmanがGary Bartzに、Chick Coreaが抜けて代わりにJohn McLaughlinが参加。
 “Jack Johnson" (Apl.7,1970)に近い布陣、ファンク、ロックな布陣が出来ました。
 Jack DeJohnetteもロックなビートを叩き始めたように思います。
 Keith Jarrettも引き続き狂気の面持ち。
 Milesもワウワウを使用したサウンドがメインに。
 などなど合わせて、このあたりの作品からはモダンジャズファンはなかなかついて行くのがしんどくなってくるのだと思いますが、激烈なインプロビゼーションにジャズ的なものはまだまだ残っています。
 特にCD二枚目中盤から、LPではD面に凄まじい「ジャズ」な演奏が収められています。
 ここでのMilesのソロはベストパフォーマンスの一つだと思います。
 また、ブラジリアンHermeto Pascoal、さらにシタールを導入し、Chick Corea, Joe Zawinul, Ron Carterを含むセッションも含まれています。
 Airto Moreiraとバンドを組んでいた人。
 Milesに、曲が書ける面白いヤツ連れてこい、言われて紹介したのでしょうかね。
 バンドに入るか、一作でも作れば面白いモノになったように思いますが、この一度のみのセッション。
 このアルバムに収めるのが適当だったかどうかは微妙ですが、ポジティブに捉えれば、激烈な演奏の中でのチェンジオブペース。
 前に進むMilesの試行はまだまだ続いています。
 なお、本作のMVP(除くMiles)はKeith Jarrettではなく、ジャズでもロックでもないポリリズムの「ような」ビートの土台を叩きだすJack DeJohnette。
 さらにそれに絡みつくようなMichael Hendersonに準MVPを。
 エレクトリックマイルスで一括りにされてしまうことが多いのでしょうが、“Bitches Brew” (Aug19-21,1969)系の諸作とは違います。
 ファンク色が強いのですが“Jack Johnson" (Apl.7,1970)とも違います。
 単にジャズから脱してファンク云々、だけではなく、新しい試み。
 特に後半、“Bitches Brew”のライブ諸作のように、混沌と調性の時間が分かれているのではなく、それらが同時に混在している時間が長いように思います。
 混沌と調性が交錯する“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) 、ファンクな“Jack Johnson" (Apl.7,1970)を混ぜ合わせて、ポリリズミックな“On The Corner”(Jun.1972)に繋ぐ架け橋といったとらえ方もできるのかもしれません。
 モダンジャズやハードバップなどは眼中になし、フリージャズもファンクももう古い・・・
 これらからは混沌と調性がミックスされ常時流れるポリリズムだぜ・・・
 なんてMilesはこのステージで思ったのかもしれません。
 本当にそうだとしても、あまりにも展開が早いなあ。

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 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969)などと同様にテープ編集で仕上げられていますが、近年は元ネタの整理が進んでいて、元の楽曲が見えやすくなっています。
 そんなこと気にせずに感じろ・・・との意見もありそうですが、わかりやすくなるので、wikiから拝借して・・・

1."Sivad" (15:13) ・・・Session C.
 (Recorded December 19, 1970 at The Cellar Door, Washington, DC 
  & May 19, 1970 at Columbia Studio B, New York, NY)
 00:00-03:24 "Directions" + "Honky Tonk" 
 03:25-04:14 "Honky Tonk" (studio, May 19, 1970) 
 04:15-15:12 "Honky Tonk" 
2."Little Church" (3:14)  ・・・Session B.
3."Medley: Gemini/Double Image" (5:53) ・・・Session A.

 LP_A面、CD一枚目はヘビーなベースと歪んだギターが主導するファンクで始まります。
 Milesもワウを掛けたトランペットとは思えない音でスタート。
 中盤からはテンポを落とした粘っこいファンク。
 ワウからオープンなトランペットへ変わってドカーンと盛り上がり、Airto?の雄叫び。
 さらに神経質な音使いのギター、激しいエレピのソロへと続きます。
 その十数分間ベースはずーっと同じパターン。
 だからファンクなんだ、と言われればその通りなのですが、Bitches Brewバンドでのフロントに立つ楽器とエレピ、あるいはギターとの激しいインタープレーはあまり目立ちません。
 やはり新しいMilesバンドです。
 なぜか中途半端にフェイドアウトすると、続くはHermeto Pascoalを迎えたスタジオでのブラジリアンセッション"Little Church"。
 いかにもブラジルな郷愁感が漂ういい感じの演奏なのですが、わずか三分。
 もっと長ければ違ったのかもしれませんが、なぜこれがここにあるのか、やはり謎です。
 LP_A面の最後は歪んだギターとゆらゆらと定まらないバンドとの不思議なコンビネーションのスローなナンバー。
 シタール入りのセッションですが、あまり目立ちません。
 方向感が定まらないままにLP_A面は終わります。


4."What I Say" (21:09) ・・・Session C.
 (Recorded December 19, 1970 at The Cellar Door, Washington, DC)
 00:00-20:50 "What I Say"
 20:51-21:09 "Sanctuary"
5."Nem Um Talvez" (4:03) ・・・Session B.

 LP_B面に入ってバンドは大きく動き出します。
 ドラムは叩きまくり、ベースが動きまくり、キーボードが激しく弾き倒すジャンピーなファンクナンバー。
 8ビートでのカッコいいKeith Jarrett全開。
 パーカッションの妖し気な絡み具合が後のKeith Jarrettアメリカンカルテットを想い起させます。
 Milesもワウなし、オープンで吹きまくり。
 Gary Bartzもやっと登場。
 激しくもスムースな凄いソプラノサックス。
 好みはさておき、Wayne Shorter、Steve Grossmanだとここまでスッキリした感じにはなかったでしょう。
 やはりすごいサックス奏者です。
 さらにはグシャグシャとしたロックのJohn McLaughlin・・・
 これまた長尺、ひとつのリズムパターンのみですが、退屈なしのカッコいい演奏。
 続くはブラジアリアンセッションからの一曲。
 これまた穏やかで幻想的、とても素敵な演奏です。
 でも、何故ここに?はわかりません?
 謎です。
 そのままLP_C面、CD二枚目へと続きます。


