吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Jan_Garbarek

【Disc Review】“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen

“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone) Bobo Stenson (piano , Electric Piano) Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)
 
Sart
Universal Music International Ltda.
1989-09-04

 北欧のスーパーアーティスト、若き日の彼らが結集したバンド。
‎ ”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan GarbarekのメンバーにピアニストBobo Stensonが加わる形。
 同時期このアルバムのリズム隊で名作“Underwear” (1971) Bobo Stensonが制作されています。
 流れからすれば”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) Jan Garbarek, Bobo Stenson Quartetの予告編的な感じではありますが、ジャズ的な色合いが強いそれよりも過激。
 サイケで陰鬱で沈痛な音。
 ワウをかけたギターのサイケなリフからスタート。
 ゆったりしたヘビーなリフは“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisのタイトル曲を想起しますが、それに透明度の高い美しいピアノが絡みつき、地の底から這い出てくるようなテナーがクダを巻く・・・ってな感じの不思議なムード。
 激しくロック的になりそうなバンドを、背景で美しく鳴るピアノがノーブルな世界に引き留めようとしている・・・ってな感じの妙なバランス。
 ヘビーな印象の楽曲を含めて、全体を牽引するのはJan Garbarekなのでしょう。
 もちろん後まで続く彼のハイテンションな音ですが、フリージャズ的な音の流れが多く、後期John Coltrane、あるいはArchie Sheppの影響が多大だったんだなあ、と改めて思ったり。
 その他、エレピとフルートが後の“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaっぽい場面があったり、Ornette Colemanっぽい曲があったり、ズルズルグチョグチョなギターが前面に出る場面はJimi Hendrixっぽかったり。
 一曲のみのアコ―スティック4ビート曲“Irr”でのArild Andersenの凄まじいベースは45年後の今日まで続く彼の音。
 もし彼がJan Garbarek, Bobo Stenson Quartet、あるいは“Belonging” (Apl.1974) Keith Jarrettに参加していたら、もっと凄いことになったんだろうなあ、と思ったり。
 Bobo Stenson美しく切れ味鋭いピアノもこの時点から。
 Terje Rypdalの適当な居場所がなさそうで、フィーチャーされるのはわずかのみ。
 アコースティックなバンドでズルズルグチョグチョなギターがどこまで映えるのか、あるいは、もしJimi Hendrixがウッドベース入りのジャズバンドを従えて演奏したら・・・ってな妄想が出来たりも・・・
 ってな感じで、なんだかわけのわからないフリージャズ的音楽、といったことではなくて、1970年前後のクリエイティブ系な要素をいろいろ集めて消化中、あるいはそれらの結節点的な作品、といった感じでしょうか。
 この後、Terje Rypdalはドラマチックロックな我が道を行き、Arild Andersenは“Clouds In My Head” (1975)などのジャズフュージョン路線、Jan Garbarek, Bobo Stenson, Jon Cristensen はいかにもECMなハイテンションジャズ”Witchi-Tai-To” (Nov.1973)、さらにはKeith Jarrettとつながり、“Belonging” (Apl.1974)へと歩を進めます。
 やはり結節点、あるいは分岐点的な作品ですかね、たぶん。




 posted by H.A.


‎【Disc Review】”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet

‎”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone)
Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)

