“Discourses” (2019) Jon Balke
ノルウェーのピアニストJon Balkeのソロ作品。
先端系、フリー系も多い近年のノルウェージャズの親分のひとりなのでしょう。
本作は、未来的先端系ファンクジャズでも、コンボ~ビッグバンドでの疾走するジャズでも、中近東~地中海エスニックでもない、“Book of Velocities” (2007) あたりと同じ雰囲気、クラシカルな色合いを纏ったピアノの独奏。
本作は、未来的先端系ファンクジャズでも、コンボ~ビッグバンドでの疾走するジャズでも、中近東~地中海エスニックでもない、“Book of Velocities” (2007) あたりと同じ雰囲気、クラシカルな色合いを纏ったピアノの独奏。
フリーなインプロビゼーション集なのかあらかじめ準備された楽曲なのかはわかりませんが、短く刻まれる演奏集、全16編。
少し沈んだムード。
緩急、内省的な感じと外に向かう感じが交錯しつつ、あくまで静かに流れていく音。
Keith Jarrettほど激しくはなく、Paul Bleyほど甘美でも感傷的でも尖った感じでもない、クールな質感。
抽象的なフレーズが多いわけではないのだけど、揺れ動くビートもあわせて、どこに向かうのか判然といない不思議な音の流れ。
そんな音の動きの中から見え隠れする美しいメロディの断片。
ときおり控えめな電子音なども交えつつ、何かが見てきそうで、やはり抽象的で、いつの間にか終わる音。
そんな演奏が続きます。
甘くはならず、かといって不可解でもなく、戯れのような軽さはなく、かといって深層を覗き込むような怖さもなし。
そんな微妙なバランスが結構聞き易かったりします。
ベタつかない美しさがクールな一作。
ベタつかない美しさがクールな一作。

posted by H.A.