吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Marcin_Wasilewski

【Disc Review】“Faithful” (2010) Marcin Wasilewski Trio

“Faithful” (2010) Marcin Wasilewski Trio
Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)

Faithful
Marc Trio Wasilewski
Ecm Records
マルチン・ボシレフスキ


 ポーランドのピアニストMarcin Wasilewski、“January” (2008)に続くECM第三弾。
 前作は硬軟のバランス、妖しさと穏やかさのバランスが取れた名作でしたが、同様の質感。
 本作も漂うような短いバラードからスタート。
 クラシック曲のカバーのようですが、その表情は前作よりも穏やかです。
 二曲目はアップテンポ。
 “Habanera” (2000)あたりのイメージ近いコンテンポラリー系のジャズ曲。
 アップテンポで強い疾走感ですが、あくまでECMのMarcin Wasilewskiの淡い色合い。
 ピアノもドラムも熱は上がりますが、全くうるさくなく、ビート感もヒタヒタと迫ってくる系のグルーヴ。
 似たようなビート感でも1970年代系だと、例えば“Batik” (1978) Ralph Townerのように鬼気迫る緊張感がありましたが、この期では淡々とした質感。
 クールです。
 さらにタイトル曲のOrnette Colemenナンバーはルバートでのバラード。
 この曲含めて他数曲の漂うようなバラードが印象に残ります。
 これらも激烈沈痛ではなくて、Marcin Wasilewskiの淡いテイストのクールな演奏。
 その他いつもの淡い色合いのオリジナル曲、Paul Bley、Hermeto Pascoalのカバーなど。
 ピアノはいつも通りの漂うような柔らかなECMのMarcin Wasilewski。
 微妙なタメと疾走感がいい感じのバランス、スムース、流麗な音の流れ。
 暗くなったり深刻になったりはしません。
 全体を通しては“January” (2008)よりもさらに沈痛感が薄らぎ、より淡い色合いの演奏、加えて軽快で疾走感のある演奏も増えたイメージでしょうか。
 フリーな部分もほとんどなくなり、より聞きやすくもなっているのでしょう。
 クールで現代的。
 同じクールな質感でも、ニューヨーク系コンテンポラリーではメカニカルなのが流行りのようですが、こちらは落ち着いた現代性。
 ここまで柔らかでわかりやすいと、強い緊張感、激烈、鎮痛、耽美、幽玄、革新・・・が特徴のECMっぽくないのかな?
 近年のECMはこれでいいのか・・・
 いまだにこちらの意識の方が切り替わっていないなあ・・・
 やはり現代的。
 次はサックス入りの“Spark of Life” (2014)へと続きます。




posted by H.A.

【Disc Review】“Trio” (2004) Simple Acoustic Trio

“Trio” (2004) Simple Acoustic Trio (Marcin Wasilewski)
Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)

Trio
Marcin Wasilewski
Ecm Records
マルチン・ボシレフスキ


 ポーランドのピアニストMarcin Wasilewskiのトリオ、Simple Acoustic TrioのECM初録音。
 ECMではポーランドの親分Tomasz Stankoの”Soul of Things” (2002)に参加し、その第二作”Suspended Night” (2003)が近作。
 それらとは近いのですが、華やかな“Habanera” (2000)とは少々印象が異なる、淡い色合いのピアノ、トリオ。
 “Habanera” (2000)ではガンガン来る場面もありましたが、本作は終始フワフワと漂うような、かつ流麗な音の流れ。
 2000年あたりからのECMのピアノトリオはこの種の淡い色合いの作品が増えて着るように思いますが、これもECMマジックなのかもしれません。
 そうだとすれば音の傾向が1970年代とは全く逆なのが興味深いところ。
 これまたECMらしくフリーインプロビゼーション的な演奏が三分の一を占めますが、それら含めて穏やかで優し気な音。
 親分Tomasz StankoやBjörkの楽曲、フリーインプロビゼーションでは少々妖し気なムードも醸し出していますが、それでも演奏自体は深刻でも暗くもありません。
 その他のオリジナル曲も全てほのかに明るくい色合い、軽快な演奏。
 とても柔らかなタッチ、さりげないタメと時折の疾走感、全体を通じてスムースでクールな色合い・・・、あたりがこの人の特徴のように思います。
 地元のレーベルでは硬派なイメージもあったのですが、ECMのこの頃の作品はそうでもありません。
 クラシック的に遠いところから聞こえてくるような印象の録音の影響も大きいように思います。
 硬質、かつ感情移入の激しいKeith JarrettやSteve Kuhnなど一世代前の人達とは全く違う淡くてクールな色合い。
 いかにも現代の若手の音。
 本作は穏やかなフリーインプロビゼーション曲が多めで、その分、少々地味。
 逆に間々の美曲が映え、ベタつかず、落ち着いて聞けるアルバムだと思います。
 次作、素晴らしい楽曲・演奏が揃った名作“January” (2008)へと続きます。