Afric Pepperbird
Universal Music International Ltda.
1990-10-01

 
 ノルウェーのサックスJan Garbarekの初期作品。
 ECMとしても初期、発足して一桁台の作品でしょうか。
 北欧人脈でのアバンギャルドなファンクジャズ、あるいはフリー的ジャズ。
 ロック色ファンク色も強いのですが、“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisの色合いでもない、不思議なバランスの一作。
 フリージャズが半分ぐらいですが、一つのリフをひたすら繰り返すジャズファンクの流儀も目立ちます。
 ヒタヒタと迫ってくるようなJon Cristensenお得意のビートは“Bitches Brew”のJack Dejohnette的ではあります。
 モードからジャズファンクへの変化の途上、ロック色を強く取り入れる途上、John Coltrane的、Ornette Coleman的フリージャズ、さらにはエスニックテイストも取り入れつつ、新しいスタイルを模索中といったところでしょうか。
 リーダーのサックスはやりたい放題。
 後の作品では絶叫、フリーキーなフレージングは多用しても、音色自体は綺麗な人だと思っていたのですが、この期では妙な音も使いまくり。
 肉声っぽい音を混ぜたり、サックスなのか何なのかわからないDewey Redman的な妖し気な音、時には後期John Coltrane的な絶叫があったり・・・
 Archie Sheppのようなザラついた歪んだ音で吹き倒す場面も多く、この人にしては珍しい感じ。
 ビートの作り方含めて、意外にもArchie Sheppからの影響が強かったのかあ・・・と思ったりもします。
 Terje Rypdal はディストーションを使ったズルズルなハードロックギターではなく、クリーントーンでのサイケなフレージング。
 妖しさ120%。
 ギンギンなギターを主力にしたのは、この後なのでしょうかね?
 プログレッシブロックな曲もあるのですが、あくまでジャズっぽいのはベースとドラムのビート感ゆえでしょう。
 恐ろし気なメンバーでの激しい音楽ですが、後の作品”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) あたりの方が怖いというか、緊張感は上かもしれません。
 ECMとしてもレーベルカラー作り、新しい音を求めての試行錯誤の途上だったのでしょう。
 さまざまな要素の寄せ集めのようでアルバムとしてもまとまっているのは、さすがJan Garbarekというか、ECMというか。
 1970年代当初のドロドロとした空気感を想像するにはちょうどいい感じのアルバムなのでしょう。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Madar” (1992) Jan Garbarek, Anouar Brahem

“Madar” (1992) Jan Garbarek, Anouar Brahem
Jan Garbarek (soprano, tenor sax) Anouar Brahem (oud)
Ustad Shaukat Hussain (table)

Madar
Jan Garbarek
Ecm Records
ヤン ガルバレク
アヌアル ブラヒム

 Jan Garbarek、チュニジア出身のウード奏者Anouar Brahemとの共演作。
 タブラのUstad Shaukat Hussainはインドの人。
 “I Took Up the Runes”(Aug.1990) “Twelve Moons” (1992) の間、北欧民族系のテイストを取り入れた佳作を連発する充実期の録音。
 Anouar BrahemはすでにECMで何作かを制作済み、次作がフランス人脈との“Khomsa” (1994)。
 楽曲がAnouar Brahem中心、おそらく彼を前面に出そうとする作品なのでしょう。
 想像通りに不思議なエスニックテイスト全開、インド~中近東のイメージが錯綜する無国籍な感じ。
 乾いていてもの悲しい音色のウードと、淡々としたタブラの相性は抜群。
 お国、地域は違うのでしょうが、何かしらの共通点、ルーツが同じところにあるのかもしれません。
 速いビートであっても激することない淡々とした音の流れ。
 その中に立ち上がるJan Garbarekの激情サックス。
 ビート感と音量が上がり、バンド全体も激情の世界へ。
 テンションは上がり、ウードも高速なフレーズを展開しますが、訥々とした音色が発する寂寥感は消えません。
 Jan Garbarek、Anouar Brahem二名のフリーインプロビゼーションでもその色合いは同じ。
 激情をぶちまけるような激しいサックスと、それに呼応しながらも訥々とした音、しかし流麗なウード。
 感情を吐露するJan Garbarekを諭す聖人Anouar Brahem・・・なんて構図に見えなくもありません。
 終始流れる哀感と寂寥感。
 宗教的なメッセージがあるのかどうかは分かりませんが、どこか陶酔感を誘う瞑想的な音。
 いやはやなんともクリエイティブ。
 これまたECMの真骨頂。




posted by H.A.

