吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Latin_Jazz

【Disc Review】“Todas as Cores” (2015) Duo Taufic

“Todas as Cores” (2015) Duo Taufic 

Roberto Taufic (Guitar) Eduardo Taufic (Piano)

Todas as Cores
Duo Taufic
bar buenos aires
2015-04-30


 ブラジルの兄弟、ギターとピアノによるDuo作品。
 イタリアのボーカリストBarbara Casiniとの共演作“Terras” (2016)はオーソドックスな色合いのブラジリアンミュージックでしたが、それに近い時期の録音であろう本作は、静かなブラジリアンジャズフュージョン。
 Calros Aruirre絡みの“Danza Sin Fin” (1998) Quique Sinesiあたりのアルゼンチン現代フォルクローレに近い空気感もある優しい音。
 もう少し都会的で洗練された感じ、アメリカンフュージョンにも近い感じは、イタリアのジャズ、フュージョン、ポップス畑の色合いもあるのでしょうか?
 さておき、静かに、でも複雑に、ときおりの疾走を交えつつ絡み合うギターとピアノ。
 “Terras” (2016)よりも前面に出る場面が多いとても繊細な洗練されたギター。
 この前のDuo作品のプロデューサーはAndre Mehmariとのことで、なるほどのタメと疾走感、躍動感のピアノ。
 さりげないようで超絶、強烈な高速ユニゾンなども挟みつつ続く、ジャストなアンサンブルのオンパレード。
 Jobimナンバー一曲を除いて二人のオリジナル曲。
 懐かし気で美しい、いかにもブラジリアンなメロディ揃い。
 Egberto Gismonti的な超絶技巧なハードな曲も何曲か・・・と思っていたら、当人からのメッセージも寄せられているようです。
 などなど、スパイスが効いた場面もありますが、基本的には静かで美しい優しい音。
 たっぷりのエコーが効いた素晴らしい録音も手伝って、ギターのソロが始まると周囲の湿度が下がるような気がするし、ピアノのソロが始まると少し温度が上がるような感覚でしょうか。
 流れていると周囲の空気が浄化されていくような、清廉で上質な空気感。
 とてもとても洗練されたブラジリアンアコースティックDuoの一作。


 

posted by H.A.

【Disc Review】"Resiliência" (2016) Vinícius Gomes

"Resiliência" (2016) Vinícius Gomes

Vinícius Gomes (Guitar)
Gustavo Bugni (Piano) Bruno Migotto (bass) Edu Ribeiro (drums) Rodrigo Ursaia (Sax)
Rubinho Antunes (Trumpet) Daniel de Paula (drums)
Ricardo Takahashi, Daniel Moreira (violin) Daniel Pires (Viola) Vana Bock (Cello)



 ブラジル、サンパウロの若手ギタリストVinícius Gomesのブラジリアンコンテンポラリージャズ作品。
 ゲストで参加した“Fronteira” (2017) Rafa Castroのようなフォルクローレ的コンテンポラリージャズではなくて、少々複雑系のハイテンションジャズ。
 ギターはToninho Horta的ではなくて、Chico Pinheiro的というか、コンテンポラリージャズ的というか。
 クリーントーン、加速しながらテクニカルなフレーズを流麗に紡いでいくスタイル。
 背景を固めるピアノトリオ、ギターと代わる代わるに前面に立つサックスはアメリカンな色合いのコンテンポラリージャズ。
 複雑なビート、メカニカルなメロディに複雑な編曲。
 クールなサックスに飛び跳ねるピアノ、自由に動いているようでピッタリと収まるドラムとベース。
 サックスとギター、あるいはピアノが同時に即興演奏を行っていくような場面がちらほら、新しい線を狙っているのでしょう。
 ちょっと聞いただけだとニューヨーク系かと思うような音の流れ。
 ガットギターが出てくると、やっぱりブラジル系・・・とも思うのですが、全編フリービート、ルバートでの超スローバラードはバンド全員がECM的な演奏だったり・・・
 あるいは、近年、ブラジルではストリングスカルテットを絡めるのが流行っているのでしょうか?本作でも冒頭曲で彩りを加えています。
 などなど、いろんな要素が絡み合うような音、全体のイメージはあくまでコンテンポラリージャズ。
 このあたりがフォロクローレ系ではない、ジャズ寄りのブラジルの若手の主流な音なのでしょうかね。
 これならCrissCross、Blue Noteあたりから出ていてもおかしくない色合い。
 そんなジャズな一作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Em Casa Com Luiz Eça” (2017) Igor Eça