posted by H.A.

【Disc Review】“Lyrics” (2001) Henryk Miskiewicz & Simple Acoustic Trio

“Lyrics” (2001) Henryk Miskiewicz & Simple Acoustic Trio
Henryk Miskiewicz (Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Bass Clarinet)
Marcin Wasilewski (piano) Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)



 ポーランドのベテランサックス奏者Henryk Miskiewicz、同胞の当時の若手ピアノトリオSimple Acoustic Trioとの共演作。
 哀愁の漂うワンホーンジャズカルテット。
 ポーランド系、どうもKomeda、Tomasz Stankoのイメージが強くて、沈痛な感じがあるのですが、本作は明るくて上品な感じ。
 哀愁系の楽曲揃いですが、カラッとしていてアメリカンな感じすらあります。
 サックスは少々歪んだ音ながらスムースな音使い、少々の激情系。 オーソドックスながら表現力は抜群でエキサイティングな演奏。
 “Upojenie” (2002) Anna Maria Jopek, Pat Methenyにも参加していて、ポーランドではファーストコールな管楽器奏者なのでしょう。
 音使いからするとフュージョン系の人かもしれません。
 Simple Acoustic Trioも本作ではオーソドックスなジャズピアノトリオに徹しています。
 フィーチャーされるスペースも大きいのですが、楽曲との関係もあるのでしょうが、なぜかオーソドックスな演奏。
 それでも単なる伴奏者ではなく、只者ではない感が漂っています。
 終始とても落ち着いた演奏。
 おそらくリーダーとは親子ほどの年齢差があるのでしょうが、一番やんちゃに聞こえるのはリーダー。
 楽曲はリーダーの作品中心、他にMaria Schneider、ソプラノサックスとピアノのDuoでの”Thema From Spartakus”などはシンプルながら絶品。
 ジャンピーなナンバーから切なげなバラードまで、わかりやすい哀愁のメロディの連続。
 ヨーロピアンコンテンポラリージャズ的、あるいはECM的な妖しさはありません。
 Simple Acoustic Trioな音楽ではなく、Henryk Miskiewiczのオーソドックスなコンテンポラリー系ジャズ作品、哀愁系として楽しむのが吉。




posted by H.A.

【Disc Review】“Habanera” (2000) Simple Acoustic Trio

“Habanera” (2000) Simple Acoustic Trio
Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)

