吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Keith_Jarrett

【Disc Review】“The Mourning of a Star" (Jul.Aug.1971) Keith Jarrett

“The Mourning of a Star" (Jul.Aug.1971) Keith Jarrett

KKeith Jarrett (Piano, Tenor, Soprano Saxophone, Steel Drums)
Charlie Haden (Bass, Steel Drums) Paul Motian (Drums, Steel Drums)

流星<SHM-CD>
キース・ジャレット
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-06-21


 Keith Jarrett、摩訶不思議なトリオ作品。
 続くアメリカンカルテット事始めの“Birth" (Jul.1971)、“El Juicio (The Judgement)" (Jul.1971)と同時期のセッションと目されますが、世に出たのは一番不思議な本作が最初のようです。
 Ornette Coleman的フリー混じりのジャズからスタート。
 ピアノトリオに加えて、スチールパンの激しい音も加わるぶっ飛んだ演奏。
 短く美しいピアノソロをインタールードとして、続くメロディアスで美しいフォークロックは盛り上るか、と思いきや、あれれ?なフェイドアウト。
 さらに”Mysteries” (Dec.1975)で再演される名曲”Everything That Lives Laments”の不思議なほどコンパクトな演奏。
 笛と鐘のインタールードの後は、徐々にスピードが上がっていくビート感、気がつけばフリーへと突入していく激しいトリオ演奏。
 LPレコードB面はフォーキーなジャズロックから。
 爽やかな演奏ですが、なぜかこれまた唐突に終わります。
 続いて自身がサックスを吹くOrnette Coleman的トリオときて、タイトル曲ではフォーキーなジャズロックからゴスペルチックなリフレインへと遷移していく後々までの王道パターンが初?登場。
 美しくてドラマチックなカッコいい演奏。
 が、締めの美しいピアノで始まるバラードは、ベースソロで徐々にズレていくような雰囲気からピアノが正調に戻して、唐突に幕であれれ?
 最初から最後まで何かがズレている感じ、不思議感たっぷり。
 時に激しく、時に美しく、時に妙なジャズ。
 ぶっ飛んでいてカッコいいといえばその通り。




posted by H.A.


【Disc Review】“Ruta and Daitya" (May.1971) Keith Jarrett, Jack DeJohnette

“Ruta and Daitya" (May.1971) Keith Jarrett, Jack DeJohnette

Keith Jarrett (piano, electric piano, organ, flute) Jack DeJohnette (drums, percussion)

ルータ・アンド・ダイチャ [SHM-CD]
ジャック・ディジョネット
ユニバーサル ミュージック クラシック
2008-11-05


 当時のMilesバンド、そして現在まで共演が続く盟友のDuo。
 “Live Evil” (Dec.16-19,1970)よりも少し後、"Facing You" (Nov.1971)との間のセッション。
 リリースは"Facing You" (Nov.1971)と前後し、さらに“Solo Concerts:Bremen and Lausanne” (1973) の後のようですが、ECMレコードでの初制作だったのでしょう。
 この前後含めて、いつもの作品とは色合いが異なります。
 ジャズファンク、サイケ、エスニック、美しいバラード、フォークロック、フリージャズ、その他が入り混じる、不思議感たっぷりの演奏集。
 Milesバンド在籍中の時期だからといったこともあるのでしょうか、エフェクティングされたエレクトリックピアノが中心。
 パーカッションとのDuo演奏を中心に、一部でフルート、アコースティックピアノがフィーチャーされます。
 静かに鳴る鍵盤と静かにビートを出す打楽器。
 いい感じのメロディ、鋭いインプロビゼーションを散りばめつつ、不思議で穏やかな音の流れが続きます。
 ここまで、これからのKeith Jarrettの音楽が断片的にコラージュされたような演奏集。
 その意味ではコンボでの“Somewhere Before" (Aug.1968),“The Mourning of a Star" (Jul.Aug.1971)に通じるのですが、全く別テイストの淡く、さらにサイケな色合い。
 おそらく大ブレークはもう少し後。
 その前にしてこれを企画し世に出すECMレコードも凄い。
 さすがの慧眼。

※後のStandardsでの演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Gary Burton & Keith Jarrett" (Jul.1970) Gary Burton, Keith Jarrett

