“Eberhard” (2019) Lyle Mays
Lyle Mays (piano, keyboards, synthesizers)
Bill Frisell (guitar) Mitchel Forman (Organ, Electric piano) Steve Rodby, Jimmy Johnson (bass) Alex Acuña, Jimmy Branly (drums, percussion)
Wade Culbreath (vibraphone, marimba) Bob Sheppard (Sax, Woodwinds) Timothy Loo, Erika Duke-Kirkpatrick, Eric Byers, Armen Ksajikian (cello) Aubrey Johnson, Rosana Eckert, Gary Eckert (vocals)
Lyle Mays、遺作。
恩人Eberhard Weberへのトリビュート作品。
制作途上で逝去し、Steve Rodby他?が仕上げたらしい約13分の組曲。
いかにもEberhard Weber的な柔らかで幻想的なフュージョンミュージック。
名作“Later That Evening” (1982)的であり、これまた名作“Solo: Improvisations for Expanded Piano” (1998)的であり、さらにPat Metheny Group的でもあり、それらの表情が交錯するいかにもLyle Maysな音。
柔らかなビート、起伏を伴いながら薄く鳴るストリングス、マリンバが作る幻想的な空気感。
リリカルなピアノとフレットレスベースが奏でる哀し気なメロディ。
南米的な空気を付け加える女声スキャット、木管。
それらの絡み合いが織り成す綾。
繊細な質感で穏やかに始まりつつも、その表情はグラデーションを描きながら徐々に、そして複雑に変わっていきます。
ビートが強くなりテンションと音量が上がる頃には”The Way Up” (2003,2004)なムード。
そしてジャズなサックス、マリンバ、スキャットボイス、ピアノその他の激しい絡み合い、強烈な高揚感の中での大団円。
さらに消え入るようなマリンバ、静かに鳴るシンセサイザーが作る余韻とともにフェイドアウト・・・
さながら短編映画、とてもドラマチック。
もしフルアルバムであれば、他がどうあれ名盤になっていたのでしょう。
一曲のみであることが極めて残念です。
が、その一曲がカッコいい。
最後の最後まで、素晴らしいモノを遺していただきました。