6."Selim" (2:12) ・・・Session B.
7."Funky Tonk" (23:26) ・・・Session C.
 (Recorded December 19, 1970 at The Cellar Door, Washington, DC)
 00:00-16:50 "Directions" 
 16:51-23:23 "Funky Tonk"

 LP_C面、CD二枚目はブラジリアンセッションからの短い引用に導かれ、強烈なファンクが始まります。
 ここまでシンプルだったビートが一気に複雑になり、バンドのメンバーも複雑に絡み合い出します。
 Milesはワウを駆使して、何かしら新しいフレージングを模索しているようにも聞こえる激しいソロ。
 ギター、キーボードのカウンターも激しくなり、Bitches BrewバンドChick Corea、Keith Jarrettの狂気のエレピコンビほどではないにせよ、サックスソロ、ギターソロとともに混沌〜フリー、狂気のキーボードソロへ・・・
 かつて(といってもわずか半年前ですが・・・)の激烈ジャズなムードが戻ってきました。
 と思っていたら、あの"Directions"なのかあ・・・なるほど。妙に納得。
 終盤はKeith Jarrettの世界。
 アコースティックピアノにすると例のピアノソロの世界になるかも?といった場面もいくらか。
 なお、端正なソロピアノ“Facing You” (Nov.1971) Keith Jarrettは約一年後。遠い未来ではありません。
 ミディアムビートのファンクに戻って、LPでは次面に続きます。


8."Inamorata and Narration by Conrad Roberts" (26:29) ・・・Session C.
 (Recorded December 19, 1970 at The Cellar Door, Washington, DC)
 00:00-16:34 "Funky Tonk"
 16:35-16:47 "Sanctuary"
 16:47-26:08 "It's About That Time"
 26:08-26:28 "Sanctuary"

 LP_D面はC面の続きのファンクから。
 ここからが本当に凄まじい。
 複雑に絡み合うリズム隊と、ワウのトランペットで二分弱。
 そこからワウを外して血の出るようなトランペットソロが始まります。
 これは凄い。
 1:45~3:30。
 この二分弱だけでもこのアルバムは名作。
 ミストーンとかバンドのよれがどうのとかは些末な話。 
 凄まじい激情トランペット。
 サックスソロになるとさらにバンドは動き出します。
 カウンターの激しい攻撃は止んでいますが、代わりに定常なようで複雑なビート感~混沌の世界へ。
 でも、Bitches Brewバンドのようにどこか行ってしまうのではなく、ギリギリのところで踏み止まる微妙なバランス感覚。
 ブチ切れたようなギターソロになっても、ドラムがビートを出すだけでなくソロ状態で叩きまくっていても、そのバランスは保たれます。
 フロント陣もさることながら凄まじいドラム。
 激しいソロとフリーにはならない複雑なビートの饗宴。
 この辺りの音作りが“On The Corner”(Jun.1972)へ繋がっていくのかもしれません。
 中盤、一瞬の"Sanctuary"でのインタールードから、あのBitches Brewバンドのハイライト曲のひとつ"It's About That Time"が始まります。
 が、かつてのアップテンポで軽快なビート感ではなく、粘りのあるビート感。
 ここにも“On The Corner”(Jun.1972)のビートの原型が見え隠れする時間が・・・
 粘るビートと一体化したトランペット、凄まじいサックスのソロ。
 こちらも混沌に行きそうでいかない一歩手前で踏み止まるのギリギリの演奏。
 最後は“Jack Johnson" (Apl.7,1970)のようなナレーションとワウを掛けたトランペットの咆哮で幕。
 聞いている方がぐったり。
 凄いバンド、凄い演奏です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Miles Davis At Fillmore(公式版)” (Jun.1970) Miles Davis

“Miles Davis At Fillmore(公式版)” (Jun.1970) Miles Davis
Miles Davis (trumpet) 
Chick Corea (electric piano) Keith Jarrett (organ, tambourine) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion, flute, vocal)
Steve Grossman (tenor sax, soprano sax)
 
マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア
マイルス・デイビス
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
2005-10-19


 Miles Davis、Bitches Brew期のライブ、唯一の公式アルバム。
 未発表音源系の公式盤が出るまではこれが一番好きなMiles。
 諸々聞いてみて、今は“Live At The Fillmore East - It's About That Time”(Mar.1970)が一番かもしれません。
 ステージの全貌が見えるし、Wayne Shorterがいるから。
 こちらの狂気のキーボード二名の絡み合いもカッコいいのですが、いろんな曲の断片が飛び交う編集で、焦点が見えづらいこともあり・・・
 どこにいるのかわからなくなったり、同じところをグルグル回っているような不思議感があったのは、制作方法が見えてしまえば当たり前のことで、元の個々の楽曲ではなく、・・・・day Milesという「新しい」 曲を聞けということなのでしょうが・・・ 
 その迷宮感がいいのか・・・

 ともあれ、冒頭から最後まで凄まじいトランペットと狂気のキーボード二名の絡み合い。
 バンド全体でも“Bitches Brew” (Aug19-21,1969)本体と比べても激しいし、しばしば訪れる混沌の時間、その混沌と調性のバランスがカッコいい。
 これをジャズと思って聞いていなかったと思うのだけども、後のLive Evil” (Dec.16-19,1970)などと比べると、まだジャズの香りが残っているように思います。
 Dave Holland の存在が大きかったのかあと思ったり、この後からJack DeJohnetteはロックっぽく叩きだしたのかなあ、と思ったり。
 後に“Black Beauty” (Apl.1970) を聞いて、あれれ?と思い、
 そのずーっと後に”The Isle of Wight”の映像を見て、何となく全貌が見えた気になり、
 さらにずーっと後に“1969Miles” (Jul.25,1969)を聞いてぶっ飛び、
 “Live At The Fillmore East - It's About That Time” (Mar.1970)で何度目かの驚愕、
 近年の"Miles At Fillmore(完全版)”(Jun.1970)を聞いてやっと整理がついたかなあ・・・
・・・といった状況。

 ブートレッグや映像作品を追いかけておけば、あるいは関連書籍でも読んでおけば早々に整理はついたのかもしれませんが、断片的、断続的にではあるものの、いったい足掛け何年この作品と付き合っているのだろう・・・?
 諸々の演奏が収められていますが、4日間、各一時間の演奏で、楽曲としては以下の8曲しかなく、それをどう紡いで作品にするか、といったイメージで制作されたという、当たり前のこと気付いたのは、”Miles At Fillmore(完全版)”を聞いた後。
 1."Directions"
 2."The Mask" 
 3."It's About That Time"
 4."I Fall in Love Too Easily"
 5."Sanctuary"
 6."Bitches Brew"
 7."Willie Nelson"
 8."Spanish Key