“Gary Burton & Keith Jarrett" (Jul.1970) Gary Burton, Keith Jarrett

Gary Burton (Vibraphone, Vocals) Keith Jarrett (Piano, Vocals)
Sam Brown (Guitar) Steve Swallow (Bass) Bill Goodwin (Drums)

Gary Burton & Keith Jarrett
Keith Jarrett & Gary Burton
Imports
2012-05-29


 Gary Burton、Keith Jarrettの双頭リーダー作。
 Keith Jarrettの曲が中心ですが、Gary Burtonな色合いが強いイメージ、彼のバンドに客演した形でしょうか。
 フュージョンの萌芽、ジャズロックの色合いの強い演奏集。
 ロックなビートに明るくポップな空気感。
 ギターもサイケ色も混ざるロックな感じ。
 それにKeith Jarrettな色合いであろう、フォークロック、あるいはゴスペルチックなテイスト、後の“Treasure Island” (Feb.1974)な感じも混ざりつつの新感覚なジャズロック。
 そんな中で突っ走り、あちこちを飛び交い、ときにフリーに突っ込んでいくピアノがカッコいい。
 が、決してそれに支配された感じにはならないGary Burtonサウンド。
 もちろんヴィブラフォンが全編で漂い、突っ走り、全体の音のイメージはGary Burton的。
 アルバム全体もさることながら、一曲の中でもGary Burton色とKeith Jarrett色がせめぎ合っていたりするのが何とも面白い。
 さすが両者とも若くしてお互いに引けを取らないスタイリスト。
 どっちにつけばいいのよ?なSam Brown・・・
 さて、この二人の相性は良かったのでしょうか?
 この後の共演は?
 さて・・・?




posted by H.A.


【Disc Review】“Somewhere Before" (Aug.1968) Keith Jarrett

“Somewhere Before" (Aug.1968) Keith Jarrett

Keith Jarrett (Piano)
Charlie Haden (Double Bass) Paul Motian (Drums)

サムホエア・ビフォー
キース・ジャレット・トリオ
ワーナーミュージック・ジャパン
2013-07-24


 Keith Jarrett、初期の人気作、トリオでのライブ録音。
 同メンバーの“Life Between the Exit Signs" (May.1967)の流れを引き継いだ少し変わったジャズ。
 冒頭、Bob Dylanをジャズで演奏しようなんて発想は、当時は珍しかったのでしょう。
 フォーキーな色合い、American Saudadeなセンチメンタルで懐かしい空気感。
 続くバラードは耽美、内省、タメた上で突っ走るロングフレーズ、あの“官能的”で美しいピアノ。
 Paul Bleyと双璧、Bill Evansでは聞かれなかった、モダンジャズから一歩踏み出したようなムード。
 さらに続くはOrnette Coleman的テーマからグシャグシャと崩れていくフリージャズはこの期の定番。
 そしてジャズロックにルバートなスローバラード、ラグタイム・・・
 後々まで続くスタイルの多くが提示され、ここで出ていないのはゴスペルチックなリフレインでドカーンと盛り上がるパターンと、クラシックに寄ったパターンぐらいでしょうか。
 さまざまな色合いてんこ盛り、ギュッとコンパクトに詰め込んだ演奏集。
 結果、印象がバラけてしまうのは止むを得ないのですが、そんなことは些末な話。
 人気作なのもさもありなん。




posted by H.A.


【Disc Review】“Restoration Ruin" (Mar.1968) Keith Jarrett

“Restoration Ruin" (Mar.1968) Keith Jarrett

Keith Jarrett (vocals, guitar, harmonica, soprano saxophone, recorder, piano, organ, electric bass, drums, tambourine, sistra)
& string quartet



 Keith Jarrett、1968年のフォークアルバム、リーダー作第二弾。
 この期から特別だったピアノも封印し、ギターとボーカルを中心とした完全なフォークな演奏集。
 穏やかなメロディ、時代感たっぷりの演奏、力の抜けた?ボーカル。
 後の作品中にも楽曲、インプロビゼーションともにフォークな色合いがしばしば登場しますが、そのメロディにフォーカスした作品・・・であれば・・・なのですが、これがKeith Jarrettだとわかる人は少ないのでは?
 全く違うムード。
 もちろんいつものジャズでの深刻なムードや耽美な空気感、アバンギャルドな音もありません。
 あくまで穏やか、ほのかなセンチメンタリズム、Saudadeな空気感。
 キャッチーでいいメロディが揃っているので、フォーク畑でもジャズ畑でも、自身でもいいから、誰かがカバーすれば、本作も名作扱いになったかも?
 過激な演奏の中にときおり現れるリリカルでフォークな感じ、実は頭の中ではこんな感じの音も流れていたのかあ、と思うと納得の一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Life Between the Exit Signs" (May.1967) Keith Jarrett

