吉祥寺JazzSyndicate

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Lonnie_Smith

【Disc Review】“Funk Reaction” (1977) Lonnie Smith

“Funk Reaction” (1977) Lonnie Smith
Lonnie Smith (Organ, Synthesizer?)
Eddie Daniels (sax) Richie Hohenburger (guitar) Yaron Gershovsky (piano) and others

ファンク・リアクション
ロニー・スミス
Pヴァイン・レコード
2013-04-17


 Lonnie Smithの1970年代ソウルジャズ。
 Blue Noteでブルージーな演奏のイメージも強い人ですが、この期ではソウルジャズ~フュージョンな音。
 跳ねるベースにタイトなドラム、ファンキーなギターのカッティングとシンセサイザー。
 Herbie Hancockが “Head Hunters” (Sep.1973)、あるいは“Man-Child” (1974-75)あたりで確立した音なのでしょうか? 
 さらにソフト、ポップになって、ボーカルも乗せて・・・
 それでもいかにもなボーカル曲は最後と最後のみで、インプロビゼーションのスペースがたっぷり確保されているのが1970年代なバランス。
 冒頭から心地いいフェイザーが掛かったギターのカッティング。
 タイトな8ビートにフワフワとした音を出すフロント陣のバランスがとてもいい感じ。
 ディスコな感じのビートの演奏も少々ありますが、中心は柔らかで穏やかなグルーヴ。
 さらにちょっと切ないメロディ。
 その結晶が白眉の“It's Changed”。
 レアグルーヴなんて語感がピッタリな音。
 何のことはないミディアムテンポのソウルバラードなのかもしれませんが、これは染みます。
 ジャズなギターが奏でる切ないメロディに、静かに弾みながら後押しするような絶妙のベースライン、ちょっとあざとい感じのコーラスもいい感じの演出。
 さらに中盤からのシンセサイザーのソロのカッコいいこと、切ないこと。
 これだけ音数が少ないのにカッコいいインプロビゼーションはないのでは?
 少し変えると別の曲になってしまうような完成度の素晴らしさ。
 さすが、生粋のジャズメンLonnie Smith・・・かどうかはさておき、1960年代のコテコテな感じからは想像できないような洗練。
 胸がキュンとする、なんて言葉は気持ち悪くて使わないのですが、そんな音。
 その他含めて、心地よいソウルジャズ~フュージョンがたっぷりと。
 “Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)を根っこにして、上記のHerbie Hancock諸作で整理され、確立し、本作もその流れの中の一作。
 あるいは、“Big Band Bossa Nova” (1962) Quincy Jonesあたりからあった、ポップなジャズが、時代の流行りの音と融合してできた音。
 さらに発展して、いきついたピークが“Winelight” (1980) Grover Washington Jr.あたり、ってな感じが私的な捉え方。
 ま、そんな野暮な話はさておいて、あの時代のノスタルジーと呼ぶにはあまりにも素敵な音ですねえ。




 posted by H.A.


【Disc Review】“Live At Club Mozambique” (May.1970) Lonnie Smith

“Live At Club Mozambique” (May.1970) Lonnie Smith
Lonnie Smith (Organ)
George Benson (Guitar) Joe Dukes (Drums)
Gary Jones (Congas) Clifford Mack (Tambourine)
Ronnie Cuber (Baritone Saxophone) Dave Hubbard (Tenor Saxophone)

Live at Club Mozambique
Lonnie Smith
Blue Note Records
1995-04-05


 ソウルジャズ、オルガンのLonnie Smithのライブ録音。
 Blue Noteからですが、お蔵に入っていた音源で、リリースは1995年。
 同じ時期ではGrant Greenの”Alive” (1969)、あるいは同じ場所での”Live at the Club Mozambique” (1971)の方が人気なのかもしれませんが、同じ空気感の、熱い、暑苦しいあの時代のソウルジャズ。
 4ビート、8ビート、16ビートなんでもこいのファンクモード。
 少々跳ね気味のファンキーなリズムとアフロでヒップなパーカッション、コッテリしたオルガンとホーン陣。
 Sly & Family Stoneっぽいファンクから始まり、Coltraneっぽいモードジャズから、後はこってりしたファンクのオンパレード。
 サックスはブリブリと脂汗がにじみ出るような暑苦しいインプロビゼーション、George Bensonもしっかりフィーチャーされ、飛ばしています。
 ちょっととぼけたようなリーダー?のボーカルはご愛敬。
 スムースなグルーヴとトロトロな感じのバラードがカッコいい“Heavy soul” (1961) Ike Quebecのような、少々ノスタルジックなオルガンジャズではなく、ましてや“Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)や“Emergency!” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetimeのような過激なジャズファンクでもなく、オーソドックスな黒々としたソウルジャズ。
 Miles Davis一派と同じようにSly & Family StoneやJames Brownを意識しているにしても、あまりにも直球剛球一直線。
 4ビートのモードな演奏が一番スッキリと聞こえてしまうのは気のせいでしょうか?
 ここからこの人脈も、ポップな要素を強調しつつ洗練され、フュージョン、AORへ展開する一歩手前。
 Miles Davis一派のようなぶっ飛んだ人たちの音ではなく、普通の1960年代までの大衆的ジャズが終わった象徴的な音、でしょうかね。
 この先は”Breezin'” (1976) George Bensonは言わずもがな、ちょっとレアなグルーヴで “Funk Reaction” (1977)が有名なのかな?




 posted by H.A.


【Disc Review】“Afro Blue” (Jun.1993) The Lonnie Smith Trio

“Afro Blue” (Jun.1993) The Lonnie Smith Trio
Dr. Lonnie Smith (Organ)
John Abercrombie (Guitar) Marvin "Smitty" Smith (Drums)

アフロ・ブルー
ロニー・スミス=ジョン・アバークロンビー・トリオ




 John Abercrombie、こちらはホットなオルガントリオ。これも日本制作。
 Dr. Lonnie Smithのリーダー作でもあり、同時期のECMのオルガントリオ“While We're Young” (1992)、 “Speak of the Devil” (Jul.1993)とは全く別の質感。
 プロデューサー、レーベルが違えば同じ編成でも違うものができる見本。
 どちらもどう聞いてもJohn Abercrombieのギターなのですが、全く違う音楽。
 共通するのは強い緊張感。
 本作は熱くて激烈な緊張感。
 熱いといってもブルーノート的なファンキーさやハッピーなイメージではなく、過激な熱さ。
 John Coltraneをモチーフにギュインギュイン、極限まで暴れまくり。
 ロック的なギターは好みではありませんが、ここまでやれば、これしかないようなカッコよさ。
 一方、ECM作品はあくまで静謐さを維持するクールな緊張感。
 さらには、同時期でも全く異質、端正なジャズ“Farewell” (1993)。
 いずれも違ったカッコよさ。




posted by H.A.
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