吉祥寺JazzSyndicate

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Herbie_Hancock

【Disc Review】“The Jewel in the Lotus” (Mar.1974) Bennie Maupin

“The Jewel in the Lotus” (Mar.1974) Bennie Maupin

Bennie Maupin (saxophones, flute, bass clarinet, voice, glockenspiel)

Herbie Hancock (acoustic, electric pianos) Buster Williams (bass) Billy Hart (drums) Freddie Waits (drums, marimba) Bill Summers (percussion)

Charles Sullivan (trumpet)
 

The Jewel in the Lotus
Bennie Maupin
Ecm
ベニー モウピン






 Herbie Hancock、さらに番外編・・・ってなことではないですが。

 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis~“Head Hunters” (Sep.1973)のメンバーBennie Maupin、唯一のECM作品。

 “Head Hunters” (Sep.1973) 以前のHerbie Hancockバンドの主力メンバー、“Mwandishi” (Dec.1970),“Crossings” (Feb.1972),“Sextant” (1972) Herbie Hancockあたりと近いメンバーでのセッション。

 ニューヨークでの録音、元のジャケットデザインなど、ECMっぽくはない部分もあるのですが、プロデューサーはManfred Eicherです。 

 “Head Hunters” (Sep.1973) の録音は既に終わっている時期のようですが、さすがにECM、ポップさが前に出ることはありません。

 Herbie Hancockのピアノを、あの紛うことなき1970年代ECMの透明度の高い硬質なサウンドで聞ける唯一の作品というのも貴重でしょう。
 が、全体的にはあの超ハイテンションなキツい感じではなく、穏やかなサウンド。 

 ポスト“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis以降のジャズファンクを模索していた上記の諸作に近いムードですが、とんがっていない、洗練された音。
 さらに、浮遊感が強く、優しい音。

 ECMの真骨頂、ルバートでのスローバラードも数曲収められています。

 途中の妖しいボイスの囁き~フリージャズ的な楽曲を除けば、暗さ、深刻さもあまりなく、心地よい音の流れが続きます。

 ビートがとても柔らかくてしなやか、緩すぎずキツ過ぎずのいい感じのグルーヴ。

 “Head Hunters” のPaul Jackson, Harvey Masonはファンクな名コンビですが、彼らではこの感じにはならななかったのでしょうし、ECMでの制作もなかったのでしょう。

 全曲Bennie Maupinの楽曲ですが、Herbie Hancock的な洗練されたクールさがそこかしこにが漂っています。

 反面、1970年代ECM特有の緊張感や厳しさは薄いのですが、それもお好みでしょう。

 また、インプロバイザーBennie Maupin、Herbie Hancockが前面に出ることはあまりなく、“Bitches Brew”的な妖しさもほどほど。

 淡い色合いのアンサンブル中心、強烈な浮遊感の穏やかな音。

 全編通じていい感じで、このままECMで制作が続くと大名作が出来た予感があるのですが、このバンドとECMのコラボレーションはこの作品のみで終了。

 “Head Hunters”が大ヒットしちゃったので仕方ないですかね。

 世の中うまくいっているような、そうでもないような・・・

 



posted by H.A.  

【Disc Review】“Village Life” (1984) Herbie Hancock, Foday Musa Suso

“Village Life” (1984) Herbie Hancock, Foday Musa Suso

Herbie Hancock (Synthesizer, Drum Programming) Foday Musa Suso (Kora, Talking Drum)
 