Habanera (digipack)
Simple Acoustic Trio
Not Two
マルチン・ボシレフスキ


 ポーランドのピアニストMarcin WasilewskiのSimple Acoustic Trio、とても素敵なジャケット、演奏で日本でも人気の作品なのでしょう。
 華やかな演奏が目立つ作品。
 “Lullabay for Rosemary” (1995)とも、後のECMでの作品“Trio” (2004)とも違うテイスト。
 試しに本作と“Trio” (2004)の両方に収録されている親分Tomasz Stankoの”Green Sky”を聞き比べてみると、どちらも漂うようなルバートでのバラードながら、一音一音が明確でシャープな本作に対して、終始淡くて曖昧でフワフワした“Trio” (2004)での演奏。
 この後の変化は何なのか?
 単に録音の妙なのか?本人の変化か?誰かの指示、影響か?・・・
 興味は尽きないのですが・・・
 さておき、本作は華やかで哀愁溢れる素晴らしいピアノトリオ。
 単に派手に飛び回るわけでなくて、なぜかしっとりとした印象のピアノ。
 テンションが上がってきても、ガンガンゴンゴン行くばかりではなくて、何かしら抑制が効いた印象。
 クラシックを徹底的にやったうえで、Herbie Hancock好きになりました・・・そんなイメージでしょうか? 
 あるいは、ピタリと地面に張り付いたまま疾走する?とか、航空機の滑走~離陸とかのイメージ。
 上手い表現が見つかりませんが、結果としては華やかながらスムースで落ち着いた印象。
 要所に入るスムースなロングフレーズの印象が強いのでしょう。  
 時折の高速な高音中心のオブリガードや微妙なタメもいい感じ。
 ベースは落ち着いていながら強力なグルーヴ、ドラムのフレキシブルな反応もカッコいい。
 普通の高速な4ビートもエキサイティングで特別なものに聞こえてきます。
 楽曲はしっとりしたメロディからジャンピーな曲、その他諸々。
 激甘だったり強烈に印象に残るメロディがあったりはしませんが、オーソドックスなコンテンポラリージャズ風のいい曲揃い。
 ありがちなちょっとうまいヨーロピアンピノトリオからは一歩抜けた何かがあるように思います。
 その要因は、おそらく派手に弾いているようでも、一歩引いたように聞こえてしまう、しっとりした質感のピアノなのだと思うのですが・・・さて?
 このままいくのかと思いきや、”Soul of Things” (2002) Tomasz Stanko、“Lyrics” (2001) Henryk Miskiewiczなどのサポートを経て、淡い色合いの“Trio” (2004)へと続きます。




posted by H.A.

【Disc Review】“Lullabay for Rosemary” (1995) Simple Acoustic Trio

“Lullabay for Rosemary” (1995) Simple Acoustic Trio
Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)

Lullaby for Rosemary
Simple Acoustic Trio
Not Two Records
マルチン・ボシレフスキ


 ポーランドのピアニストMarcin Wasilewski、Simple Acoustic Trio、初期の作品。
 デビュー作なのかもしれません。
 ポーランドでの原盤?のタイトルは”Komeda”。 ポーランドの国民的な作曲家Krzysztof Komedaの楽曲集。
 いきなりのルバートでのスローバラード。
 ECMに所属するのは先ですが、いかにもそれらしいスタート。
 後の“Habanera” (2000)では華やか、ECMに入ってからは淡くて柔らかい印象ですが、ここではシャープ。
 録音の具合もあってか、少々固めの音。
 また、微妙なタメもこの時期からあるのですが、リズムへのノリ方が少々微妙で、初々しい感じがします。
 少々のフリーインプロビゼーション的な演奏も同様。
 それでも時折唐突に現れる高音の短いフレーズ、アップテンポでの疾走感など、フレーズの端々に只者ではない感が漂っています。
 どことなく明るいムードは近年と同様。
 Komedaの寂寥感の強いメロディをサラリと演奏して、いいバランス。
 暗からず、明るくなり過ぎず。
 ゴリゴリ系のベースとビシバシ系のドラム、それでも決してうるさくならない音もこの時期から。
 全体を眺めれば、全編に楽曲ゆえの寂寥感が漂うものの、オーソドックスなコンテンポラリー系ピアノトリオジャズ。
 それにしても、近年のあの柔らかなムードは、ここからECMに録音する”Soul of Things” (2002) Tomasz Stankoくらいまでに完成したのでしょうか?
 それとも、1970年代のよりシャープに冷たくなるECMマジックとは全く正反対の、柔らかくフワフワとなる2000年代ECMマジックだったりして・・・





posted by H.A.
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