 “Directions”のカッコいいテーマのブレークを入れていないのは、印税云々はさておいても、4日ともキッチリとキメ切れていないからか・・・
 “Bitches Brew”で一番キャッチーな”Spanish Key”が入っていないのは、実は演奏したのは4日で一回だけだったから?それがカッコいいので入れればよかったのに・・・?
 また、アンコールは全日あったんじゃないの?・・・
 上記の流れでベストテイク並べてちょっと直せば、ほぼLP二枚分のカッコいい作品になりそうなのに?・・・ 
 などなど、何度も聞きましたが、編集の意図のようなものが見えたり見えなかったり、その他諸々、勝手に思うところ多数。
 いずれにしても単独の作品として凄まじく素晴らしいものであるとともに、周辺の音源含めて諸々の想像力、興味関心をかきたてる音楽であることには間違いありません。
 一作で何度も何通りにも楽しめる稀有な作品です。

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(楽曲への分解はwikiより)

Wednesday Miles (June 17, 1970)
 "Directions" (2:29)
 "Bitches Brew" (0:53)
 "The Mask" (1:35)
 "It's About That Time" (8:12)
 "Bitches Brew/The Theme" (10:55)

 ステージはこの期のオープニングの定番"Directions"からスタート。
 “1969Miles”(Jul.25,1969)などのこの曲の凄まじい演奏を知ってしまった立場としては、途中で編集されているのがなんとも残念ですが、ハイテンションな演奏が続きます。
 張り詰めたトランペットのソロとキーボードとのバトル。
 キーボードが主導する短い混沌のインタールドを経て、アップテンポなジャズナンバー、この期のメインチューンのひとつ"It's About That Time"へ続きます。
 静かに始まり、徐々にテンションを上げるバンド。
 終始ハイテンションに吹きまくるトランペットと狂気混じりエレピのカウンターとAirtoの雄叫び。
 続くサックスも凄まじいソロ。
 それに合わせてエレピ陣のテンションはさらに上がり、やがて二人の壮絶なバトル~激烈な混沌へ・・・
 キーボード二台、このメンバーが揃っているこの時期だけの凄まじい演奏が続きます。
 トランペットが戻って落ち着くのもつかの間、新たな混沌"Bitches Brew"が始まります。
 極めてハイテンションな演奏ですが、まだまだ序の口、Thursdayへと続きます。


Thursday Miles (June 18, 1970)
 "Directions" (5:35)
 "The Mask" (9:50)
 "It's About That Time" (11:22)

 Thursdayも"Directions"から立ち上がります。
 尺もしっかりとられて、端正なトランペット、二台のキーボードの激烈なバトルが展開されます。
 が、例のカッコいいテーマのブレークはカットされていて出てきません。
 それに続くのは狂気のオルガンが繰り広げる混沌。
 さらにはダルなムードの妖しいジャズナンバー~狂気のキーボード二台が繰り広げるバトル。
 この折々にはさまれる混沌がこのバンドのライブでの大きな特徴でしょう。
 完全にどこかに行ってしまっているようなキーボード二台とそれに呼応するベースとドラム。
 凄まじい演奏です。
 そしてそれを制するように動く御大Miles。
 激情を発する局面も多々ありますが、端正で悠々としたトランペット。
 混沌の中からそれに導かれるように静かに迫ってくるように始まるアップテンポなビート。
 トランペットのこれまた悠々とした音。
 次第に音量を上げるバンドとそれに続く激情のサックス、切れてしまったキーボード陣。
 凄まじい演奏が続きます。


Friday Miles (June 19, 1970)
 "It's About That Time" (9:01)
 "I Fall in Love Too Easily" (2:00)
 "Sanctuary" (3:44)
 "Bitches Brew/The Theme" (13:09)

 Fridayはヒタヒタと迫ってくるようなJack DeJohnetteしか叩けない独特のビートからスタート。
 クールでハードボイルドなトランペットソロから徐々に音量とテンションを上げながら突っ走るアップテンポなナンバー。
 Steve Grossmanも“Black Beauty”(Apl.10,1970)から何段階もレベルアップしたような凄まじいソロ。
 その興奮の後、静かに立ち上がるバラードのカッコよさ。
 が、その安らぎもつかの間に、激情に遷移するバンド。
 そして激情の中から始まるヘビーな混沌、"Bitches Brew "。
 凄まじい演奏です。
 この面、Friday Milesが諸々のバランスで最高でしょう。


Saturday Miles (June 20, 1970)
 "It's About That Time" (3:43)
 "I Fall in Love Too Easily" (0:54)
 "Sanctuary" (2:49)
 "Bitches Brew" (6:57)
 "Willie Nelson/The Theme" (7:57)

 最後の面Saturdayは短い混沌から始まります。
 その混沌の中から立ち上がる静謐なバラード~激情。
 そしてヘビーな"Bitches Brew"の激情と混沌。
 ここまでの流れはFriday Milesと同じですが、少しムードは異なり、スッキリ系かもしれません。
 最後にジャズへの完全な決別を告げるようなファンクナンバー。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969)なんてもう古い、これからは“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)のようなファンク・・・
 なんてMilesからのメッセージなのかもしれません。


※これはブートレッグからでしょう・・・?


posted by H.A.