Village Life
Hancock/Suso
Columbia
ハービー ハンコック


 Herbie Hancock、番外編。
 アフリカの弦楽器「コラ」奏者とのDuo作品。東京録音。
 素晴らしい楽園ミュージック。
 端正で上品なシンセサイザー、エレピと、素朴で優雅なハープのような「コラ」の響きがベストマッチング。
 このアイデアはHerbie Hancockなのか、プロデューサーにクレジットのあるBill Laswellなのか、CBS/Sonyのスタッフなのかはわかりませんが、相性は抜群です。
 Foday Musa Susoが出す音に対して、Herbie Hancockがインプロビゼーションを載せていくスタイルなのでしょうか?
 Herbie Hancockはエレピを中心にかなりアグレッシブに弾いているように思うのですが、柔らかな音とコラの素朴な響きが穏やかに中和していく感じ。 
 ジャズフュージョンに振れるでもなく、ワールドミュージックに振れるでもなく、ちょうどいい感じのバランス。
 マニアックな感じはなく、むしろオシャレ。
 どの曲も淡い感じで穏やか、メロディアスで優雅。
 アフリカの密林やサバンナではなく、海岸線の篝火のムード。
 その意味ではリゾートっぽい音ではあるのですが、素朴な感じがたっぷりが残っていて、ホテルのラウンジっぽさ、作り物臭さはありません。
 これでジャズ曲、ポップスなどをやってしまうと、この微妙なバランスが瓦解してしまうのでしょう。
 一期一会のスーパーセッション。
 極楽気分の素敵な音。
 隠れた大名作です。 




posted by H.A.  

【Disc Review】“Man-Child” (1974-75) Herbie Hancock

“Man-Child” (1974-75) Herbie Hancock

Herbie Hancock (synthesizer, acoustic piano, electric piano, ARP Odyssey, ARP Pro Soloist, Oberheim 4 Voice, Fender Rhodes, clavinet)
Paul Jackson, Henry E. Davis, Louis Johnson (electric bass) Harvey Mason, James Gadson, Mike Clark (drums)
Bennie Maupin (bass clarinet, alto/bass flute, saxello, tenor/soprano sax, percussion) Wayne Shorter (alto/soprano saxophones) Jay DaVersa, Bud Brisbois (trumpet) Dick "Slide" Hyde (tuba, bass trombone) Garnett Brown (trombone) Ernie Watts, Jim Horn (flute, saxophone) 
Dewayne McKnight, David T. Walker (electric guitar) Wah Wah Watson (synthesizer, voice bag, electric guitar) Stevie Wonder (harmonica) Bill Summers (percussion)
 
MAN CHILD
HERBIE HANCOCK
COLUM
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、ファンクフュージョン路線、ポップス寄り。
 レギューラーバンドに豪華ゲストを加えて、軽快かつゴージャスなソウル風アレンジ。
 David T. Walker、Wah Wah Watson、Stevie Wonderなど、ソフトなソウル系のアーティストも迎えて、それらしい音。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis から五年、その色は全くなくなり、“Head Hunters” (Sep.1973)からポップになったとはいえ、前作“Thrust” (Aug.1974)まで残っていた、硬派なインプロビゼーションミュージックの色合いも薄くなりました。
 二年前のポップファンクへの転換点“Head Hunters” (Sep.1973)からの集大成、あるいは、ポップインスツルメンタルミュージックへの大転換、さらには、1950年代からのジャズ的なムードを完全に捨て去った作品ともいえそうです。
 それが時代の流れ、マニアックで気難し気で難解なモノが受け入れられなくなった時代だったのかもしれません。
 ドイツのECMレコードではまだまだこれからハードでマニアックな作品が制作されますが、それはむしろ例外。
 クリエイティブなジャズの総本山Miles Davisもそろそろ長期休養に入ります。 
 いろんな意味で、ポップなフュージョンの時代の幕開け、その象徴的なアルバムかもしれません。
 ファンキーなギターのカッティングがリズムを刻み、シンセ、エレピがメロディを奏でるポップなフュージョン。
 ワウを掛けたギターのカッティングも、“Dark Magus”(Mar.1974) バンドやJohn McLaughlinとは全く違う、軽快で洗練された質感。
 ギターのオブリガード、シンセサイザーストリングス、ホーンのアレンジ、タメと疾走が交錯するベース、16ビートの軽快感、ちょっと大仰なキメ・・・その他諸々、一世を風靡するフュージョンミュージック、ソフト系の要素がギッシリ詰まっています。
 後の日本のフュージョンやニューミュージックもここからの応用が多いのではないかな?
 ハードなフュージョンの大元はMahavishnu Orchestra、“Hymn of the Seventh Galaxy” (1973) Return to Foreverあたりなのしれませんが、ソフト系はこのアルバムが大元のようにも思います。
 ソフト&メロー・・・まではもう少しかもしれないけども、ソフトで洗練された音。
 心地よさ、わかりやすさ抜群。
 ところどころで出てくるカッコいいインプロビゼーションが隠し味・・・ってもの時代の変化ですね。
 “Bitches Brew”を端緒とした終着点はこれ!
 ・・・と強弁するつもりはありません。

