吉祥寺JazzSyndicate

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Jakob_Bro

【Disc Review】“Returnings” (2018) Jakob Bro

“Returnings” (2018) Jakob Bro

Jakob Bro (guitar)
Thomas Morgan (double bass) Jon Christensen (drums)
Palle Mikkelborg (trmpet, flugel horn)

Returnings
Universal Music LLC
2018-03-23


 デンマークのギタリストJakob Bro、“Streams” (2015)に続くECM制作。
 ドラムが前々作“Gefion” (2013)のJon Christensenに戻り、ベースは不動のThomas Morgan。
 さらに同じくデンマークのベテラントランペッターPalle Mikkelborgが加わります。
  前二作と同じく、淡くて漂うようなマイルドな音、薄く乳濁色が掛かったような幻想的な空気感。
 トランペットが加わることで音の輪郭がシャープになり、哀し気なミュートの音が寂寥感を助長しますが、空気感は変わりません。
 全編ゆったりと漂うようなテンポ。
 ふわふわとしたギターに、静かにグルーヴするベース、フリーにアクセントをつけるドラム。
 その穏やかであいまいな時間に寄り添うようなトランペット。
  “Gefion” (2013)にも収められていた哀し気なバラード"Oktoberから始まる、淡くて不思議な時間の流れ。
 強いビートはなく、強い音もフリージャズ混じりのタイトル曲”Returnings”のみ。
 淀んだ時間、迷宮に迷い込んだような、どこかわからない世界にいるような時間が続きます。
 とても穏やかで温かですが、なぜか強い寂寥感。
 その最後に収められた前向きな短いバラード”Youth”。
 全体を通して聞けば、少し抽象的で哀しい映画のようなさり気ないドラマチックさ。
 そんな構成がこの人のアルバムのカッコよさ。
 こんな空気感がDanish Saudadeなのかもしれません。




posted by H.A.


【Disc Review】“Balladeering” (2009) Jakob Bro

“Balladeering” (2009) Jakob Bro

Jakob Bro (guitar)
Bill Frisell (guitar) Ben Street (bass) Paul Motian (drums) Lee Koitz (alto sax)

Balladeering
Loveland Records
2016-08-08


 デンマークのギタリストJakob Bro、ECMでの制作前、後の "December Song” (2012) などと同様に自身の?レーベルでの作品。
 それに同じくBill Frisell、Lee Koitz。
 さらにPaul Motianといった大御所に、トップベーシストBen Street。
 淡く漂うような空気感は、ECMでの制作~最新作“Returnings” (2018)に至るまで変わりませんが、もう少しシャープないい感じのバランス。
 ゆったりとしたルバートなバラードが中心。
 漂うようなギターが絡み合う中に、Paul Motianのフリーなドラムが別の揺らぎを加えるサウンド。
 ベースがかろうじて現実の世界に引き戻そうとしつつも、緩やかに発散していくサウンド。
 Lee Koitzが吹く場面は定常に収斂するジャズ。
 そんな摩訶不思議な演奏が交錯します。
 決して多くない音数の残響音が心地よい空間。
 幻想的なムードを含めて似たメンバーのPaul Motianトリオに通じるサウンドですが、もっと優しくて緩やか。
 優しくて穏やかながら、不思議感120%。
 静かで繊細、穏やかなカオス。
 Paul MotianトリオBill Frisell諸作とはまた違ったこの空気感は新しかったんだろうなあ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Streams” (2015) Jakob Bro

“Streams” (2015) Jakob Bro
Jakob Bro (guitar) 
Thomas Morgan (double-bass) Joey Baron (drums)
 
Streams [12 inch Analog]
Jakob Bro
Imports
2016-12-02
ヤコブ・ブロ

 デンマークのギタリストJakob Bro、“Gefion” (2013)に続くECMレコード第二弾。
 ドラマーが交代していますが、前作と同様、フワフワと漂うような不思議な音空間。
 全てスローテンポ、寂寥感の強い漂うような音。
 どれもが淡い郷愁を湛えたような、暖かで心地よい音の流れ。
 これで抽象度が高かったり、キツめの音だったり、怖いメロディだったりすると、取っ付きにくそうだけども、そうはならないのがこの人ならではの絶妙なバランス。
 たっぷりのリバーブが効いたクリーントーンのギターはシャープなようで、線が細いようで、まろやかなクリーントーン中心。
 ベースは本作もスローテンポで絶妙なグルーヴを出す、深くて上品な音のThomas Morgan。
 Anders JorminMarc Johnsonなどのベテラン陣に変わる次の世代のECMのハウスベーシストはこの人なんだろうなあ、と勝手に思っています。
 フォーキーな感じ、芯があるようで、抽象的なようで、悲し気なようで、懐かし気なような、淡くてふわふわとしたメロディ。
 淡いメロディがふわふわゆらゆらとシャボン玉のように次々と現れては消えていくような空間。
 テーマとインプロビゼーションの境目が曖昧、ギターとベースのどちらが前面に出ているのか、ドラムがどんなビートを出しているのかさえ曖昧な不思議な音の流れ。 
 ジャズでもロックでもない不思議な音が次々と湧き出しては消えていきます。
 中盤からはディストーションも使ってビート感も強くなりますが、漂うような質感、哀感は変わりません。 
 淡くて美しくて、不思議で、暖かなギターの一作。
 プロデューサーはもちろん総帥Manfred Eicher。
 オーソドックスなトリオ編成での作品が二作続きましたので、おそらく次作は違う編成。
 トランぺッターTomasz Stanko とは“Dark Eyes”(2009)、サックスLee Konitz とは"December Song” (2012)などで共演済。
 ECM内ならば、Tomasz Stankoとガッツリやってほしいところですが、同じく淡い色合いのピアニストGiovanni Guidiあたりと組んでスローなルバート大会をやると面白いんだろうなあ。
 さてどうなりますやら・・・