【Disc Review】“Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West” (Apl.10,1970) Miles Davis

“Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West” (Apl.10,1970) Miles Davis
Miles Davis (trumpet)
Chick Corea (electric piano) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion)
Steve Grossman (saxophone)

ブラック・ビューティー
マイルス・デイビス
SMJ


 
 Miles Davis、“Live At The Fillmore East - It's About That Time”(Mar.1970)でのライブ、Steve Grossman を迎えた“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)セッションを終え、西海岸でのライブ。
 発表は当初、日本限定だったらしいので、Miles含めて制作サイドは気に入っていなかったのでしょう。
 確かに後の“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970)と比べると、エレピが大きめのバランス、スッキリ系のミキシングも含めて雰囲気も違います。
 それでもトランペットは絶好調だし、ステージの全貌がそのまま見えるといった意味では貴重、メンバーの演奏も好調のように思います。
 Steve Grossmanは激しいのですが、同じところをグルグル回っているイメージもあり、このバンドからすぐに出てしまった理由も何となくわかるような気もします・・・
 “Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970) でも存在感は薄いし・・・
 ・・・と思っていたのは”Miles At Fillmore(完全版)”を聞く前。
 そちらの彼は凄い。
 同じくグルグル回るにしても、起伏があってビートのメリハリもある素晴らしいソロの連続。
 おそらく楽曲、バンドへの慣れとミキシングの問題のような気がします。

 いろんな評価が聞かれるアルバムですが、楽器のバランス、Wayne Shorterだったらなあ・・・をさておけば、素晴らしい演奏集だと思います。
 Wayne Shorterがいるとまた違ったムードだったように思うし、後のライブを聞いてしまうと、キーボードかギターをもう一人欲しい感じもわかる気もしますが、シンプルな編成での演奏も悪くありません。
 スッキリ系の音質にしても、“Miles Davis At Fillmore” (Jun.1970)、”1969Miles”(Jul.25,1969)あたりとは全く別物として聞けて、いいのかもしれないとか思ったりして。
 やはりこの期のMilesにハズレなし、で、よろしいのでは。

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 以下が楽曲に分解した構成。(wikiより)
 この期のいつもの楽曲が並びます。

Disc one
 "Directions"– 10:46
 "Miles Runs the Voodoo Down"– 12:22
 "Willie Nelson" – 6:23
 "I Fall in Love Too Easily" – 1:35
 "Sanctuary" – 4:01
 "It's About That Time" – 9:59

 スタートはいつもの"Directions"。
 楽器のバランスが妙でMilesが右に入ったり左に入ったりもしますが、演奏自体は強烈なグルーヴ、激烈ハイテンションでいい感じ。
 凄まじいまでのベースの動き。 
 Milesも出だし好調、凄まじいトランペットソロ。
 音の塊がジワジワと迫ってくるような、凄い演奏です。
 が、肝心なテーマのブレークがカッコよく決まっていません。
 そこさえ決まれば・・・惜しいなあ・・・
 Milesのソロはこれはベストかも?思わせるような激烈さだし、続くSteve Grossmanはグルグル回りっぱなしですが、Chick Coreaがキレまくっています。
 続くはヘビーな"Miles Runs the Voodoo Down"は歪んだエレピとトランペットのせめぎ合い。
 後ろを支えながらも激しく動くベースもカッコいい。
 終盤、サックスが微かに”Footprints”を奏でつつ数分間の混沌に突入、トランペットの合図で定常に戻り、ファンクナンバー"Willie Nelson"へ移行。
 エレピの音がスッキリ聞こえるので、またオルガンが混ざらない分、混沌の部分を含めて何をやっているのかはっきりわかるのもいいところなのでしょう。 
 トランペットと歪んだエレピのバトルがまた始まります。
 さらにビートを落として定番バラードメドレーでの静謐~激情(ホーン陣が肝心なところを外していますが)から、ヒタヒタと迫るようなアップテンポビート、徐々に音量を上げてノリノリの(二枚目へ続きます)"It's About That Time"。
 これはカッコいいじゃないですか。

Disc two
 "Bitches Brew"– 12:53
 "Masqualero"– 9:07
 "Spanish Key/The Theme"– 12:14

 CD二枚目は一枚目の続きのアップチューンから徐々に混沌の世界へ。
 さらにヘビーな混沌"Bitches Brew"へと移行。
 これまた歪んだエレピとトランペット、サックスの激しいせめぎ合い。
 ビートを落として静かな混沌から、激しいアップチューン。
 ベースもドラムも激しく動きまくる中、ホーンとのインタープレーを経てエレピの激しいソロ。
 現れては消えるReturn to Foreverの幻影。
 最後は希少な録音の"Spanish Key"。
 悠々としたトランペットにグルグル回るサックス、歪んだエレピの凄まじいソロと、徐々に上がっていくテンションと音量。
 これまたReturn to Foreverの幻影。
 終盤にエレピの音程が揺れ出すのはご愛敬。
 前向きにド―カンと盛り上がって幕。
 こちらも凄い演奏です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davis

“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davis

(Feb.18,1970)
Miles Davis (trumpet)
John McLaughlin, Sonny Sharrock (electric guitar) Chick Corea (electric piano) Dave Holland (electric bass) Jack DeJohnette (drums)
Bennie Maupin (bass clarinet)

(Apl 7,1970)
Miles Davis (trumpet)
John McLaughlin (electric guitar) Herbie Hancock (organ) Michael Henderson (electric bass) Billy Cobham (drums)
Steve Grossman (soprano saxophone)

A TRIBUTE TO JACK JOHNSON
MILES DAVIS
COLUM
マイルス デイビス


 Miles Davisのファンクロックアルバム。
 二つのセッション、バンドで構成されていて、縁のある人々が入れ替わって参加していますが、全体は一貫性のある質感。
 LP片面各一曲、 “Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)と同様に、セッションをテープ編集して仕上げたスタイル。
 以下のようなスケジュールのようで、激烈ジャズのBitches Brewライブシリーズの合間に録音したことになります。

(Feb.18,1970) “Jack Johnson"
(Mar.7,1970)  “Live At The Fillmore East - It's About That Time
(Apl.7,1970)  “Jack Johnson"
(Apl.10.1970) “Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West

 前半のセッションは“Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)とほぼ同じメンバーですが、後半のセッションはベースもドラマーも交代、そちらが本作のメインのバンド。
 全編8ビート。
 ドラマーは後に交代しますが、Michael Hendersonを軸にしたファンクへの布陣が固まり、方向は定まりました。 
 ビートを変え、シンプルなリフを繰り返すファンク~ソウル風に背景を作って、自由にインプロビゼーションを乗せてみる・・・
 “Bitches Brew”と同じ手法ではあるのですが、もっともっとファンク寄り、というかファンクそのもの。
 Milesのトランペットは絶好調。
 ロックだろうが何だろうが吹いている印象は変わりません。
 まさにやんちゃなボクサーっぽいMiles Davis。
 この後、このままの路線ではなく、この作品の要素を消化吸収し、次のステップ”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970)、さらには”On The Corner” (Jun.1972)、 ”Agharta”、“Pangaea” (Feb.1.1975)に変化していくMilesバンド。
  “Miles in the Sky” (Jan.May.1968)が端緒なのでしょうが、このアルバムの前後のライブまではジャズなムードも残っていました。 
 が、このアルバムには、少なくともジャズ的なビートはありません。 
 激烈ジャズの“Bitches Brew”バンドのライブは続きますが、メンバーはさておき、Milesの意識の中からはアコースティック4ビートは過去のものになってしまったのでしょう。 