【Disc Review】“In Praise of Dreams” (2003) Jan Garbarek

“In Praise of Dreams” (2003) Jan Garbarek
Jan Garbarek (Tenor, Soprano Sax, Synthesizer, Sampler, Percussion)
Manu Katché (Drums, Electronic Drums) Kim Kashkashian (Viola)

In Praise of Dreams
Jan Garbarek
Ecm Records
ヤン ガルバレク 


 Jan Garbarek、少し期間を空けての作品。
 ドラムとビオラとの変則トリオ。
 シンセサイザーを中心としたデジタル臭が強め、幻想的な背景。 
 少し現代的な感じですが、北欧的エスニックの香りはここでも残っています。
 その中での優しげなサックスとビオラの絡み合い。
 明るい音を作る盟友Eberhard Weberはここにはいませんが、それでも明るく優しい質感。
 全体を漂う浮遊感はむしろ強めでしょう。
 ここにはかつての全身全霊をかけて叫ぶようなJan Garbarekはもういません。
 激情も熱狂も、ジャズのスウィング感もありません。
 ただただ穏やかな音の流れ、微かな揺らぎと、微かな高揚感があるのみ。
 タイトル通り、少し現実から離れた夢の楽園、静かで優しいJan Garbarek。


 この後、客演は少なくないものの、リーダー作はライブ作品“Dresden”(2009)までなし。
 最新の客演“Hommage A Eberhard Weber”(2015)を聞く限りまだまだ元気、というよりまたハイテンションに戻った強烈な音。
 なんだかんだで昔のままの音のように思います。 





 さて、中心作品を並べてみると・・・
 激しかったり、陰鬱だったり、鎮痛だったり、怖かったりする、エキセントリックな感も強い1970年代。
 ECM系の中心的人脈とは一通り共演している感じですが、1978年にEberhard Weberと組んで少々明るくなり、 1980年代中盤ぐらいから優しくなっていき、インド系の人と組んだ頃から作曲、サウンド作りが変わったように感じます。
 “Visions” (Apl.1983) Shankarあたりが転機ではないのかなあ?
 その後、北欧民族色を前面に出し、今に至る、ってな感じでしょうかね。
 まあ、凄いサックス奏者、アーティストであることは間違いありません。
 私的には“StAR” (1991)などの徹底的に優しい系が好みではありますが・・・

(1969)     “Esoteric Circle”
(1970)     “Afric Pepperbird
(1971)     “Sart
(1972)     “Triptykon”
(Nov.1973)   “Red Lanta” Art Lande
(Nov.1973)   “Witchi-Tai-To” with Bobo Stenson
(Dec.1974)   “Solstice” Ralph Towner
(1974)     ”Belonging”Keith Jarrett
(1974)     “Luminessence” Keith Jarrett
(Oct.1975) “Arbour Zena” Keith Jarrett
(Nov.1975) “Dansere” with Bobo Stenson
(1976)   “Dis” with Ralph Towner
(Feb.1977) “Solstice/Sound and Shadows” Ralph Towner
(Jul.1977)     “Deer Wan”  Kenny Wheeler
(Oct.Nov.1977) “My Song" Keith Jarrett
(Nov.1977) “Sol Do Meio Dia” Egberto Gismonti
(Dec.1977) “Places” with Bill Connors, John Taylor
(Dec.1977) “Of Mist and Melting” Bill Connors 
(Dec.1977) “December Poems" Gary Peacock
(1978)   “Photo with ...” with Bill Connors, John Taylor, Eberhard Weber
(Apl.1979)  ”Sleeper”,”Personal Mountains” Keith Jarrett
(May.1979) ”Nude Ants:Live At The Village Vanguard” Keith Jarrett
(Jun.1979)  “Magico” Charlie Haden
(Nov.1979) “Folk Songs” Charlie Haden
(1980)   “Aftenland” with Kjell Johnsen
(1980)   “Eventyr” with John Abercrombie and Naná Vasconcelos
(Apl.1981)  “Magico: Carta de Amor” Charlie Haden
(Aug.1981) “Voice from the Past – Paradigm” Gary Peacock
(Nov.1981) “Cycles” David Darling
(Dec.1981) “Paths, Prints” with Bill Frisell
(Mar.1983) “Wayfarer” with Bill Frisell, Eberhard Weber ↑ここまではキツめ
(Apl.1983)  “Visions” Shankar             ↓この辺りから優しめ 
(Sep.1984) “Chorus” Eberhard Weber
(Sep.1984) “Song for Everyone” L. Shankar
(Dec.1984) “It's OK to Listen to the Gray Voice” with David Torn
(Aug.1986) “All Those Born With Wings” 
(Dec.1986) “Making Music” Zakir Hussain 
(Mar.1987) “Guamba” Gary Peacock
(1988)   “Legend of the Seven Dreams” with Rainer Brüninghaus ↓北欧エスニック
(1989)   “Rosensfole” with Agnes Buen Garnås
(May.1990) “Ragas and Sagas” with Fateh Ali Khan
(Aug.1990) “I Took Up the Runes”   名作! 
(1990,1991)  ”Living Magic” Trilok Gurtu
(1991)    "Alpstein" Paul Giger
(1991)    “Music For Films" Eleni Karaindrou
(1991)    “StAR” with Miroslav Vitous とても穏やか
(1992)    “Atmos” Miroslav Vitous 
(1992)    “Madar” with Anouar Brahem and Shaukat Hussain
(1992)    “Twelve Moons
(1994)    “Officium” with the Hilliard Ensemble
(1995)    “Visible World
(1998)    “Rites” 集大成?大作
(1999)    “Mnemosyne” with the Hilliard Ensemble 
(2002)    “Monodia” with Kim Kashkashian
(Mar.2003)  “Universal Syncopations” Miroslav Vitous 
(Mar-Jun.2003) “In Praise of Dreams
(Mar.Nov.2004) “Neighbourhood” Manu Katché
(Mar.2005)  “Stages of a Long Journey” Eberhard Weber
(1990-2007)  “Résumé” Eberhard Weber
(2007)     “Elixir” Marilyn Mazur
(2009)     “Dresden”        集大成?ライブ
(2010)     ”Officium Novum” with the Hilliard Ensemble
(2013)     ”Concert in Athens"  Eleni Karaindrou
(2015)     “Hommage A Eberhard Weber