posted by H.A.


【Disc Review】"December Song” (2012) Jakob Bro

“December Song” (2012) Jakob Bro
Jakob Bro (Guitar)
Bill Frisell (Guitar) Craig Taborn (Piano) Thomas Morgan (Bass) Lee Konitz (Sax)

【輸入盤】December Song [ Jakob Bro ]
ヤコブ ブロ 【輸入盤】December Song [ Jakob Bro ]

 デンマークのギタリストJakob Bro、最新作、ECMからの"Gefion” (2013)の前作になるのでしょう。
 なんともすごい顔ぶれのアルバム。
 Lee Konitz御大を迎えて何かやろう、といった企画だったのかもしません。
 顔ぶれから想像できるそのままの音。
 強い浮遊感と非日常感、曖昧な空気感。
 Bill Frisellが参加していたPaul Motian Trioのような音ですが、さらに繊細なイメージ。
 師弟なのかどうかは分かりませんが、Jakob Bro、Bill Frisell、同じムードの二人が作る強烈な浮遊感の空間。
 全てスロー~ミディアムなゆったりとしたテンポ。
 漂うビートと淡いメロディ。
 集団即興といった感じではないのだけども、誰が主導権をとっているのか曖昧な音の流れ。
 Jakob Bro、Bill Frisellともにどちらがソロをとるわけでもなく、絡み合いもつれ合いながら進む時間。
 そんな曖昧な空気を切り裂くようなLee Konitzのアルト。
 この時点で80歳を超えていたのでしょうが、艶のある鋭い音。
 少し枯れた感じの節回しが寂寥感を誘います。
 さらにCraig Tabornも同じく浮遊する空間を切り裂く、さらにベースとともに飛んでいく音をまとめる役回り。
 ピアノの音量が上がると急に空間が引き締まります。
 また、"Gefion” (2013)にも参加しているベースのThomas Morganは地味ながら穏やかなグルーヴ。
 全く目立ちませんが、この人が加わるだけで音楽の質が変わるような希少なベーシスト。
 メロディ、ビートともに曖昧ながら全編を流れる穏やかな哀愁。
 現実と非現実の間を漂うような音。
 ジャズとかなんとかと超越した不思議な音楽。
 不思議な安らぎ。
 とても不思議なのですが、やはりこれは新しいのかもしれません。




posted by H.A.

【Disc Review】“Gefion” (2013) Jakob Bro

“Gefion” (2013) Jakob Bro
Jakob Bro (Guitar)
Thomas Morgan (Bass) Jon Christensen (Drums)

Gefion
Universal Music LLC
2015-02-06
ヤコブ ブロ

 デンマークのギタリストJakob BroのECMレコード第一弾。
 前掲のBen Monder“Amorphae” (2010,2013)に同じく環境音楽的な、ふわっとした音空間。
 こちらはとんがっているようで、とても優しくて穏やか、そしてもの悲しく、郷愁感のある音。
 穏やかでフワフワした不思議な音楽。 
 幻想的なムードは、Miles Davisの“In a Silent Way” (Feb.1969) に似た感じでもありますが、もっと柔らかな音。
 冒頭はECMの約束、ルバートでのスローバラード、そのギタートリオ版。
 以降は概ね定常なビートになりますが、フワフワとした淡い音の流れが続きます。
 どこか懐かしいような、穏やかな優しい音。 
 ギターはクリーントーン、リバーブ強め、メロディックなようで抽象的、とても穏やかな音。
 熱狂や興奮とかとはかけ離れたゆったりと漂うようなフレージング。
 それに寄り添うようなベースがとてもカッコいい。
 決して派手ではないのですが、あの北欧の名手Anders Jorminを思わせるようなしっかりとした音、スローでも上品なグルーヴと強い浮遊感。
 そしてギターのコードとベースが作ったイメージに呼応する自由で静かなドラムは、ベテランの名手Jon Christensenの得意技。
 強烈な浮遊感の時空。
 不思議で穏やかな非日常空間へ連れていってくれる音楽。



posted by H.A.
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