 この先、日本限定だったライブアルバム“Flood” (1975)は最高にカッコいい演奏だと思いますが、実は次の “Secrets” (1976)以降の作品はきちんと聞けていません。
 ちょっとポップになり過ぎて、残っていたジャズ的なムードも薄くなって、あまり好みの音ではなかったような気がするので・・・
 また機会があればと思って、数十年・・・

 



 なお、同時期、Miles門下生Chick Corea、Keith Jarrett、Joe Zawinul、John McLaughlin は、まだまだ気難しい系か激烈系。
 “Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaの頃はWeather Report、Chic Coreaが先に進んでいたように思います。
 John McLaughlinもロックファンに大人気だったのでしょう。
 ポップで一般受けもする“Head Hunters” (Sep.1973)で一馬身前に出たのがHerbie Hancock。
 さらにこの期、この作品でHerbie Hancockは一気にぶっちぎり、ジャズとは違う別世界に遷移したように思うのですが。
 これを聞いて一番悔しがったのは・・・?
 ・・・・・?
 Miles Davisではないかな?


posted by H.A.  


【Disc Review】“Thrust” (Aug.1974) Herbie Hancock

“Thrust” (Aug.1974) Herbie Hancock

Herbie Hancock (Fender Rhodes electric piano, Hohner D6 clavinet, ARP Odyssey, ARP Soloist, ARP 2600, ARP String Ensemble)
Paul Jackson (electric bass) Mike Clark (drums)
Bennie Maupin (tenor/soprano sax, saxello, bass clarinet, alto flute) 
Bill Summers (percussion)

Thrust
HERBIE HANCOCK
COLUM
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、前作“Head Hunters” (Sep.1973)の路線継続、ポップなファンクフュージョン。
 ポップといっても、まだまだ全四曲、十分を超える長尺なインプロビゼーションも含む構成、“Head Hunters”とは兄弟のようなアルバム。
 人気曲の"Butterfly"も収録されていますが、白眉は名曲"Actual Proof"。
 意外なところでカバーされているアーティスト好みの曲なのでしょう。
 近年では全く遠い所のようなECM、"Spark of Life” (2014) Marcin Wasilewski でカバーされていました。
 オリジナルの本作は、高速ファンクに強烈な疾走感のインプロビゼーションが映える大名演。
 後のライブアルバム“Flood” (1975)での同曲は、恐ろしいぐらいカッコいいベースラインとアコースティックピアノでの凄まじいソロの大名演。
 本作でもそれに勝るとも劣らない大名演。
 あるいは“Head Hunters”の大名演”Sly”に勝るとも劣らない大名演。
 これにはMilesもビックリしたであろう(知りませんが)、ファンキーでぶっ飛んだ演奏。
 しかも端正。
 このベースは何と表現したらよいのでしょう?
 後のJaco Pastriousもびっくりのしなやかさ。
 弾みまくり、動きまくるベース。
 Paul Jackson、なかなか名前が上がってきませんが、この演奏はエレクトリックベースの名演ベスト10に入るであろう大名演。
 フルートのサポートが入り、エレクトリックピアノですが、インプロビゼーションの部分は事実上ピアノトリオ。
 ベースとエレピの凄まじいまでのチェイスとバトル、それを激しく煽るドラム。
 凄まじい演奏。
 ピアノトリオでここまで凄い演奏は、古今東西、現代の超絶技巧の若者の演奏を含めて、なかなかないでしょう。
 この曲、このインプロビゼーションだけで名アルバムでしょう。
 この作品がどの程度ヒットしたのかはわかりませんが、ポップでファンクな曲、アレンジに対して、インプロビゼーション自体はかつてのジャズ時代のムード、エキサイティング系。
 激烈、混沌に突っ込むことはない、どう演奏してもクールで端正に仕上がるHerbie Hancockの演奏。
 それでも超弩級にエキサイティング。
 次作は一曲一曲を少しコンパクトに、さらにポップにソウルっぽく仕上げた、“Man-Child” (1974-75)へと続きます。 




