吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Leszek_Mozdzer

【Disc Review】“Jazz at Berlin Philharmonic III” (2015) Leszek Możdżer & Friends

“Jazz at Berlin Philharmonic III” (2015) Leszek Możdżer & Friends
Leszek Możdżer (piano)
Lars Danielsson (bass & cello) Zohar Fresco (percussion)
Atom String Quartet :
Dawid Lubowicz (violin) Mateusz Smoczyński (violin) Michał Zaborski (viola) Krzysztof Lenczowski (cello)
 
レシェック モジジェル

 ヨーロッパのスーパーピアノトリオ、ストリングスをゲストに迎えたライブアルバム。
 “The Time”(2005)、“Between Us & The Light”(2006)、“Polska” (2013)といった一連のトリオ作品の延長線、楽曲もその他の作品からチョイスが中心。
 が、ライブという事もあるのでしょう、それらの淡い色合いと比べると、強烈なインプロビゼーションが前面に出る場面が多いと思います。
 やっと弾いてくれたか、と思う一方、Zohar Frescoのボイスが出る場面はなく、彼が主導していたと思われるエスニックで幻想的な空気感は抑え気味。 
 Leszek Możdżerの楽曲、クラシック色の強い演奏が多く、クレジット通り、トリオというよりも彼の色合いが最も強い作品。
 クラッシック~現代音楽?ベースのとんがった激しいピアノソロから始まり、Lars Danielssonの哀愁曲、ストリングスを交えた優し気で妖し気な演奏、などなど、Leszek MożdżerLars Danielssonのショーケースのような演奏が並びます。
 とてつもなく透明度が高く美しいピアノのピキピキパキパキした音と、間々に挟まれるLars Danielssonの郷愁感、哀愁感の塊のようなメロディ。
 コンサートのメインはストリングスを交えた優雅ながらテンションが高い演奏なのかもしれませんが、ついついそちらに耳が行ってしまいます。
 Lars Danielsson曲で取り上げられているのは、何処かのアルバムに入っていたいずれも大名曲の”Praying”、”Africa”、”Eden”。
 美しいメロディとコードを背景にして突っ走り飛び回るピアノ。
 氷のように鋭く冷たく、この世のものとは思えないような美しい音、指に加速装置がついているとしか思えないような疾走感を含めて、人間業とは思えない演奏。 
 そのぶっ飛んだピアノと、ベタベタなメロディ、上品なグルーヴの対比がこのバンド、数多くの作品を制作しているこのコンビのカッコよさなのでしょう。
 美しくて上品、かつ、とんがった妖しい音、さらにセンチメンタル。
 “Liberetto” (2012)などのTigran HamasyanLars Danielssonのコンピネーションも素晴らしいのですが、Leszek Możdżerとの組み合わせの方がより繊細な感じがする分、私的には好み。
 Leszek Możdżer、あるいはこのトリオ、このアルバムあたりを集大成として、そろそろ次に行こうとしているのかもしれませんが・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Polska” (2013) Możdżer, Danielsson, Fresco

“Polska” (2013) Możdżer, Danielsson, Fresco
Leszek Możdżer (piano, celesta, vibraphone, synth) Lars Danielsson (cello, bass) Zohar Fresco (percussion, vocal) and Orchestra