 ・・・この作品を聞くとそう思ってしまうのですが、実際にはこの後も“Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West” (Apl.10.1970)、“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970)などのフリージャズ混じりのファンクジャズ路線、あるいは、この少し前には“Big Fun”収録、インド楽器を交えた"Great Expectations/Orange Lady" (Nov.19.1969)、Joe Zawinulを交えた"Recollections"<Feb.6.1970>、"Lonely Fire" <Jan.27.1970>などの妖しいジャズの吹込みは多々。 
 本作“Jack Johnson"にしても、それらの試行、そのいくつか、あくまでセッションの記録をプロデューサーがサントラ、アルバムに仕上げたものでしかなかったのでしょう。
 次は“Miles Davis At Fillmore”、さらにここまでの諸作の要素全てをブッ込んだような“Live Evil”(Dec.16-19,1970) へと続きます。

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 冒頭は“Blow by Blow” (1975) Jeff Beck の“Freeway Jam”はここから引用したのかな?と思うベースライン、シャッフルビートから始まります。
 ギターもちょっと似ていますかね・・・?
 これはまがうことなくロックです。
 ミディアムの8ビート、そのリズムパターン、リフがほぼLP片面全編で続きます。
 心地よくバウンドするファンクなビート、カッコいいロックなカッティングのギターを背景にして、Miles Davisのトランペットは何も変わりません。
 悠々堂々と端正な音で長尺なソロ。
 聞いている方もそうだけど、吹いている方も心地よさそうな音。
 爽やかですらあります。
 この三日後にFillmore West~Eastへ帯同するSteve Grossmanのソプラノもちょっと沈んだムードながら、それが妖し気でいい感じ。
 Herbie Hancockのオルガンが少しだけ登場し、ファンクな色付けになっていますが、らしくはありません。
 途中ビートを落とす局面はありますが、基本的には同じビートとリフ。
 このままか・・・と思っている18分過ぎ(下の映像では7:30ぐらい~)、唐突にビートが変わって、後に”Theme from Jack Johnson”と題される例のどカッコイイギターのリフ、ひたすらの約二分間。
 Sly and the Family Stoneの”Sing a Simple Song”?のパクリとの話はありますが、カッコいいのでまあよろしいのでは。
 また元のビートに戻ってやっと登場、凶暴なロックギターソロのJohn McLaughlin。
 A面のMVPはMichael Hendersonのベースでしょう。それともJohn McLaughlinかな?

 B面に移ってスローなファンクからスタート。
 B面も一曲、3~4のパターンで構成されていますが、それらもどこかで聞いたような気がするけども、思い出せません。
 Milesは変わらず悠々とした吹きっぷり。
 途中から雰囲気が変わって“In a Silent Way” (Feb.1969) っぽいムード、と思ったら“Bitches Brew”バンドのメンバーでした・・・
 さらにビートが変わって、またまた一つのリフをひたすら繰り返すファンク。
 最後はもの悲しく幻想的なバラードとナレーションで締め・・・
 シンプルなファンクでありロックなのですが、なぜか不思議な質感。
 なんだかんだでトランペットはジャズなんだろうなあ。たぶん。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bitches Brew: 40th Anniversary” (Aug19-21,1969) (Nov.4, 1969) (Aug.18, 1970) Miles Davis

“Bitches Brew: 40th Anniversary” (Aug19-21,1969) (Nov.4, 1969) (Aug.18, 1970) Miles Davis

Bitches Brew: 40th Anniversary
Miles Davis
Imports
マイルス デイビス


 <Aug19-21,1969>
Miles Davis (trumpet)
Joe Zawinul, Larry Young, Chick Corea (electric piano) John McLaughlin (electric guitar) Dave Holland (bass, electric bass) Harvey Brooks (electric bass) Lenny White, Jack DeJohnette (drums) Don Alias (congas) Juma Santos (shaker, congas)
Wayne Shorter (soprano saxophone) Bennie Maupin (bass clarinet)

 “Bitches Brew”40周年記念の企画アルバム。
 未発表音源、ブートレッグには疎いのですが、それらを聞いた人にとっては全て重複音源なのでしょう。
 私的には“Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)直後のライブDVD、そして名高いTanglewoodを聞いてみたかったことで入手しました。
 アウトテイク、シングルバージョンなども聞いたことがなかったし。
 ライブ映像、音源は予想通りというか、予想以上の素晴らしさ。
 やはりこの時期絶好調、ハズレはありません。


DVD<Live at the Tivoli Konsertsal, Copenhagen, Denmark, November 4, 1969>
Miles Davis (trumpet)
Chick Corea (electric-piano) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums)
Wayne Shorter (tenor, soprano sax)

 “Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)のセッションの三か月後。
 Wane Shorterはいるし演奏も好調。
 やはりこのメンツがジャズっぽくて一番好みです。 
 本作、ミキシングがスッキリしていて、”1969Miles” (Jul.25,1969)や“Live At The Fillmore East - It's About That Time” (Mar.7,1970)の破天荒さはないかもしれません。
 Chick Coreaの狂気のエレピがスッキリと上品に聞こえてしまうぐらい。
 こちらの方が実際の音には近いのかもしれません。
 演奏する姿も、鉢巻は巻いていますが静かな佇まい、冷静な表情。
 どこかにいってしまったように頭も体も揺れまくるKeith Jarrettの表情とは大違い。
 後の“Live Evil”(Dec.16-19.1970)などのKeith Jarrettの方がもっと激しく、Herbie Hancock=>Chick Corea、Joe Zawinul=>Keith Jarrettの変遷は、より激烈さを求めて変わっていったようにも思います。
 狂ったように弾くイメージは無いJoe Zawinul、Herbie Hancockは、それゆえにこの期のライブにないようにも思います。結果論かもしれませんが。
 本作は彼らがいても違和感がないようなようなムード。
 この前後の演奏では一番端正に聞こえるMilesバンドかもしれません。
 4ビートの場面も映えています。
 もちろん演目は“Bitches Brew”ですが、ジャズの香りも濃厚です。
 映像も1969年とはとても思えないほどキレイ。
 音、演奏含めてジャズっぽい“Bitches Brew”ライブとして希少、結構気に入っています。