posted by H.A.

【Disc Review】“Rites” (1998) Jan Garbarek

“Rites” (1998) Jan Garbarek
Jan Garbarek (soprano, tenor sax, synthesizers, sampler, percussion)
Rainer Brüninghaus (piano, keyboards ) Eberhard Weber (bass) Marilyn Mazur (drums, percussion) Bugge Wesseltoft (synthesizer, accordion) Tbilisi Symphony Orchestra, Sølvguttene Choir

Rites
Jan Garbarek
Ecm Records
ヤン ガルバレク 


 Jan Garbarek、本作はオーケストラを従え、「北欧エスニック」な雰囲気はそのまま、宗教チックなムードも含めて、これまでにも増して幻想的、ドラマチックな音楽。
 “I Took Up the Runes”(Aug.1990)以降のここまでの流れ、あるいは後の作品から考えると、これが集大成になるのでしょうか。
 そんな雰囲気十分な荘厳な大作。
 ここまで来ると、ジャズとかクラシックとか、北欧エスニックとか、サックスが厳しいとか、優しいとか・・・、云々は些末なことのように思えてきます。
 映画のサウンドトラックのような音作りは近作通りだとしても、これは深刻系の大作映画のそれ。
 あくまで静謐な質感。
 淡々と刻まれるゆったりとしたビート、オーケストラが作る重々しい背景。
 若干のデジタル臭は”Twelve Moons” (Sep.1992)あたりからの流れ。
 その中で低く、時には激しく鳴り響くサックス。
 決して奇異ではないのだけど、ただ事ではない雰囲気が漂う勇壮なメロディ。
 さらに全曲、強烈な寂寥感。
 いくつかはそれを通り越して厳かなムード。
 かつての作品のように、鎮痛?陰鬱?って感じもありますが、荘厳といった言葉の方が合いそうです。
 そんなムードに全体が支配されます。
 これは正座して聞かなければなりませんかね。
 かつての作品とは別の意味で怖い・・・
 冒頭からの重いムードの数曲を経て雰囲気は緩和されます。
 いい感じのジャズのムード、さらには聖歌隊、独唱等々、穏やかなクラシックのムード。
 サックスも優しいサイド。
 が、締めはやはり少々ヘビーな感じで、深刻系の映画のエンドロール・・・
 静かだけどちょっと怖い。
 そんな大作。



posted by H.A.