posted by H.A.  


【Disc Review】“Dedication” (Jul.1974) Herbie Hancock

“Dedication” (Jul.1974) Herbie Hancock

Herbie Hancock (acoustic piano, Fender Rhodes, ARP Pro Soloist, ARP Odyssey, ARP 2600, ARP String Ensemble)

Dedication
Herbie Hancock
Wounded Bird
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、ソロ作品、日本でのライブ録音。
 日本限定でのリリースだったのでしょう。
 前後の作品の流れには合いませんが、アコースティックピアノでの”Maden Voyage”、 "Dolphin Dance"から、シンセサイザーを絡めた"Cantaloupe Island" まで、いかにもモダンジャズ時代からのファンも喜びそうな内容。
 ”Maden Voyage”は次年のステージ“Flood” (Jul.1975)と比べて幻想的なムードでしょうか。
 ちょっとだけビート、音の置き方を変えながらの思わせぶりな演奏。
 ま、この人の演奏、このあたりのアコースティックピアノの演奏では、何をどうやっても名演になってしまうのでしょう。
 抑え過ぎず、はしゃぎすぎず、穏やかで端正なピアノ。
 Keith Jarrettのような激情、ドラマチックさはありませんが、別のカテゴリの名人芸。
 そこまでは予想の範囲、期待を裏切らない演奏ですが、気になるのは後半、シンセサイザーを絡めたソロ演奏。
 いきなり来ました、とんがった電子音にスペーシーな響き。
 “Sextant” (1972)的なアバンギャルドを少し期待してしまうのですが、この期は“Head Hunters” (Sep.1973)リリース後。
 ループを使ったファンクなビートでのエレピソロ。
 やはりこうなるか・・・
 ある意味予想通りの手堅い演奏。
 さすが何をやってもスッキリまとめてしまうHerbieさん。
 端正なエレピソロを楽しむとしましょう。




posted by H.A.  


【Disc Review】“Head Hunters” (Sep.1973) Herbie Hancock

“Head Hunters” (Sep.1973) Herbie Hancock

Herbie Hancock (Fender Rhodes electric piano, Hohner D6 clavinet, ARP Odyssey synthesizer, ARP Soloist synthesizer)
Paul Jackson (electric bass, marímbula) Harvey Mason (drums)
Bennie Maupin (tenor/soprano sax, saxello, bass clarinet, alto flute)
Bill Summers (congas, shekere, balafon, agogô, cabasa, hindewhu, tambourine, log drum, surdo, gankogui, beer bottle) 

