“Folies Douces” (1995) Ivan Paduart
Ivan Paduart (piano)
Richard Galliano (bandoneon,accordion) Philippe Aerts (bass) Bruno Castellucci (drums) Chris Joris (percussions) Patrick Deltenre (guitar)
 
Folies Douces
Ivan Paduart
Igloo Records
2015-10-02
イヴァン パドゥア 





 ベルギーのピアニストIvan Paduart、Richard Gallianoをゲストに迎えた小洒落たジャズ。
 20年前の録音、近年の再発のようですが、決して古い音ではありません。もちろんヨーロッパテイストなのだけども、第一印象はフレンチ。明るくてオシャレ、ちょっとだけ哀愁感、そして郷愁感。
 冒頭曲の大御所Richard Gallianoの印象が強いのでしょうかね。
 彼が前面に出ると音楽が動き出すというか、加速度が増すというか。何やってもカッコいい人なのですが、私的な好みは、この手のノリのあるジャズの演奏。
 ノリのいいタイム感とちょっとタメたかと思えば、突然走り出す音の置き方、うねりがなんともいい感じ。バラード系だとそのうねりが何とも言えない郷愁感を醸し出し、またドラマチック。
 リーダーは正統派Bill Evans系。
 強烈さやこれ見よがしな派手さはないのだけども、微妙にタメが効いた音使いが繊細な感でいい感じ。しっとりとしているけども前向き系のヨーロッパジャズの王道の音。内省的、耽美的系だとは思いますが、南欧の人らしく暗くはならない。ジメッとするのではなくカラッとした質感。
 ピアノトリオでの演奏もありますが、ゲストが入っている曲に比べると、急に音楽が落ち着いて、安定的で美しいピアノミュージック。
 バラードでは後ろ髪を引かれるような音の置き方。ゆったりとしたワルツなどが一番合いそう。でも、単に美しいだけでなく、ミディアムテンポ~アップの曲では、ノリが良くて手数が多い系のドラムが攻撃的で、ぐんぐん前へ進む。
 数曲だけ参加しているギタリストPatrick Deltenreも今風のGeorge Bensonといった感じでもの凄くカッコいい。もっと入っていればよかったのですが惜しい・・・
 圧倒的な曲こそありませんが、佳曲揃い、美曲揃い。どの曲も演奏力が相まってドラマチックでカッコいい。
 という事で、一曲一曲、音の表情が変わり、諸々のテイストの音が楽しめる、明るくて前向き系ヨーロッパジャズ、そのショーケースのような素敵なアルバム。



posted by H.A.