【Disc Review】”Visible World” (1995) Jan Garbarek

”Visible World” (1995) Jan Garbarek
Jan Garbarek (soprano, tenor sax, keyboards, percussion)
Rainer Brüninghaus (piano, synthesizer) Eberhard Weber (bass) Manu Katché, Marilyn Mazur (drums , percussion) Trilok Gurtu (tabla) Mari Boine (vocals)

Visible World
Jan Garbarek
Ecm Records
ヤン ガルバレク 


 Jan Garbarek、傑作”I Took Up the Runes” (1990) とほぼ同メンバーでの第三作。
 ”Legend of the Seven Dreams” (1988)から、あるいは”I Took Up the Runes” (1990)から続く「北欧エスニック」シリーズ。
 同じメンバー、同じムードの作品で考えると以下三部作といったところでしょうか。
  ”I Took Up the Runes” (1990)
  “Twelve Moons”(1992) 
  ”Visible World” (1995)
 前作までに近い質感ですが、本作はデジタル風味が強めの幻想的な音世界。
 いろんな空気、いろんな景色、いろんな時代が現れては消えていくような音の動き。
 メランコリックで郷愁感が漂うメロディ。
 熱を帯びないひんやりとしたムード が、それはかつての彼の氷のような冷たさではありません。
 少し遠くで吹いているような風のよう。
 ”I Took Up The Runes”あたりから感じられる不思議なノスタルジー、あるいは非現実感。
 どこのどの時代なのかもわからないのだけども、いい感じで別世界、別時代へトリップさせてくれるような幻想的なシリーズ。
 北欧エスニック色を前面に出したのち、優しい表情になったJan Garbarekの音楽。
 次はここまでの集大成のような超大作“Rites”(1998)へと続きます。




posted by H.A.

【Disc Review】”Twelve Moons” (Sep.1992) Jan Garbarek

”Twelve Moons” (Sep.1992) Jan Garbarek
Jan Garbarek (soprano, tenor sax, keyboards)
Rainer Brüninghaus (keyboards) Eberhard Weber (bass) Manu Katché (drums) Marilyn Mazur (percussion) Agnes Buen Garnås, Mari Boine (vocals)

Twelve Moons
Jan Garbarek
Ecm Import
ヤン ガルバレク 


 Jan Garbarek、傑作”I Took Up the Runes” (1990) とほぼ同メンバー。
 前作と同様、北欧エスニックの香りが濃厚な幻想的な音楽。
 映画のサウンドトラックのような質感、ドラマチックさも前作と同様。
 スウィングする場面は限られていますので、ジャズとして聞こうとすると無理があります。
 あくまでJan Garbarekが作る物語として聞くべき。感動的です。
 冒頭からシンセサイザー、ストリングスが幻想的ムード、寂寥感を助長。
 メランコリックで哀愁、郷愁を喚起するメロディ。
 静かに悲し気に、そして淡々と動く音空間。
 北欧の懐かしい雰囲気のメロディは、なぜか日本の童謡、郷愁に近いものを感じます。
 本作のノルウェー然り、スウェーデン然り。なぜだろ・・・?
 Jan Garbarekのサックスは少々テンションが高め。
 と言っても1970年代諸作に比べて楽曲自体が優しくなっているので、全体のムードとしての厳しさは感じません。
 幻想的な空間を作り支配するベース、美しく疾走するピアノ、そして現実の世界に連れ戻してくれる乾いた音の現代的なドラム。
 幻想的な前半、現実的な終盤の音。
 エピローグにはあのネイティブアメリカンの香り、”Witchi-Tai-To”の再演。
 初期、20年前の”Witchi-Tai-To” (Nov.1973)よりも優しい音。
 すっかり時が経ちました。




posted by H.A.