“Life Between the Exit Signs" (May.1967) Keith Jarrett

Keith Jarrett (Piano)
Charlie Haden (Double Bass) Paul Motian (Drums)

Life Between Exit Signs
Keith Jarrett
Rhino/Wea UK
2004-05-03


 Keith Jarrett、初リーダー作。
 時期的にはMilesバンド参加前、“Forest Flower” (1966) Charles Lloydなどで揉まれた後。
 新感覚のジャズ。
 モダンジャズとは違う雰囲気、かといってフリーでもなければロックでもない、クラシックにも寄らない不思議な質感。
 Bill Evans所縁のドラムとOrnette Coleman所縁のベースとのトリオ。
 サポートとしてはこれ以上ない顔ぶれを従えて突っ走るピアノ。
 中心となるオリジナル曲は、Ornette ColemanBill Evansの香りが漂うジャズ。
 テーマを提示してインプロビゼーションのジャズ王道のスタイルではあるのですが、その境目が曖昧というか、テーマとインプロビゼーションが入り混じるというか、そんな不思議な質感。
 意外なタイミングで加速し、イラついているようにも速度超過しているようにも聞こえる音の動き、あるいはフリーな展開になっても、なぜかピッタリと収まっていく、これまた不思議なタイム感。
 後々、現在までも続くあの感じが、強調されたイメージじでしょうか。
 それに合わせるお二方もこの期にして名人芸。
 タメた上で突っ走るロングフレーズ、いかにもこの人らしいいわゆる"官能的"な音使いもたっぷり、耽美なバラード演奏もこの期から。
 最初から特別なKeith Jarrettの記録は、美しくてちょっと変わったピアノトリオ。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Munich 2016” (2016) Keith Jarrett

“Munich 2016” (2016) Keith Jarrett

Keith Jarrett (Piano)

Munich 2016
Keith Jarrett
Ecm
2019-11-01


 Keith Jarrett、2016年のソロピアノ、ドイツでのステージ。
 各所のステージから編集され、静かで落ち着いた“Creation”(2014)以来のソロ演奏アルバムでしょうか。
 21世紀に入ってからの短い演奏で区切っていくスタイルですが、前作とはイメージが異なります。
 インプロビゼーション12編とスタンダード三曲。
 序盤は少々抽象的なイメージ。
 何かがゆったりと崩れていくような動きから一気に強烈な疾走、さらに重厚で陰鬱な低音が鳴り響く重々しい展開。
 そこを抜けると淡く穏やかに、さらに徐々に明度も上がりメロディアスに。
 荒天が収まっていくように、周囲の景色、空気感は変わっていきます。
 ゴスペル~フォークロックなバラード風あり、“Treasure Island” (Feb.1974) 風あり、幻想的なバラード風あり。
 後半CD二枚目は穏やかで美しいバラードからスタート。
 ゆったりと丁寧に置かれていくメロディ。
 短くブルースを挿んで、柔らかな音、静かで繊細な演奏が続きます。
 序盤のような荒天には戻りません。
 そして、短い疾走曲ともにインプロビゼーションは幕。
 締めにはゆっくりとメロディを置いていく“The Melody At Night, With You” (1998)スタイルのスタンダード演奏三連発。
 “The Köln Concert” (Jan.1975)とも、“La Scala” (Feb.1995)とも、“Radiance” (Oct.2002)とも、“Creation” (2014) とも違った印象のソロ演奏。
 序盤の気難し気な雰囲気に緊張し不安になりつつも、後半の穏やかで明るい音で解放される前向きな展開。
 構成からすれば“Rio” (Apl.2011)、その演奏が抑制され、柔らかく淡い色合いになった感じでしょうか。
 ジャケットは少々の黒い雲はあれど穏やかで爽やかな青空。
 中盤から後半に向けて、その写真そのままな音。
 そんなKeith Jarrett。