“Em Casa Com Luiz Eça” (2017) Igor Eça
Igor Eça (bass, guitar, voice)
Toninho Horta (guitar, voice) Itamar Assiere (piano) Jurim Moreira, Ricardo Cota (drums)
Dori Caymmi, Edu Lobo, Zé Renato (voice) Mauro Senise (flute, sax) 

Em Casa Com Luiz Eca
Igor Eca
Imports
2017-04-21


 ブラジル、ジャズサンバトリオTamba TrioのピアニストLuiz Eçaへのトリビュートアルバム。
 リーダーは明記されていませんが、息子さんのIgor Eçaが仕切ったのでしょうかね?
 楽曲はLuiz Eçaの作品を中心とした、オーソドックスなジャズサンバ。
 バンドはピアノトリオ+ギター+木管を中心とした、これまた由緒正しいオーソドックスなブラジリアン・ジャズフュージョン編成、一部ボーカル入り。
 そのギターがToninho Horta
 ガットギターはもちろん、丸い音のエレキギターもたっぷり。
 さらにボーカルはそのToninho Hortaに加えて、Dori Caymmi, Edu Loboの豪華ゲスト陣。
 ま、想像通りの平和で楽し気な音。
 普通・・・といえばその通りなのですが、Toninho Hortaのギターがたっぷり聞ければ文句なし。
 やはりこのあたりのサウンドは、気楽に安心して聞けるなあ・・・


※別のバンドから。


posted by H.A.

【Disc Review】“Baião De Domingo” (2009) Alexandre Gismonti Trio

“Baião De Domingo” (2009) Alexandre Gismonti Trio
Alexandre Gismonti (Guitar)
Mayo Pamplona (Double Bass) Felipe Cotta (Percussion)

Baiao De Domingo
Alexandre Trio Gismonti
Microservice Brazil
2005-10-31


 Egberto Gismontiのご子息Alexandre Gismontiのおそらく初リーダー作。 
 善きにつけ悪しきにつけ御父上のイメージをもって聞いてしまうのですが、本作はまずまずオーソドックスなボサノバ混じりのブラジリアンジャズ。
 オリジナル曲、高速なフレージングのギターに父Gismontiの影は感じますが、その毒というか、妖しさというか、ちょっと普通ではない感じはなく、穏やかです。
 オーソドックスなギタートリオ編成でのオーソドックスな音。
 父Gismonti とのDuoによる“Saudações” (2006,2007)よりも優しい表情かもしれません。
 オリジナル曲にいくつかのブラジルの巨匠たちの楽曲群。
 “Saudações” (2006,2007)を聞く限り、スパニッシュ色が強くなるのかな?と勝手に想像していましたが、むしろ父上よりもブラジルブラジルしている感じでしょうかね。
 アグレッシブではなく、むしろノスタルジック。
 少々センチメンタルな音の流れ。
 ベタつかないクールな質感は現代の若者の音の特徴なのでしょう。
 さて、ここから姉Biancaさんのように、現代的でポップな感じで行くのか、父Egbertoさんのようにアグレッシブで求道的な線でいくのか、それはこれからのお楽しみ。
 まずは普通に心地よいブラジリアンギタートリオを、気楽に聞くのが吉。
 ・・・っても、父上と同様に新作がなかなか来ないなあ・・・


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Como Dibujo Agua” (2009) Mario Gusso

“Como Dibujo Agua” (2009) Mario Gusso
Mario Gusso (percussion, kalimba)
Sebastian Macchi (piano) Javier Lozano (piano, rhodes) Maria Elia (piano, voice) 
Diego Penelas, Joaquín Errandonea (Guitar, Voice) Sebastian Esposito, Cesar Silva, Pepe Luna (guitar) 
Willy González, Carlos Marmo, Guillermo Delgado (bass)
Micaela Vita (Voice) Franco Luciani (harmonica) 