<Live at the Berkshire Music Center, Tanglewood, MA, August 18, 1970>
Miles Davis (trumpet)
Chick Corea (electric-piano) Keith Jarrett (organ) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion)
Gary Bartz (alto, soprano sax)

 公式アルバム““Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970)の二か月後のステージ。
 サックスが交代。
 Wayne Shorterではないのが残念ですが、代わりのGary Bartzが素晴らしい演奏。
 後のThe Isle of Wight Festival “Bitches Brew Live” (Aug.29.1970)よりもいい演奏かもしれません。
 おそらく難しいことであろう、ブチ切れた激烈な演奏を自然にカッコよくできることに加えて、Wayneとはまた別の妖しい系。
 しばらくこの人にサックスを固定したことも納得の演奏。
 毎度の似た構成ながら、激烈な”Directions”で始まり、明るくノリノリの “Spanish Key”で締めて、アンコールに登場。
 ちょっとヘビーでダルな” Miles Runs the Voodoo Down”でおしまい・・・
 ・・・なんて最高にカッコいいなあ。
 Jack DeJohnetteとの共演はこれ以降も続きますが、Dave Hollandとの共演は本作、”The Isle of Wight Festival(Bitches Brew Live)”で終了したのでしょうか?
 本作もエレキベース中心ですが、根はウッドベースのジャズベーシスト、中盤に凄まじいウッドベースでのソロも収められています。
 同様にChick Corea、Keith Jarrettの狂気のキーボード二台体制も終了間近。
 “Live Evil”からはKeithのみ。
 ある意味、ジャズの香りが強い最後のMilesの作品なのかも。
 エレクトリックマイルスはまだまだ続き、メンバーは少しずつ変わるだけで、この期と同じ曲の演奏も多かったようですが、“Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)的なライブはここまでのように思います。
 次作の“Live Evil”(Dec.16-19.1970)ではベーシストがMichael Hendersonに交代、Jack DeJohnetteもロックドラムの色合いを強め、ファンク、ロック色がさらに強くなっています。
 それよりも前のセッション“Jack Johnson"(Feb.18,Apl.7,1970)では既に完全なファンク路線。

 私が一番好きなMilesの時代が終わりました。




 ブートレッグ、その公式発表版、コンプリート版、その他音源が多いので、整理しないと混乱するのですが、時系列で追うと徐々に音が変わっていくのがよくわかります。
 この”Bitches Brew”前後でもメンバーチェンジ含めて大きな変化があり、常に次の音を探し求めていた様子が見えてきます。
 聖典”Bitches Brew”、あるいはこの周辺の強烈なライブですら、過渡期に過ぎなかったのでしょうね。
 最後の最後まで過渡期だったのがMiles Davisの凄さであり、カッコよさでもあるのですが。


◎:“Bitches Brew: 40th Anniversary”
〇:“1969Miles”、”Miles Davis Quintet: Live in Europe 1969

◆モダンジャズ、ハードバップ
(1959)     "Kind of Blue"
(Mar.1961)   "Someday My Prince Will Come"
(Apl.1961)   "In Person Friday and Saturday Nights at the Blackhawk"
(May.1961)   "Miles Davis at Carnegie Hall"
(1962)     “Quiet Nights”  
(Apl.May.1963)  “Seven Steps to Heaven” 

◆モーダル新主流派ジャズ
(Jul.1963)    “Miles Davis in Europe” 
(Feb.1964)    “Four & More”、“My Funny Valentine” 
(Jul.1964)    “Miles in Tokyo” 
(Sep.1964)    “Miles in Berlin” 
(Jan.1965)    “E.S.P.” 
(Jul.1965)    “(Highlights From) Plugged Nickel” 
(Oct.1966)    “Miles Smiles
(May.1967,1962) “Sorcerer
(Jun.Jul.1967)  “Nefertiti” 
(Oct,Nov.1967) “Live in Europe 1967: Best of the Bootleg, Vol. 1"

◆電化ジャズ、ファンクジャズ
(Jan.May.1968)    “Miles in the Sky” 
(Jun.Sep.1968)    “Filles de Kilimanjaro” 
(Jun.1967,Nov.1968)  “Water Babies” 

◆電化ジャズ、ファンクジャズ、フリージャズ
(Feb.1969)      “In a Silent Way” 
(Jul.5,1969)      ”Bitches Brew Live” /一部 
〇(Jul.25,1969)    ”1969Miles - Festiva De Juan Pins” 
〇(Jul.26,1969)    “at Festival Mondial du Jazz d’Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France” 
◎(Aug.19-21,1969)  “Bitches Brew” 
(Oct.27,Nov.4,1969)  “Live in Copenhagen & Rome 1969” <DVD>
◎         “Live at the Tivoli Konsertsal, Copenhagen, Denmark” <DVD>
〇(Nov.5,1969)    “at Folkets Hus, Stockholm"
〇(Nov.7,1969)    “Berliner Jazztage in the Berlin Philharmonie" <DVD>
(Mar.1970)     “Live At The Fillmore East - It's About That Time” 
(Feb.18,Apl.7,1970)  “Jack Johnson
(Apl.10.1970)    “Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West” 
(Apl.11.1970)    “Miles At Fillmore(完全版)”/一部
(Feb.Jun.1970)   “Live Evil” /一部 
(Jun.1970)      “Miles Davis At Fillmore”、”Miles At Fillmore(完全版)” 
◎(Aug.18,1970)   “Live at the Berkshire Music Center, Tanglewood, MA
(Aug.29,1970)    ”Bitches Brew Live /一部” (at the Isle of Wight Festival)
(Dec.16-19,1970)   “Live Evil”、“The Cellar Door Sessions1970”、 
(Nov.6.1971)     “The 1971 Berlin Concert” <DVD>

◆ボリリズミックファンク
(Jun.1972)      “On The Corner” 
(Sep.1972)      “In Concert” 

◆疾走ファンク
(Oct.27,1973)    “Live in Stockholm 1973” <DVD>
(Nov.3,1973)     “Stadthalle, Vienna 1973” <DVD>
(Mar.1974)      “Dark Magus” 
(May.1970-Oct.1974) “Get Up with It” (未発表録音+新録。ボリリズミックファンク寄り。) 
(Feb.1.1975)     “Agharta”、“Pangaea

◆未発表録音集
(Nov.1969-Jun.1972)  “Big Fun”  (ファンクジャズ+ボリリズミックファンク。) 
(Oct.27.1995-Jan.27.1970) “Circle in the Round”  (モダンジャズ~ファンクジャズ。)
(1960-1970)     “Directions”  (モダンジャズ~ファンクジャズ。)
 
posted by H.A.

