“Funk Reaction” (1977) Lonnie Smith
Lonnie Smith (Organ, Synthesizer?)
Eddie Daniels (sax) Richie Hohenburger (guitar) Yaron Gershovsky (piano) and others
Lonnie Smithの1970年代ソウルジャズ。
Blue Noteでブルージーな演奏のイメージも強い人ですが、この期ではソウルジャズ~フュージョンな音。
跳ねるベースにタイトなドラム、ファンキーなギターのカッティングとシンセサイザー。
Herbie Hancockが “Head Hunters” (Sep.1973)、あるいは“Man-Child” (1974-75)あたりで確立した音なのでしょうか?
さらにソフト、ポップになって、ボーカルも乗せて・・・
それでもいかにもなボーカル曲は最後と最後のみで、インプロビゼーションのスペースがたっぷり確保されているのが1970年代なバランス。
冒頭から心地いいフェイザーが掛かったギターのカッティング。
タイトな8ビートにフワフワとした音を出すフロント陣のバランスがとてもいい感じ。
ディスコな感じのビートの演奏も少々ありますが、中心は柔らかで穏やかなグルーヴ。
さらにちょっと切ないメロディ。
その結晶が白眉の“It's Changed”。
レアグルーヴなんて語感がピッタリな音。
何のことはないミディアムテンポのソウルバラードなのかもしれませんが、これは染みます。
ジャズなギターが奏でる切ないメロディに、静かに弾みながら後押しするような絶妙のベースライン、ちょっとあざとい感じのコーラスもいい感じの演出。
さらに中盤からのシンセサイザーのソロのカッコいいこと、切ないこと。
これだけ音数が少ないのにカッコいいインプロビゼーションはないのでは?
少し変えると別の曲になってしまうような完成度の素晴らしさ。
さすが、生粋のジャズメンLonnie Smith・・・かどうかはさておき、1960年代のコテコテな感じからは想像できないような洗練。
胸がキュンとする、なんて言葉は気持ち悪くて使わないのですが、そんな音。
その他含めて、心地よいソウルジャズ~フュージョンがたっぷりと。
“Bitches Brew” (Aug.19-21,1969)を根っこにして、上記のHerbie Hancock諸作で整理され、確立し、本作もその流れの中の一作。
あるいは、“Big Band Bossa Nova” (1962) Quincy Jonesあたりからあった、ポップなジャズが、時代の流行りの音と融合してできた音。
さらに発展して、いきついたピークが“Winelight” (1980) Grover Washington Jr.あたり、ってな感じが私的な捉え方。
ま、そんな野暮な話はさておいて、あの時代のノスタルジーと呼ぶにはあまりにも素敵な音ですねえ。
posted by H.A.