ヘッド・ハンターズ(期間生産限定盤)
ハービー・ハンコック
SMJ
2016-04-27


 Herbie Hancock、大ヒット作。
 メンバーを一新してポップなファンク路線。
 ここまでの作品の気難しさ、ジャズ的なムードを一掃。
 やっと“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisの呪縛から解放されたような質感。
 ジャズ的ムードを排したのはMilesのほうが早かったのですが、この時期の作品“Dark Magus”(Mar.1974) Miles Davisなどには、まだ気難しさが残っています。
 Miles門下のクリエーターたちも“Mysterious Traveller” (1974) Weather Report、“Hymn of the Seventh Galaxy” (1973) Return to Forever、”Birds Of Fire” (1973) Mahavishnu Orchestra、などまだ気難しいか、激烈系。
 それらを一気に抜き去ったようなポップなムード。
 キッチリとしたビートとわかりやすいメロディについて好みは分かれるのでしょうが、マニアではない普通の人に受け入られるにはこのくらいがよかったのでしょう。
 とはいえ、ビートと全体の質感をスッキリさせただけで、LP全4曲、長尺インプロビゼーションてんこ盛り路線。
 さすがにポップな“Chameleon”、”Watermelon Man”はごちそうさまですが、”Sly”は他にはない出色のカッコよさ。
 私的にはこの一曲のみで買いですし、大仰なブレークを除けば、今の耳で聞いても古くない音だと思います。
 “On The Corner” (Jun.1972) Miles Davisを発展させたような、16ビートの軽くてファンキー、かつポリリズミックなビート感、しかも強烈な疾走感。
 Sly and the Family Stone、あるいは“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davis、"Willie Nelson"のパターンの変形版ですが、ビート感、疾走感が違います。
 後追いでこの時期のMilesの未発表音源などを聞くていくと、Milesも実はこのビート感、この路線に行きたかったんじゃないのかなあ・・・と勝手に思っています。
 その上でのエキサイティングでカッコいいインプロビゼーション。
 何をやっても洗練されてしまうHerbie Hancock。
 カッチリした音楽をやってしまうと平板に聞こえてしまう感、無きにしも非ずなのですが、そのカッコよさが最大限に発揮されたトラック、だと思います。
 この曲でのエレピソロが、私が知る限りの彼のキャリア最高のソロのようにも思います。
 このアルバムが苦手な人(私もそうでした)は、CD3曲目から聞いてみましょう。
 始まって二分過ぎぐらいから、とんでもなくカッコいいグルーヴが始まります。
 これを聞いた御大Miles Davisは悔しかったのでは?大ヒットもしたようですし・・・
 それにしても、この人のレコードジャケット、何とかならないものですかねえ。
 ”Maiden Voyage” (1965)、“Speak Like a Child” (Mar.1968)は最高、前作“Sextant” (1972)はいいとしても、本作含めて他はちょっとねえ・・・
 ピアノはファンクでも激烈でも端正なのに・・・




posted by H.A.  


【Disc Review】“Sextant” (1972) Herbie Hancock

“Sextant” (1972) Herbie Hancock

Herbie Hancock (acoustic piano, Fender Rhodes, Hohner D6 clavinet, mellotron, ARP 2600, ARP Pro Soloist, Moog)
Buster Williams (electric, acoustic bass) Billy Hart (drums)
Bennie Maupin (soprano sax, bass clarinet, piccolo, afuche, Hum-A-Zoo) Dr. Eddie Henderson (trumpet, flugelhorn) Julian Priester (bass/tenor/alto trombone, cowbell) Dr. Patrick Gleeson (ARP 2600, ARP Pro Soloist) Buck Clarke (percussion)

