吉祥寺JazzSyndicate

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Julia_Hulsmann

【Disc Review】“In Full View” (2012) Julia Hülsmann Quartet

“In Full View” (2012) Julia Hülsmann Quartet
Julia Hülsmann (piano)
Marc Muellbauer (double-bass) Heinrich Köbberling (drums)
Tom Arthurs (Trumpet, Flugelhorn)

In Full View
Julia Quartet Hulsmann
Ecm Records
2013-06-11
ジュリア・ハルスマン




 ドイツのピアニストJulia Hülsmann、イギリス出身のトランペッターを迎えたカルテットでのアルバム。
 ここまでのECMでのトリオ作品“The End Of A Summer” (Mar.2008)、“Imprint” (2010)と同様に、オーソドックスなようで少しズレた感じの不思議感はそのままに、シャープな躍動感があるジャズ。
 ピアノトリオのメンバーは不動ですが、ここまでの諸作と雰囲気が違うのはトランペットがほぼ全編で前面に出ていることで音の輪郭がシャープになっていること、半数ぐらいの楽曲をベースのMarc Muellbauerが提供していることもあるかもしれません。
 トランペットはクールなスタイリッシュ系。
 饒舌にして端正。
 録音の具合もありそうですが、少し線が細めの音、流麗にまとめていくタイプ。
 Miles Davisとは違うし、Paolo Fresu的であるけどそれとも違う、オーソドックスなようで個性的でカッコいい演奏の連続。
 リーダーは“Fasıl” (Mar.2008)の儚い感じのピアノではなく、トリオ諸作のように流麗で穏やかなピアノ、ECMのJulia Hülsmann。
 キリッとしたトランぺットにふわりとしたピアノ。
 フュリューゲールホーンになるとどちらもフワフワとした心地よい音。
 相性はバッチリ。
 分厚くない音の空間に、ホーンがキリッと立ち上がったり、フワフワと漂ったり、心地よい音。
 オーソドックスなようで、淡々と進んでいるようで、少しひねったメロディ、展開はこのバンドの色合い。
 ちょっと沈んだイメージの淡々とした演奏が続きます。
 それでも暗くはならない、あくまでクールな質感。
 さらにECMでは珍しく、素直な4ビートも含めて普通にジャズの香りがたっぷりと漂う音。
 何曲かのアップテンポ曲では上品なグルーヴ、うるさくはならないほどよいテンションのインプロビゼーション。
 もちろんECMなのでオーソドックではない妖しさとヨーロッパの香り、汗が出て来ない上品なテイスト。
 クールでスタイリッシュなヨーロピアン・コンテンポラリージャズ。
 オシャレな感じ・・・には、ちょっとひねくれているのかもしれません。
 本作のMVP?トランペットのTom ArthursもそろそろECMから来るかな?・・・ちょっと時間が経ち過ぎか・・・


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Imprint” (2010) Julia Hülsmann Trio

“Imprint” (2010) Julia Hülsmann Trio
Julia Hülsmann (piano)
Marc Muellbauer (double-bass) Heinrich Köbberling (drums)

Imprint
Julia Trio Hulsmann
Ecm Records
2011-03-29
 ジュリア・ハルスマン

 Julia Hülsmann、ECMでのトリオでは“The End Of A Summer” (Mar.2008)続く同じメンバーでの第二弾。
Fasıl” (Mar.2008) Marc Sinanも入れるならば第三弾。
 ECM、特殊なレーベルなので、合わせるのに時間がかかり、第一作より第二作がカッコいい・・・の法則があるように思っているのですが、この人の場合はどうでしょう?
 結論からすれば、前作と同様の色合い。
 明るき元気な・・・ではなく、いかにもECMな静かで妖しいジャズ。
 ビート感が強めになり、エキサイティング系な場面も増えてきていますが、不思議さは増幅しているかもしれません。
 予想したところに流れていかないメロディ。
 スケールやオーソドックスな流れから意図的にはずしているんだろうなあと思う展開。
 なんか変だなあ・・・と思っていると、気が付くと美しいピアノソロ、ベースソロに場面は変わっていて、カッコいいじゃん・・・ってな感じ。
 決して分厚くはない音、各楽器の粒立ちがよくて、美しいピアノとベース、ドラムが穏やかに絡み合う光景が見えるような音。
 各人のソロに入ると、なぜかテーマのメロディ、コード進行の不思議感は消えています。
 不思議系なのに難解さや気持ち悪さは一切なく、穏やかで優し気なのもこれまた不思議。
 メロディだけでなく、ビートもそんな感じ。
 複雑なのかもしれないけども、サラリとした上品なグルーヴが常時流れています。
 穏やかな迷宮・・・ってな感じで、もしそれを狙っているとすれば大成功。
 キツイ音がないので繰り返し聞けてしまうのもミソかも。
 なんだろなあ?・・・とか思いながら、ついつい繰り返して聞いてしまうのも前作に同じ。
 ECMマジックならぬ、Julia Hülsmannマジックにかかってしまっているのかもしれません。
 淡い色合いの前作“The End Of A Summer” (Mar.2008)、ビートも効いた本作、さらにシャープなのが“In Full View” (2012)、ってな感じかもしれません。
 いずれも不思議なECMのJulia Hülsmann。






