“Spain Forever” (2016) Michel Camilo,Tomatito
Michel Camilo (Piano)Tomatito (Guitar)
ミッシェル・カミロトマティート
ラテンジャズピアニストMichel Camiloと現代スパニッシュギタリストの第一人者TomatitoのDuo作品、“Spain”(2000)、“Spain Again” (2006)に次ぐ第三弾。
Duoで三作目にもなればマンネリにも陥りそうですが、本作は「なんだこれは?!」の凄い選曲。
Egberto Gismonti ”水とワイン”から始まり、Chelie Haden “Our Spanish Love Song”、Astor Paizzolla “Oblivion”、 Erik Satie ”Gnossiennes No.1”、“Cinema Paradiso”・・・
まるで私の好みを知っているような・・・わけはないので、哀愁、郷愁感、寂寥感、さらにエキゾチシズムが溢れる古今東西の名曲を選ぶとこうなる、といった見本のようメロディが並びます。
終盤に収められたMichel Camiloの短いオリジナル曲も寂寥感の塊のようなメロディ。
いつも通りにエキゾチシズムの塊のようで、その実、洗練された都会的な音作り。
二人揃って瑞々しく、この上もなく美しい音もここまでと同様です。
冒頭から哀愁の塊のようなメロディと流麗なピアノ。
これでもかこれでもかと続く名バラードの連続。
これだけ並ぶと、楽曲自体のメロディが強すぎて、一歩間違うと歌の無い歌謡曲にもなりそうですが、端々で急加速するスパニッシュなギターがそうはさせません。
ピアノも同様にタメと疾走が交錯する音使い。
躍動感は全二作よりは抑え気味かもしれません。
その分落ち着いたムード。
強いビートが出るのは最後のChick Corea ”Armando's Rhumba”のみ。
ガンガンゴンゴン行く曲が2,3曲あっても・・・、あるいは一曲全編ルバートで・・・とか思ったりもしますが、贅沢はいえません。
さてこのシリーズの三作、一番カッコいいのはどれか?
楽曲だけなら本作、演奏含めると一番柔らかな感じがする“Spain Again” (2006)が私的な好みかな?
いずれも名作だと思います。