COMO DIBUJO DEL AGUA
MARIO GUSSO(マリオ・グッソ)
PAI
2010-08-15


 アルゼンチンジャズ、現代フォルクローレのパーカッショニストのリーダー作。
 Carlos Aguirre 閥の人なのかどうかはわからないのですが、Carlos Aguirre的大名作の“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005)のピアノ、Sebastian Macchiの参加に惹かれて聞いてみた一作。
 フォルクローレ、ジャズ、ソウル、ポップス・・・などなど、いろんな色合いがフュージョンする、アルゼンチン・ジャズ・フュージョン。
 楽曲の提供者によって音のイメージは異なります。
 何曲かのSebastian Macchiの楽曲は、Carlos Aguirre的、繊細な現代フォルクローレ。
 その他諸々、スパニッシュ風ギターが前面に出たり、女性ボーカルがフィーチャーされたり、アメリカ南部ロック風だったり、やはり繊細なピアノが全体を支配したり・・・
 ってな感じで、定番の繊細なガラス細工のような現代フォルクローレではなく、元気なジャズフュージョン。
 あるいはそれらがフュージョンし、交錯するアルバム。
 目立つのはリーダーの激しいドラムと、Willy Gonzálezの前面に出て動きまくるエレキベース。
 ちょっと強めの音ですが、なんだかんだで、優し気で懐かし気な空気感は南米の人特有の色合い。
 ブラジリアンなジャズは最高ですが、アルゼンチンなジャズもとてもカッコいい。
 その現代的な若者の音。


※Willy Gonzálezのバンドから。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Guris” (2016) Jovino Santos Neto, Andre Mehmari

“Guris” (2016) Jovino Santos Neto, Andre Mehmari
Jovino Santos Neto (piano, melodica, flute) Andre Mehmari (piano, harmonium, rhodes, bandolim)
Hermeto Pascoal (teakettle, melodica)

Guris
Jovino Santos Neto
Adventure Music
2017-07-21


 ブラジル人ピアニストJovino Santos Netoと、同じくAndre MehmariのDuo。
 Hermeto Pascoalの作品集。
 ブラジル系のアーティストにとって、Jobim、Joao Gilbertは言わずもがな、Egberto GismontiHermeto Pascoalも神のような人なのでしょう。
 ピアノ二台の音を基本として、フルート、メロディアなどで彩りを加える形。
 Hermetoさん本人も三曲ほどに参加し、得意の不思議な音を出してます。
 意外なのが二人のピアノの色合いが似ていること。
 大先輩方に敬意を払ってかどうか、Andre Mehmariが抑え気味なこともあるのでしょうが、随分落ち着いた演奏。
 実はJovino Santos Netoからの影響も小さくないのでしょうかね?
 子弟か兄弟のような、ぶつかることのない、自然な二台のピアノの絡み合い。
 でも、たまに高音でぶっ飛んだ音が聞こえるのは、いつものMehmariさんなのでしょうね・・・?
 ん・・・?
 基本的にはHermeto Pascoalの色合いのブラジリアンフュージョンというか、インスツルメンタルMPBなのだけども、全編を通じたジャジーなムード、要所でのクラシック香りは、Jovino Santos Neto、Andre Mehmariそれぞれの得意な色合いが出ている演奏、場面なのでしょう。
 Hermeto Pascoalのメロディの中でそれらが交錯する音の流れ。
 端正で上品、いろんな要素が交錯するピアノミュージック。
 ボッサやサンバとは違うけども、全体を漂う郷愁感。
 もちろんブラジル風味120%。