Polska
Leszek Mozdzer
ACT
2013-12-25
レシェック モジジェル
 
 ヨーロッパのスーパーピアノトリオ、“The Time”(2005)、“Between Us & The Light” (2006)に続く第三作。
 間にライブ作品“Live” (2005,2006)もありますが、かなり間を空けての作品のようです(?)。
 前の作品まではポーランドのレーベルからでしたが、本作はドイツのACT。
 ACTでこのトリオでは初めてですが、“Tarantella”(2009) Lars Danielsson、“Komeda”(2011)Leszek Mozdzer、"The Last Set" (2012) Walter Norris & Leszek Mozdzerなど、さまざまな作品をACTで制作しています。
 レーベルは変わりましたが、トリオの色合いは変わりません。
 穏やかで美しい、でもちょっと不思議系のヨーロピアンジャズ。
 Leszek Mozdzerの作品よりも穏やかなことはもちろん、Lars Danielsson諸作よりも穏やかでしょう。
 録音の感じは、少し丸くなったイメージでエコーもたっぷり。
 あのカミソリのようなピアノが少々マイルド、とても心地よい音。 
 相変わらずLeszek Mozdzerのクラシックの香りとアグレッシブさ、Zohar Frescoのエキゾチシズムと寂寥感、郷愁感、Lars Danielssonのセンチメンタリズムが交錯する音。
 本作は冒頭から敬虔なムードが漂う音。
 この色合いはLeszek Mozdzer、Lars Danielsson諸作にはあまり無かったかな?
 近年ECMあたりではGeorges I. GurdjieffやJalaluddin Rumiあたりの宗教系、教会系、精神性系がプチブーム?な感もありますが、そんな空気が漂います。
 澄み切ったとてつもなく美しいピアノが静かに流れ、Zohar Frescoのボイスが乗ってくるとさらに幻想的なムード。
 どこか遠い所に連れて行ってくれそうな音。
 そんな色合いは冒頭のみのようで、中盤までいつものLeszek Mozdzer、Zohar Frescoの淡い色合い、寂し気で不思議なムードぼ演奏が続きます。
 が、中盤、Lars Danielssonの曲になると一気にメロディアスで浮世に戻った感。
 本作でも二曲のみですが、さすが北欧哀愁小説的音楽の巨匠。
 いつもセンチメンタルでロマンチック、少々沈痛。
 ジャズにはこだわりがなさそうでシレっとどこかに飛んで行ってしまいそうな若手の二人を現実に引き戻す役回り・・・かどうかはわかりませんが、そんなとても素敵なバランス。
 冷たいピアノと暖かいパーカッションとメロディアスなベーシスト。
 これまた素敵なバランス。
 Leszek Mozdzer、普通にヨーロピアンジャズが聞きたければLars Danielssonの作品、ぶっ飛んだピアノが聞きたければリーダー作、ちょっと淡くて妖しげなのを聞きたければ本トリオ。
 ジャズジャズしていないところ、エキゾチシズムと淡々とした独特のクールネスが新しい感じなのだと思うし、普通のジャズピアノトリオには食傷気味の耳にはとても心地よいバランス。
 最後は一曲のみオーケストラ入りの“Are you Experienced?”。
 もちろんJimi Hendrix。
 妖しさ全開、かつクラシカルで高尚な演奏。
 なんだか凄い人たち。




posted by H.A.


【Disc Review】“Between Us & The Light” (2006) Możdżer, Danielsson, Fresco

“Between Us & The Light” (2006) Możdżer, Danielsson, Fresco
Leszek Możdżer (piano, keyboards) Lars Danielsson (cello, bass) Zohar Fresco (percussion, vocal)
 
Between Us & The Light
Mozdzer Danielsson Fresco
Imports
2015-10-23
レシェック モジジェル

 ヨーロッパのスーパーピアノトリオ、“The Time”(2005)に続く第二弾、になるのだと思います。
 本作も淡くて穏やか、静謐なコンテンポラリージャズ。
 切ないメロディの楽曲群、少々の妖しさ、インプロビゼーションというよりもアンサンブルを中心にしたこのトリオの色合い。
 ドラムではなく、パーカッションなことが、なんともいえない淡い感じを醸し出しているように思います。
 冒頭からとても悲し気なLeszek Możdżerのメロディ。
 Leszek Możdżerはもちろん、 Lars Danielssonにもたっぷりのソロスペースがあるのですが、激しくは弾きません。
 静かな音の流れの中で響くパーカッションの乾いた音が寂寥感を醸し出します。
 もちろん強烈なインプロビゼーションの場面もあるのですが、各人のリーダー作ほどではなく、バンドが一体となったサウンドを重視しているように聞こえます。
 “The Time”(2005)と同様にLeszek Możdżer、Zohar Frescoの曲が多く、Lars Danielssonは二曲のみ。
 北欧の親分Lars Danielssonのメロディは甘くてとても素敵なのですが、若手二名の現代的なクールな質感、そこはかとないエキゾチシズムが強い構成。
 時折のZohar Frescoの幻想的なボイスがいい感じのアクセントになっているのも“The Time”(2005)と同様。
 透明度が高くとても美しいLeszek Możdżerピアノは、刃物のように周囲を切り裂いていくイメージのリーダー諸作とは違って、空からキラキラと舞い降りてくる感じ、あるいは穏やかに周囲を舞っている感じ。
 さらにLars Danielssonの落ち着いたベース。
 全曲とても切なげで悲し気なメロディですが、なぜか湿っぽさ、悲壮感はありません。
 クールで穏やかな寂寥感。
 前作“The Time”(2005)を最初に聞いた際、もっと弾いて欲しいと思ったのですが、実はこのくらい弾かないのがいいのかもしれません。
 どこか懐かしい穏やかな世界に連れて行ってくれるトリップミュージック。
 やはり特別な人たちによる特別なバンド、とても素敵なアルバムです。




posted by H.A.