【Disc Review】“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis

“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis
Miles Davis (trumpet)
Joe Zawinul, Larry Young, Chick Corea (electric piano) John McLaughlin (electric guitar) 
Dave Holland (bass, electric bass) Harvey Brooks (electric bass) 
Lenny White, Jack DeJohnette (drums) Don Alias (congas) Juma Santos (shaker, congas) 
Wayne Shorter (soprano saxophone) Bennie Maupin (bass clarinet) 

Bitches Brew
Miles Davis
Colum
マイルス デイビス


 泣く子も黙るジャズ、あるいはフュージョン、コンテンポラリージャズの聖典。
 私風情が解説するだけ野暮。
 カッコいいので黙って聞いてみましょう、以上。
 でよいのかもしれませんが・・・

 ・・・実際はモダンジャズのファンからは敬遠されているのでしょう。
 アコースティック4ビートではないのはもちろん、明確なメロディや慣れたスウィング感があるわけではなく、一曲がやたら長くて単調に聞こえたり、難解なイメージがあったりするのも確か。
 が、1970年代以降のフュージョン、コンテンポラリージャズの根っこになったアルバムであるのは間違いありません。
 以降の発展型としてざっと思いつくだけでも、Weather Report、Return to Forever、Life Time~Mahavishnu Orchestra、Head Hunters、ここには参加していませんがKeith Jarrett・・・
 あるいはこの後、この作品の人脈を何人も吸収していくECMレコード・・・
 ECM、全く質感が違うようですが、その根のひとつはこのアルバムだろうなあ、と思っています。
 その他、その影響は計り知れません。

 前後のライブアルバム”1969Miles” (Jul.25,1969)、”Live At The Fillmore East - It's About That Time” (Mar.1970)、“Miles At Fillmore(完全版)”(Jun.1970)などを聞くと、そちらの方がエネルギーの放出感は大きいし、まとまった演奏。
 おそらく、ライブではどの曲をどのくらいの時間で、といった制約の中でまとめる演奏であったのに対して、スタジオでは時間的にはフリーなセッションだったのでしょう。
 それをテープ編集で作品としてまとめる、”In a Silent Way” (Feb.1969)と同じこの期のMilesさんの手法。
 そちらは穏やかでしたが、本作は激しい系。
 4ビートの呪縛からも解放され、テーマもあるのかないのか、至極シンプル。
 ロックとジャズが混ざるビート、シンプルな制約の中で、自由自在、変幻自在のインタープレー。
 静かにヒタヒタと迫ってくる系のビート、グルーヴも、おそらくこの作品あたりが端緒でしょう。
 ジャズ的ではない違和感、破天荒さはあるにせよ、インタープレーの極め付け。
 各人のソロの場面はたっぷり、エレピ、ドラムとの激しいインタープレーが目立ち、短い混沌はありますが、無秩序にはなりません。
 ビートは変われど、“E.S.P.” (Jan.1965) 以降、あるいは”Milestones” (1958)、"Kind of Blue" (1959)以降、コード進行の制約を取り除いたモードジャズの集大成といったとらえ方もあるのでしょう。
 おりしも1960年代の終わり。
 モダンジャズ、ハードバップ、フリージャズの時代の終わりを告げるようなタイミング。
 この後のコンテンポラリージャズの根幹の作品だと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 LPレコードA面を占める"Pharaoh's Dance"。
 淡々と刻まれるロックとジャズが入り混じる、ヒタヒタと迫ってくるようなビート。
 エレピとバスクラリネットの作る妖しいムードがしばらく、やっと登場する御大のトランペット。
 テーマらしいテーマもなく、端正な音で探るようなフレージング。
 トランペットのテンションが上がるにつれて音量を上げるバンド。
 続くバスクラリネットの妖しい展開に激しいカウンターを当てるエレピ。
 ギターも交わり、短い混沌の後、再び登場する端正なトランペット・・・
 さらに幻想的なソプラノサックス、アグレッシブなギターに合わせて再び音量を上げるバンド・・・
 決して大音量でも、過度に熱くなるわけもないクールな演奏。
 エレピは終始暴れまくっていますが、淡々としたビート、トランペットの端正なムードが全体を支配する、クールさ、妖しさ120%の演奏。

 B面も”Bitches Brew”一曲。
 定まらないビートと妖し気なトランペットのイントロダクションに続く、ヘビーなビート、リフ。
 さまざまな楽器の複雑なビート感の絡み合い。
 トランペットのテンションが上がるにつれて強くなる混沌・・・そのままギターとエレピのインタープレーに突入。
 ビートが落ち着いたところで再び登場するトランペット、ソプラノサックス、ウッドベース・・・
 入れ代わり立ち代わりのソリストとエレピとの格闘が続きます。

 C面に移ってやっとノリのいいビート、心地いいグルーヴのファンク”Spanish Key”。
 トランペットに続くギター、さらにはソプラノサックスとエレピの激しいインタープレー。
 混沌はありませんが、ハイテンションなインタープレーが続きます。
 その動きを支配し、その中を堂々と闊歩するようなトランペットのカッコよさ。
 軽やかなビートも合わせて爽やかですらあります。
 さらに、ギターがフィーチャーされるその名も”John McLaughlin”。
 これまたギターとエレピ、さらにはドラムも加わり、短いながらも激しいバトル。

 

