吉祥寺JazzSyndicate

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Markus_Stockhausen

【Disc Review】“Alba” (2015) Markus Stockhausen, Florian Weber

“Alba” (2015) Markus Stockhausen,  Florian Weber
Markus Stockhausen (trumpet, flugelhorn) Florian Weber (piano)

Alba
Markus Stockhausen
Ecm Records
2016-05-20


 ドイツのトランぺッターMarkus Stockhausen、同じくドイツのピアニストFlorian WeberとのDuo作品。
 もともとクラシックの人、ジャズ系を演奏する際は、エレクトロニクスを交えた近未来サウンド、トランペットはMiles Davisなクール系といったイメージでしたが、本作はアコースティックオンリーでの、静謐系コンテンポラリージャズ。
 それも静謐度高めのメロディアスな音の流れ。
 楽曲は概ね二人で分け合っていますが、いずれも穏やかで淡い色合いのしっとりしたメロディ揃い。
 現代音楽~フリージャズな作品は聞いていないのですが、“Karta” (1999)や“Electric Treasures” (2008)あたりのフューチャージャズ~激烈系のイメージが強くて、ここまで静かに淡々とメロディアスに演奏されてしまうと、面食らってしまうというか、何というか・・・
 クラシックの色も強い丁寧な音使いのピアノと、同様に丁寧に音を紡いでいくクールなトランペット。
 二人とも派手な音使いはありませんが、キリっとした、かつ落ち着いた演奏。
 リズム隊なしでビートの制約がないだけに、二人で自由に漂うような演奏が続きます。
 自由ですがフリージャズ色は全くなし。
 あくまでメロディアスで少々センチメンタル、時に牧歌的。
 もちろんインプロビゼーションを含めた演奏力は折り紙付き。
 このレーベルにありがちな夜な空気感、あるいは、暗さや深刻さもなく、毒気もありません。
 さらに、ベトつくような甘いメロディもなく、あくまで淡い色合い、穏やかで爽やか。
 昼でもなく、朝な音。
 一曲目のように全編ルバートのスローバラードばかりだったりすると、気持ちよくて二度寝してしまいそうですが、ほどよくキリっとしているし、長い演奏もないのが朝にはいい感じ。
 澄んだ空気が流れていくような、淡々とした音の流れ。
 平日の朝には穏やか過ぎるのかもしれませんが、休日の朝のBGMにすると、上品で上質な一日が始まるかも。たぶん。

※唯一?夜な曲。

【Disc Review】“Electric Treasures” (2008) Markus Stockhausen

“Electric Treasures” (2008) Markus Stockhausen
Markus Stockhausen (trumpet, electronics)
Vladyslav Sendecki (keyboards, piano) Arild Andersen (bass, electronics) Patrice Herl (drums, percussion, voice, electronics)

Electric Treasures
Markus Stockhausen
Aktiv
2008-08-04


 ドイツのトランぺッターMarkus Stockhausen のライブアルバム。
 クラシックがメインの人?なのだと思うのですが、ECMでも“Karta” (1999)などのリーダー作、客演含めていくつかの作品があります。
 本作はデンマーク?のレーベルから。
 10年ほど前の作品“Karta”に近いメンバーでのワンホーンカルテット。
 ノルウェーのスーパーベーシストArild Andersenと縁が深いようで、そのド派手で強烈なグルーヴのジャズベースと、電子音を多用した近未来サウンド、Miles Davis的なクールなトランペットの取り合わせが、私が知る限りの特徴的なところ。
 本作もそんな一作、但し、“Karta” と比べると随分穏やかです。
 とてもとても心地よいコンテンポラリージャズ。
 CD二枚、全11曲の組曲。
 寂寥感と哀愁感の強いメロディ、静かな電子音とヒタヒタと迫ってくるビート。
 こらまた静かながら縦横無尽に動きまくるベースに、Miles Davis的なクールなトランペット。
 音楽が進むと徐々にビートが強くなり、例のド派手なベースとギターの代わりのグチョグチョシンセサイザーが暴れる場面もありますが、そんな場面もスッキリした印象。
 電子音が先行しても決して無機質にはならない、激しい演奏になってもうるさくはならないのは、最高のベースとドラムゆえでしょうか。
 近未来的な音、激烈なフリージャズ、ルバートでのスローバラード、アコースティック4ビート、その他諸々、コンテンポラリージャズでありそうな構成が全部突っ込まれたような演奏群。
 さらにドラマチック。
 1970年代ECM、Eberhard Weberの諸作を想い起こします。
 CD二枚目、後半のステージになると激しさ、アバンギャルドさ、あるいはエスニックな色合いも増してきますが、それらもドラマの一端。
 最後は幻想的なムードからオープンホーンで奏でられるちょっとベタつき気味のセンチメンタルなメロディ、徐々に盛り上がりつつも悲し気な表情で幕。
 とにもかくにも、静かな場面から激しい場面まで、全編ですさまじいArild Andersenのベース。
 もちろんリーダーもクールで端正な素晴らしい演奏。
 最初から最後まで、難解な部分なし、長尺、二時間、二枚組がスルっと聞けてしまう素晴らしい演奏。
 隠れた名作です。