 Andre Mehmari参加作品、私が今知る限り。
 他にもたくさんあるのでしょう。
 ジャズだろうがクラシックだろうが、何でも凄いピアノを弾いてしまう人。
 当然、駄作なし。
 徐々にジャズ色が薄くなり、クラシックっぽさ、またタッチが強くなってきているようにも聞こえます。
 私的にはオムニバス盤“Veredas”あたりまでの柔らかい音楽、ピアノが一番好み。
 もちろん近作も格調高くて素晴らしいのですが。

edição comemorativa: 10 anos de lançamento” (1998) with Celio Barros
 “Forcas D'Alma” (1999) Tutty Moreno 
nem 1 ai” (2000) Monica Salmaso
“Canto” (2002)
 “Áfrico” (2002) Sérgio Santos
Lachrimae” (2003) 
Piano e Voz” (2004) with Ná Ozzetti
 “Ia Ia” (2004) Monica Salmaso
 “Sergio Santos” (2004) Sergio Santos
Continuous Friendship” (2007) with Hamilton de Holanda
 “Io So” (2007) Sergio Santos
de arvores e Valsas” (2008)
Veredas” (2006-2008) Omnibus
Miramari” (2008) with Gabriele Mirabassi 
 “Nonada” (2008) with Rodolfo Stoeter, Tutty Moreno, Nailor Proveta, Teco Cardoso
 “Litoral e interior” (2009) Sérgio Santos
Gimontipascoal” (2009, 2010) with Hamilton de Holanda
 “Antonio Loureiro” (2010) Antonio Loureiro (一曲のみ)
Canteiro” (2010, 2011)
Afetuoso” (2011)
 “Naissance” (2012) François Morin
Triz” (2012) with Chico Pinheiro, Sérgio Santos 
“Orquestra A Base De Sopro De Curitiba e André Mehmari” (2012)
"Macaxeira Fields" (2012)  Alexandre Andrés
 "Sunni-E" (2012) Renato Motha & Patricia Lobato (一曲のみ)
Arapora” (2013) with Francois Morin
Tokyo Solo” (2013)
“Angelus” (2013)
Ao Vivo No Auditorio” (2013) with Mario Laginha
Ernesto Nazareth Ouro Sobre Azul” (2014)
 ”Caprichos" (2014) Hamilton de Holanda (一曲のみ)
As Estacoes Na Cantareira” (2015)
 “Partir” (2015) Fabiana Cozza (一曲のみ)
"MehmariLoureiro duo" (2016) with Antonio Loureiro
Três no Samba” (2016) with Eliane Faria, Gordinho do Surdo
Guris” (2017) with Jovino Santos Neto
Am60 Am40” (2017) with Antonio Meneses
Serpentina” (2017) with Juan Quintero, Carlos Aguirre
Dorival” (2017) with Tutty Moreno, Rodolfo Stroeter, Nailor Proveta
"Macieiras” (2017) Alexandre Andrés


posted by H.A.




【Disc Review】“University of Calypso” (2009) Andy Narell & Relator

“University of Calypso” (2009) Andy Narell & Relator
Andy Narell (Steel Drums, Other) Relator (Vocals, Guitar)
Dario Eskenazi (Piano) Gregory Jones (Bass) Mark Walker (Drums) Inor Sotolongo (Percussion) Pedro Martinez (Congas, Timbales, Bongos) Marcos Araya Correa (Cuatro)
Paquito D'Rivera (Clarinet, Alto Saxophone)



 この季節になると引っ張り出してくるスチールパン作品。
 本作は大御所カリプソアーティストであろうRelatorと、アメリカのAndy Narellによるカリプソ+ジャズフュージョン作品。
 この種のアルバムについて、その道に詳しくない人が解説しても野暮の極みなのですが・・・
 とにもかくにものどかで平和。
 さらに、ノスタルジックでとても優雅。
 音楽は全く違えど、同じカリブ海周辺、“Buena Vista Social Club” (1996)に近い空気感を感じるのは私だけでしょうか?
 Andy Narellの諸作のエアコンがよく効いた感じの心地よさではないのですが、カリブの陽光が見えてくるような音。
 これぞ南国、別種の心地よさ。
 Relatorさんの出す音、声は、そんなカリビアンネイティブな感じの圧倒的な存在感ですが、もちろんAndy Narellのバンドの音は、同じくカリブでもマイアミあたりの都会的、現代的な空気感。
 それらがフュージョンした、いい感じのバランス。
 楽曲は、トリニダード・トバゴ のカリスマなのであろうAldwyn Robertsの作品を中心とした、全てカリビアンクラシックなのでしょう。
 なんだか懐かしいようなムードを漂わせつつも、とても小粋で優雅なメロディの連続。
 Andy Narellの音はとても優雅な音なのですが、いつもの洗練されたカリビアンフュージョンのAndy Narellの作品としては異色、別種の優雅さ。
 いや、Relatorさんが音を出していない時間は、いつも通りなのかもしれません。
 Relatorさんの存在感、カッコよさに脱帽。