【Disc Review】“Solo in Ukraine” (2000,2001) Leszek Mozdzer

“Solo in Ukraine” (2000,2001) Leszek Mozdzer
Leszek Mozdzer (Piano)
 
Solo In Ukraine
Leszek Mozdzer
GOWI Records
2003
レシェック モジジェル

 ポーランドのピアニストLeszek Mozdzer、ソロピアノでのライブ録音。
 Chopinの曲とオリジナルのジャズ曲、ジャズ演奏をフュージョンしたステージ。
 第一印象はクラシック色も強いのですが、気が付けば強烈なジャズが鳴っている変幻自在のピアノ演奏。
 “Piano” (2004) Leszek Mozdzer、"Pasodoble” (2006,2007) Lars Danielsson & Leszek Możdżerあたりとも時期が近く、ポーランドのスーパースターから、ヨーロッパ全土、世界へ展開を始めた時期でしょうか?
 クラシックには疎く、これがクラシックとしてどうなのかはわかりませんが、ジャズの耳で聞いてとても素晴らしい、いや、とてつもなく凄いピアノ。
 冒頭からChoipnの優雅なメロディ、クラシック的な演奏と、強烈なジャズ的なインプロビゼーションが交互に現れる展開。
 加速と減速、ジャズとクラシックとジャズが交錯する演奏そんな展開が続きます。
 数曲のオリジナル曲はジャズ度が強いのですが、それもなぜか同じ印象。
 終盤に置かれたアップテンポな“Maiden Voyage”も然り。
 指に加速装置が付いているとしか思えないようなフレーズの連発。
 唖然とするような凄まじいまでの音の流れが続きます。
 音数は多めなのでしょうが、それでいてうるささや押しつけがましさ、いやらしさは全く感じさせない優雅な演奏。
 後のACT諸作のような氷のような冷たさ、カミソリのような鋭利さはここではほどほど。
 基本的には丸くて上品な音を中心として、要所で例のピキーン、パキーンとした音がくるのが気持ちいいなあ。
 録音の影響も大きいのでしょうが、本作ぐらいが楽に聞けるいいバランスなのかもしれません。
 この人、“The Time”(2005)Leszek Mozdzer, Lars Danielson, Zohar Frescoなどのトリオ作品になると、あるいは"Pasodoble” (2006,2007)などのDuo作品でも、妙におとなしくなってしまう感が無きしもあらず。
 本領発揮、スーパーピアニストぶりを聞くには、やはり自由なソロ作品でしょうかね。
 近年のピアニスト、Marcin WasilewskiTigran HamasyanHelge Lienあたりが人気で、実際に凄いのですが、私的にはこの人の鋭さ、繊細さのバランスが最も好み。
 上品さと激しさがいい感じでフュージョンした凄いピアノ作品。

 この種の東欧系のアルバム、ACTECMの有名レーベルでないものは、日本での流通も少なく、廃盤になるのも早いのが残念至極。
 南米系も然り。
 本作、前掲の“Facing the wind” (1996) David Friesen & Leszek Możdżer含めて素晴らしい作品がたくさんあるので、流通経路、誰か作ってくれませんかね。

※別の作品から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Facing the wind” (1996) David Friesen & Leszek Możdżer

“Facing the wind” (1996) David Friesen & Leszek Możdżer
Leszek Możdżer (piano) David Friesen (bass)
 
Facing The Wind
David Friesen
Power Bros Records
1997
レシェック モジジェル
デビッド フリードセン


 ベテランベーシストDavid Friesenと、当時は若手売り出し中だったであろうポーランドのLeszek MożdżerのDuo作品。
 David Friesenはアメリカ人ですが、ヨーロッパでの活動が多いようで、ポーランドのレーベル?からのようです。
 全体の質感は、とても美しく、穏やかでしっとりとしたヨーロピアンジャズ。
 ECM的な妖しい場面、ハイテンションな場面もしばしば登場しますが、アバンギャルドさ、難解さは全くありません。
 両者のオリジナル曲が半々に”Nefertiti”。
 Leszek Możdżerはこの時点で既に他の人とはちょっと違う感じのスーパーピアニストぶりを発揮していますが、後の諸作と比べるとまだまだ穏やかなジャズピアノ。
 激しさ、過激さが前面に出ていない分、かえって聞きやすいかもしれません。
 冒頭は淡くて優雅なワルツ。
 この期ではBill Evansっぽさが強い感じでしょうかね・・・?と思っていたのは冒頭曲のみ。
 やはりこの期から凄いピアノ。
 何の迷いも乱れもない高速なフレーズ連発。
 強烈な加速感ながらなぜか枠の中にピッタリと納まってしまう心地よさ。
 もちろん相方のDavid Friesenも凄い演奏。
 いかにもウッドベースな深い音、ピッタリと寄り添いながら加減速に対応するサポートに、たっぷりのエコーが効いたアルコを駆使した幻想的な音作りまで、こちらもスーパーなベース。
 普通にスウイングする曲から、幻想的なルバート的なバラードまで、素晴らしい演奏が続きます。
 Lars Danielssonよりも相性がよかったりして・・・そんなこともないか?
 もう二十年も前の録音、甘めの美曲が無い分地味と言われればそうなのかもしれませんが、素晴らしいベース、ピアノがたっぷり聞ける隠れた名作。




posted by H.A.


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