Sextant
Herbie Hancock
Sbme Special Mkts.
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、“Mwandishi” (Dec.1970)、“Crossings” (Feb.1972)とほぼ同様の中核メンバーでの“Bitches Brew” (Aug19-21,1969)的ジャズファンク路線三作目。
 ここまでは予想できそうな音でしたが、これは全く予想不可能、問題作でしょう。
 不思議感は彼のキャリアの中でも突出しているのでは?
 ジャケットの不思議なイラスト通り、スペーシー・エスニック?な音でしょう。
 シンセサイザーの導入は初めてでしょうか?全編で不思議な電子音が飛び交います。
 フリーな場面、混沌の場面はないのですが、終始混沌というかなんというか・・・
 長尺な全三曲。
 冒頭曲は電子音が主導するジャズともロックともファンクともつかない不思議感全開の展開。
 飛び交う電子音に、カッコいいジャズファンクなウッドベースに、一瞬のフリージャズ的ホーンアンサンブルに、端正なエレピ。
 これを混ぜると・・・カッコいいような気もするのだけども、違和感もたっぷり。
 最後は電子音のみでのアンサンブルが数分・・・これは・・・?
 不思議です。
 二曲目からファンクなビートが入り、クラビネット的な音が主導するカッコいいソウルっぽくもある音なのですが、アンサンブルは不思議感満載。
 ホーン陣はソウルっぽいアクセント付けに使われていますが、断続的に響くメロトロンがプログレッシブロックぽくもあり、ワウを掛けたキーボードがMilesバンドっぽくもあり、中盤にはアコースティックピアノを強打するエキサイティングなソロあり。
 このこちゃまぜ感はちょっと凄い。
 LPレコードB面”Hornets”に移ると、ヒタヒタと迫ってくるようなビートとインタプレーを中心とした“Bitches Brew”な展開。
 いかにもMiles的なEddie Hendersonのトランペットと、この人にしては珍しく歪んだ音で狂気混ざりのフレーズを弾くキーボードがいかにも“Bitches Brew”的。
 それに乗ったBennie Maupinのここまでブチ切れたソロも珍しいのでは?
 しかも不思議な電子音、その他聞き慣れない音が周囲を飛び交います。
 中盤には混沌一歩手前場面もあり、これもHerbie Hancockにしては珍しい。
 シンセサイザーを入れて“Bitches Brew”、あるいはさらに激しい“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970)、”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970)を作るとこうなるのかな?と思わせるようなアバンギャルドさをはらんだ演奏。
 本気でそう考えて作ったような構成です。
 などなど、全編不思議感満載ですが、凄い演奏、クリエイティブな音楽であることは確か。
 が、逆にいまさら感もあるし、Herbie Hancock的な洗練された色合いが薄くなっているし、やはり問題作。
 この路線で行くのかと思いきや、不思議なジャズファンク、“Bitches Brew”路線はここまで。
 次作、ガラッと変わってあのポップな“Head Hunters” (Sep.1973)へと続きます。
 
 


posted by H.A.  


【Disc Review】“Crossings” (Feb.1972) Herbie Hancock

“Crossings” (Feb.1972) Herbie Hancock

Herbie Hancock (acoustic piano, electric piano, mellotron, percussion)
Buster Williams (electric bass, string bass, percussion) Billy Hart (drums, percussion)
Eddie Henderson (trumpet, flugelhorn, percussion) Julian Priester (bass, tenor, alto trombones, percussion) Bennie Maupin (soprano saxophone, alto flute, bass clarinet, piccolo, percussion)

Crossings
Herbie Hancock
Warner Bros UK
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、“Mwandishi” (Dec.1970)に続く、長尺ジャズファンク路線第二弾。
 ジャズロック、ジャズファンクというよりもジャズフュージョンの言葉が会いそうな洗練された音。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis的な路線継続ですが、その棘を除去し、ざらざらした質感をスムースにしたイメージ。
 ファンクビートが中心で、後の“Head Hunters” (Sep.1973) 的なポップな色合いもあるのですが、“Speak Like a Child” (Mar.1968)のような上品なムードも混ざっています。
 ホーンのアンサンブルとファンクの絡め方、楽曲の構成もこなれて、前作“Mwandishi”よりもさらに洗練されたように感じます。
 LPレコードA面は長尺な一曲のみですが、山あり谷あり、何曲かで構成される組曲的展開。退屈はありません。
 いきなり強烈でエスニックなパーカッションで始まります。
 この年“On The Corner” (Jun.1972) Miles Davisにも参加するBilly Hartとパーカッション群がしなやかでカッコいいビートを叩き出し、各人のインプロビゼーションもエキサイティング。
 エレピのソロなどは洗練の極みで、汗が出てこないクールな質感、にも関わらずハイテンションでエキサイティング。
 パーカッションを絡めた複雑でポリリズミックなビート感は、“On The Corner”の先取りでしょうか。
 さらには“Bitches Brew”的な妖し気な展開に加えて、後のフュージョンに繋がるような洗練された展開まで。
 一曲として聞いてしまうと長くて大変なのですが、ここまで、そして後の音まで詰まった素晴らしい演奏。
 大作感も十分。
 LPレコードB面はBennie Maupinの提供曲、二曲。
 メロディとビートが少々曖昧になり、妖しげで幻想的なムードが強くなり、少々ダルなムード。
 それでもHerbie Hancock的なクールネスと洗練が根底に流れています。
 この時期のMiles門下生、Chick Corea は“Return to Forever” (Feb.1972)、Keith Jarrettは"Expectations" (Apl.1972)、Weather Reportは”I Sing the Body Electric”(1971,1972)と、各人それぞれに次の展開を模索中。
 当のMilesは“On The Corner” (Jun.1972)ですっかり“Bitches Brew”的ムードを捨て去った16ビートなファンキー路線。
 完成したものもあれば、試行途上のものもありそうですが、本作のA面は完成度十分。
 それでも話題にならないのは気難し気な雰囲気ゆえでしょうか?
 さらに、“Mwandishi” (Dec.1970)も含めてジャケットがちょっと・・・
 中身は、ジャケットほどは怖くも気難しくもない演奏集です。

