“Bordeaux Concert” (2016.7.6) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano)
Keith Jarrett、2016年、フランスのステージでのソロピアノ。
既発の同年同月の演奏“Budapest Concert” (2016.7.3)、“Munich 2016” (2016.7.16)の間のステージ。
それらに似た構成。
激しく抽象的で長尺な序盤、表情の違うコンパクトな演奏、緩急、軽重を織り交ぜながら穏やかな空気感に転じていく中盤、メロディアスでフォーキーな表情が増える終盤。
“Rio” (Apl.2011)あるいは“Creation” (2014)あたりからの構成。
この期のヨーロッパツアーの記録、リリカルで柔らかな1970年代“The Köln Concert” (1975)~“Sun Bear Concerts” (1976)、ハードでアートな“La Scala” (1995)~“A Multitude of Angels” (1996)に対して、少し硬質で次々と景色が変わる2010年代型のシリーズになってくるのかもしれません。
ともあれ、この日の演奏、序盤はいきなりトップギアに入った激烈疾走系~混沌とした長尺な演奏から始まります。
それを抜けると重々しい展開の時間は短く、メロディアス、フォーキーモードへの遷移が早い感じでしょうか。
リリカル系、センチメンタル系、あるいは祈り系など、めまぐるしく展開し、この期のお約束のブルースの挿入も早々の中盤。
終盤はテンポを落としてセンチメンタルなメロディの連発、祈り系を経て、穏やかに厳かに大団円。
結果、全体を通じてぶっ飛び度は低め、カラフルな印象。
深刻で混沌なスタートから、次々と現れる起伏の中、徐々に不安が解消されつつハッピーエンド・・・、でありながら含みを持たせた映画な感じ。
ジャケットは、薄曇りの“Budapest Concert”と青空の“Munich 2016”に対して、タイトル通りのボルドー色、少々重め。
演奏はそこまで暗く重い感じではありません。
そんな2016年7月のヨーロッパでのドラマ、その一編。
〇:ソロ、除くクラシック ●:Standards
〇“Restoration Ruin"(Mar.1968)
“Somewhere Before" (Aug.1968)
“Gary Burton & Keith Jarrett" (Jul.1970)
“Ruta and Daitya" (May.1971)
“El Juicio (The Judgement)" (Jul.1971)
〇"Facing You" (Nov.1971)
“Sleeper” (Apl,16-17.1979)
“Personal Mountains” (Apl,16-17.1979)
"Invocations/The Moth and the Flame" (1979,1980)
"The Celestial Hawk" (Mar.1980)
〇”Concerts:Bregenz” (May.1981)
〇”Concerts:Munchen” (Jun.1981)
●“Standards, Vol. 1” (Jan.1983)
●“Standards, Vol. 2” (Jan.1983)
●“Changes” (Jan.1983)
"Arvo Part: Tabula Rasa" (Oct.1983,1984,1977)
〇"Dark Intervals" (Apl.1987)
●“Changeless” (Oct.1987)
“At the Deer Head Inn” (Sep.1992)
“Dmitri Shostakovich: 24 Preludes and Fugues op.87” (1992)
〇“Budapest Concert” (2016.7.3)
〇“Bordeaux Concert” (2016.7.6)
〇“Munich 2016” (2016.7.16)