 D面は“Miles Runs the Voodoo Down”と“Sanctuary” 。
 粘りのあるビートの、ゆったりとしたファンクからスタート。
 トランペットの激しく長尺なソロと激烈なギターのソロ。
 さらにソプラノサックスを経て、完全にブチ切れたような凄まじいエレピ。
 そのままテンションが高いバンドを背景にしたトランペットで締め。
 そして最後はビートが定まりそうで定まらない、ルバートなスローバラード。
 終始ゆったりとしたトランペットと激しく動くバンド。
 徐々にテンション、音量を上げ、ドカーンと盛り上がって大団円。




 小さな音で聞くとトランペットのみが飛び出て来て、単調にも聞こえるのかもしれませんが、大音量で聞くと細部まで見えてきて、いまだに毎度新しい発見。
 この期のライブ作品は直球勝負の爆発的な演奏ですが、このアルバムは幾重にも重なったインタープレーの綾。
 いやはやなんとも凄い演奏集。

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◆モダンジャズ、ハードバップ
(1959)     "Kind of Blue"
(Mar.1961)   "Someday My Prince Will Come"
(Apl.1961)   "In Person Friday and Saturday Nights at the Blackhawk"
(May.1961)   "Miles Davis at Carnegie Hall"
(1962)     “Quiet Nights”  
(Apl.May.1963)  “Seven Steps to Heaven” 

◆モーダル新主流派ジャズ
(Jul.1963)    “Miles Davis in Europe” 
(Feb.1964)    “Four & More”、“My Funny Valentine” 
(Jul.1964)    “Miles in Tokyo” 
(Sep.1964)    “Miles in Berlin” 
(Jan.1965)    “E.S.P.” 
(Jul.1965)    “(Highlights From) Plugged Nickel” 
(Oct.1966)    “Miles Smiles
(May.1967,1962) “Sorcerer
(Jun.Jul.1967)  “Nefertiti” 
(Oct,Nov.1967) “Live in Europe 1967: Best of the Bootleg, Vol. 1"

◆電化ジャズ、ファンクジャズ
(Jan.May.1968)  “Miles in the Sky” 
(Jun.Sep.1968)  “Filles de Kilimanjaro” 
(Jun.1967,Nov.1968) “Water Babies” 

◆電化ジャズ、ファンクジャズ、フリージャズ
(Feb.1969)    “In a Silent Way” 
(Jul.5,1969)    ”Bitches Brew Live” /一部 
(Jul.25,1969)   ”1969Miles - Festiva De Juan Pins” 
(Jul.26,1969)   “at Festival Mondial du Jazz d’Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France” 
(Aug.19-21,1969) “Bitches Brew” 


posted by H.A.

 

【Disc Review】“In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis

“In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis
Miles Davis (trumpet)
Chick Corea, Herbie Hancock (electric piano) Joe Zawinul (organ) Dave Holland (double bass) Tony Williams (drums) Wayne Shorter (soprano saxophone) John McLaughlin (electric guitar)

In a Silent Way
Miles Davis
Mobile Fidelity Koch
マイルス デイビス


 Miles Davis、世紀の問題作。
 私にとって”Bitches Brew” (1969)は早めにある程度わかったような気がしたのですが、こちらはいまだによくわからないというか、いや、わからないのでなくて不思議で、なんというか・・・
 前作“Filles de Kilimanjaro” (Jun.Sep.1968)はちょっと変わったファンクジャズの範囲でしたが、延長線上にあるような感もあれば、隔絶しているような感もするし・・・
 Joe Zawinulが参加していない“Water Babies” (Nov.11-12.1968)のセッション、参加した“Directions”収録の"Directions I & II"、"Ascent"<Nov.27,1968>を比べてみると、彼の参加が全体のムードを不思議で妖しい方向に変えたのだろうと推察できます。
 さらにJohn McLaughlinがここまでにはなかった色付け。
 いずれにしても、全編穏やかながら、ぶっ飛んでいます。

 終わったと思ったらまた始まり、
 このインプロビゼーションは聞いたような気もするし、そうでもないような気もするし、
 エレピが終始カウンターをあてているので誰のソロなのかわからなくなり、
 ソロのオーダーがどうなっていたのかわからなくなるし、
 左右中央、いつどこからエレピが飛び出てくるかわからないし、
 気が付けばエレピがオルガンになっていたりして・・・
 ・・・・・・同じところをグルグル回っているような迷宮感。

 楽曲だけ決めてフリーにセッションして、その結果をテープ編集で作品にしたから。
 Joe Zawinulの参加とテープ編集が不思議感と“Filles de Kilimanjaro”とのギャップの根幹なのでしょうね。
 これが激しい演奏だったりすれば、まだわかりやすそうな気もするのですが、終始淡々としていて穏やかなのがなんとも不思議で・・・

 各々長尺な全四曲。 
 ヒタヒタと静かに迫ってくるようなビート。
 複雑に絡み合いながらスペーシーな背景を作る二台のエレピとオルガン、ギター。
 その中を泳ぐような端正なトランペット。
 あまり激しくはないギター、サックスとエレピのインタープレー。 
 複数台のエレピが絡み合いながら、どこかで何が鳴っているのかわからない不思議な空間・・・ 
 ・・・・・・おっと、文章にすると「激しくはない」を除けば、”Bitches Brew”と同じですね。
 違いはクールなのか、熱いのか、だけなのかもしれません。
 それでも、後に数か月後の激烈なライブ”1969Miles” (Jul.25,1969)などを聞いてしまうと、この穏やかなムードは不思議です。
 Joe Zawinulの新たな参加によって妖しく穏やかになり、さらに本作にはHerbie Hancockが参加しているので、クールに上品に仕上がってしまった・・・
 よって、もっと激しくしたかった、あるいは結果的に激しくなった”Bitches Brew” (1969)、そのライブにはHerbie Hancockは呼ばれていない、もしくはHerbieの方から断った・・・・・・
 確信はありませんが、さて・・・?

 ・・・とかなんとか、やはりMiles 諸作の中では異色だと思いますが、淡々としていて、フワフワしていて心地いいので、結構好きだったりします。
 ”1969Miles”を聞いてからは、それとのギャップに、頭の隅で?はてな?マークを頭に浮かべながら。
 激烈ライブ”Bitches Brew Live”/一部 (Jul.5,1969)、”1969Miles” (Jul.25,1969)などを経て、公式音源としては、聖典”Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)へと続きます。




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