 


posted by H.A.  


【Disc Review】“Mwandishi” (Dec.1970) Herbie Hancock

“Mwandishi” (Dec.1970) Herbie Hancock

Herbie Hancock (Fender Rhodes piano)
Buster Williams (Bass) Billy Hart (Drums) 
Eddie Henderson (Trumpet, flugelhorn) Bennie Maupin (Bass clarinet, alto flute, piccolo) Julian Priester (tenor trombone, bass trombone)
Ronnie Montrose (Guitar) Leon "Ndugu" Chancler (drums, percussion) José "Chepito" Areas (congas, Timbales)
 
エムワンディシ
ハービー・ハンコック
ワーナーミュージック・ジャパン
2012-08-08


 Herbie Hancockが作ったもう一つの“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis。
 話題にならない作品?なのかもしれませんが、カッコいいエレピが映える、妖し気でカッコいいジャズファンク。
 Milesとの共演は“In a Silent Way” (Feb.1969)、“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)とあるのですが、その間の”Bitches Brew”には参加していません。
 その憂さ晴らしかどうかは分かりませんが、Herbie Hancockとしての端正かつ妖し気なジャズファンクフュージョン。
 あくまで私見ですが、Herbie Hancockのピアノはキレイすぎて、”Bitches Brew”に呼ばれなかった、もしくは参加を断ったように思いますし、もし参加していたら違ったムードの作品になっていたようにも思います。
 ”Bitches Brew”はまだしも、後の“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970) Miles DavisなどのChick Corea, Keith Jarrettの狂気のエレピを聞くと、端正さが勝るHerbie Hancockがそれらと代わるのは少々無理があるようにも思います。
 結果から見る限りですが、当時のMilesが求めていたのは、激しさ、狂気だったようにも思います。
 近い時期に“Zawinul” (Aug.6-12.1970) Joe Zawinulがありますが、そちらに近いムード、前作“The Prisoner” (Apl.1969)にも近いイメージもあり、やはりHerbie Hancock独自の音でしょう。
 とても美しいエレクトリックピアノと、こちらは”Bitches Brew”に参加していたBennie Maupinの妖しいバスクラリネットの響きからスタートします。
 パーカションが効いたアフロ混じりのポリリズミックなビート。
 なおドラマーは、後にMilesバンド、Weater Report、Santanaに参加するLeon "Ndugu" Chancler。この人脈、なぜかどこかで繋がっています。
 一つのリフのモーダルな演奏。
 トラペットソロからバンドのテンションは徐々に上がり、エキサイティングなエレピの長尺なインプロビゼーション~妖しさ全開のバスクラリネットへと続きます。
 端正でスッキリした”Bitches Brew”といった面持ち。
二曲目以降はパーカッションが抜けて、“Speak Like a Child” (Mar.1968)、“The Prisoner” (Apl.1969)的でもある柔らかで幻想的な世界。
 とても穏やかでフワフワとした心地よい音。
 フリューゲルホーンとフルートの柔らかな音色のソロに続くエレピの時間は極楽タイム。
 穏やかながら定まらないビート、フリーな音の空間をフワフワとエレピの音が漂います。
 LPレコードB面は長尺な一曲。
 スローで穏やかなフリーテンポからの始まりは、“In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davisにも似た世界。
 そこから左右のチャンネルに揺れ動くエレピとホーンのアンサンブル。
 これまた素晴らしい心地よさ。
 漂うビート感とこれまた漂うようなエレピが作るフワフワとした空間の中を管楽器のインプロビゼーションが泳ぎます。
 が、次第にテンションとビートを上げながら、気が付けば激しいフリーインプロビゼーション的な音へ移行。
とても激しいのですが、なぜかサラリとしたクールな質感。
 エレピが激烈を煽るのではなく、拡散していくバンドを定常に戻すように促しているようにも聞こえます。
 これもHerbie Hancockならではの色合いなのでしょう。
 最後はまた、端正なアンサンブル~穏やかに漂うような音に戻って締め。
 幻想的なムードは共通ですが、“Bitches Brew”的な演奏は一部のみ。
 あくまで上品なホーンアンサンブルとフワフワしたピアノ、漂うようなこの期のHerbie Hancockの世界観。
 メロディが曖昧、抑制された演奏なので地味なのかもしれませんが、逆に左右に揺れ続けるエレクトリックピアノの美しい音が最高に映える音。
 エレピの音の心地よさは“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaと同等。
 エコーとエフェクティングがしっかり効いている分、こちらの方が心地いかも。
 そんな隠れたエレピの名作品。