【Disc Review】"Atmos" (Feb.1992) Miroslav Vitous

”Atmos” (Feb.1992) Miroslav Vitous
Jan Garbarek (soprano, tenor sax) Miroslav Vitous (bass)

Atmos
Miroslav Vitous
Ecm Import
ヤン ガルバレク 
ミロスラフ ビトウス  


 Miroslav Vitous、Jan GarbarekとのDuo作品。
 “StAR” (Jan.1991)と比べて少々抽象的でムードが異なるので続編といった感じではないのでしょうが、こちらも静かで優しい音楽が中心。
 曲はMiroslav Vitousのオリジナル曲中心。
 演奏もベースが中心、サックスはサポートのイメージ。
 ゆったりとしたバラード中心。
 オーケストラ入りのキツめの曲が2曲。
 それを除けば、Jan Garbarekのサックスも優しいサイド寄り。
 甘美なメロディやスウィングするビートはありませんが、その分静謐で幻想的なムード。
 どこか遠くに連れて行ってくる音。
 ウッドベースの音が聞きたくなった時には最高のアルバムのひとつ。




posted by H.A.

【Disc Review】”StAR” (Jan.1991) Jan Garbarek

”StAR” (Jan.1991) Jan Garbarek
Jan Garbarek (soprano, tenor saxophone)
Miroslav Vitous (bass) Peter Erskine (drums)

Star
Jan Garbarek
Ecm Import
ヤン ガルバレク 
ミロスラフ ビトウス 


 Jan Garbarek、Miroslav Vitousとの共演作。
 ここにはあの厳しく激しいJan Garbarekはいません。
 優しい表情に変わった彼。
 本作では少人数、少ない音の中、漂うようなサックスの響き。
 もちろん音色自体は冷たく張り詰めた彼の音ですが、激烈で深刻、怖いような音使いはもうありません。
 本作は楽曲提供者からみて、あくまで3者の共同リーダー、あるいはMiroslav Vitous中心の作品なのでしょう。
 Jan Garbarekは一曲のみの提供、優しい表情のメロディ。Peter Erskineの曲も同様。
 Miroslav Vitous提供のもろジャズ曲や、少し深刻なメロディもあります。
 が、三者とも静かで優しい演奏。
 静かに舞い散るシンバルの音を背景にした、優しいサックスと空間に響くベースの音。
 Jan Garbarekが奏でる、静かで美しく優しい、癒しの音楽。
 隠れた名アルバム、このバンドではこれ一作だけのが残念。
 キツいJan Garbarekが苦手な人も、普通のジャズが好きな人もいけるはず。たぶん・・・





posted by H.A.

【Disc Review】”I Took Up The Runes” (1990) Jan Garbarek

”I Took Up The Runes” (1990) Jan Garbarek
Jan Garbarek (tenor saxophone, soprano saxophone)
Rainer Brüninghaus (piano) Eberhard Weber (bass) Nana Vasconcelos (percussion) Manu Katché (drums) Bugge Wesseltoft (synthesizer) Ingor Ánte Áilo Gaup (voice)

I Took Up The Runes
Universal Music LLC
ヤン ガルバレク 


 「北欧エスニック」な音楽、静かで幻想的なJan Garbarek。
 前作”Legend Of The Seven Dreams” (1988)のメンバーはそのまま、サックスカルテットをベースとして、パーカッションその他が加わる編成。
 聞き慣れない音階、どこか懐かしいメロディはルーツ、ノルウェーの民族音楽がベースなのでしょうか?
 全編を覆うもの悲しくエスニックなムード。
 ゆったりとしたビート、勇壮ながら悲しげなメロディ。
 さらにドラマチックな展開。
 まるで何かのサウンドトラック、あるいはドラマそのもの。
 ジャズとかロックとか、インプロビゼーションがどうとか、何とかかんとかを超越した音楽。
 そんな音の流れの中で、Jan Garbarekのサックスは優しい響き。
 かつての白い木枯らしのような音、凍てついた森のような空気感は変わり、遠くで吹いている風のような音。
 暗くはない森、あるいは草原のような空気感。
 風の温度は冷たそうでもあり、温かそうでもあり、その勢いは強そうでもあり、優しそうでもあり。
 あくまで少し距離を置いた遠い風、そんな音。
 そんな感じの距離感のある、あるいは遠い昔の別の時代を感じる音空間。
 タイトルは「古代文字を発見した」の意?
 であればその通りの音。
 これは大傑作だと思います。




posted by H.A.
Profile

jazzsyndicate

【吉祥寺JazzSyndicate】
吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。
コンテンポラリー ジャズを中心に、音楽、映画、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