吉祥寺JazzSyndicate

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Lars_Jansson

【Disc Review】”The Time We Have” (1996) Lars Jansson

”The Time We Have” (1996) Lars Jansson
Lars Jansson (piano)
Lars Danielsson (bass) Anders Kjellberg (drum)

ラーシュ ヤンソン


 スウェーデンのピアニストLars Jansson。この頃のレギュラーベーシストが前掲のLars Danielsson。
 日本でも大人気、“Hope”(1999)あたりが一番人気なのでしょうが、私の好みはこれ。
 とても怖いジャケットに怯えつつも最初に聞いたこの人のCDってのもあるのかもしれませんが、たぶん一番テンションが高くて疾走感、グルーヴ感があるから。
 深刻系の冒頭曲など、高テンションな演奏がものすごくかっこいい。
 ECMのSteve KuhnやRichie Beirachに劣らないような緊張感、シリアスさ。
 その疾走感とテンションを支えているのがLars Danielsson。
 後続は少し緩くなりますが、冒頭曲の印象が強すぎて、てっきりそっち系の人だと思っていました。
 “Hope”に代表されるようなメロディアスな曲、端正な演奏が持ち味と気づくのは相当後のこと・・・

 余談ですが、Lars Jansson、10年ほど前、青山Body and Soulでのライブで、ニコニコしながらピアノの弦を叩きながら、どフリーを一曲やっていたのが印象的でした。
 眉間に皺寄せて、まなじり決して・・・ではなく、ニコニコしながら難解な音を出す。
 案外そんなものなのかもしれませんね。

※やはりこれですか・・・深刻系はYouTubeにも載っていないし・・・


posted by H.A.

【Disc Review】“Clouds In My Head” (1975)、“Shimri” (1976)、 “Green Shading Into Blue” (1978) Arild Andersen

“Clouds In My Head” (1975) Arild Andersen
Arild Andersen (bass)
Jon Balke (piano) Pål Thowsen (drums) Knut Riisnaes (sax, flute)

“Shimri” (1976) Arild Andersen
Arild Andersen (bass)
Lars Jansson (piano) Pål Thowsen (drums) Juhani Aaltonen (sax, flute, percussion)

“Green Shading Into Blue” (1978) Arild Andersen
Arild Andersen (bass)
Lars Jansson (piano, synthesizer, string ensemble) Pål Thowsen (drums) Juhani Aaltonen (sax, flute)

Green in Blue: Early Quartets
Arild Andersen
Ecm Records
アリルド アンデルセン 

※原盤は廃盤のようで、3枚を合わせたセットでどうぞ。



 ヨーロッパ系ジャズはもちろん、さまざまなところで活躍するベーシストArild Andersen、若き日の作品。
 原盤は廃盤のようで、 三作セットで再発されていますが、どれも素晴らしい作品。
 1980年代以降~近年の演奏ではごっつい感じの激しい系、ド派手なベース、妖しさ全開の音楽が目立ちますが、ここでは不思議系~エキサイティング系のヨーロピアンコンテンポラリージャズ。


 “Clouds In My Head” (1975)は、ハイテンションな不思議系ヨーロピアンジャズ。
 Arild Andersenの楽曲はこの時期から今に至るまで不思議系。
 哀愁系からメカニカル系まで多彩な楽曲揃い。
 そんな不思議なテーマをモチーフにした激しい系の演奏が印象に残ります。
 ノルウェーのピアニストJon Balkeは、クラシックの香りが強くメリハリの効いた、いかにも1970年代ECMな美しいピアノ。
 彼も不思議な演奏が得意なはずですが、ここでは端正でキレのある演奏。
 パタパタと多い手数で煽りまくるドラムと、激しく動くベースを背景にして、端正ながらぶっ飛んだ演奏を何曲も聞かせてくれます。
 あるいは漂うようなスローテンポでの演奏も、Keith Jarrettのような感傷的で激しい音使い。
 凄いピアニストです。
 素直なJon Balkeのカッコいいピアノを聞くには、この作品が一番いいのかもしれません。
 Coltrane的なサックスもこれまたエキサイティング。
 ベースの激しさは言わずもがな。
 “Death and the Flower”(Oct.1974) Keith Jarrettに近い時期の録音。
 Keith Jarrettのカルテットのように・・・なんて思いもあったのかもしれませんが、このメンバーでは一作のみ。
 メンバーを変えて、次作へと続きます。

 二作目の“Shimri” (1976)からは、ピアニストとサックスのフロント陣が変更。
 このアルバムが一番淡くて優しい色合いなので、一番のお気に入り。
 一曲目から全編ルバートの怪しい香りのする美しいバラード。
 キラキラしたピアノとちょっと歪んだ音が特徴的なエモーショナルなサックス、下を支えるベースとドラムが漂うように絡み合いながら、揺らぎのある空間を作る。
 全編を通じた心地よい浮遊感。
 止まりそうで止まらない、崩れそうで崩れない繊細な音。
 以降も少しもの悲しい美しくも怪しい楽曲が続きますが、暗さや深刻さはありません。
 前作に比べて明るく爽やか系な色合いが強くなっているように思います。
 ピアノのLars Janssonの印象も強いのでしょうかね?
 リーダーのベースは強烈なグルーヴ感や時折のド派手なソロはそのままに、全体的には少々抑え目のバランス。
 ジャズではあるけど1960年代以前の雰囲気や黒っぽさが無く、フュージョンのようでもあるけどアメリカンフュージョンとは全く異なるヨーロッパ系ジャズ特有の質感。
 リズムが柔らかいし、スケールやコードの使い方も何かが違うような・・・
 クラシックの色が強いのかもしれないし、各国の土着的なリズムやメロディが根底に流れているのかもしれません。
 美しくて、上品で、少々妖しく、スリリングな名作です。

 続く“Green Shading Into Blue” (1978)も前作と同じメンバー、同じ質感の素晴らしい作品。
 柔らかなビートと美しいピアノ、バイタル系のサックス、背後でウネウネと動きまくるベース。
 “Shimri” (1976)と比べるとビート感が強めでしょうか。
 サックスが前面に出る場面が目立ちます。
 柔らかさはそのまま、同質、同レベルの素晴らしいヨーロピアンコンテンポラリージャズ。 
 前作とどちらがいいは好みの問題だけでしょう。


 1970年代のこの種のヨーロピアンジャズ作品は、とても心地よくてカッコいい作品がたくさん。
 Eberhard Weber諸作Steve Kuhn諸作などなど。
 Keith Jarrett、Pat Methenyが人気がありすぎて目立たないのかもしれませんが、全く異質な素晴らしい作品群。
 1980年代からこの種の作品が少なくなっていくのは少々残念ですが、Eicherさんの志向が変わったのでしょうね・・・



posted by H.A.
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