“Resonance” (1976-1979) Manfred Schoof Quintet
Manfred Schoof (trumpet, flugelhorn)
Michel Pilz (bass clarinet) Jesper van’t Hof (piano, electric piano, organ) Rainer Brüninghaus (piano, synthesizer) Günter Lenz (double-bass) Ralf-R. Hübner (drums)

マンフレッド ショーフ

 ドイツのトランぺッター、1970年代ヨーロピアン・コンテンポラリー・ジャズの典型のひとつ。
 リズムが柔軟で自由な感じ。何か普通のジャズと雰囲気が違う。
 安定感のあるアメリカンジャズに比べて自由度が高いというか、ちょっとひねくれているというか。
 メロディ、コード進行のイメージもモダンジャズとは別の質感。
 ブルース色が薄くクラシックの色が強いのでしょうかね。 徐々に周囲の風景が変わっていくような映像的な音、ドラマチックな音。
 ブルーノートレーベル的な音がタバコの煙る地下室に集まって汗かきながら・・・の印象に対して、草原や森、あるいは暗闇を駆け抜けていく感じ。
 でも、カラッと明るい感じでは無く、影があるというか、闇があるというか、そんな質感。
 さて、リーダーのトランぺッターはいかにもヨーロピアン、Kenny Wheelerをもう少し妖しく、屈折させたような感じかな?
 静かに始まり、漂うようなリズム、気が付けば強烈なグルーブ〜激しい系、さらにはフリーキーに展開していくスタイル。正気と狂気が錯綜しながら、でも支離滅裂ではなく収まるところに落ち着く、妙な安心感の中の興奮。
 バスクラも同じイメージの名演奏。というか、なぜこの人が著名ではないのか不思議なぐらい、エキサイティングな音。リーダーを喰ってしまうような凄まじい演奏もちらほら。
 ヨーロピアンのホーン陣のカッコよさが凝縮されようなお二方のサウンド。
 さらにピアノはドイツの名手たち。これまたこのアルバムの色合いを決めている大きな要素。
 透明度が高く、美しい音。強いグルーブ、少し早い展開になるとキラキラときらめきながらの強烈な疾走感。ピアノのソロになると明らかに空気感が変わります。どちらも凄いピアニスト。
 曲はハードボイルドで影のあるオリジナル。
 モダンジャズ、アメリカンジャズとは異質の激しさ、昂揚感、カッコよさ。
 そんな音がびっしり詰まったアルバム。




posted by H.A.