【Disc Review】“Fasıl” (Mar.2008) Marc Sinan, Julia Hülsmann

“Fasıl” (Mar.2008) Marc Sinan, Julia Hülsmann
Marc Sinan (guitar) Julia Hülsmann (piano)
Marc Muellbauer (double-bass) Heinrich Köbberling (drums, percussion)
Yelena Kuljic (vocals) Lena Thies (viola)
 
Fasil
Marc Sinan
ECM
2009-03-24
マーク シナン 
ジュリア・ハルスマン 


 トルコ、アルメニアをルーツに持つギタリストMarc SinanとドイツのピアニストJulia Hülsmannとの双頭?リーダーアルバム。
 いかにもECM、無国籍でとても静かな妖しい音、女性ボーカルをフィーチャーしたコンテンポラリージャズ作品。
 ギターのMarc Sinanは、アラビアンなのか、スパニッシュなのか、クラシックなのか、なんとも形容しがたい無国籍な質感の寂寥感の強い音。
 あまり前面には出ませんが、時折の中近東的エキゾチックな音が印象的。
 もう一人のリーダー、Julia HülsmannはECM、ACTなどにたくさんの録音のある穏やかなピアニスト、ECMでは二作目。
 ピアノトリオでの“The End Of A Summer” (Mar.2008)と同月の録音。
 曲者ぞろいのECMにあっては癖や妖しさのない珍しいタイプだと思うのですが、本作は他の諸作と少し違います。
 いつものピアノトリオにエキゾチックなアコースティックギター、儚いボイス、ヴィオラが加わって寂寥感の塊のような音。
 楽曲はJulia Hülsmannのオリジナル曲を中心として、メンバー共作の即興的、中近東的な演奏、ほぼ全編がバラード。
 彼女のイメージとはちょっと異なる、少々暗め、寂し気で緊張感も高いメロディ。
 多くの楽曲でフィーチャーされるYelena KuljicはいかにもECMな儚い声。
 “Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstone、“So I Write” (1990) Sidsel Endresen、あるいは“Celestial Circle” (2010) Marilyn MazurのJosefine Cronholmのような、乾いた感じの寂寥感。
 加えて怖いくらいの切迫感。
 エキゾチックな感じもあるのですが、ドイツの人のようです。
 そのお三方を中心に展開される強烈な寂寥感、とても静かな無国籍ワールドミュージック的なジャズ。 
 何曲かにフィーチャーされるヴィオラも寂寥感を助長する役回り。
 Julia Hülsmannのピアノは相変わらず穏やかな感じで、強い自己主張はしませんが、要所のスケールアウト、舞い落ちるような高音が美しくて、儚い音。
 ACTでの“Scattering Poems” (2001,2002)のスムースでポップな人とは別人みたいだなあ・・・
 すっかりECMのJulia Hülsmann・・・
 というか、典型的なECM、エキゾチシズム、寂寥感、妖しさが強烈な、静かなコンテンポラリージャズ。

 大名作“Vespers”(2010) Iro Haarlaと似た感じのとても素敵なジャケット。
 あちらは北欧的な航空写真ですが、こちらはどこの国か分からない、夜の曇り空、少し沈んだ感じの美しい航空写真。
 そのポートレートそのままの音です。
 
 
 

posted by H.A.