※少し前の時期の別のバンドから。


posted by H.A.

【Disc Review】“Karta” (1999) Markus Stockhausen

“Karta” (1999) Markus Stockhausen
Markus Stockhausen (trumpet)
Arild Andersen (bass) Patrice Héral (drum, percussion, electronics) Terje Rypdal (guitar)

マルクス シュトックハウゼン

 ドイツのトランぺッターMarkus Stockhausenの不思議なジャズ。
 インプロビゼーション色が強いのだけど、概ね曲がありそうだし。
 ルバート的なバラードはあるけども、基本的にはリズムは定常、フリーではないし。
 電子音が飛び交い、エフェクティングの強いギターもあるけども、全体ではアコースティックな質感が強いし・・・。 
 参加していたRainer Brüninghaus の“Continuum” (1983)に雰囲気は近いのかもしれないけども、もっとワイルドで激しく、複雑。
 静謐と激烈、電子的近未来的な響きとウッドベースの響きが醸し出すジャズの響きの交錯・・・
 うーん、どう説明すべきかよくわからん。
 編成はシンプルなギタートリオを従えたトランペットカルテットなのですが、とてもそんな感じではありません。
 不思議な質感の近未来的ジャズ、ときおり激烈系。
 クールなトランペットはMiles Davisの影響が強そうだし、音楽全体もエレクトリックMiles派生、その近未来型といった感じがしないでもありません。
 静かに電子音が響く中でのクールな音がとてもスタイリッシュ。
 さらに、クールなたたずまいから、時折見せるブチ切れた音の狂気がこれまたクール。
 Terje Rypdalは一たび弾き始めると、例のズルズルグチョグチョの超ドラマチックロックギター。
 伝統的ジャズの耳で聞いても、凄いのがArild Andersen。
 ソロはもちろん、バッキングでも凄まじいベース。
 リズムを出すと凄まじいグルーブだし、いつもの激情系超高速フレーズがそこかしこに。
 忘れたころに突然登場してきて、淀んだ空気、不穏な空気を一気に切り裂く正義の味方、ってな見方は変ですかね。
 ベースが前面に出てきてバンドが強烈にグルーヴし始めるとホッとしたりして・・・
 ド派手な人ですが、この人がベースを弾くと、なんだかんだで4ビートジャズの香りがします。
 その強烈なグルーヴに乗って狂気のギターとトランペットが交錯するすさまじいインプロビゼーションの場面もしばしば。
 そんな感じの伝統的ジャズと近未来系ジャズの融合、ときおり激烈系。
 もう15年以上前の音源ですが、今の耳で聞いてもとてもクリエイティブです。 





posted by H.A.

【Disc Review】“Continuum” (1983) Rainer Brüninghaus

“Continuum” (1983) Rainer Brüninghaus
Rainer Brüninghaus (piano, synthesizer)
Markus Stockhausen (trumpets, fluegelhorn) Fredy Studer (drums)

Continuum
Rainer Bruninghaus
Ecm Records
2001-02-27


 前作“Freigeweht” (1980)では宇宙的浮遊感の音楽だったRainer Brüninghaus。
 同じような編成ですが、本作の空気感は地上です。
 不思議なもので、ビートが微妙にはっきりしているから?
 構成が複雑だから?
 ピアノがはっきりとフィーチャーされているから?
 何故かはわかりませんが、これまた心地よい音楽であることは変わりません。
 緊張感があるけども、美しく優しいピアノ。
 浮遊感のある、しなやかな音楽。




posted by H.A.
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