〇:ソロ作品
 (May.1967)   “Life Between the Exit Signs"
〇(Mar.1968)   “Restoration Ruin"
 (Aug.1968)   “Somewhere Before"
 (Jul.1970)  “Gary Burton & Keith Jarrett"
 (May.1971)   “Ruta and Daitya"
 (Jul.1971)  “El Juicio (The Judgement)"
 (Jul.1971)  “Birth"
 (Jul.Aug.1971) “The Mourning of a Star"

〇(Nov.1971) "Facing You"
 (Apl.1972) "Expectations"
 (Jun.1972) "Hamburg '72
 (Nov.1972)   “Conception Vessel”    Paul Motian
 (Feb.1973) "Fort Yawuh"
 (Feb.1973) "In the Light"
〇(Mar.Jul.1973) ”Solo Concerts:Bremen/Lausanne” 
 (Feb.1974) “Treasure Island” 
 (Apl.1974) Belonging” 
 (Apl.1974) “Luminessence” 
 (Oct.1974) Death and the Flower” ,“Back Hand” 
〇(Jan.1975) The Köln Concert” 
 (Feb.13.1975) “Solo Performance, New York ‘75” 
 (Jun.1975) "Gnu High"   Kenny Wheeler 
 (Oct.1975) Arbour Zena” 
 (Dec.1975) Mysteries” 
 (???.1975) Shades” 
 (Mar.1976) Closeness”  Charlie Haden
 (Apl.1976) The Survivor's Suite” 
〇(May.1976) Staircase” 
 (May.1976) Eyes of the Heart” 
 (???.1976) “Hymns/Spheres” 
 (Oct.1976) Byablue”、“Bop-Be” 
〇(Nov.1976) Sun Bear Concerts” 
 (Jun.1977) “Ritual” 
 (Feb.1977) Tales Of Another” Gary Peacock 
 (Oct.-Nov.1977) “My Song"    
 (Apl,16-17.1979) “Sleeper”, “Personal Mountains” 
 (May,1979) Nude Ants:Live At The Village Vanguard
 (1979,1980) "Invocations/The Moth and the Flame"
 (Mar.1980) "G.I. Gurdjieff: Sacred Hymns", "The Celestial Hawk"

〇(May.1981) ”Concerts:Bregenz” 
〇(Jun.1981) ”Concerts:Munchen
 (Jan.1983) Standards, Vol. 1”、“Standards, Vol. 2” 、“Changes
 (May-Jul.1985) "Spirits"
 (Jul.1985) "Standards Live"
 (Jul.1986) "Still Live", "Book of Ways", "No End"
 (Feb.1987) "Well-Tempered Clavier I"
〇(Apl.1987) "Dark Intervals"
 (Oct.1987) Changeless” 
〇(Oct.1988) Paris Concert
 (Oct.1989) ”Standards in Norway” 
 (Oct.1989) “Tribute”
 (Apl.1990) “The Cure”
〇(Sep.1991) “Vienna Concert
 (Oct.1991) “Bye Bye Blackbird”
 (Sep.1992) “At the Deer Head Inn”
 (Mar.1993) “Bridge of Light”
 (Jun.1994) “At the Blue Note”
〇(Feb.1995) “La Scala
 (Mar.1996) “Tokyo '96”
〇(Oct.1996) “A Multitude of Angels” 

〇(1998)   “The Melody At Night, With You” 
 (Nov.1998)  "After The Fall"
 (Jul.1999) “Whisper Not”
 (Jul.2000) “Inside Out” 
 (Apl.2001) “Yesterdays”
 (Apl.2001) “Always Let Me Go”
 (Jul.2001) “My Foolish Heart”
 (Jul.2001) “The Out-of-Towners”
 (Jul.2002) “Up for It”
〇(Oct.2002) “Radiance
〇(Sep.2005) “The Carnegie Hall Concert
 (2007)   ”Jasmine”, “Last Dance
〇(Oct.2008) “Testament
 (May.2009) “Somewhere”
〇(Apl.2011) “Rio
〇(2014)   “Creation
〇(2016)   “Munich 2016” 

posted by H.A.