posted by H.A.

【Disc Review】“The Passage” (2004) Andy Narell

“The Passage” (2004) Andy Narell
Andy Narell (Steel Drums)
Mathieu Borgne (Drums, Percussion) Paquito D'Rivera (Alto Sax) Michael Brecker (Tenor Sax) Hugh Masekela (Flugelhorn) 
and Calypsociation Steel Orchestra

Passage
Andy Narell
Heads Up
2004-03-23


 ジャズフュージョン系スチールパン奏者Andy Narell、スチールパンのオーケストラを中心としたアルバム。
 ここまでの作品は、基本的にはジャズ、フュージョン系の編成でしたが、本作では本場のパンの集団演奏スタイルに近づけてみた、といったところでしょうか。
 後に少人数のパンの集団演奏を中心とした次作にあたる”Tatoom”(2006)がありますが、現在のところ、パンのオーケストラの形態ではそれと本作のみ。
 音楽のムードは、1970年代フュージョンな感じではありませんが、直球なカリビアンネイティブな感じでもなく、Andy Narellのそれ。
 都会的で洗練された哀愁が漂うメロディに、タイトなフュージョンドラム。
 が、他の音はパンのオーケストラなので、少人数のフュージョンコンボのタイトさとは一線を画す、ゆらぎというか、ゆるさのある音。
 これがいい感じのバランス。
 パン一台とパーカッションだけだとフュージョンっぽさが勝っていたのが、都会的に洗練されたムードを維持しながら、カリブっぽさが強くなっている感じでしょう。
 タイトさよりもゆらぎが勝り、クールだった音が楽し気になった感じ。
 最初から最後までフワフワしまくり。
 何曲かで登場するゲストの豪華ホーン陣が音を出すと、ちょっとだけ空気感が締まる感じもしますが、彼らもバンドのゆらぎに引っ張られているようで、心地よさげなインプロビゼーション。
 パン一台の方が、あるいは背景の音も薄めの方が、響きのニュアンスがきっちり感じられて、儚げで悲し気なムードも強くなるように思うのですが、ま、これはこれでとても楽し気でいい感じでしょう。
 カリビアン・フュージョンってな語感にはこっちの方が合っているんだろうなあ。
 南国ムードたっぷり。
 コンボ作品のようなエアコンが効いたリゾートホテルのラウンジな感じではなく、”Tatoom”と同様、リゾートホテルのラウンジでもオープンエアー。
 ちょっと温めの湿り気を帯びた風。
 エアコンに慣れてしまった体には、かえって心地よいのではないのかな?
 この手の音は野暮なことなど考えないで、ボケーっと聞くのが吉、なのでしょうね。




posted by H.A.

【Disc Review】“Live in South Africa” (2001) Andy Narell

“Live in South Africa” (2001) Andy Narell
Andy Narell (Steel Pans)
Louis Mhlanga (Guitar) Andile Yenana (Keyboards)
Denny Lalouette (Bass) Rob Watson (Drums) Basi Mahlasela (Percussion)