【Disc Review】“The End Of A Summer” (Mar.2008) Julia Hülsmann Trio

“The End Of A Summer” (Mar.2008) Julia Hülsmann Trio
Julia Hülsmann (piano)
Marc Muellbauer (double-bass) Heinrich Köbberling (drums)
 
End of a Summer (Ocrd)
Julia Hulsmann
Ecm Records
2008-11-24
 ジュリア・ハルスマン

 ドイツのピアニストJulia Hülsmann、ECMでの第一作。
 しっとりしたムードの静かなジャズ。
 元気で明るいヨーロピアン・コンテンポラリージャズのかつての作品“Scattering Poems” (2001,2002)と同じトリオですが、さすがにECM、そうはなりません。
 冒頭から気怠い感じのメロディ。
 オーソドックスなようで何かズレたような不思議な感じのコード進行と、微妙にスケールアウトする静かなピアノの微妙な組み合わせの妙。
 疾走、グルーヴもできるはずなのに、あくまで穏やかに音を置いておくようなピアノ。
 全編そんな感じの淡くて不思議なメロディ、ゆったりとしたテンポの淡々とした音の流れが続きます。
 どの曲もコンパクトにまとめられていて、冒険らしい感じ、攻撃的な場面はありません。
 甘いメロディが見え隠れする場面は多いのですが、綿々としたバラードや妖しいムードの展開もありません。
 中盤でやっとジャンピーな演奏が出てきますが、あくまで上品に抑制された感じ、全体を見ても二曲だけ。
 ECMの真骨頂、ルバートでのスローバラードもあるかな?と思いつつも、それらしいのは中盤の短い“Sepia”一曲のみ・・・
 ・・・ってな感じで、淡くて曖昧な感じで刺激もない音なのですが、つまらないかといえばそうでもなく、繊細な感じ、全編通じて普通のようで少しひねられた感じが奥深そうでついつい聞き入ってしまう不思議なアルバム。
 本作はさらに沈んだ寂寥感の強いワールドミュージック的ジャズ“Fasıl” (Mar.2008) Marc Sinan, Julia Hülsmannと同月のセッション。
 本作もECMマジックに掛かったJulia Hülsmann・・・なのかな?

 別のレーベルからECMに移籍してきた人の一作目は地味になってしまうのが近年まで続く傾向のように思います。
 Stefano Bollani然り、Marcin Wasilewski然り、Tigran Hamasyan然り、Avishai Cohen然り、Wolfgang Muthspiel然り、・・・Aaron Parksなんて・・・
 この人も例に漏れず。
 以降の“Fasıl” (Mar.2008)、“Imprint” (2010)、“In Full View” (2012)で、以前とは違う方向で本領発揮といったところでしょうか。
 結果論ですが、わかるような気もします。
 いずれにしても“Scattering Poems” (2001,2002)の明るく元気なJulia Hülsmannには戻らないのでしょうね。

 


posted by H.A.  


【Disc Review】“Scattering Poems” (2001,2002) Julia Hülsmann Trio/Rebekka Bakken

“Scattering Poems” (2001,2002) Julia Hülsmann Trio/Rebekka Bakken
Julia Hülsmann (Piano)
Marc Muellbauer (Bass) Heinrich Köbberling, Rainer Winch (Drums)
Rebekka Bakken (Vocals)
 
SCATTERING POEMS
Julia H lsmann
Act Music + Vision

レベッカ・バッケン ジュリア・ハルスマン

 ドイツのピアニストJulia Hülsmann、ノルウェーのボーカリストを迎えたコンテンポラリージャズ作品。
 Julia Hülsmann、今はECM所属ですが本作は同じくドイツのACTから。
 後のECMでの諸作“The End Of A Summer” (Mar.2008)などでは抑制された穏やかなピアノ、ひねったコード展開の楽曲が特徴的なように思うのですが、ここでは躍動感が勝る演奏。
 上品で流麗な感じはこのからの色合いですが、ジャンピーなナンバー、エキサイティング系のソロまでカッコよく決めています。
 クラシックの香りと時折これまた上品にスケールアウトするヨーロピアンコンテンポラリージャズの教科書のようなピアノ。
 強烈な癖が無い分、スムース、さらにはしなやかなグルーヴ感と疾走感。
 考えてみれば完璧なピアニスト、欠点は癖や妖しさが無いことぐらい。
 ボーカルのRebekka Bakkenはジャズっぽくありませんが、極めて透明度の高い声と、上品でサラリしているようで、強いビブラートのインパクトの強い歌。
 さらに上品なグルーヴを出すドラム、ベースと相まって、とても洗練された明るいヨーロピアンジャズ。
 楽曲はJulia Hülsmannのオリジナル曲が中心、後のひねった感じはあまりなく、キャッチーでポップささえも感じるメロディ、音作り。
 基本的にはアコースティックなジャズですが、オーバーダビングされたコーラスの場面などとてもポップでいい感じ。
 さわやかだし、グルーヴはあるし、明るいし、上品だし、とてもいい感じのヨーロピアンコンテンポラリージャズ、ボーカル作品。
 この人、こっちのレーベルの方が合っていたんじゃないのかなあ・・・?
 ・・・と、思ったり、思わなかったり。




posted by H.A.  

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