【Disc Review】“La Fenice” (2006) Keith Jarrett

“La Fenice” (2006) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)

LA FENICE
KEITH JARRETT
ECM
2018-11-02

 Keith Jarrett、ソロピアノコンサートの未発表音源。
 2006年、公式ソロアルバムでは“The Carnegie Hall Concert” (Sep.2005), “Testament” (Oct.2008)の間、“Jasmine”, “Last Dance” (2007)の少し前、場所はイタリア、ベニス。
 イタリアといえば壮絶な”La Scala” (Feb.1995)を想い起こしますが、本作はその色合いと前掲の21世紀に入ってからの短めの演奏で構成するスタイルが入り混じります。
 冒頭、十七分を超えるPart I、短いPart IIは激しく徘徊するような抽象度の高い演奏、そしてとまどうように間を開けた観客の拍手。
 続くフォークロックなPart III、ゆったりとした美しいメロディのPart IV、強い躍動感、少しズレたようなジャズPart Vで前半は幕を閉じます。
 後半の冒頭Part VI、クラシックなスタートから桃源郷に向けての変化していくような音の流れは、あの”La Scala” (Feb.1995)になるか?と期待させつつも、十分を超える演奏は静かに不思議感たっぷりに終わります。
 続いて美しいクラシック曲”The Sun Whose Rays”、クラシックとジャズとフォークロックを混ぜ合わせたようなPart VII、ミディアムテンポのブルースPart VIII、締め?あるいはアンコール1は穏やかにメロディを置いていくスタイル、“The Melody At Night, With You” (1998)にも収録されていた”My Wild Irish Rose”。
 そしてアンコール2?は突っ走る”Stella By Starlight”、さらに最後は”Belonging” (Apl.1974)収録の”Blossam”。
 いろいろな展開はあるものの、やはり一番近い演奏は近い時期の“The Carnegie Hall Concert” (Sep.2005)あたり、21世紀型Keith Jarrettのスタイルなのでしょう。
 ときおり顔を出す1970年代のような疾走、そして最後の最後に静かに置かれていくあの ”Blossam”のメロディ、それだけで涙ちょちょ切れてしまうのは懐古趣味なのでしょうか?
 いずれにしても発表済みの同時期の諸作に劣らない好演、その貴重な記録。 





posted by H.A.

【Disc Review】“Creation” (2014) Keith Jarrett

“Creation” (2014) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano)
 
Creation
Keith Jarrett
Ecm Records
2015-05-12
キース ジャレット

 Keith Jarrett、2014年、トロント、東京、パリ、ローマでのステージからダイジェストされたソロピアノ。
 “La Scala” (Feb.1995)に代表されるような1990年代のソロピアノは、各パートの終盤に収められているとても美しいメロディを創り出すために長尺な試行錯誤を続けているイメージ。
 一方、2000年以降のソロピアノは短いパートに分かれ、難解、抽象的な展開も多い中に美しいメロディ、パートが散りばめられている構成。
 もし美味しい所だけを集めたらキャッチーな作品になるのだろうとは思っていました。
 が、さすがにそれをやると、天から降りてきたようなメロディを生み出す過程が見えなくなるのでやらないだろう・・・
 と思っていたのですが、それに近いことをついにやってしまいました。
 それが本作。
 タイトルは、まさにその意味、即興を通じて創造されたメロディ、演奏の意味なのでしょうかね?
 が、単にベストな演奏を集めたといった感じではなく、静かで敬虔なイメージで統一されています。
 元のステージの様子はわかりませんし、必ずしもキャッチーな部分を集めたものではなく、何らかのテーマをもって編集されているのでしょう。
 ここまでのソロピアノ作品の中でも少し異色な作品。
 拍手もカットされています。
 全9編、各々10分弱、全編スローバラード。

 “Part. 1”はゆったりとしたテンポ、少し重苦しいムードの祈るような展開。
 “Part. 2”では少し軽くなりますが、引き続きの祈るような敬虔な音の流れ。
 “Part. 3”~ “Part. 4”はメロディの形が明確になりそうでなり切らないバラード演奏。
 “Part. 5”でようやくはっきりとしたメロディのバラード。
 少し懐かしげな表情の穏やかな演奏、切ないような優しいような複雑な表情、冒頭からグラデーションをつけながら徐々に中盤の締め“Part. 5”に向かって組み立てられていいるようにも思われます。
 “Part. 6”はきらめくような高音の高速なパッセージから、センチメンタルなメロディ、漂うようなスローな演奏からスタート。
 新たな物語が始まったようにも聞こえるし、“Part. 5”からの続きのようにも聞こえるし、強めのタッチ、少し重さはありますが、明るいような切ないような、これまた複雑な表情。
 “Part. 7”は波が寄せては返すような演奏。
 明確なメロディの提示はありませんが、悲し気な表情を見せながらドラマチックな構成。
 “Part. 8”は少しアブストラクト、少し苦し気な音の流れを経て、前向きでメロディアスな“Part. 9”へ。
 これ見よがしな美メロではなく、淡い色合いのバラード。
 ドラマチックながら、とても穏やかな表情で幕を閉じます。