Live in South Africa
Andy Narell
Heads Up
2001-04-24


 ジャズフュージョン系スチールパン奏者Andy Narellのライブアルバム。
 ここまでの作品から人気曲?、キャッチーな楽曲を集めて、サポートはオーソドックスなジャズフュージョン編成でのコンボでの演奏。
 ギタリストは前作“Fire in the Engine Room” (2000)と同様ですが、他のメンバーは“Sakésho” (2002)とは違う面々。
 サウンド的には前作と似た感じでシンプルなのですが、楽曲のムード含めて、結果的には“The Long Time Band” (1995)ぐらいまでのアメリカンフュージョンなAndy Narellと、それ以降のナチュラルなカリビアンジャズフュージョンが交錯する作品。
 キャッチーなメロディの楽曲を揃え、タイトなバンドの完璧な演奏。
 ライブながらスッキリした演奏が揃っています。
 バンドはオーソドックスなラテンフュージョンバンドですが、哀愁のメロディと、憂いを含んだパンの音もライブでもそのまま。
 ライブでの冒険のような場面はありませんが、各曲ともスタジオ録音よりも長尺、充実したインプロビゼーションあり、終盤に向けて盛り上がっていくドラマチックな構成もあり。
 都会的で洗練されたフュージョンあり、ナチュラルなフュージョンあり、いかにもカリビアンな陽気な演奏あり。
 ここまでの集大成、たっぷり二枚組。
 ここまでのAndy Narellのさまざまな音、代表的な楽曲がまとめて聞けるという意味ではちょうどいい作品なのかな?




posted by H.A.


【Disc Review】“Fire in the Engine Room” (2000) Andy Narell

“Fire in the Engine Room” (2000) Andy Narell
Andy Narell (Steel Drums)
Dario Eskenazi, Mario Canonge (Piano) Louis Mhlanga (Guitar) Michel Alibo, Oscar Stagnaro (Bass) Jean-Philippe Fanfant (Drums)
Jesús Diaz, Luis Conte (Congas) Luis Conte (Percussion) Luis Conte (Timbales)

Fire in the Engine Room
Andy Narell
Heads Up
2000-04-25


 スチールパン奏者Andy Narellのカリビアン・フュージョン。
 ピアノとのDuo+パーカッションを中心としたナチュラルな前作“Behind The Bridge” (1998)から一転、再びフュージョンバンドでの作品。
 が、前々作“The Long Time Band” (1995)と比べるとナチュラルな感じでしょうか。
 楽曲も全曲オリジナルに戻りましたが、都会的な哀愁感はそのままに、これまたナチュラルなカリビアンな感じのメロディライン、いい曲が揃っています。
 いずれにしても、よりシンプルになったサウンド。
 ま、単に録音の具合なのかもしれませんし、聞く側の勝手な思い込みなのかもしれませんが・・・
 さておき、楽し気な現代的カリビアンフュージョンミュージック。
 後の元気いっぱいアコースティックフュージョンバンド作品“Sakésho” (2002)のメンバーも集結し、その予告編といえば、そうなのかもしれません。
 動き回るエレキベースといかにもラテンジャズな楽し気なピアノ、ドラム。
 “Sakésho”ではパーカッションが抜けてしまいますが、本作ではいい感じで効いています。
 デビュー時からのメンバーと交代したギターはロック系の人でしょうか?
 少々やんちゃ系な感じですが、クリーントーン中心なので、ほどよくバンドに溶け込んでいますかね。
 一番憂いを含んだ音がスチールパンかもしれません。
 微妙に立ち上がりが遅れきて、さらに微妙に消えゆくのが早い感じのパンの響きが、後ろ髪を引かれるようで、少々寂し気で、しかも優雅。
 パンの音は静かな泣き声のようにも聞こえます。
 ともあれ、そんなパンの音と、シンプルかつ強烈な推進力の元気なバンドとの対比が、何ともいい感じ。
 “Sakésho”は炎天下な感じ・・・と書いていたようですが、本作はそれとかつてのエアコンの効いたリゾートホテルな感じの中間的なイメージ。
 タイトルのイメージほど熱い感じでもはなく、ほどよく憂いを含んだ音。
 作品が進むにつれ少しずつ作風が変わっていっているのだと思いますが、よくできていますね。
 ま、それも聞く側の思い込みのせいなのかもしれませんが・・・
 とにもかくにも、とても心地いい、21世紀、現代的なカリビアンジャズフュージョン作品。



posted by H.A.


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