posted by H.A.  


【Disc Review】“Fat Albert Rotunda” (May.Jun.1969) Herbie Hancock

“Fat Albert Rotunda” (May.Jun.1969) Herbie Hancock

Herbie Hancock (piano, electric piano)
Buster Williams (electric, acoustic bass) Albert "Tootie" Heath, Bernard Purdie (drums)
Joe Henderson (tenor sax, alto flute) Joe Farrell (tenor sax) Garnett Brown (trombone) Johnny Coles (trumpet, flugelhorn) Joe Newman (trumpet) Eric Gale (guitar)

Fat Albert Rotunda
Herbie Hancock
Warner Bros UK
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、ポップでストレートなジャズロック~ファンク。
 前作“The Prisoner” (Apl.1969)の次月の録音、似たような編成、メンバーですが、質感は全く異なります。
 TVアニメのテーマソング?として作られたのでしたかね?
 いかにもそんな感じの音。
 ホーンのアレンジもブルース、ソウルバンドのそれ。
 8ビートにノリノリのホーン陣、エレピ中心。
 ジャズメンが素直にファンクを演奏するとこうなるといった見本。
 逆に“Bitches Brew” (Aug19-21,1969)がいかに変わっていたのか、換言すればクリエイティブだったのか、改めて納得してしまいます。
 ”Maiden Voyage” (1965)、“Speak Like a Child” (Mar.1968)、“The Prisoner” (Apl.1969)が高尚なムードの映画のサントラ的な音だったのに対して、本作はカジュアルで親しみやすいいかにもTV的な音。
 目的にピッタリ、その意味ではいい仕事しています。
 それでも何曲かはノーブルな音。
 後々まで演奏される"Tell Me a Bedtime Story"のオリジナルはこのアルバム?
 “Speak Like a Child” 的な優雅さはあるのですが、ちょっとノリがよすぎるかな?
 同じくバラード"Jessica"も“Speak Like a Child”的な漂うようなバラード。
 これがカッコいいなあ。
 ファンクも悪くないですけどね。
 ピアノはさすがのカッコいい演奏の連続。
 この人の場合、何を演奏しようが端正で繊細です。
 次作はガラッと変わって“Bitches Brew” (Aug19-21,1969)な“Mwandishi” (Dec.1970)へと続きます。




posted by H.A.  


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