 全体の印象は少し重め、前作“Rio” (Apl.2011) で戻ってきたようにも感じた1970年代を想い起こさせるようなタメと高速なフレーズが交錯する場面もありません。
 抽象的で激しい演奏は採用されていませんが、派手だったり甘かったりするメロディも採用されていません。
 全編通じて穏やかで敬虔なムード。
 2014年のKeith Jarrettの意識はそんな感じだったのでしょう。
 たぶん。

 



posted by H.A.

【Disc Review】“Rio” (Apl.2011) Keith Jarrett

“Rio” (Apl.2011) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano)
 
Rio
Keith Jarrett
Ecm Records
2011-11-08
キース ジャレット

 Keith Jarrett、2011年、ブラジルでのソロピアノ。
 本作も21世紀型のソロピアノ、短めの楽曲を次々と演奏していくスタイル。
 ブラジルのイメージ、ジャケットのムードから明るくて陽気かも・・・とはなりません。
 前半は重い感じです。
 やはり“The Carnegie Hall Concert” (Sep.26.2005), “Testament” (Oct.2008)と同じ感じの21世紀型か・・・と思いきや、CD二枚目に明るい演奏がたっぷりと収められています。

 冒頭、” Part 1”は甘いメロディを排したフリージャズ~現代音楽のような展開。
 ぶっ飛んだような激しい音。
 “Part 2”、ゆったりとしたテンポの中から美しいメロディが見え隠れするような展開となりますが、まだもどかし気に試行錯誤しているようにも聞こえます。
 続く“Part 3”は不思議なワルツ。
 ビートが入って音の流れが少しずつ軽快になっていきますが、左手が不思議なコードを奏で続け、重いムードは抜けません。
 “Part 4”でジャズバラード風の演奏、” Part 5”は“Treasure Island”(Feb.1974)風の軽快で明るいフォークロック。
 ようやく陽光が見えてきた感じですが、右手は軽快にメロディを奏でるものの、なぜか左手を中心とした重いムードはまだ抜けず、それは“Part 6”でも続きます。
 まだ上空の重々しい雲はなくなっていません。

 CD二枚目に入って“Part 7”は漂うようなムードのセンチメンタルなバラード。
 ここで重いビートが消えるとともに、メロディが明確になり、1970年代が想い起こさせるようなタメと高速なフレーズが交錯する素晴らしいインプロビゼーション。
 ようやく本当に陽光が差し始め、楽し気なワルツの“Part 8”を経て、得意の日本的な音階が散りばめられた雅な感じのバラード、とても美しい” Part 9”に展開します。
 この“Part 7”, “Part 8”,“Part 9”がこのステージのピークの一つでしょう。
 それを求めて試行錯誤し、ここで第一部が結実、完了したようにも聞こえます。

 それに安堵した?かのように”Part 10”から再び抽象的な音の流れが始まります。
 鬼神のような激しい演奏ですが、前半のような重さはなくなっているようにも感じます。
 軽快なブルース“Part 11”、思索的な“Part 12”を経て、もう一つのピークが“Part 13”。
 とてもセンチメンタルなメロディとタメと疾走の交錯。
 やはり1970年代 Keith Jarrettが戻ってきたかのような素晴らしい演奏。
 明るいフォークロックな“Part 14”から、最後はとてもセンチメンタル&ドラマチックな美しいバラード“Part 15”。
 ”Part 10”から第二部が始まり、“Part 13”, “Part 14”, “Part 15”の創造、またはゴールを目指して試行錯誤をしていたようにも思えます。
 とても素晴らしい、美しく前向きなエンディング。
 気が付けば空は晴れ渡り、ジャケットのような明るいムード。

 これが2010年代型 Keith Jarrettのソロピアノの形かも・・・と思っていましたが、次作“Creation” (2014)を聞く限りは、見事に読みを外しましたかね・・・




posted by H.A.


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